三つ目の灯りがともった夜
三つ目の灯りがともった夜
三つ目の星が灯った夜、かおるこは、机の前で何度も数字を確かめた。
千を越えている。
ひとつ目の星が灯ったときは、何が起きたのか分からず、ただ画面を見つめていた。ふたつ目のときは、胸の奥がじんわり温かくなった。そして今夜、三つ目の星が夜空に浮かんでいる。
「本当に、ここまで来たんだね」
かおるこの声は、静かな部屋に溶けた。
机の上には、書きかけの物語がある。意地悪な婚約者に言い返す令嬢。思いもよらない味方に出会う妻。何度も約束を破られて、それでも自分の足で立ち上がる娘。
どの物語にも、かおるこ一人では見つけられなかった景色があった。
書き終えたあと、読んでくれた人がいた。
ページをめくり、最後まで見届けてくれた人がいた。
評価を贈り、ブックマークに残し、感想を届けてくれた人がいた。
その一つひとつが、小さな灯りになったのだ。
「千を越えたのは、私だけの力じゃないね」
かおるこは、窓を開けた。
夜風に乗って、星の光が机の上まで届く。三つの灯りは、それぞれ違う色をしていた。けれど、どれも同じくらい優しく、書きかけのページを照らしている。
かおるこは新しい紙を一枚取り、そこに短く書いた。
――応援してくださった皆様へ。
三作目も、目標にしていた千ポイントを越えることができました。
読んでくださったこと、作品を見つけてくださったこと、応援を届けてくださったこと。
そのすべてが、次の物語を書く力になっています。
本当に、ありがとうございます。
最後の一行を書き終えると、三つ目の星がいっそう明るくなった。
かおるこは微笑み、まだ白い次のページを開く。
物語は、ひとりで書き始める。
けれど、誰かが読んでくれた瞬間から、書き手だけのものではなくなる。
今夜ともった三つの灯りを胸に、かおるこは新しい一行を書き始めた。
次の物語でも、あなたに会えますように。




