日曜日さん
日曜日に出会ったその人は、
とても綺麗な目をしていた。
「長瀬マナ、といいます」
「マナちゃんか。宜しくね」
それは生まれて初めての“一目惚れ”で、私は夢の中にいるような心地でその人を見つめていた。
本当に、綺麗な目だ。
吸い込まれそう、というのはありきたりな表現だが、その人の目の中にはまるで果てしない宇宙が広がっているように見えたのだ。しばらく見つめていると、その人は不思議そうに尋ねてきた。
「……俺の顔に、何かついてる?」
私は慌てて首を横に振る。そして思わず、
「き、…綺麗な目だなぁって、思って…」
などと、本音を口走ってしまったのだ。するとその人は呆れたように笑って言う。
「君も、綺麗だよ」
頬が熱くなっていくのを感じて、私は俯いた。この人はとても良い人なのだ。こんなキザな台詞が板につくくらいには。
「ほら。君はもう、俺と離れたくないでしょう?」
離れたくない。もう少しだけ、一緒にいてお話ししたい。明日になったら、アイツと会わなくちゃいけない。この人と次に会えるのは、来週の日曜日―。一週間も会えないなんて、辛い。
「でも、もう行かなきゃ。また来週」
「待って。行かないで」
しかし、無情にもその人は、私を置いて去ってしまう。
「まだ、やりたいことがたくさんあるのにっ…!」
時刻は午後11時半を回ったところ。
…嗚呼、また月曜日が来る。