表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

エピローグ

数年の歳月が経ち、例年と同じく夏にこの村を訪れた。

『世界樹』へと続く道の途中にある、小さな停留所でバスを降りる。

照り付ける日差しの暑さに、この心は踊った。

何かを期待させてくれそうな、そんな季節―――

見渡したその風景は、あの頃のまま、何も変わってはいない。

感慨深げに眺めながら、一人立ち尽くしていた。

すると、小学生くらいの男の子と女の子が、『世界樹』の伝承の話をしながら目の前を通った。

思わず懐かしくなり、その声にそっと耳を傾ける。


「ねぇ知ってる?あの『世界樹』の言い伝え」


「あの『世界樹』の下で同じ夢を見続けるとね、その夢が叶うんだよ」


「ただし条件があるの。一つは純粋な夢であること。欲深い夢や悪意のあるものはダメ。二つ目は何度も何度も同じ夢を見続けること。最後は…、その夢が叶うのは、僅かな夏の間だけ」



「でもね、その夢は……、夏が来るたび叶うんだよ」



子供たちの声が聞こえなくなった時、目の前に一人の少女が現れた。

麦わら帽子をかぶった、白いワンピースの少女。

一年振りの挨拶を交わす。

「ただいま」

少女はそれに応えた。

「うんちゃ、おかえり♪」

その手には、これからたくさんの思い出が書き記されていくであろう、真新しい日記帳。

そして、いつかの小さな腕時計。


川沿いの一本道を二人並んで歩き始め、そっと手を繋いで少女は微笑みかける。


「今年もまた、『夏』がやって来たね♪」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ