オッサンに出会うまで。
2日で書き上げたので、誤字や脱字が多いかもしれません。内容にも期待しないで下さい。
この作品は一応、女オークとオッサンの恋物語です。
初めまして。私、オークです。
2度目の人生が異世界でオークです。
以前は女子高校生してました。
現オークです。
ちなみにメスです。
名前は【サユ】
前世と同じ名前です。
私も異世界やファンタジーの世界に憧れてはいたけどさ、それはお姫様だったり、冒険者になるからでしょう?
ね、誰がオークになるなんて想像出来る?
私は驚いたよ?
目を開けた瞬間に視界いっぱいにオークの顔面だかんな。
白目をむいて気絶したのは当然です。
さてさて、そんな過去もありましたが、
私も既に15歳。
一生をオークとして生きて行く覚悟も出来ております。
が、どうしても譲れない事が一つ。
《旦那は一人だけがいい》
実はこの世界のオーク達。
夫婦や番という観念がありません。
子供は年頃のオスとメスでどんどん作るもの。
子供は集落の全員で育てる。
これが当たり前。
なので、下手をすれば様々なオークと・・・。
それだけは嫌だ!
相手がオークでも構わない!
でも、相手は一人が良い!
なんて思い続けて早数年。
このままではいけない!
あと数日で繁殖期が来てしまう!
なので親友に相談してみよう!
親友のモルカちゃんは産まれたときから傍にいる、1日のほとんどを一緒に過ごす姉妹の様な存在なんです。
「私、一人とだけ番たい。大勢となんて嫌なの」
と話していたら涙が出てきた。
「そうだったのぉ?知らなかったぁ・・・。どうしても無理なら、一人だけにアピールし続ければぁ?」
と背中を撫でてくれるモルカちゃん。
そうか!それがあったか!
流石だよ!モルカちゃん!
作っては産み作っては産みになるから、その度に一人にしつこくアピールすれば良いんじゃないか!
やっと解決しましたよ。
ありがとう。モルカちゃん。
このご恩は一生忘れません。
なんて思ってました。
今?
私はオークの集落を離れ、隣の隣の隣の隣の山にいます。
何でかって?
モルカちゃんが、集落の長に
【サユは一人とだけ番になるなんて言ってますぅ。変だと思いますぅ。今までも変な行動が多かったですしぃ、もしかして変種なんじゃないですかぁ?そんな変種の血を混ぜて良いんですかぁ?】
ってチクったからです。
長は大激怒。その場で私の集落追放が決まりました。
あの時の私は若かった。
私が外に出れる様にモルカちゃんはわざと長に言ってくれたんだ!と思い、モルカちゃんに会いに行くと
【ざまぁ!私より可愛くてモテるなんてぇ、ムカつくのよぉ!この集落の男達は私のなんだからぁ!お前なんかに渡さないんだからぁ!さっさと失せなさいよねぇ~お馬鹿ちゃん♪】
って見下ろされたんだけど。
まーじーかー
って感じだったよ。
完全なる悪意でした。
ここまで来ると清々しいな。おい。
と、なんだかんだありましたが、特に揉めることもなく、そのまま集落を追い出されたので助かりました。
そう、私は自由になったのです!
そして、やって来たのは隣の隣の隣の隣の山。
ドラゴンがいる山らしくて、下手に侵入すれば殺されるらしいです。
が、ここを通らないと、植物が豊かな隣の山に行けません。
怖いけど我慢して通りましょう。
歩くこと数日。
突然雨が降ってきた。
慌てて雨宿りが出来るところを探してみると、すぐ傍にあった洞窟を発見!
走って洞窟に入りました。
犬のように体をひねって水分を飛ばしつつ、
洞窟は奥が水場に繋がっている事も多いので、早速確認しに行きましょう。
歩くこと30分。
何だか変な感じがする。
戻るべきか?
なんて考えていると
「おい、オーク。お前、独りで此処に来たのか?」
と頭上から声がした。
上を見てみると
ド ラ ゴ ン
あ、死んだわ。コレ、死んだ。
走馬灯が頭を駆け巡っていると
「おい、オーク。勝手に死んだような目をするな。まだ何もしてないし、質問しただけだろう?」
と声が響いた。
何だか凄く呆れたような声だった気が・・。
まぁ、突然殺される事も無さそうなんで、意を決して謝罪をしてみようと思います。
「あ、どうもすみません。オークのサユと申します。ドラゴン様のお住まいとは知らず、突然の訪問、申し訳ございません。」
とりあえず、土下座しとこう。
「サユ、か。うむ。その体勢も含めお前は変なオークだな。」
と言われてなんと返せと?
「はぁ、そうですか。これは謝罪の体勢です。変だとは良く言われますね。先日も~」
と、ついつい集落追放の話や前世の話を延々と語ってしまった。
良く考えれば、ドラゴン相手に何時間も愚痴るとか・・・。
死亡フラグ立った?
でもさ、ドラゴンさん。
すげぇ相づち打つの上手いんだもん。
それで?みたいに話の続きを促されたりしたら、話しちゃうでしょう?
もういいや。
腹はくくった。
愚痴も言えたし、なんかスッキリしたもんね。
よし、食われても良い!
と、気合いを入れて顔を上げると
「よし、気に入った!サユ、此処に住め。ワシが鍛えてやる!ついでに魔法も教えてやろう。うむ。それがいい。それがいい。よし、そうと決まれば寝床を作ってやらねばな♪」
って
待って。待って。超待って。
私、ドラゴンさんと同棲すんの?
ってか話聞いて。
先に私に了解とって!
尻尾でバンバンと岩を砕いて更地にしてるのは私のため?
ちょ、ちょ、ホントにちょっと待って!
「出来たぞ。ここがサユの寝床な。食いものは適当に取ってくるが、果物なんかは集めてもらえると助かるな。ワシだと木ごと食うしかなくてな。ハハハハハ」
「ハ、ハ、ハ」
笑えない!
笑ってる場合じゃない!
でも、ドラゴンから逃げるのは無理だし。
弱い筈のオークなのに、鍛えて魔法も教えるつもりらしいし。
寝床まで用意してもらっちゃって。
あれ?良く考えたら良いんじゃね?
安全な場所でドラゴンに鍛えてもらうなんて。
しかも、私の話も頷いて聞いてくれたドラゴンさんだ。
狂暴でも無さそうな気がする。
何だか強引だったけど、良いや!
気に入ってくれたみたいだし、すぐには殺されないだろうし、取り敢えずお世話になろう!
「よろしくお願いします。」
再度ドラゴンさんに頭を下げておく。
「ああ。ワシは【フェンリー】だ。ちなみに、ワシは【変竜】との異名をつけられてるからな。変竜と変オーク、仲良くやっていこう!ナハハハ」
って、笑ってるけど、待て!
待て!ドラゴン!
変竜って何?
だっさい異名なんですけど!
もしかして、ドラゴンとしては有り得ない穏やかさと、人の話をしっかり聞いちゃう上に聞き上手なもんだから、変竜なんて異名付いたんじゃないよね?
違うよね?違うって言ってぇぇぇぇぇ!
私、この変竜から鍛えてもらうの?
大丈夫なの?
変竜の異名を、すげぇドヤ顔して言ってるドラゴンなんだけど、大丈夫?本当に?
尽きない不安を抱えたまま、ドラゴン、フェンリーと過ごす日々を送ることになりました。
本当に大丈夫かな?
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こんにちは。
あれから5年が経ちました。
私、サユは20歳を迎えました。
そんな記念の日。
5年の年月を共に過ごした我が師匠。
ドラゴンのフェンリーが突然
「サユ、今日からお前がこの山の長になれ!」
とかほざきやがった。
「は?なに言ってんの?長はフェンリーじゃんか」
と呆れてため息をついた私だったが、
「大丈夫だ。そもそもワシはほとんど洞窟から出んしな。出ても、他のドラゴンの元に遊びに行くか、空を飛ぶかだしな。長としての仕事はしとらんし。お前に任せる。」
って、威張って言うことじゃないだろ、ドラゴンや。
「長としての仕事って何さ?ってか、オークに従う馬鹿はいないでしょうが。」
と問うと
「お前なら大丈夫だ!長としての仕事は、周囲の山や町から来る人間の排除、及び下剋上を狙っておる魔物達の排除だな。人間にはこの山には入らない様に契約させておるからな。そうそう来ないんだが、魔物はそこそこ来るな。まぁ、食卓が豊かになって良いけどな!」
とか笑ってるけど。
「あのさ、もしかしてさ、今まで洞窟に侵入してきた魔物達ってさ、下剋上狙ってたとかじゃないよね?フェンリーが
【洞窟を奪いに来た奴等だ、倒しておけ】
って私に丸投げしてきてた奴等。下剋上の奴等じゃないよね?」
冷や汗が出てきた
「んあ?ああ!そうだぞ!この洞窟に侵入してきた奴等はワシを倒して長になろうとしてる奴等だ!そいつらをなんの問題もなく殺れるんだ、お前は強い!今日からお前が長だ!」
とか言ってるけど
ざ け ん な
「馬鹿かお前は!何、自分の仕事押し付けてんだよ!知らなかったよ!素直に排除してたよ!ってか、私を長にしてお前はどーすんだよ!」
とつい興奮して怒鳴る私に
フェンリーは真面目な顔をしてこう返した
「ワシか?ワシはな・・・・・。
特に何も変わらん。ただ、ワシの面倒が減る。
昼寝の邪魔も完全に無くなるしな!
好きな時に遊びに行けるし、良いことだらけだぞ!ナハハハ!」
「こっの、クソドラゴン!!!!!」