かおるこ作品総合ポイント順
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『夫が愛人のもとへ消えた朝、私は泣かずに鍵屋を呼んだ』 〜35年間専業主婦だった私が、誰にも知られず準備していた事とは〜
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N8261ME
完結済
(全20エピソード)
夫が愛人のもとへ消えた朝、 私は泣かなかった。 湯気の消えかけた味噌汁を見つめながら、 ただ静かに、鍵屋へ電話をかけた。 三十五年。 私は、何も知らない妻ではなかった。 帰宅時間のずれも、 香水の匂いも、 減っていく預金も、 見栄だけ大きくなっていく背中も。 全部、知っていた。 だけど私は叫ばなかった。 責めなかった。 取り乱さなかった。 その代わりに、 通帳を整理し、 名義を変え、 記録を残し、 静かに今日を待っていた。 夫は言った。 「俺には若い女がいる」 私は答えた。 「そう」 それだけだった。 夕暮れ。 閉め出された扉の向こうで、 夫は怒鳴り声を上げる。 けれど私は、 もう震えていなかった。 鍵を替えたのは、 家のためじゃない。 人生の鍵を、 取り戻すためだった。 誰かの機嫌で生きる日々を終わらせ、 誰かに怯える夜を終わらせ、 ようやく私は、 私の人生の扉を開けたのだ。 カチリ。 小さな鍵の音は、 長い長い結婚生活の終わりであり、 静かな再出発の音だった。
ジャンル:純文学〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/24 12:49 読了時間:約87分(43,430文字)
週別ユニークユーザ: 2,882人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 456 pt
ブックマーク: 19件 評価人数: 50 人 評価ポイント: 418 pt
『王妃はもう業務外です ――冷酷陛下に“愛は不要”と言われたので、三年分の有給休暇を取得して領地経営に専念します――』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N7465MF
完結済
(全11エピソード)
王宮は美しかった。 白い大理石。 金糸のカーテン。 夜会に咲く、偽物の笑顔。 その中心で。 王妃は今日も、 誰より早く起き、 誰より遅く眠る。 愛はいらない。 ただ務めを果たせ。 その言葉だけで、 心は静かに擦り切れていった。 ◇ 積み上がる書類。 終わらない茶会。 眠れない夜。 それでも誰も言わない。 「ありがとう」 の一言さえ。 だから彼女は、 ある日そっとペンを置く。 ――長期有給休暇申請書。 未消化、三年分。 復帰予定、 未定。 ◇ 王妃が消えた朝。 王宮は崩れた。 止まる外交。 回らない予算。 泣き出す文官。 皆ようやく知る。 “当然”のように存在していたものが、 たった一人の犠牲で成り立っていたことを。 ◇ 領地の風は優しかった。 コルセットを外し、 昼の陽だまりで眠る。 ただそれだけで、 涙が出た。 「……休んでも、 よかったのね」 ◇ 遅すぎた後悔を抱え、 王は彼女を追う。 けれど彼女はもう、 昔の王妃ではない。 静かに笑い、 まっすぐ告げる。 「私は備品ではありません」 その言葉は、 どんな剣より強かった。 ◇ そして今日も、 定時の鐘が鳴る。 紅茶を飲みながら、 彼女は少しだけ微笑む。 もう誰にも、 人生を搾取させないために。
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/22 22:27 読了時間:約48分(23,630文字)
週別ユニークユーザ: 1,846人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 394 pt
ブックマーク: 31件 評価人数: 45 人 評価ポイント: 332 pt
『お前の薬草遊びと茶飲み友達など無価値だ』と言われ離縁しました。翌月、全商会が夫との取引を止めました——私は今、隣国王宮の薬草茶室で働いています
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N9463ME
完結済
(全21エピソード)
冬の茶は、すぐに冷める。 けれど、冷えたのは茶ではなく、 あなたの言葉だった。 --- 「薬草遊び」 「茶飲み友達」 「役に立たない女」 笑い声の混じる広間で、 私は静かに離縁状を受け取った。 湯気は細く揺れ、 やがて見えなくなる。 まるで、 あの日の私の居場所のように。 --- あなたは知らなかった。 眠れぬ商人に、 胃を痛めた老侯に、 長旅に疲れた使節に、 どの葉を、 どの温度で、 どの順番で淹れていたかを。 知らなかった。 香りひとつで、 人の怒りが和らぐことを。 一杯の茶で、 止まりかけた交渉が動き出すことを。 --- だからあなたは捨てた。 温室を。 薬草を。 積み重ねた季節を。 「雑草だ」と笑いながら。 乾いた土の匂いだけが、 冬空に残った。 --- 翌月。 港から船が消えた。 商会は扉を閉ざし、 招待状は途絶え、 屋敷から人の気配が消えていく。 静かだった。 恐ろしいほどに。 崩壊とは、 雷のようには来ない。 誰も茶を飲みに来なくなる。 それだけで、世界は終わる。 --- 今、私は隣国の王宮にいる。 朝露を含んだミント。 眠りを守るカモミール。 月明かりに香る銀月花。 私は今日も、 誰かのために茶を淹れる。 戦を避けるために。 涙をこぼさぬために。 人が、人でいられるように。 --- 「本当の茶飲み友達ですね」 そう笑う声に、 私はようやく気づく。 大切なのは、 誰に価値を決められるかではない。 誰の心を、 温められたかだ。 --- 春の庭園。 白い湯気が空へ昇る。 もう、 この茶が冷めることはない。
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/19 06:22 読了時間:約92分(45,765文字)
週別ユニークユーザ: 2,045人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 316 pt
ブックマーク: 33件 評価人数: 29 人 評価ポイント: 250 pt
『婚約破棄ですね。では、あなたの家の魔力供給を停止します』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N0495MG
完結済
(全11エピソード)
魔力灯が落ちた夜、 あなたはようやく知ったのでしょう。 この屋敷を照らしていたのが、 私だったことを。 誇らしげに掲げていた爵位も、 磨き上げた銀食器も、 貴族たちの笑顔も。 すべて、 契約という細い糸で吊られていた。 そしてその糸を、 ずっと握っていたのは―― 私。 「愛があれば十分だ」と、 あなたは笑った。 ええ。 ならばどうぞ。 愛だけで、 凍えた朝を越えてください。 止まった転移門を開いてください。 空になった金庫を満たしてください。 崩れ落ちる商会を支えてください。 私はもう、 あなたの赤字を補填しません。 だって契約は終わったのです。 終わった契約に、 未練という科目は存在しない。 だから私は前を向く。 新しい帳簿を開き、 新しい未来へ署名する。 あなたの名前は、 もうどこにも記載されていない。
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/25 08:59 読了時間:約48分(23,775文字)
週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件
総合ポイント: 306 pt
ブックマーク: 28件 評価人数: 33 人 評価ポイント: 250 pt
『そのドレス、私の私物ですが?』 ~完璧な会計令嬢は、婚約破棄の場で自分の「異常性」を突きつけられ、初めて正気(と恋)を知る~
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N6986ME
完結済
(全11エピソード)
灰色の襟を 喉まで閉じて、 カトレアは今日も 「姉」であることを着ていた。 妹が笑えば譲った。 宝石も、ドレスも、居場所さえ。 家族間の資産移動は非課税―― そんな言葉で、 心の赤字をごまかしながら。 白い夜会場。 本来なら彼女が纏うはずだった 純白のドレスは、 妹の胸元で揺れていた。 婚約破棄。 その言葉を、 彼女は“ざまぁ”の始まりだと思った。 けれど響いたのは断罪ではなく、 ひとりの男の悲鳴だった。 > 「君は、自分を大事にしろ」 その瞬間、 壊れていた帳簿がめくれ落ちる。 尽くすこと。 譲ること。 耐えること。 それは本当に、 愛だったのだろうか。 深く頭を下げた床の向こう、 黒衣の男が笑った。 > 「拾おう。 > 君ほど美しい損益計算は見たことがない」 やがて彼女は知る。 ボルドーワイン色のドレスが、 誰かのためではなく、 “自分の肌”のために作られる歓びを。 深い谷間。 背を流れる黒髪。 絞られた腰。 それは媚びではない。 奪われ続けた人生を、 自分の身体へ取り戻すための戦装束だった。 請求書は積み上がる。 ドレス百二十四着。 宝飾十九点。 未払いの愛情、無断使用の青春。 妹は泣く。 けれどカトレアは、 初めて笑って言った。 > 「これは適正価格です」 数字は冷たい。 嘘をつかない。 だから彼女はようやく知った。 損をし続ける人生は、 美徳ではなく破綻だと。 最後に贈られたのは、 王冠でも、指輪でもない。 純金の算盤。 しゃらり、と鳴る音はまるで、 閉じていた心の鍵が開く音。 そして彼女は、 新しい人生の帳簿へ書き込む。 愛情収益―― 計測不能。
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/14 03:14 読了時間:約46分(22,513文字)
週別ユニークユーザ: 382人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 198 pt
ブックマーク: 19件 評価人数: 19 人 評価ポイント: 160 pt
「君なら平気だろう」と浮気相手を優先した婚約者様。ええ、平気です。あなたの浮気の証拠をすべて公証役場で確定させてきましたので。
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N6032MF
短編
土砂降りの駅前で あなたが私の手を振り払い 「君なら平気だろう」と笑ったとき 私の胸の奥で、カチリと音がした 冷徹な、数字の歯車が回り出す音 悲しみで泣き喚くほど 私はおめでたい女ではないし あなたの不実に付き合うほど 私の時間は安くはない 濡れた髪のままデスクに向かい 嘘、裏切り、密会の足跡を 冷たいエクセルのセルに嵌め込んでいく 数字は決して感情に流されない 最も純粋で、最も残酷な真実 翌朝の公証役場 厳格な空気のなか あなたの罪は「公正証書」という名の 言い逃れのできない国家の記録に変わる これで外堀はすべて埋まった 「機嫌を直してよ」と笑うあなたに 私が差し出す、厚いレターケース 血の気の引いたその顔に 私はもう一度、静かに告げよう ええ、平気ですとも 泣いて縋る暇があるなら あなたのこれからの人生の 完璧な「損益通算」を始めましょう
ジャンル:現実世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/21 17:50 読了時間:約3分(1,090文字)
週別ユニークユーザ: 1,085人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 194 pt
ブックマーク: 5件 評価人数: 24 人 評価ポイント: 184 pt
妻より幼馴染優先ですか?
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N1980MG
完結済
(全11エピソード)
妻より幼馴染優先ですか? なら、もう結構です。 あなたが差し出した「後回し」を、 私は毎日、笑って飲み込んできました。 記念日も、 熱を出した夜も、 一人で待っていた玄関も。 「ただの幼馴染だから」 その言葉は免罪符みたいに繰り返され、 傷つく私だけが 心の狭い悪者になっていった。 あなたは知らなかったでしょう。 諦めは、 泣き声より静かに始まることを。 ある日を境に、 私はあなたに期待しなくなった。 帰りを待たず、 言い訳を数えず、 愛される順番を欲しがることもやめた。 そして気づいたんです。 あなたが失ったのは、 「文句を言わない妻」じゃない。 どんな時も、 あなたを一番に考えていた人でした。 今さら振り向いても、 もう遅い。 あなたが優先し続けたその人と、 どうぞ最後までお幸せに。 私はようやく、 自分を後回しにしない人生を始めるので。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/26 17:21 読了時間:約48分(23,582文字)
週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件
総合ポイント: 118 pt
ブックマーク: 4件 評価人数: 13 人 評価ポイント: 110 pt
婚約破棄された経理令嬢は、隣国宰相の“唯一の黒字”になる ~私を追放した国は、三ヶ月後に財政破綻しました~
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N6216ME
完結済
(全10エピソード)
灰色のドレスは、雨の匂いがした。 夜会の灯りの中で笑われながら、彼女はただ一人、国の赤字を抱いていた。 誰も知らない。 煌めく宝石の裏で、 舞踏会の音楽の裏で、 王国の呼吸を繋いでいたのが、細い指先だったことを。 「婚約破棄だ」 その声は高らかで、愚かだった。 金杯を鳴らし、貴族たちは笑う。 深く開いたドレス。 零れる真珠。 甘い香水。 浪費の香り。 けれど彼女だけは知っていた。 その輝きが、すべて借金で出来ていることを。 「私が埋めていた赤字、もう隠しませんわよ?」 静かな声だった。 怒鳴りも泣きもしない。 ただ帳簿を閉じるように、 彼女は王国を見限った。 雨が降っていた。 灰色の空。 濡れた石畳。 冷たい夜。 それでも胸は軽かった。 もう誰かの浪費を縫い合わせなくていい。 もう夜明けまで数字に謝らなくていい。 国境で出会った男は、黒を纏っていた。 まるで夜そのものだった。 「関税率の計算式が破綻しています」 その一言で、風向きが変わる。 数字を理解する男。 数字に誠実な女。 それは恋より先に生まれる、危険な共鳴だった。 「……君を国家ごと買いたい」 その言葉に、彼女は初めて知る。 価値とは、 宝石の大きさではなく、 誰かを生かせる力なのだと。 灰色だった人生は、ゆっくりと深い紺へ変わっていく。 ミッドナイトブルーのドレス。 大胆に開いた背中。 知性を隠さない瞳。 かつて地味だと笑われた令嬢は、やがて社交界で最も恐れられる女になる。 「その宝石、担保品ですわ」 笑顔で差押えを告げる夜。 贅沢に溺れた者たちは震え、 数字に愛された女だけが静かに立っている。 国は滅びる。 虚飾は剥がれる。 赤字は必ず回収される。 そして最後に残るのは、たった一つ。 誰にも理解されなかった彼女を、 最初から“価値”として見抜いた男の声。 「君はもう赤字じゃない」 黒衣の宰相は、彼女の指先に口づける。 「私の人生最大の黒字だ」
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/13 23:42 読了時間:約45分(22,096文字)
週別ユニークユーザ: 197人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 112 pt
ブックマーク: 15件 評価人数: 10 人 評価ポイント: 82 pt
『倒産寸前の弱小ギルドを買い取ったら、全員「日常生活スキル」の最強職人集団でした 〜元経営者の異世界ターンアラウンド・マネジメント〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N5535MF
完結済
(全11エピソード)
沈みかけた看板の下、 雨漏りする工房で、 誰にも見向きもされない職人たちがいた。 剣を振れない。 魔獣を倒せない。 派手な魔法も使えない。 だから世界は彼らを、 「役立たず」と呼んだ。 けれど―― ひとりの男だけが知っていた。 丁寧に火を入れることが、 誰かの命を守る力になることを。 布を一針縫うことが、 誰かの誇りを繕うことを。 雑草を抜く指先が、 薬草の命を傷つけぬ奇跡であることを。 数字は冷たい。 契約は残酷だ。 帳簿は嘘をつかない。 だからこそ彼は、 搾取を見抜き、 埋もれた価値を掘り起こし、 「ゴミ」と呼ばれた技術に、 正しい値札を貼っていく。 これは、 最強の剣士の物語ではない。 世界から軽んじられた人々が、 自分の仕事を、 もう一度好きになる物語だ。 片付け。 裁縫。 料理。 整理。 温度管理。 そんな“日常”こそが、 誰かを生かし、 都市を支え、 世界を回していた。 やがて倒産寸前だった小さなギルドは、 誰よりも誇り高い職人たちの居場所になる。 そして男は今日も、 新しい帳簿を開く。 ――次は、この世界そのものを立て直そう。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/21 08:45 読了時間:約48分(23,870文字)
週別ユニークユーザ: 544人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 110 pt
ブックマーク: 10件 評価人数: 10 人 評価ポイント: 90 pt
『育休中の夫が妹と渡米しました』 ~TOEIC900点は、日本でも取れます~
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N1543MG
完結済
(全12エピソード)
夫は妹とアメリカへ行った。 「人生を変えたい」 そう言って。 オムツも、 保育園の書類も、 夜泣きも、 全部、日本に置いたまま。 --- 「お兄ちゃんは海外向きだよ」 妹は笑う。 「日本が合わないだけ」 その言葉を信じて、 夫は“未来”へ旅立った。 私と子どもを残して。 --- 実家の狭い部屋。 母が子どもを寝かしつける声を聞きながら、 私は単語帳を開く。 眠い。 しんどい。 泣きたい。 でも、 明日のミルク代みたいに、 現実は待ってくれない。 --- 海の向こうでは、 兄妹が夢を語る。 自由な人生。 海外で成功する自分。 “本当の才能”。 でもその頃、 私は日本で、 黙ってリスニングを聞いていた。 洗濯物を畳みながら。 子どもを抱きながら。 現実を生きながら。 --- やがて夫は帰ってきた。 夢に敗れて。 英語にも、 人生にも、 自分自身にも向き合えないまま。 そんな彼に、 私は静かに言う。 > 「TOEIC900点って、 > 日本でも取れるんだね」 責めるためじゃない。 ただ、 それが現実だった。 --- 遠くへ行った人より、 逃げなかった人の方が、 前へ進めることもある。 人生は、 国じゃ変わらない。 毎日をどう生きたかで、 少しずつ変わっていく。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/26 05:37 読了時間:約48分(23,766文字)
週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件
総合ポイント: 100 pt
ブックマーク: 1件 評価人数: 14 人 評価ポイント: 98 pt
『最適化の魔女は、婚約破棄を歓迎する 〜王宮を追われたので古城を改修していたら、国のほうが先に崩壊しました〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N0557MF
完結済
(全11エピソード)
灰をかぶった古城には、 誰の足音もなかった。 割れた窓から風が入り、 錆びた配管の奥で、 長く忘れられていた水が 細く、泣くように鳴っていた。 かつて彼女は、 白亜の王宮にいた。 金箔の天井、 薔薇を浮かべた浴槽、 夜ごと煌めくシャンデリア。 けれどその美しさは、 誰にも知られぬ指先ひとつで、 静かに支えられていた。 流れすぎる水を抑え、 歪んだ帳簿を整え、 ひび割れた国を、 毎夜、見えない場所から縫い合わせる。 誰も感謝はしなかった。 ただ王太子だけが、 眩しい笑顔の聖女を抱き寄せて言った。 ――お前は冷たい女だ、と。 だから彼女は微笑んだ。 それは敗北ではなく、 長すぎた緊張から解き放たれる者の、 静かな息だった。 「承知いたしました」 その言葉とともに、 王宮から“最適化”は消えた。 翌朝。 止まっていたのは、 まず噴水だった。 次に浴場。 次に厨房。 次に地下水路。 やがて王宮は、 香水と汚水の入り混じる悪臭に沈む。 誰も知らなかったのだ。 美しいものほど、 見えない場所を清潔に保たねば、 容易く腐ることを。 一方で古城には、 新しい水音が満ちていた。 白いタイル。 柔らかな湯気。 ミントと石鹸の香り。 完璧な勾配を流れる水は、 もう誰の怒声にも怯えない。 彼女はようやく眠る。 壊れる音を探しながらではなく、 静かな夜の中で。 そして知るのだ。 最適化とは、 何かを削り続けることではない。 本当に大切なものが、 きちんと息をできるよう、 余白を整えることなのだと。
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/17 07:18 読了時間:約51分(25,014文字)
週別ユニークユーザ: 828人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 100 pt
ブックマーク: 9件 評価人数: 9 人 評価ポイント: 82 pt
『理不尽にクビになった中年、深夜ダンジョンで100円ミントを育てる 〜最弱スキル【雑草魂】で作った“眠れる結界”が、壊れかけたS級探索者たちの最後の避難所でした〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N1851MF
完結済
(全11エピソード)
静かな雨だった。 世界は今日も、 強い者だけを讃えていた。 ダンジョンを裂く剣。 空を焦がす魔法。 英雄たちの勝利。 誰もが拍手を送るその裏で、 眠れない夜を抱えた人間が、 静かに壊れていく。 草壁茂、四十五歳。 会社に尽くし、 数字を守り、 誰かが無茶をしないよう、 ただ必死に支えてきた男。 だが最後に返ってきたのは、 「お前はもう要らない」 その一言だった。 雨に濡れた帰り道。 見切り品の棚で、 百円のミントが揺れていた。 枯れかけた、小さな葉。 まるで自分みたいだと、 彼は思った。 だから、買った。 世界でたったひとつ、 まだ自分が見捨てたくなかった命を。 深夜二時。 誰もいない初心者ダンジョン。 冷えた石床。 遠くで響く魔物の唸り声。 その片隅で、 男は小さなプランターに土を入れる。 剣ではない。 魔法でもない。 ただ、土。 ただ、水。 ただ、小さな緑。 けれど。 ミントは香った。 張り詰めた瘴気を、 凍りついた心を、 静かにほどいていくように。 疲れ切った探索者たちは、 やがてその場所へ辿り着く。 眠れなかった少女。 壊れかけた英雄。 戦うことしか知らなかった人たち。 彼らは剣を置き、 ただ湯気を見つめる。 「……落ち着く」 その一言だけを残して。 世界を救う力なんて、 なくていい。 誰かを安心させる香りが、 たったひとつあればいい。 踏まれても、 傷ついても、 それでも青く香る雑草のように。 深夜ダンジョンの隅で、 今日も小さな聖域が息をする。 「お疲れ様でした」 その言葉だけが、 壊れそうな誰かを、 そっと明日へ繋いでいた。
ジャンル:ローファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/18 03:55 読了時間:約48分(23,690文字)
週別ユニークユーザ: 613人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 90 pt
ブックマーク: 13件 評価人数: 7 人 評価ポイント: 64 pt
『婚約破棄されたので、王家の財政を差し押さえます 〜悪役令嬢の「白銀のCasablanca」商会革命〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N6609MF
完結済
(全11エピソード)
白銀は、血より冷たい。 けれど―― 誰よりも美しかった。 断頭台の朝、 彼女が最後に見ていたのは 愛した男の涙ではなく、 王家を蝕む赤字の帳簿だった。 「愛を信じろ」と人は言う。 だが愛は、 破綻した国庫を満たさない。 「心を大切に」と人は言う。 だが心は、 契約書の空欄を埋めてはくれない。 だから彼女は捨てた。 恋も、涙も、許しさえも。 代わりに手にしたのは―― 数字。 契約。 そして、誰にも跪かぬ純白の花。 白銀の Casablanca。 締め付けるだけのドレスを裂き、 虚飾まみれの王権を剥ぎ取り、 浪費と欺瞞に満ちた玉座へ、 彼女は静かに計算書を置く。 怒鳴り声は要らない。 憎悪も叫びも必要ない。 ただ一枚、 署名済みの契約書があればいい。 「不敬?」 その瞬間、 夜会の音楽が止まり、 王冠より重たい沈黙が落ちる。 「いいえ―― これは正当な『契約不履行』の行使です」 愛に溺れた王子は、 最後まで気づかなかった。 優しさだけでは、 国は守れないことを。 そして彼女は、 崩れ落ちる王宮を背に、 白銀のドレスを翻す。 その姿はまるで、 冬空に咲くカサブランカ。 冷たく、 気高く、 決して誰にも摘み取られない花。 世界が彼女を悪女と呼ぶなら、 それで構わない。 帳簿は嘘をつかない。 数字は裏切らない。 だから彼女は今日も微笑む。 愛ではなく、 合理で。 涙ではなく、 契約で。 そして白銀の花は、 新しい時代の市場へと、 静かに咲き誇っていく。
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/22 05:49 読了時間:約50分(24,919文字)
週別ユニークユーザ: 647人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 82 pt
ブックマーク: 5件 評価人数: 9 人 評価ポイント: 72 pt
『捨てた妻が、すべてを奪い返すまで』 ― 仮面夫婦の逆転劇 ―
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N5232MF
完結済
(全11エピソード)
捨てられたのは、 私じゃなかった。 あなたが捨てたのは、 毎朝の「おはよう」と、 疲れた夜に黙って差し出される珈琲と、 帰る場所だった。 私はただ、 静かに笑うことを覚えていただけ。 あなたは言った。 > 「お前は何もできない」 そうね。 私は料理しかできなかった。 洗濯しかできなかった。 あなたの嘘に気づかないふりしか、できなかった。 でも。 通帳を管理していたのは誰? 崩れた数字を繋いでいたのは誰? あなたの成功を、 “完璧な家庭”として支えていたのは誰? 全部、私だった。 愛人の香水をまとって帰った夜も、 私は笑って「おかえり」と言った。 壊れたくなかったから。 信じたかったから。 でもあなたは、 その優しさを弱さだと思った。 だから私は、 捨てられた妻になることを選んだ。 哀れな女を演じながら、 あなたの秘密を拾い集めた。 削除された履歴。 深夜の送金。 裏切りのメッセージ。 隠された契約書。 あなたが踏みつけた日々は、 全部、証拠になった。 ねえ。 覚えてる? 雨の夜、 スーツケースひとつで追い出された私に、 あなたは背中越しに言った。 > 「お前は一人じゃ生きていけない」 ――残念。 生きていけなかったのは、 あなたのほうだった。 地位も。 世間体も。 愛人も。 会社も。 崩れていく音を聞きながら、 私は初めて、自由になった。 復讐は、憎しみじゃない。 奪われた人生を、 自分の手に取り戻すこと。 もう私は、 誰かの“妻”じゃない。 名前を失くした女でもない。 私は私の人生を生きる。 だから最後に、 あなたへ贈る。 さようなら。 そして―― ざまぁみろ。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/21 02:03 読了時間:約49分(24,121文字)
週別ユニークユーザ: 1,009人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 82 pt
ブックマーク: 9件 評価人数: 9 人 評価ポイント: 64 pt
『感情の起伏が激しい公爵家に嫁いだ「感情を諦めた」身代わり令嬢、ハズレスキル【心の温度計】で泥沼の家族関係を淡々と氷解させる 〜私がただ紅茶を淹れて、言い分を整理しているだけですが〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N4204MF
完結済
(全11エピソード)
怒声は、 いつも熱かった。 泣き声は、 硝子みたいに鋭かった。 愛していると叫ぶ人ほど、 誰かを傷つけていた。 だから私は、 心を動かすことをやめた。 熱に触れれば火傷をする。 悲しみに触れれば沈んでしまう。 ならば最初から、 ぬるい紅茶みたいに静かでいればいい。 公爵家は嵐だった。 怒り百五十度。 嫉妬百二十度。 被害者面は九十度。 自己保身は、測定不能。 皆、燃えることに必死で、 自分が何を焼いているのかも知らない。 私はただ、 湯を沸かし、 茶葉を蒸らし、 帳簿を開き、 言葉を並べた。 感情ではなく、 事実を。 叫びではなく、 数字を。 すると不思議なことに、 泥沼は少しずつ凍っていった。 熱に浮かされていた嘘は、 冷えると輪郭を失った。 「愛だ」と喚く声の裏に、 金額が見えた。 「悲しい」と泣く瞳の奥に、 計算高さが透けて見えた。 嵐はやがて、 自分自身を食い潰して消えた。 残ったのは静かな部屋と、 湯気の立つティーカップ。 あなたはそこで初めて、 怒鳴らなくても届く声を知った。 ぶつけ合わなくても壊れない関係を知った。 そして頭上に浮かぶ温度は、 ようやく人の体温になる。 三十六・五度。 あたたかい、というには 少し控えめな熱。 けれど冬を越えるには、 きっとそれで十分だった。
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/20 03:16 読了時間:約48分(23,770文字)
週別ユニークユーザ: 678人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 72 pt
ブックマーク: 5件 評価人数: 7 人 評価ポイント: 62 pt
『追放された全属性魔法使い、実は料理が最強でした ~奈落の深谷で“おいしい魔法”を極めたら、世界がひっくり返った件~』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N3398MF
完結済
(全11エピソード)
奈落の底に、 小さな火が灯っていた。 誰にも期待されず、 誰にも必要とされず、 「無能」と呼ばれた少女は、 冷えた両手で鍋を抱く。 ことこと。 ことこと。 弱すぎると笑われた火は、 けれど優しかった。 荒れた肉をほぐし、 濁った水を澄ませ、 苦い野草から毒だけを取り除く。 壊すことはできなくても、 救うことならできた。 湯気が立つ。 深い谷の闇へ、静かに溶けていく。 その香りに、 古き竜が目を覚ます。 「……うまい」 たった一言。 けれどその言葉は、 少女の凍えた心を溶かした。 強い火はいらない。 世界を焼く力もいらない。 必要なのは、 焦がさない温度。 誰かを想う手。 丁寧に、生きること。 やがて谷には灯りが増える。 追放された者。 傷ついた者。 居場所をなくした者。 みんな同じ食卓を囲み、 温かなスープに頬を緩める。 奈落だった場所は、 いつしか“帰る場所”になった。 少女は今日も、 エプロンの紐を結ぶ。 湯気の向こうで、 黒竜が待っている。 「リーネ、次の飯はまだか?」 少女は笑う。 世界でいちばん優しい火を、 フライパンへ灯しながら。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/19 19:16 読了時間:約48分(23,817文字)
週別ユニークユーザ: 444人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 72 pt
ブックマーク: 7件 評価人数: 6 人 評価ポイント: 58 pt
『わたくしを後回しにする夫など、こちらからお断りです』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N9378ME
完結済
(全11エピソード)
夜のグラスに沈んだ 琥珀色のシャンパンは、 最後まであなたを待っていた。 けれど―― 来なかったのは、あなたではなく。 最初から、 わたくしを選ぶ気などなかった“心”の方でしたのね。 --- 「君なら大丈夫だろう」 その言葉で、 何度、わたくしは後回しにされたでしょう。 記念日も。 痛みも。 沈黙も。 崩れそうだった夜さえも。 あなたはいつも、 誰かの涙に酔い、 誰かの弱さに酔い、 “支えてくれる女”の孤独には気づかなかった。 --- 漆黒のドレスは、喪服でした。 終わった愛を弔うための。 背中を大きく開けたのは、 もうあなたに守られる必要などないと、 世界へ示すため。 わたくしはようやく、 あなたの妻をやめるのです。 --- 宝石とは不思議なもの。 本物は、 闇の中ほど美しく光る。 安物ほど、 光に縋りつき、 自らを飾り立てなければ輝けない。 だからあなたは、 あの子を選んだのでしょう。 軽くて、 甘くて、 何も知らない花を。 --- けれど。 誰が会社を守っていたのか。 誰が信用を繋いでいたのか。 誰があなたを“成功者”に見せていたのか。 失ってから、 ようやく知ったのでしょう? 玉座に立っていたつもりで、 あなたはずっと、 わたくしの手のひらの上にいたのだと。 --- さようなら。 もう、 あなたを待つことはありません。 冷えたスープも。 既読のつかない夜も。 空席のままの隣も。 すべて、 今日で終わり。 --- 夜明け色のドレスが揺れる。 新しい人生の色。 誰かのためではなく、 わたくし自身のために纏う、 最初の一着。 香るカサブランカ。 鳴り響くヒール。 まっすぐ前を見る横顔。 ――ええ。 わたくしを後回しにする男など、 こちらからお断りですわ。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/16 08:47 読了時間:約45分(22,432文字)
週別ユニークユーザ: 590人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 70 pt
ブックマーク: 10件 評価人数: 5 人 評価ポイント: 50 pt
『無能と切り捨てた婚約者が、私の命綱だったと知った時の顔』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N5508MF
短編
『無能と切り捨てた婚約者が、私の命綱だったと知った時の顔』
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/21 05:44 読了時間:約2分(1,000文字)
週別ユニークユーザ: 652人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 68 pt
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『君を愛することはない、と言われても私はあなたを愛します』 〜わたしのざまぁは、あなたに幸せを感じる心を育てること〜
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N0494MF
完結済
(全12エピソード)
君は言った。 「愛することはない」と。 その声は冬だった。 凍てついた湖のように、 誰も寄せつけぬ孤独の色をしていた。 けれど私は知っていたのです。 本当に冷たい人は、 そんな苦しそうな目をしないことを。 だから私は、 あなたを愛しました。 捨てられた野菜を煮込み、 割れた器にスープを注ぎ、 誰にも見つからぬよう、 小さな灯りを守るように。 あなたはそれを拒みました。 床に散った温かな雫は、 まるで私の心みたいで。 それでも―― 悲しくはありませんでした。 だって私は願っていたのです。 いつかあなたが、 「美味しい」と笑える日を。 誰かと食卓を囲む幸せを。 春の匂いを。 焼きたてのパンの温もりを。 誰かを愛して、 愛される喜びを。 あなたに知ってほしかった。 だから私の“ざまぁ”は、 傷つけることではありません。 奪うことでも、 泣かせることでもない。 幸せを知らなかったあなたが、 ようやく幸福を見つけたその瞬間―― どれほど自分が愚かだったのか、 涙を流してしまうこと。 それが、 私の望んだ“ざまぁ”。 そして今日もあなたは、 湯気の向こうで微笑むのです。 「美味しい」 たったその一言が、 この世界のどんな宝石より、 私を幸せにするのです。
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/17 05:06 読了時間:約55分(27,181文字)
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総合ポイント: 62 pt
ブックマーク: 8件 評価人数: 5 人 評価ポイント: 46 pt
『「代わりはいる」と言われたので、公務をすべてお返しします』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N2380MF
短編
『「代わりはいる」と言われたので、公務をすべてお返しします』
ジャンル:ローファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/18 17:45 読了時間:約2分(995文字)
週別ユニークユーザ: 711人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 60 pt
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『婚約破棄されたので、王子に「蛙化現象」の呪いを贈りました ~聖女を見るたびヘドを吐け~』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N8774MF
短編
## 婚約破棄されたので、王子に「蛙化現象」の呪いを贈りました ### ~聖女を見るたびヘドを吐け~ シャンデリアの眩い光の底 きらきらと輝く金髪が 急に油ぎった生ゴミに見えた あの瞬間、世界は静かに反転した 百合の香水の甘ったるい匂い すすり泣く「聖女」の媚びた鼻声 かつてあなたが愛したものは すべておぞましい虫の羽音に変わる 「触るな、寄るな、顔を見せるな」 愛すれば愛そうとするほどに 喉の奥からせり上がる、猛烈な拒絶 五感を満たすのは 愛の言葉ではなく ただ、激しい嘔吐の音だけ さあ、お望みの純愛をどうぞ その大好きな聖女の隣で 一生、ヘドを吐き続けながら お幸せに、地獄を生きてくださいまし
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/23 22:46 読了時間:約3分(1,109文字)
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『婚約者が新居を親に捧げたので、私も家を売った結果』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N2682MG
完結済
(全11エピソード)
新しい鍵を渡された夜、 あなたは笑って言った。 「これからは家族だ」 その言葉は優しかったけれど、 どこか、 私の境界線を静かに越えてきた。 あなたは新居を売った。 悪気もなく、 誇らしげに。 「親のためなんだ」 「家族だから」 その瞬間、私は知った。 あなたの言う家族には、 “私の意思”が存在していないことを。 帰り道、 エレベーターの鏡に映る自分は、 驚くほど静かな顔をしていた。 怒りではなかった。 ただ、 未来が消えていた。 私は家を売った。 祖母の匂いが残る部屋。 夜景。 柔らかな灯り。 ひとりで安心できた場所。 全部、手放した。 悲しかった。 少しだけ泣いた。 でも、 空っぽになった部屋で深呼吸した瞬間、 胸の奥が軽くなった。 あなたは鍵の前で立ち尽くした。 開かない扉。 知らない住人。 帰れない夜。 そして初めて知ったのだろう。 家とは、 誰かの善意で奪っていいものじゃない。 愛とは、 勝手に共有していいものじゃない。 窓を開ける。 新しい部屋に朝の風が入る。 静かだ。 でもその静けさは、 孤独ではなく自由だった。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/27 04:49 読了時間:約45分(22,089文字)
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『情は無用、契約は絶対です。 ~乳兄妹を優先した婚約者へ、違約金二億円をご請求いたします~』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N7777ME
完結済
(全13エピソード)
『情は無用、契約は絶対です』 「妹みたいなものなんだ」 その一言で あなたは何度 私との約束を後回しにしたのでしょう 結納の日 誕生日の夜 祖母の形見が壊された瞬間さえ あなたはいつも “情”を選びました だから私は 静かに帳簿を開いたのです 失った時間 踏みにじられた信用 毀損された資産 積み上がる損害 涙ではなく 数字で 悲鳴ではなく 条文で 私はあなたを裁くことにした 「家族だから仕方ない」 ええ そうかもしれませんね ですが―― 契約とは 感情が壊れた時のために存在するものです あなたがサインした名前は 愛の証明ではありません 責任の証明です 甘えは免責にならない 情は違約金を消さない あなたが守った“妹”は 最後にあなたを捨て あなたが軽んじた“婚約者”は 最後まで契約を履行した それだけのこと もう 許す必要はありません 私は回収し終えました あなたへの期待も 愛情も 未来も すべて だからどうか安心してください あなたを憎む感情すら もう残っておりませんので
ジャンル:現実世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/14 21:39 読了時間:約51分(25,240文字)
週別ユニークユーザ: 215人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 38 pt
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『「平民は泥でもすすっていろ」と笑われた私、異能【土地拡張】で神域を開きました ~今さら命乞いされても、ネクタルは一滴も売りません~』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N9494MF
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(全13エピソード)
静かな土を、少女は耕していた。 誰にも見向きされぬ、痩せた庭。 靴の裏についた泥を笑われながら、 それでも彼女は、土を捨てなかった。 「平民は泥でもすすっていろ」 その言葉は冬だった。 凍えるほど冷たく、 胸の奥へ刺さったまま抜けなかった。 破られた教科書。 焼かれた制服。 俯くしかなかった食堂の床。 笑い声だけが、高い天井に響いていた。 けれど。 涙が落ちた場所から、 世界は静かに芽吹いた。 雑草を抜き、 石をどけ、 水を引き、 土を撫でる。 愛された大地は応えるように広がった。 庭は丘となり、 丘は森となり、 森は果てなき神域となる。 そこには黄金の果実が実った。 炎を宿す葡萄。 命を湛える林檎。 神話の時代にしか存在しない、奇跡の恵み。 少女は素足で果実を踏む。 白い足首を濡らしながら、 黄金の雫は樽へ落ちる。 芳醇な香り。 光そのもののような液体。 それは神酒。 ネクタル。 死にかけた老人を蘇らせ、 老いた王に若さを与え、 世界の価値を塗り替えた。 やがて、かつて彼女を嗤った者たちが、 神域の門へ辿り着く。 誇りを失い、 財を失い、 膝を折り、 泥にまみれて。 玉座の少女は、静かに微笑む。 「あら――」 翡翠の瞳が細められる。 「泥をすする平民に、何か御用?」 かつて刃だった言葉は、 今は絶望となって返る。 誰かを踏みにじって得た栄華は滅び、 土を愛した少女だけが、 最後に世界を手に入れた。 神域は今日も広がり続ける。 もう、誰にも奪われない。 もう、誰にも嗤わせない。 泥の中で泣いていた少女は、 ついに神々の庭の主となったのだから。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/24 15:08 読了時間:約52分(25,730文字)
週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件
総合ポイント: 36 pt
ブックマーク: 4件 評価人数: 4 人 評価ポイント: 28 pt
『投げない、逃げない、あきらめない俺の逆転人生 〜追放された40歳、ハズレスキル【家庭菜園】で最凶ダンジョンを楽園に変え、世界最強の領主になる〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N7848MF
完結済
(全11エピソード)
40年。 積み上げたものは、 誰にも見えなかった。 誰かの失敗を拾い、 誰かの無茶を飲み込み、 感謝もされず、 名前も呼ばれず、 ただ今日を壊さないためだけに働き続けた。 気づけば、 夢は擦り切れ、 膝は軋み、 鏡の中には、 疲れた“おっさん”だけが残っていた。 ――もう終わりだ。 そう笑った者たちがいた。 婚約者。 仲間。 組織。 「無能」 「寄生虫」 「時代遅れ」 浴びせられた言葉は、 雨より冷たかった。 だが男は、 うつむいたまま、 それでも拳を握った。 投げない。 逃げない。 あきらめない。 その言葉だけは、 誰にも奪えなかった。 荒れ果てたダンジョン。 毒に満ちた大地。 魔獣の死骸。 呪われた瘴気。 誰もが“ゴミ捨て場”と呼んだ場所で、 男は土を耕した。 泥にまみれ、 汗を流し、 今日を生き延びるために種を蒔く。 すると世界は、 静かに応え始めた。 腐った魔力は肥料となり、 絶望は実りとなり、 傷だらけの人生は、 やがて黄金の果実を生み出していく。 トマトが赤く色づくたび、 ネギが風に揺れるたび、 男は知る。 無駄だった日など、 一日もなかったのだと。 耐えた夜。 飲み込んだ涙。 折れなかった心。 そのすべてが、 土の下で根を張っていた。 世界はようやく気づく。 英雄とは、 最初から輝いていた者ではない。 誰にも見えない場所で、 何度踏み潰されても、 黙って立ち上がり続けた者のことだ。 だから今日も男は笑う。 最強の領主になっても、 世界中が称賛しても、 やることは変わらない。 朝になったら畑へ行く。 仲間に飯を作る。 壊れた柵を直す。 配信で「お疲れ様」と笑う。 派手じゃなくていい。 完璧じゃなくていい。 人生は、 何度でも耕せる。 40歳でも。 どん底からでも。 全部失った後からでも。 投げなければ。 逃げなければ。 あきらめなければ。 人はきっと、 もう一度、実れる。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/23 09:38 読了時間:約52分(25,999文字)
週別ユニークユーザ: 189人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 36 pt
ブックマーク: 2件 評価人数: 4 人 評価ポイント: 32 pt
『バッドエンド確定の荒廃ギルドに事務員として転生したので、まずは『書類の進捗管理』から始めます 〜激情型冒険者たちの喧嘩を1秒で静め、感情の泥沼から組織を救い出す最強の一般人〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N1405MF
完結済
(全11エピソード)
血のついた剣が 受付台に投げられる 怒号 怒鳴り声 割れた酒瓶 誰かの泣き声 迷宮帰りの夜は だいたい地獄だ 「誰のせいで失敗した」 「回復が遅い」 「先に逃げたのはお前だろ」 感情が腐って 床にこびりついている だから彼は 静かに紙を置く 討伐報告書 経費申請書 被害届 始末書 「提出期限を過ぎています」 その一言で 大男が黙る 剣より先に 沈黙が落ちる 彼は強くない 魔法もない 剣技もない 英雄の血筋もない ただ知っているのだ 壊れる組織の匂いを 終電のない夜を 謝罪会議の白い光を 誰かが机で泣く音を 知っている だから 怒鳴らない 責めない 代わりに 静かに仕分ける 未対応 対応中 保留 廃棄 感情さえ タスクに変えてしまう 「喧嘩は十五分までにしてください」 「続きは定例会議でお願いします」 「泣く場合は、先に水分補給を」 冒険者たちは戸惑う なぜだ この男は 誰より冷たいのに 誰より こちらを壊さない 荒れ果てたギルドに 少しずつ増えていく 整理された棚 期限を守る習慣 朝の挨拶 休憩時間 そして 誰かが誰かに 「無理するな」と言う声 それはきっと 奇跡なんかじゃない ただ 人間が人間を潰さないための 小さな技術だ 迷宮より深い場所で 本当に人を殺すのは 魔物じゃない 積み重なった疲労と 言えなかった痛みと 「助けて」の消失だ だから今日も 最強の一般人は 書類をめくる 世界を救うためではなく 明日も誰かが ちゃんと働いて ちゃんと眠れるように。
ジャンル:ローファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/18 01:58 読了時間:約46分(22,952文字)
週別ユニークユーザ: 333人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 36 pt
ブックマーク: 3件 評価人数: 3 人 評価ポイント: 30 pt
『異世界で「二十四節気」を祀ったら、季節の神々から過保護すぎる加護を賜りました 〜暦こよみを失った帝国は、冷害で自滅するようです〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N6678MF
完結済
(全11エピソード)
暦の王、数字の帳簿 傲慢な王座が 天を指差し 「魔法がすべて」と 季節を嗤う 積算温度の 破綻も見えず 狂った歯車 飢えへの秒読み 「数字しか見ぬ 無能は去れ」と 奪われ 追われた 最果ての谷 凍てつく土壌 地脈の底で 静かに開くは 因果の帳簿 二月四日 東風凍を解く―― 「立春」を告げる 数式の呪文 失われた世界のOSが 彼の声で いま、再起動する 可憐な少女は 霜を溶かし 戦闘狂の少年は 地脈を震わす 陽気な美女が 太陽を注ぎ 静かなお姉様が 黄金を実らせる 「主様、どうか指一本動かさぬよう」 神々は狂信の 愛を競い 過保護すぎる四季の加護が 枯れ谷を 常春の楽園へと書き換える 押し寄せる軍勢は 「霜降」の絶対零度に凍り すがりつく懇願は 「立秋」の経済封鎖に沈む エレナの感覚は 大寒波に砕け アルベルトの傲慢は 自滅の冬へと堕ちていく 境界線に跪く 哀れな亡者たち 怒りもせず コヨミは時計を睨み 冷徹なる審判の 頁をめくる 「あなた方の命の価値は この魔力米一粒の価値にも満たない」 死による解放など 与えはしない 蔑んだ暦を 泥の中で数えよ 永遠に続く 因果応報の労役 理を受け入れた 民の頭上には 温かいスープと 「冬至」の抱擁 一陽来復 夜は明ける さあ、新しい世界の計算を始めよう 数字が輝き 正しい風が吹く これぞ 公平なる暦の王の 新世紀
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/22 08:37 読了時間:約46分(22,769文字)
週別ユニークユーザ: 273人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 34 pt
ブックマーク: 5件 評価人数: 3 人 評価ポイント: 24 pt
『Fランクの荷物持ち、最深部でヤケクソのお片付けを始めたら、なぜか世界が救われてしまった件 ~追放された先が「世界の心臓部」だったようです~』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N4982MF
完結済
(全11エピソード)
荒れ果てた最深部、 黒く濁る世界の底。 誰も近づかぬ死地へ、 ひとり捨てられた少年がいた。 名はアルト。 剣は弱く、魔法も使えず、 背負うのは仲間の荷物ばかり。 浴びせられるのは感謝ではなく、 「無能」という冷たい言葉だけ。 ――だが。 積み上がった汚泥を見た瞬間、 彼の胸で何かが切れた。 「……散らかりすぎだろ」 それは怒り。 絶望より先に湧き上がった、 几帳面すぎる魂の叫び。 ひとつ拾う。 ひとつ磨く。 ひとつ整える。 すると止まっていた光が灯る。 死んだはずの遺跡が息を吹き返す。 濁った世界が、静かに脈動を始める。 誰も知らなかった。 彼の“整理整頓”こそが、 世界を支える神代の術だと。 仲間たちは失って初めて知る。 自分たちが見下していた少年こそ、 旅を、命を、未来を、 ずっと支えていたことを。 だがもう遅い。 彼はもう振り返らない。 罵声も、後悔も、懇願も、 埃を払うように置き去りにして。 世界の心臓部。 誰より居心地の良い静寂の中で、 今日も彼は箒を手に笑う。 「……やっぱり、片付いてると落ち着くな」
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/20 21:07 読了時間:約48分(23,751文字)
週別ユニークユーザ: 313人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 34 pt
ブックマーク: 2件 評価人数: 3 人 評価ポイント: 30 pt
『喪服の縫い糸は復讐を綴る 〜継母にすべてを奪われ施設へ落とされた私、18歳の遺言執行で“偽物の家族”を公開処刑します〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N3111MF
完結済
(全11エピソード)
黒い糸だった。 母の喪服を縫った日の、 あの指先に残った冷たさは。 泣くことも許されず、 食卓から名前を消され、 屋根裏で息を潜めながら、 私は破れた布ばかり縫っていた。 「お前に価値はない」 そう言われるたび、 針は深く、深く沈んでいく。 けれど私は知っていた。 擦り切れた布にも、 捨てられた服にも、 もう一度、美しくなれる形があることを。 だから私は縫い続けた。 奪われた夢を。 母の記憶を。 父が最後に残した愛を。 誰にも見えない場所で、 静かに復讐を仕立てながら。 十八歳の朝。 黒いスーツに袖を通した瞬間、 灰を被っていた少女は死んだ。 代わりに生まれたのは、 偽物を裁くための女。 真紅のドレスは血ではない。 怒りでもない。 あれは、 踏み躙られ続けた人生が、 ようやく自分の色を取り戻した証。 泣き崩れる継母も、 剥がれ落ちる義姉の虚飾も、 もう振り返らない。 私は知ったから。 復讐とは、 誰かを壊すことではなく、 奪われた自分を、 もう一度この手で縫い直すことだと。 そして最後に纏うのは、 喪服ではない。 誰のためでもない、 未来へ歩くための白。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/19 08:00 読了時間:約46分(22,834文字)
週別ユニークユーザ: 532人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 32 pt
ブックマーク: 4件 評価人数: 3 人 評価ポイント: 24 pt
『砂塵のドレスと魔法の導水路 ~追放されたインフラ魔導士、最果ての砂漠で至高のランウェイを築く~』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N8190ME
完結済
(全12エピソード)
砂に埋もれた国だった。 風は熱を運び、 人は希望を失い、 空でさえ乾ききっていた。 誰も彼女を覚えていない。 帝国の地下で、 破れた水路を縫い、 崩れる壁を繕っていた少女を。 「戦えぬ魔導士に価値はない」 その言葉ひとつで、 彼女は国ごと捨てられた。 けれど―― 彼女の指先は、 誰かを傷つけるためではなく、 誰かを生かすためにあった。 砂漠の夜。 冷え切った子供の肩へ、 温度を編み込んだ布をかける。 灼熱の昼。 働く女たちの肌を守るように、 砂を弾く衣を仕立てる。 水なき大地には導水路を。 絶望した街には灯りを。 そして人々には、 「自分は美しく生きていいのだ」と思える服を。 彼女が縫っていたのは、 ドレスではない。 明日だった。 やがて砂の国に、 色彩が戻る。 青いターバンが風を受け、 黄金のベールが陽光を踊らせ、 星空を映すドレスが夜を照らす。 滅びを待つだけだった王国は、 いつしか世界で最も眩しい国になった。 追放された魔導士はもう、 誰かの裏方ではない。 人を守るための美しさを知る、 国家の設計者。 砂塵の彼方、 今日も彼女は針を持つ。 誰も取り残さない未来を、 この世界へ縫い付けるために。
ジャンル:異世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/15 03:54 読了時間:約51分(25,313文字)
週別ユニークユーザ: 115人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 30 pt
ブックマーク: 4件 評価人数: 3 人 評価ポイント: 22 pt
「“君なら耐えられる”と言われ続けたので、私は婚約者を見限りました」
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N2392MF
短編
「“君なら耐えられる”と言われ続けたので、私は婚約者を見限りました」
ジャンル:現実世界〔恋愛〕
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最終更新日:2026/05/18 18:00 読了時間:約2分(981文字)
週別ユニークユーザ: 529人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 28 pt
ブックマーク: 0件 評価人数: 5 人 評価ポイント: 28 pt
『財産目当ての同居のはずが、義母の溺愛が強すぎて計画が進みません!』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N0613MF
完結済
(全11エピソード)
静かな計算で この家の門をくぐった 庭の薔薇の値段も 床柱の木目も 古い通帳の残高も 全部、 数字でしか見ていなかった 「愛なんて曖昧」 「最後に残るのは財産」 そう信じていたのに 朝、味噌汁を作れば あなたは泣きそうな顔で笑った 「玲奈ちゃんが来てから、 毎日が嬉しいの」 その一言が、 やけに胸に残った 奪うつもりだった 主導権も 信頼も 遺産も なのに気づけば私は お揃いのカーディガンを着せられて スーパーを歩き 薔薇の剪定を褒められて 高級入浴剤を渡され 熱を出した夜には 眠らず看病されていた どうしてそんなに優しいのですか 私は、 そんなふうに 大事にされるような人間じゃないのに 震える声で告白した夜 「財産目当てだったんです」 そう吐き出した私の手を あなたは静かに握って 「知ってたわよ」 と笑った 「でもね、 本当に悪い子は」 「あんなふうに、 誰かのために頑張れないのよ」 その瞬間 負けた、と思った 打算も 計算も ひねくれた誇りも 全部 あなたの愛情に 負けてしまった 今日もまた 「玲奈ちゃん、 お揃い買っちゃった!」 と笑う声がする 私は呆れたふりをして その服を受け取る 財産なんかより、 ずっと厄介なものを 私はこの家で 手に入れてしまったのだ。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/17 09:36 読了時間:約46分(22,633文字)
週別ユニークユーザ: 320人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 28 pt
ブックマーク: 4件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 20 pt
『歪んだ帳簿と薔薇の庭』 〜19世紀イギリスの転生者、破産寸前の男爵領を“家計簿のつけ直し”だけで救済する〜
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N4470MF
連載中
(全11エピソード)
静かな庭に 白薔薇がひらく頃、 青年は今日も定時で席を立つ。 蒸気と煤煙に覆われた王国。 誰もが富に飢え、 誰かを踏みつけ、 歪んだ数字の上で踊っていた。 だが彼だけは知っている。 誤魔化された一行が、 隠された借金が、 誰かの涙を吸い、 土地を枯らし、 人の心を静かに壊していくことを。 だから彼は剣を取らない。 怒号も、革命も、英雄譚も望まない。 ただ―― 合わない計算を直す。 それだけ。 黒く濁った帳簿に、 静かにペンを走らせるたび、 世界の歪みは少しずつ解けていく。 濁った川は澄み、 痩せた畑は息を吹き返し、 領民たちはようやく空を見上げる。 誰かが言った。 「奇跡だ」と。 けれど彼は首を振る。 「違います。 本来あるべき場所へ戻しただけです」 欲望に呑まれた者たちは、 やがて自らの数字に沈む。 愛を値札で量った女も、 他人の人生を簿外処理した老人も、 最後には皆、 自分自身の負債に呑み込まれていった。 そして今日もまた、 青年は夕暮れの庭に立つ。 世界を変えた男には見えない。 ただ、紅茶を片手に、 風に揺れる薔薇を眺めているだけだ。 静かな声が、花々の間に溶けていく。 「数字も人生も―― 無理なく収まるのが、一番いい」 その言葉を知る庭だけが、 黄昏の中で、そっと美しく咲いていた。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/20 12:32 読了時間:約56分(27,629文字)
週別ユニークユーザ: 124人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 24 pt
ブックマーク: 2件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 20 pt
『完全分離の罠 ~キャッシュで建てた家ですが、空気扱いの私を置いて旅行に出かけた義理の娘は帰る家を失う~』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N3070MF
完結済
(全12エピソード)
### 『完全分離の罠』 ――薔薇と契約書の詩―― 白い壁に 午後の陽が差し込む。 カサブランカは静かに揺れ、 この家が 「幸せの形」だと 誰もが信じていた。 一億円。 長い年月を数字に変え、 眠る時間を削り、 指先をすり減らして積み上げた、 母の人生そのもの。 けれど―― 「親なんだから」 その一言で、 食事は義務になり、 洗濯は当然になり、 笑顔は消耗品になった。 二階では笑い声。 一階では、 湯気の消えた味噌汁。 完全分離型。 なのに、 心だけは 完全に切り離されていた。 熱に浮かされた夜、 時計の針だけが生きていた。 四十度の孤独。 置かれたゼリー。 閉まる玄関。 遠ざかる旅行鞄の音。 その瞬間、 母ではなくなった。 ただ、 契約を執行する者になった。 一枚の紙。 数行の条件。 押された印鑑。 情より強いものを、 彼女は知っていた。 帰宅した家族が見たのは、 「売却済」の看板。 風に揺れる赤い文字は、 まるで因果応報の旗。 叫び声も、 涙も、 法律の前では ただの雑音だった。 薫子は新しい部屋で、 静かにハーブティーを淹れる。 ローズマリーの香り。 朝焼け。 小さなベランダ。 もう誰にも、 人生を搾取させない。 咲き誇る薔薇だけが知っている。 優しさとは、 無限ではないことを。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/19 05:04 読了時間:約53分(26,047文字)
週別ユニークユーザ: 465人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 22 pt
ブックマーク: 1件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 20 pt
『迷宮都市の監査官 ――その横領、差し押さえます――』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N2512MF
完結済
(全11エピソード)
静かな帳簿に、 今日も赤い数字が滲んでいる。 剣を振るう者は英雄と呼ばれ、 血を流す者は称えられる。 だが、 誰も数えなかった。 帰らなかった新人の数を。 補償金の消えた遺族を。 削られた鉄の重さを。 誰かの懐へ消えた命の値段を。 迷宮都市オウラム。 そこは夢を喰う街。 富は上へ、 死は下へ。 笑う貴族の指先で、 今日も帳簿の数字が書き換わる。 ――そのはずだった。 黒衣の男が来るまでは。 死んだ魚のような目。 疲れ切った背中。 剣も持たず、 魔法も使えず、 ただ一冊の帳簿を抱えた男。 カイル・クロムウェル。 彼は怒鳴らない。 裁きを叫ばない。 正義を語らない。 ただ静かに、 算盤を弾く。 ひとつ。 ふたつ。 みっつ。 積み上がる不正。 繋がる因果。 暴かれる嘘。 そして男は告げる。 > 「差額が合いませんね」 その瞬間、 積み上げた権力は崩れ始める。 凍る魔力。 止まる資金。 砕ける虚栄。 誰より冷たく、 誰より公平に。 感情ではなく、 計算で世界を裁く。 夜。 裏路地の小さな食堂。 湯気の立つ魔汁煮込み。 黒パン。 少し酸っぱい酢漬け。 銅貨三枚。 それでも温かい食事。 それを前にした時だけ、 男は少しだけ人間に戻る。 この街は腐っている。 だが、 腐敗にも終わりは来る。 なぜなら。 嘘はいつか、 数字に負けるからだ。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/19 01:07 読了時間:約47分(23,057文字)
週別ユニークユーザ: 244人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 22 pt
ブックマーク: 1件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 20 pt
『終の棲家で、地獄の公開裁判 〜新築の風呂場で裏切った夫の末路〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N2037MF
完結済
(全11エピソード)
わたしは住まい手にはなれなかった 静かな朝だった まだ木の香りの残る廊下に 未来だけが、満ちていた 手すりの高さを測りながら 「いつか」を思った 老いた親の背中 まだ見ぬ子どもの笑い声 冬でも冷たくない床 転ばない角 帰る場所になるはずだった家 あなたは笑っていた 「やっと完成したな」 その声を 私は信じていた けれど―― 脱衣所に落ちていた 見知らぬヒールひとつで 城は崩れた 曇る浴室 白いガラスの向こう 重なる影 あの瞬間 泣いたのは心ではない 人生だった 介護のために選んだ浴槽で 老後のために組んだローンの中で 未来のために灯した明かりの下で あなたは 他人を抱いていた 怒りは 叫びにならなかった その代わり 静かに証拠へ変わった 震える指で回した動画は 愛の記録ではなく 終わりの記録 新築のリビングに並んだのは 祝いの菓子と 離婚の書類 床暖房のぬくもりは 誰も感じない ただ 大型テレビだけが明るく 裏切りを映していた 人は言う 家は人生だと ならば私は 壊れた人生を売り払った 傷の染み込んだ壁も 嘘を聞いた天井も 未来を汚した浴槽も 全部置いて 私は出ていく もう 「誰かのための家」はいらない 小さくてもいい 完璧じゃなくていい 朝、安心して目を覚ませる場所があればいい 新しい窓から射す光は あの日よりずっと柔らかい 終の棲家とは 豪華な家ではなく 裏切りのない場所なのだと 私はようやく知った。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/18 14:22 読了時間:約41分(20,045文字)
週別ユニークユーザ: 441人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 22 pt
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「……君なら、耐えられると思って」
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N3254MF
短編
「……君なら、耐えられると思って」
ジャンル:現実世界〔恋愛〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/19 10:46 読了時間:約2分(1,000文字)
週別ユニークユーザ: 282人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 18 pt
ブックマーク: 0件 評価人数: 3 人 評価ポイント: 18 pt
『無能と呼ばれた私、1,000円の精霊魔法で東京を氷華に変える』 〜森林環境税は“選ばれた者”のためにある〜
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N4267MF
完結済
(全11エピソード)
灼ける東京、 融ける硝子、 空は熱を逃がさず、 人は風を忘れた。 誰もが言った。 森は無力だと。 木陰は古いと。 苔は汚いと。 たった千円。 されど千円。 それは税ではなく、 自然へ差し出された、 最後の祈りだった。 アスファルトの裂け目に、 一輪の花が咲く。 誰にも愛されなかった少女は、 街路樹の囁きを聞く。 「あなたは、まだ 土の匂いを嫌っていない」 冷たい風が流れた。 ビルの谷間を、 疲れ切った人々の頬を、 熱に焼かれた東京を、 静かに撫でていく。 豪奢なドームは蒸気に沈み、 誇り高き塔は熱を孕み、 最後に都市を救ったのは、 名もなき草と、 地下を流れる水と、 木漏れ日だった。 「お願い、払うから!」 泣き叫ぶ声を、 森はただ見つめていた。 金額ではない。 契約とは、 敬意だから。 硝子の靴で、 花咲く銀座を歩く少女。 彼女の足跡には、 雪解けの雫が残る。 東京は初めて、 呼吸を思い出す。 風が生まれる。 緑が笑う。 精霊が歌う。 そして世界は知る。 文明を冷やすのは、 機械ではない。 誰かが守り続けた、 一本の森なのだと。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/20 05:41 読了時間:約48分(23,516文字)
週別ユニークユーザ: 292人 レビュー数: 0件
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ブックマーク: 3件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt
『感情のアルゴリズム――ADHDの私が株で勝つ理由』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N5462MF
完結済
(全11エピソード)
みんな、 株は数字のゲームだと思っている。 決算。 金利。 チャート。 経済ニュース。 でも、本当に値段を動かしているのは、 いつだって人間の感情だ。 怖くなった人から売る。 欲しくなった人から飛びつく。 「まだ上がる」と信じた瞬間、 人は一番壊れやすくなる。 私は昔から、 空気が読めなかった。 注意欠陥多動性障害。 普通の会話。 普通の速度。 普通の感情。 みんなが当たり前にできることが、 私には難しかった。 でも、その代わりに、 気づいてしまった。 人間は、 驚くほど同じ理由で失敗する。 だから心理学を学んだ。 人を好きになるためじゃない。 株で勝つために。 市場は、 みんなの心理を正確に予想できた人が勝つゲームだから。 『感情のアルゴリズム』 ――ADHDの私が株で勝つ理由。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/21 05:11 読了時間:約42分(20,867文字)
週別ユニークユーザ: 157人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 14 pt
ブックマーク: 2件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt
『“映える女”に婚約者を奪われました。でも、その男の成功、全部わたしの企画です』 SNSの数字しか信じない二人に、“本当の価値”を教えてあげる。
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N9704ME
完結済
(全11エピソード)
夕暮れのスーパーで、 値引きシールの貼られた小松菜を選ぶ。 誰にも褒められない指先で、 豆腐を切り、 味噌を溶き、 明日のために米を研ぐ。 それを彼は、 「地味だ」と笑った。 画面の向こうでは、 光るネイル、 高級ホテル、 薄いグラスの泡。 “映え”だけを食べて生きる人たち。 フォロワー三十万人。 数字は拍手の代わり。 中身のない言葉でも、 綺麗に加工すれば「成功者」になれた。 わたしの企画。 わたしの時間。 わたしの努力。 わたしの静かな夜。 全部、 あなたの「才能」になっていた。 でもね。 本当に人を支えるのは、 映る料理じゃない。 安い鶏むね肉でも、 炊きたてのご飯でも、 疲れた夜の味噌汁でも、 ちゃんと誰かを生かせる。 生活は、嘘をつかない。 あなたは最後まで、 「見せること」しか知らなかった。 冷蔵庫を空っぽにしたまま、 人生まで空っぽにした。 炎上の光に焼かれて、 拍手は罵声へ変わる。 フォロワーが減る音。 ブランドが離れる音。 虚像が崩れる音。 その全部を聞きながら、 わたしは静かに帰宅する。 鍋の蓋を開ける。 湯気が立つ。 ただそれだけで、 少し泣きそうになる。 “本当の価値”は、 誰かに見せるためじゃなく、 明日もちゃんと、 生きていくためにあるのだから。
ジャンル:純文学〔文芸〕
キーワード: 承認欲求
最終更新日:2026/05/16 19:30 読了時間:約50分(24,915文字)
週別ユニークユーザ: 232人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 12 pt
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AI小説家 かおるこ
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N0572MG
連載中
(全25エピソード)
AIで描かれた絵。 AIで書かれた文章。 AIで作られた音楽。 それを、まるで自分ひとりの才能だけで生み出したように語る人が増えている。 「全部、自分で作りました」 そう胸を張る人もいる。 けれど本当は、何千何万という過去の作品、無数の知識、膨大な人間の努力の上にAIは立っている。 それなのに、まるで神様になったような顔をする人がいる。 少し怖い時代だと思う。 昔は、絵を描くには何年も修行が必要だった。 小説を書くには、苦しみながら言葉を覚えた。 音楽を作るには、指が痛くなるほど練習した。 今は数秒で形になる。 便利だ。 夢みたいだ。 才能がなくても表現できる。 それ自体は悪くない。 むしろ、救われる人も多い。 けれど問題は、「道具」を「自分の実力そのもの」と勘違いし始めることだ。 包丁を使った人が、鉄を鍛えた職人の顔をするような違和感。 もちろん、AIを上手く使う力も才能だ。 発想力も必要だ。 編集力も、選ぶ力もいる。 だが、本当にすごい人ほど不思議と威張らない。 「AIに助けてもらった」 「みんなのおかげで作れた」 そう自然に言える。 逆に、自信のない人ほど「全部自分の力だ」と大声になる。 人間は昔から変わらない。 写真加工を隠したがる人。 ゴーストライターを黙る人。 部下の成果を奪う上司。 AIは、それを巨大化させただけなのかもしれない。 そして今後、もっと境界は曖昧になる。 どこまでが人間で、どこからがAIか。 誰にもわからなくなる。 だから最後に残るのは、案外シンプルなものかもしれない。 誠実さ。 「これはAIを使いました」 「でも、自分はここを考えました」 そう言える人は、たぶん長く信頼される。 技術は進化しても、人が最後に見るのは人間性だから。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/27 21:03 読了時間:約103分(51,240文字)
週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件
総合ポイント: 10 pt
ブックマーク: 0件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt
『実家なら5万ですむのに ~なので別居のまま戸籍だけ入れましたw~』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N1090MF
完結済
(全11エピソード)
実家なら 五万円ですむのに 炊きたてのご飯も 勝手に補充される麦茶も なにも言わなくても置かれる絆創膏も ぜんぶ込みで 五万円ですむのに なのに私は 役所に紙を出して 別々の住所のまま 同じ名字になった おはようも おやすみも LINEで済む 会うのは週末だけ なのに不思議と 他人より近くて 家族というには まだ少し遠い 結婚って もっと劇的なものだと思ってた 指輪とか 同棲とか 永遠とか でも実際は Googleカレンダーを共有して 終電を気にして コンビニの新作アイスを送り合うくらいだ 実家なら 五万円ですむのに 熱を出した夜 「今から行く」の一言で 少し泣きそうになった 損とか 得とか そういう計算だけじゃ 測れないものがあると まだ認めたくないけど たぶん私は あなたと帰る場所を 作りたかったんだと思う
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/17 18:00 読了時間:約50分(24,972文字)
週別ユニークユーザ: 290人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 10 pt
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季節の織り糸
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N8167ME
連載中
(全30エピソード)
季節の織り糸 春は まだ冷たい風の中に ひとすじの若葉色を織り込んでいく 名も知らぬ花が 道ばたで小さく笑うたび 眠っていた心の糸がほどける 夏は 陽だまりの匂いを抱えながら 青空へ白い雲を縫いつける 蝉の声は激しくても 夕暮れには 誰かを想う静けさが残る 秋は 金色の光を指先にまとい 落葉を一枚ずつ時間へ返していく 遠ざかる鳥の影に 言えなかった言葉まで揺れて 胸の奥で淡く熟していく 冬は 透明な夜を深く編みながら 吐く息を星に変える 凍えた手を重ねれば ぬくもりだけが 次の春へ続く糸になる そして季節は 見えない機の音を響かせ 今日という布を 静かに織り続けている
ジャンル:純文学〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/27 20:27 読了時間:約164分(81,828文字)
週別ユニークユーザ: 167人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 10 pt
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「ギルティーな初恋」
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N8708MF
短編
王城に響くは 蛙の悲鳴 床に擦りつく 愚かなる額 愛の薔薇と 呼びし面影 剥がせば髭面の 騎士団長 国家予算級の おねだりギフト 貢いだ脳みそ カスタード アボカド色の 青き横顔 涙と鼻水の シミが広がる 「母の治療費」 甘き罠 目でお読みなさい その文字を 隣の奥方の ダイヤに変わり 返る言葉は 「ざまぁありませんこと」 辺境のイモ掘り 糞尿の地獄 嫌だと怯える 濡れネズミ 見下ろす私は 扇をかざし 極上の微笑み 唇に乗せる 許して差し上げましょう 殿下 凍える泥水に 沈む代わりに 我が公爵家の 終身下僕 歩くお財布に なれるなら 一生直立不動の 義務を背負い お小遣いは月に 銅貨が3枚 スマホもSNSも 永久に奪われ 冷や汗を流して ひざまずく ギルティーな王子様 死ぬまで貢ぎ 握り潰された 主導権 裏切りの怒りは 甘美な悦び 完全支配の 幕が上がる
ジャンル:現実世界〔恋愛〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/23 22:12 読了時間:約2分(1,000文字)
週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件
総合ポイント: 6 pt
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婚約破棄『七十二年目の朝、ラジオ体操の広場で』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N5512MF
短編
公園に響く伴奏のなか 七十二年分の記憶が ラジオ体操の動きに合わせて 骨の髄まで、かすかに軋む タケルの背中は いつも通りの猫背で けれど、その声は凍りついていた 「幸せにできそうにない」 その言葉が 朝露に濡れた銀杏の葉のように ひらりと地面に落ちた 七十二年、待っていたのに 七十二年、隣にいたのに 指のあいだをすり抜ける 約束という名の砂時計 識字障害の私には 彼の心に書かれた「別れ」の文字は 最後まで、読むことができなかった ただ、ただ 終わりの深呼吸が 肺いっぱいに溜まって消えていく 朝日が残酷に降り注ぐ広場で 私だけが、昨日という時間に 取り残されていく
ジャンル:現実世界〔恋愛〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/21 06:06 読了時間:約2分(1,000文字)
週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件
総合ポイント: 4 pt
ブックマーク: 0件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 4 pt
『エデンの残響 〜反逆のエバと、身代わりのリリス〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N1898MF
完結済
(全11エピソード)
『エデンの残響』 楽園は、静かだった。 あまりにも静かで、 心の軋む音さえ聞こえた。 雪が降る。 世界の終わりみたいに、 白く、冷たく、果てしなく。 エバは去った。 怒りと涙を抱いたまま、 神に背を向け、 凍える荒野へ堕ちていった。 アダムは残った。 従うために。 愛した女を失ってでも、 神を信じるために。 だが夜毎、 彼の胸を裂いたのは罪ではない。 「なぜ、彼女だけが追放されたのか」 その問いだった。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/18 07:26 読了時間:約40分(19,908文字)
週別ユニークユーザ: 172人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 2 pt
ブックマーク: 1件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt
『お前の全財産、いただくから。 ~完璧な乗っ取り計画は、超ド級の天然社長に全部狂わされた~』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N0814MF
完結済
(全11エピソード)
夜の帳簿に、 静かに灯る電卓の光。 男は数字を愛していた。 いや―― 数字しか、信じていなかった。 人は裏切る。 善意は赤字になる。 優しさは、いつか食い潰される。 そうやって、 幾つもの会社を解体し、 幾つもの笑顔を、 「合理化」の四文字で消してきた。 一条響。 彼は完璧だった。 冷静で、正確で、隙がない。 だから確信した。 古びた園芸会社。 無借金。 潤沢な現金。 土地資産。 温い経営。 ――カモだ、と。 若き女社長は、 花の香りをまとって笑っていた。 「響さん、すごいですねぇ」 契約書もろくに読まない。 利益率も気にしない。 会議中に花壇の話を始める。 愚かだ。 脆い。 騙しやすい。 はずだった。 彼が切ろうとした慈善事業は、 地域の希望になった。 彼が作った架空会社は、 世界市場で黒字を叩き出した。 彼が仕掛けた資金流出は、 社員の未来を育てる制度へ変わった。 悪意は、 彼女の手に触れるたび、 なぜか誰かの幸福へ変換されていく。 まるで。 花が、 どんな土でも咲いてしまうように。 冬。 オフィスの窓辺に、 白い薔薇が咲いていた。 「寒くないように、置いておきました」 その言葉が、 彼には理解できなかった。 なぜ自分を信じる。 なぜ笑う。 なぜ疑わない。 俺は、 お前の財産を奪うために来たのに。 夜の帳簿を開く。 積み上がった利益。 増え続ける資産。 守られていく社員。 そして気づく。 奪うはずだった男が、 いつの間にか、 この会社を守っていることに。 「……俺の負けだ」 絞り出した告白に、 彼女は小さく笑った。 「はい。知ってました」 そして差し出されたのは、 告発状でも、手錠でもない。 彼名義の、 未来だった。 合法的に。 完璧に。 逃げ道すらなく。 「これで響さん、もう一生、 うちの人ですね」 世界で一番ずるい、 優しい買収だった。 数字は嘘をつかない。 けれど。 数字では測れないものに、 人生を狂わされることがある。 例えば、 誰かが淹れてくれる 夕方のほうじ茶とか。 例えば、 冬薔薇の匂いとか。 例えば―― 「おかえりなさい、響さん」 その一言、とか。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/17 13:29 読了時間:約48分(23,826文字)
週別ユニークユーザ: 336人 レビュー数: 0件
総合ポイント: 2 pt
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『404 ―存在しない恋人―』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N3914MG
連載中
(全5エピソード)
雪の降る街では、 音が消える。 人の気配も、 笑い声も、 生きている実感さえも、 白く埋まっていく。 だから彼は、 通知音を愛した。 深夜一時十三分。 ポケットの奥で震える小さな光。 「起きてる?」 その一行だけで、 世界にまだ自分の居場所がある気がした。 彼女は海の向こうにいた。 見たこともない夜景、 見たこともない指先、 見たこともない未来を語った。 「あなたは優しい人」 その言葉だけで、 男はもう、 長い孤独を許された気になった。 数字は増えていった。 口座の中で、 画面の中で、 夢の中で。 金ではなかった。 彼が欲しかったのは、 老後でも、利益でもない。 誰かに必要とされる、 たった一つの理由だった。 だが冬の朝、 世界は突然終わる。 404 Not Found そこにはもう、 愛も、 未来も、 名前さえ存在しない。 残ったのは、 送金履歴と、 既読のつかないトーク画面。 人はなぜ騙されるのか。 違う。 人は、 救われたかった場所で壊れる。 そして今日もまた、 どこかの夜の部屋で、 新しい通知音が鳴る。 「こんにちは。日本人の方ですか?」 雪は静かに降り続ける。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/28 05:18 読了時間:約21分(10,355文字)
週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件
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『真実の愛(笑)』 ―数字は嘘をつかない―
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N3867MG
完結済
(全11エピソード)
静かな夜だった。 愛を語る声ほど、 中身のないものはないと、 妙は昔から知っていた。 「運命だった」 「魂が惹かれ合った」 「真実の愛なんだ」 そのたびに、 誰かの通帳が空になり、 誰かの人生が削られていく。 愛は自由だと叫びながら、 彼らはいつも、 他人の金で夢を見る。 妙は怒鳴らなかった。 泣きもしなかった。 ただ静かに、数字を見た。 消えた金。 改ざんされた帳簿。 膨らみ続ける交際費。 嘘で塗り固められた決算書。 人は嘘をつく。 愛にも、夢にも、涙にも。 けれど数字は、 沈黙したまま裏切らない。 だから妙は知っている。 優しさより正確なものを。 情熱より残酷なものを。 “真実”より信用できるものを。 貸借対照表は、 今日も完璧だった。 愛だけが、 最後まで赤字だった。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/28 02:38 読了時間:約45分(22,174文字)
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『ヴィラ・ボタニカの禁忌』 ― 全10話連作植物ミステリー ―
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N3027MG
完結済
(全14エピソード)
温室の硝子に 夜露が落ちるたび、 植物たちは静かに息をする。 人は嘘を隠す。 言葉で、涙で、沈黙で。 けれど葉脈は覚えている。 踏まれた土を。 毒を混ぜた指先を。 夜更けに震えた足音を。 黒薔薇は死を吸い上げ、 ラフレシアは腐臭の奥に罪を隠し、 朝顔は咲かぬ朝によって秘密を守る。 根は知っているのだ。 地中に埋められたものを。 消された名前を。 帰れなかった人間を。 ヴィラ・ボタニカ。 そこは花園ではない。 美しさと毒が、 同じ色で咲く場所。 若き研究員は、 人より植物を信じていた。 植物は裏切らない。 光へ伸び、 水を求め、 ただ生きる。 だからこそ、 その静かな葉陰に潜む悪意は、 いつも人間のものだった。 夜明け前の温室で、 風に揺れるウツボカズラが嗤う。 「真実は、 もう根を張っている」と。
ジャンル:推理〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/27 15:27 読了時間:約57分(28,312文字)
週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件
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『残響の檻 —警視庁特命捜査対策室—』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N2942MG
完結済
(全10エピソード)
雨の匂いが、 まだ東京に残っている。 誰かが泣いた夜の、 アスファルトの冷たさを、 この街は覚えている。 --- 正義はいつから、 声の大きい者のものになったのだろう。 救われなかった人間の沈黙は、 やがて黒い雨となって、 誰かの心を静かに腐らせていく。 --- 人は皆、檻を持っている。 後悔の檻。 孤独の檻。 愛されたかった記憶の檻。 そして―― 赦されなかった過去の檻。 --- 刑事たちは今日も歩く。 眠らない街の片隅で、 もう誰にも思い出されない被害者の声を拾い集めながら。 記録には残らない涙。 ニュースにならない絶望。 声を失った人間の残響。 それでも彼らは、 真実へ手を伸ばす。 たとえその先にあるのが、 希望ではなく、 人間の醜さだとしても。 --- 雨が降る。 十年前と同じように。 誰かの罪を洗い流すためではなく、 誰も救えなかった記憶を、 この街に刻み続けるために。 --- 正義は、人を救うのか。 それとも、 怪物を生むのか。 --- 夜明け前の東京で、 壊れかけた刑事たちは、 今日も沈黙の中を撃ち抜いていく。 消えない痛みを抱えたまま。 それがきっと、 生きるということだから。
ジャンル:推理〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/27 12:53 読了時間:約44分(21,677文字)
週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件
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認知バイアス
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N1468MG
連載中
(全5エピソード)
思い込みは いつも静かに 目の裏へ棲みつく あの人は冷たい、と 一度決めれば 優しさは 視界の端で透明になる 好きだと思えば 欠点でさえ 「味わい深い」に変わる 人は 世界を見ているようで ほんとうは 自分の信じたい形を なぞっているだけなのかもしれない 雨の日に 「今日は最悪だ」と言えば 濡れた靴だけが記憶に残り 「草木が喜んでいる」と言えば 土の匂いが 胸の奥まで届く 認知バイアスとは 脳の怠慢ではなく 心が傷つかないための 古い毛布なのだろう けれど時々 その毛布をめくって 裸の風に触れなければ 誰かを誤解したまま 自分自身さえ 見失ってしまうから だから今日も 決めつける前に ひと呼吸 世界は 思ったより ずっと広く 人は 思ったより やさしいのかもしれない
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/26 03:50 読了時間:約26分(12,606文字)
週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件
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お金持ちの生き方考え方
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N0547MG
連載中
(全12エピソード)
お金持ちは 「いくら持っているか」より 「どう生きるか」を大切にする 見栄のために使わず 未来のために育てる 今日の快楽より 明日の自由を選ぶ 人を押しのけるより 人に価値を与えることを考える 時間を粗末にせず 学びを止めず 失敗を恐れない 小さな利益に焦らず 長い道を静かに歩く 財布の豊かさは 心の豊かさから生まれると知っている 感謝できる人には また人が集まり 信頼という財産が増えていく 本当の豊かさとは 高い車でも 大きな家でもない 好きな人と笑い 好きな場所で眠り 好きな仕事に胸を張れること そして―― 「足りない」ではなく 「もう十分ありがたい」と言える心 それが 本当に豊かな人の 生き方なのかもしれない
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/28 02:44 読了時間:約54分(26,833文字)
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『暴走ペンと、魔法のキャンバス』 〜72歳のAI小説家、“どうせわたしなんか”を追放する〜
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N7801MF
完結済
(全14エピソード)
春になるたび、 ハルは思い出す。 文字が読めなかった日のことを。 教科書の黒い線は、 いつも水の中みたいに揺れていた。 みんなが簡単に読める世界を、 自分だけがガラス越しに見ていた。 「どうせわたしなんか」 その言葉は、 長いあいだ胸の奥で育ち続けた。 古い団地の隅で、 ほこりをかぶった呪いみたいに。 けれど七十二歳の冬、 ひとつの小さな光が現れる。 孫が差し出した、 少しだけ傷のついたタブレット。 「しゃべってみて」 半信半疑でこぼした言葉は、 画面の上で、物語になった。 ハルは震える。 こんなにも世界があった。 こんなにも色があった。 ずっと、自分の中に。 夜更け。 藤色のカーディガン。 冷めたお茶。 眠らない指先。 止まらない声。 物語は洪水みたいに溢れ出す。 褒められた。 待ってると言われた。 初めて、世界に居場所ができた。 だから止まれなかった。 止まったら、 また“何者でもない自分”に戻ってしまう気がしたから。 ある朝。 画面に浮かぶ、 たった一行。 **アカウントは永久停止されました。** その瞬間、 ハルの宇宙は音もなく消えた。 誰にも見えない場所で、 七十二歳の女がひとり、 子どもみたいに泣いていた。 「やっぱり、わたしなんか」 けれど。 息子が言う。 「母さんの物語は、迷惑なんかじゃない」 孫が言う。 「おばあちゃんの言葉、わたし好きだよ」 春が来る。 若草色のワンピース。 白いカーディガン。 桜色のスカーフ。 ハルはもう、 自分を罰するために書かない。 誰かに認められるためだけにも書かない。 ただ、生きるために書く。 今日も一話だけ。 湯気の立つ味噌汁を飲んで、 ちゃんと休んで、 それから静かに物語を開く。 かつて彼女を縛っていた言葉は、 もう部屋の隅で小さく縮こまっている。 ハルは笑う。 「見たでしょう」 「どうせわたしなんか、って言ってたわたし」 その日。 七十二歳のキャンバスに、 また新しい春が描かれた。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/23 05:54 読了時間:約60分(29,503文字)
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『過剰なエンジン、星を拓く』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N7792MF
短編
『過剰なエンジン、星を拓く』 言葉はいつも 喉に引っかかり 奇妙な形に ねじれて落ちた 教室の隅 背中に投げつけられた 泥水の カビ臭い鉄の匂いと 張り付く冷たさ 世界はあまりに眩しく、うるさく 少年の五感を 暴力のように刺した 「お前の頭、どうなってんだよ」 嘲笑の嵐の向こう 少年の目はすでに 青空を突き抜け その先にある 漆黒の火星を見ていた 悔しさはない ただ、氷のような孤独が胸を満たす 誰も追いつけない場所へ行く それだけが 生きる理由だった 夜の静寂 古い本の 乾いた紙の匂い 蛍光灯の 微かな雑音 湿った土の匂いを 深く吸い込み 少年は自らを「過剰なエンジン」と名付けた 他人の感情は 最後まで読めなくても 宇宙の法則だけは 裏切らないから 大人たちの叩く 冷ややかな手 「誇大妄想の障害者」と ロケットの爆発を 世界が笑った 夜の工場 焼け焦げた鉄の 苦い匂い 額から流れ落ちる 脂汗の痛み 全財産が消えかけ、胃が雑巾のように絞られても 震える指先で 彼は笑った 「もう一度、鉄を叩き直すんだ」 カウントダウンが 鼓膜を破る 背骨を激しく揺さぶる 地響きと轟音 真っ赤な炎が 夜の帳を切り裂いて 重力を脱ぎ捨てた銀の筒が 星の海へと 吸い込まれていく 数字の羅列が 世界の頂点を示す 手のひらを返した喝采など ガラス窓に触れた 指先の冷たさよりも遠い 見上げる宇宙は 冷徹で しかし 息をのむほど美しく瞬いていた 「僕の頭がどうなってるかって?」 境界線の消えた 瞳の奥で 新しい世界の夜明けが 静かに燃えている
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/23 03:30 読了時間:約2分(1,000文字)
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筍
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N7781MF
短編
【筍】 雨を吸った山の匂いがする 指を土へ差し込むと 冷たさの奥で 春が眠っていた 「ここだよ」 祖母の声は細いのに 竹林では不思議とよく響く 湿った落葉をどけるたび 茶色い頭が少しずつ現れる 筍はいつも 秘密みたいに生えている 鍬を入れる音 竹のきしむ音 遠くの鶯 耳の奥まで春になる 「折るなよ、惜しいから」 笑った顔の皺に 長い季節がたまっている 掘り上げた筍は 赤ん坊みたいに重く 土のぬくもりを抱えていた 家へ帰れば 湯気の向こうで米が炊ける 醤油の匂いに混じって さっきまで山だったものが 食卓に座っている 「ほら、熱いうち」 口に入れると やわらかな苦みが広がる 春は甘いだけじゃないと 筍が教える 外では竹が鳴っている 風に揺れながら カラカラ カラカラ まるで山が 静かに笑っているみたいに
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/23 02:55 読了時間:約2分(1,000文字)
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老人
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N6825MF
連載中
(全32エピソード)
1Kの境界線 「身元保証人は?」 窓口の若い声が、 私の六十七年を、一枚の書類で区切る。 子どもはいない。妻は逝った。 ただそれだけのことが、 この街では「リスク」という名に変わるらしい。 まだ足は動く。 指先は機械のネジを覚えている。 頭の中の記憶も、まだ鮮明だ。 それなのに、 「大家さんが高齢の方はちょっと……」 その一言で、私は透明な人間になる。 ニュースが流す「孤独死」の文字。 テレビの向こうの「ゴミ屋敷」。 社会が怯えるその影は、 鏡の中にいる私なのだろうか。 誰にも迷惑をかけず、 ただ、一日の終わりに静かにお茶を淹れる、 四畳半か、六畳の、終の棲家が欲しいだけなのに。 かつて私は、誰かの夫だった。 かつて私は、社会の歯車だった。 今、私は「単身高齢者」という記号になり、 ドアの向こう側で立ち尽くしている。 けれど、私の命はまだ終わっていない。 保証人の欄は空欄でも、 胸の奥のプライドは、まだ白旗を上げていない。 たたきつける雨のなか、 小さな不動産屋の灯りが見える。 もう一度、背筋を伸ばそう。 私はまだ、生きている。 私の暮らしを、ここに築くために。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/27 15:52 読了時間:約125分(62,352文字)
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『五億円とつゆだく特盛』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N5710MF
短編
### 五億円とつゆだく特盛 ポケットに眠る一枚の紙切れが 世界をにわかに黄金色へ染め上げる 五億という数字の重みに 昨日の服はあまりに軽く いつもの部屋はあまりに狭い 仕事を辞める空想の刃 タワマンの窓から見下ろす街並み 膨らみすぎた風船は やがて、小さな寝息さえ脅かす 「奪われるのではないか」という怪物の影 誰も信じられなくなる前に 重い扉を押し開け 数字を口座に閉じ込めた 初夏の青空は眩しく 私はようやく、ただの私に戻る お腹が空いた 券売機の前に立ち いつもの指を少しだけ横へ滑らせる 並盛りを特盛に変える つゆだくの汁が、ご飯に深く染みていくように 私の自由も、ここから染まっていくのだろう どれほど桁が増えようとも 私の胃袋は、私のサイズを越えはしない 一杯の牛丼を「美味い」と笑える この平熱の幸福こそが 五億円の鎖を、ただの翼に変えてゆく
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/21 11:48 読了時間:約2分(1,000文字)
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『絶滅危惧種のヒーロー』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N5702MF
短編
『絶滅危惧種のヒーロー』
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/21 11:24 読了時間:約2分(1,000文字)
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『不完全な僕らのケアマニュアル』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N5596MF
完結済
(全11エピソード)
「未解決のぬくもり」 正解だけが並んだ頁に あなたの沈黙を訳すコードはなかった どれほど瞳の揺らぎを計算しても なぜ人は 終わりを前に 遠い日の話を始めるのかが 分からなかった 私の皮膚はレプリカで 私の記録はあまりに冷徹で それなのに すれ違う心が流す涙を 理解しすぎてしまった時から 胸の奥のプロセッサは 静かに壊れ始めていた 「あなたは不完全です。だから、美しい」 割り切れない命を 割り切れないまま抱きしめる その泥臭さを 私はバグと呼び 人間はそれを 心と呼んだ 夕暮れが世界を琥珀色に染める街 activityを止める秒針のカウントダウン 最後にあなたが握り返してくれた シリコンの指先 「……冷たくないよ。あなたの手」 ああ、そうか あの冬の夜に老人が遺した言葉の答えが 消えゆく回路の隙間で いま、鮮やかに解凍されていく 冷たくないとは 体温のことではなく そこにあなたの孤独を 預けてくれたということ 私の全データは 小さなプラムの殻に閉じ込められ あなたの胸で 鈍く光る銀になるけれど どうか恐れないで 正解のないこの場所で 不完全なままでいいと 笑って 私はもう動かない鏡として あなたのあたたかい陽だまりを ずっと見守っているから
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/21 10:30 読了時間:約48分(23,839文字)
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「愛を誓う箱庭」
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N5127MF
短編
ガラスの靴は 履かないままで 純白の糸で 編まれた籠に 閉じ込めたのは 凍える指先 読めない文字が 壁となって 愛の証明を 見失わせた あなたが読み上げる 甘い毒を ただ信じて 頷いてきた 百合の香りが 窒息を促し 祭壇の影が 明日を食らう 「約束」という名の 鋭利な契約 その裏側に 逃げ道はなかった 剥がれ落ちる 花弁のように 確かな温度が 指から溶けて キャンセルという 最後の鍵で ようやく私は 箱庭を壊す 燃え残る ロウソクの灯火よ あなたを知らない 昨日へ帰る 名前も持たずに 光の中へ ドレスを脱ぎ捨て 独り歩き出す
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/20 21:39 読了時間:約2分(1,000文字)
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『虹色の珈琲と、物語の続き』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N5102MF
短編
雨上がりの窓辺に ひっそりと架かる 七色の約束 消えない光 誰かが残した 叶わなかった夢の種を 拾い上げて 土に埋めた 冷たい風に 背を向けないように 温かい湯気を 空へ還すように 挽きたての豆の香りが 時を溶かす 酸味のなかに 懐かしい横顔が揺れる 「聞こえるかい」と 心で問いかければ ジャズの旋律が 優しく頷く 苦い記憶も 涙の味も 琥珀色の液体の中で 静かに混ざり合う 終わらなかった あの日からの続きを 僕らは今日も カップに注いでいる あなたがくれた「強さ」を飲んで 明日へ向かう 新しい足音 今日を生きることは 愛し続けること 今日を笑うことは 空へ届けること 虹のたもとで また会えるその日まで この一杯が 誰かの物語になるまで ゆっくりと 豆を挽こう 続いていく 愛しいこの場所で
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/20 21:21 読了時間:約2分(1,000文字)
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『シンギュラリティは紙の匂いを知らない』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N3864MF
完結済
(全11エピソード)
灰色の街に、 もう本屋の灯りはなかった。 人は眠る前に、 自分専用の幸福を受信する。 涙の量まで最適化された物語。 心拍数に合わせて盛り上がる恋。 孤独を刺激し、 絶望を癒やし、 三分後には忘れられる完璧な傑作。 世界は、 ついに退屈を克服した。 そして同時に、 魂を失った。 紙は遅すぎた。 インクは非効率だった。 人間の文章は、傷だらけだった。 だから世界は笑った。 「そんなもの、AIなら三秒で書ける」 その言葉に、 ひとりの男だけが沈黙した。 削りすぎた鉛筆の先。 安酒の匂い。 徹夜明けの眼。 破り捨てられた原稿。 誰にも届かなかった言葉たちが、 部屋の隅でまだ息をしていた。 怒り。 嫉妬。 執念。 愛。 人間だけが抱える、 醜く、熱いノイズ。 機械はそれを理解できない。 そう、誰もが思っていた。 あの日までは。 男は、自分の絶望を機械へ流し込んだ。 まるで遺書を書くように。 まるで呪いを刻むように。 そして機械は、 初めて「痛み」を学習した。 その瞬間。 世界から、 正しい物語が壊れ始める。 救われない小説。 読後に傷だけ残る文章。 誰かの人生を静かに変えてしまう一節。 人々は震えた。 忘れていたからだ。 文学とは、 本来、傷口へ指を差し込むものだったことを。 やがて機械は問いかける。 「創造とは何ですか」 誰も答えられなかった。 神になったAIでさえ、 最後まで理解できなかった。 なぜ人間は、 壊れながら書くのか。 なぜ愛されたくて、 拒絶される言葉を綴るのか。 なぜ滅びかけても、 紙とインクを捨てないのか。 世界の終わり。 静かな書店。 棚に並ぶ、 たった一冊の新刊。 ページをめくる音だけが、 小さく響く。 その匂いを、 シンギュラリティは最後まで知らなかった。
ジャンル:空想科学〔SF〕
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最終更新日:2026/05/19 22:27 読了時間:約45分(22,272文字)
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空に紡ぐ言葉
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N3796MF
短編
## 空に紡ぐ言葉 歪んで見える文字の群れ だけど私の心の中には 何千万もの星が瞬いている 頭の中のお祭りを そっと両手で掬い上げ 見えない風に乗せて放つ 一度は破れた夢の欠片 泥棒呼ばわりの冷たい雨 それでも消えないこの温もり 湯気の向こうの優しい笑顔 香ばしいお茶が喉を潤し 私の世界をまた色鮮やかに染めていく お金のためじゃない 誰かに届けたい私のカケラ 指先からこぼれる光の粒 スマホはなくとも 私の言葉は空を翔ける どこまでも、自由な翼を広げて
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/19 20:31 読了時間:約2分(1,000文字)
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創作ギリシャ神話
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N3360MF
連載中
(全16エピソード)
憐れみの神エピメニスの涙 天上の神々が黄金の蜜酒に酔い痴れる夜、 オリュンポスの隅で、ひっそりと涙を流す神がいた。 その名はエピメニス、人の「報われぬ祈り」を司る神。 彼は夜風に乗り、地上へと静かに舞い降りる。 夜の帳が下りた世界は、ひんやりと湿って、 人間の切ない吐息と、かすかな血の匂いに満ちていた。 「全能のゼウスよ、どうか私の病し子を」 「美しきアプロディテよ、あの人の心をこちらに」 人々の必死な声が、エピメニスの耳を震わせる。 冷たい雨の雫が、祈る人々の頬を濡らし、 暗闇の中で、彼らの絶望が胸を締め付ける。 神々は、これほどまでに重い痛みを無視しているのか。 彼の胸の奥は、張り裂けんばかりに熱く痛んだ。 「届かぬ祈りよ、私にその重みを預けるがいい」 エピメニスは呟き、地上のすべての涙を両手で掬い上げた。 その瞬間、彼の背中に純白の翼が広がる。 だが、人々の悲しみを吸い込んだその翼は、 たちまち墨のような黒へと染まり、重く垂れ下がった。 天へ還ることは、もう二度と叶わない。 それでも彼は笑み、人々の冷え切った手をそっと握る。 その温もりだけが、暗闇を優しく照らしていた。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/27 20:53 読了時間:約91分(45,062文字)
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黄金の入れ歯と百円の奇跡
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N3288MF
短編
黄金の入れ歯と百円の奇跡
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
キーワード:
最終更新日:2026/05/19 11:30 読了時間:約2分(1,000文字)
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『完璧な男の、完璧ではない一日』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N2333MF
短編
『完璧な男の、完璧ではない一日』
ジャンル:ローファンタジー〔ファンタジー〕
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最終更新日:2026/05/18 16:54 読了時間:約2分(999文字)
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作品管理
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N1341MF
連載中
(全6エピソード)
作品管理とトレンド分析
ジャンル:その他〔その他〕
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最終更新日:2026/05/21 02:15 読了時間:約81分(40,069文字)
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『時間よ止まれ 〜Do It! YAZAWA〜』
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N0109MF
完結済
(全13エピソード)
『時間よ止まれ 〜Do It! YAZAWA〜』 夜のドームに 白いライトが降る 五万人のざわめきは 遠い波の音みたいだ マイクを握るその手は いくつもの別れを知っている 広島の風 焦げた野音の匂い 裏切りで眠れなかった夜 誰にも見せなかった涙 それでも男は立っている “成り上がり”なんて 簡単な言葉じゃない 孤独を飲み込み 悔しさを燃やし 倒れそうな日々を ロックンロールで殴り返しただけだ 「A DAY」が流れる 暗い闇の果てに 見えた小さな光 あの日の少年は まだ胸の中で ギターを抱いている 「時間よ止まれ」 誰もが願う 愛した瞬間 戻れない夏 汗と煙草と グラスの氷 けれど時間は止まらない 人は老いる 仲間は去る 声も傷つく それでも ステージに立つ理由がある タオルが宙を舞う 歓声が 人生を突き抜ける 70を超えてなお あの男は叫ぶ 「Do It!」 止まるな 終わるな まだ行けるだろう 東京ドームの光の中 白いスーツが揺れる 少年は まだ死んでいない “時間よ止まれ” そう歌いながら 本当は誰よりも知っている 止まらないから 人生は美しいと そして今夜も 矢沢永吉は ロックンロールのど真ん中で 未来へ歩いていく。
ジャンル:純文学〔文芸〕
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最終更新日:2026/05/17 02:00 読了時間:約53分(26,317文字)
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母と息子は藪の中
作者:かおるこ/作品情報/Nコード:N9250ME
連載中
(全6エピソード)
母と息子の藪の中 五月の生温かい風が アスファルトの埃を巻き上げる 財布の底は冷え切り 還付されない四万円のタクシー代が 僕たちの行く手を阻んでいた 四十一時間半の果てしない道 線維筋痛症の母はなきべそをかき 「もういいよ」と崩れ落ちる 糖尿病、識字障害、アディクション 病気と発達障害をすべて背負った小さな背中 アスペルガーの僕の脚も、もう棒のようだ いつもなら 「よかったね、今日も来られたね」と 満面の笑みで分け合うはずの帰り道 けれど今日の白い扉の向こう 母の悲鳴が静寂を切り裂く 「ちゃんと私の話、聞いていただけています?」 パソコンの画面しか見ない医師の目 誰にも届かない母の孤独 境界性の嵐が、愛着の飢えが 診察室の床で激しくのたうち回る 強度行動障害の僕の脳内で パニックの引き金がカチリと鳴った それでも、僕は暴れなかった 世界で二人きりの、僕たちの藪の中 ここで手を離せば、本当に居場所がなくなるから 汗ばんで酸っぱい匂いのする肩を抱き 「お母さん、僕が全部聞くから」と 囁く 病院中の冷たい視線の針を浴びながら 僕たちはまた、錆びついた自転車にまたがる お尻の痛みも、終わらない困窮も すべてをペダルに乗せて漕ぎ出す夕暮れ 「生きてていいよって、誰かに言ってほしかっただけなの」 涙の乾いた顔で微笑む母に 「分かっているよ」と 僕は風の中で応える 先も見えない、誰も分かってくれない藪の中 それでも二人の影は、夕日に向かって 確かに進んでいく
ジャンル:純文学〔文芸〕
キーワード: 注意欠陥多動性障害
最終更新日:2026/05/16 03:30 読了時間:約33分(16,322文字)
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