無職から脱却!
「ふむ、それは私も言おうとしていたことだ。魔術師というものはそう簡単に生まれてくるわけではない。戦闘に出られほど強い魔術を行使できなくとも水や炎を生み出すことによって馬車の積み荷や労力を大きく減らすこともできる」
この言いぶりだと俺が考えているような魔術師はさらに貴重なようだ。
俺はもともと向こうの世界のRPGなどでド派手な魔法を使うような存在で慣れていたので勝手にそんな感じだと決め付けてしまっていたが、イグニスの話を聞いて確かにそうだと思った。
勉強やスポーツのように魔術にも得意不得意があっても何ら不思議ではない。
むしろあるのが当然だ。
こっちの世界では魔術は一つの技術。
皆が一様にすべて同じ力を使えたらそれはそれでなんだかおかしな感じがする。
「それで貴様はどんな魔術が使えるのだ?」
「そのことについても少しご相談が――」
「なんだ?」
「ああ!そうなんです。カグヤさんの魔法のお名前を見たんですが、私は見たことも聞いたこともないものでした」
ハッと思い出したアイセアが好奇心からかキラキラした眼差しをイグニスに送っている。
するとあまり驚く様子もなくイグニスが答える。
「アイセア、お前にはこれから魔術を教えていくつもりだったからな。まだ知らない魔術の一つや二つあっても不思議ではない。"覚醒"が来たのもついこないだだっただろう」
覚醒ってなんだ?闇の力にでも目覚めちゃうんだろうか?
それなら俺もしっかり中学二年の頃に済ませて来たぞ。
「それで貴様はなんの魔術が使えるんだ?」
「創造者?と書いてあるんですが…」
「――なん、だと!?」
イグニスの目が驚きで見開かれる。
周りも同じような反応をしている。
なんかこの感じさっきもあったんだけど。
やめてよね、視線浴びせないで。痛いから。引きこもりあんまいじめないで。
「貴様のそれはまさか――固有魔術か!!?」
「こゆーまじゅつ?」
「アイセア!間違いないんだな!」
「は、はい?そ、そう書いてあったと思いますが…」
どうやらアイセアも現状を理解していないようだ。
仲間がいてよかった。
「き、貴様がこの館で働くことを許可する。仕事については追って知らせるとしよう」
「は、はい。ありが、とうございます?」
さっきまで「ラッキー!いい拾い物したぜー!」くらいだったのに有無を言わさずといった感じで押し切られてしまった。
何はともあれ――――――――。
祝!ニート脱却!!!!
ここから段々と彼はチートの階段を上っていく…。
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