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初めての投稿です。
未熟な点もあるとは思いますが、ぜひ読んでみてください。
確かあれは、中学一年生の頃。
真っ赤な夕日が、建物や、木や、人を照らしていた。
楽しそうに騒ぎながら帰る子供達を横目に見ながら、私は川辺でうずくまっていた。
四月に入ったばかりで、暖かかったが少し肌寒かったのを覚えている。
それでもその時の私は、家に帰ろうとはしなかった。
私は声が大のコンプレックスだった。
中学生の女の子とはとても思えないようなダミ声。
誰と話したって、いつも一瞬驚いたような顔をされた。
小学生の頃に、好きな男の子に告白した時、
「こんなキモイ声の奴と付き合えねえよ」
って笑いながら言われたことだってあった。
せっかく中学生になったのに、誰にも話しかける勇気なんてなかった。
クラスメイトの中で、私は”物静かな子”で定着してしまったようで、私に話しかけてくれる人もいなかった。
そんな状況の中で友達なんて、出来るはずもなかった。
本当は人と喋ることだって、大好きなのに。
涙を流しながら、流れる川を見つめていた。
涙が川に、ピチャン、と音を立てて落ちた。
- 涙と一緒に、自分の弱さも川に流れていけばいいのに。
夕日はもう沈みかけていて、犬の散歩をしている女の人は時計を見ながら速歩きで家路を辿っていた。
それでも私は、家に帰ろうとはしなかった。
涙も止まり、私はぼーっと流れる川を眺めていた。
明日も学校か。
そう思うと、憂鬱だった。
ひとつため息をついた時だった。
「何やってんの?」
と、後ろから聞いたことのない声が聞こえた。
私とは大違いの、はっきりとした、澄んだ綺麗な声が。