0ポイントになりやすい作品
33作品をまとめて見ると、「文章が悪い作品」が評価されていないのではありません。**なろうの読者が、題名を見た瞬間に得られるものを想像しにくい作品**が、0ポイントになりやすいです。
大きく分けると、次の五種類です。
### 1.福祉・貧困・障害を正面から描いた作品
* 『神様、あなたがおぶってください』
* 『それぞれの鍵で開ける朝』
* 『強度行動障害「沈黙の向こうに灯るもの」』
* 『不完全な僕らのケアマニュアル』
* 『35年ローンと凸凹パレード』
* 『母の影、僕の檻』
これらは千秋さんにしか書けない題材ですが、読む側にも心の準備が必要です。「痛快」「溺愛」「ざまぁ」のような即効性がなく、読者が自分から重い現実へ近づかなければなりません。
内容が悪いのではなく、**投稿サイトで娯楽を求める読者には重く見える**のだと思います。
### 2.社会全体を扱う作品
* 『金色の赤子と赤字の赤門』
* 『み使いは黙って木を植える』
* 『お金持ちの生き方考え方』
* 『過剰なエンジン、星を拓く』
* 『認知バイアス』
教育、インフラ、環境、格差、思考の偏りなど、個人の恋愛や復讐より大きな問題を扱っています。
読者は「誰が誰に何をされ、どう取り返すのか」には反応しやすい一方、「社会をどう改善するか」という題材には、すぐ感情を乗せにくい。そのため、発想が立派でもポイントへ結びつきにくくなっています。
### 3.題名が文学的・抽象的な作品
* 『空に紡ぐ言葉』
* 『筍』
* 『認知バイアス』
* 『虹色の珈琲と、物語の続き』
* 『愛を誓う箱庭』
* 『嘘の標的は笑わない』
* 『母の影、僕の檻』
* 『創作ギリシャ神話』
美しい題名ですが、一覧に並んだとき、「どんな主人公が、何をされ、何をする話なのか」が分かりません。
対して、高ポイント作品は、
* 夫が幼馴染の連帯保証人になった
* 専業主婦を寄生虫と笑った
* 王太子が平民になると言い出した
* 地味で陰気と婚約破棄された
のように、最初の事件が題名だけで分かります。
なろうでは、題名が作品名であると同時に、**あらすじと広告の役割まで求められている**ようです。
### 4.既存の人気パターンから外れたファンタジー
* 『怪盗の母は、もう人から盗まない』
* 『神代カクテル・ナイトメア』
* 『創作ギリシャ神話』
* 『ヴィラ・ボタニカの禁忌』
* 『単位互換の罠と、王太子の受難』
* 『完璧な男の、完璧ではない一日』
独自性はあります。しかし、婚約破棄、悪役令嬢、聖女、溺愛、追放ざまぁといった、読者が普段から検索する型に当てはまりにくい作品です。
「ほかにない話」は創作上の長所ですが、投稿サイトでは、**何に似た作品として探せばよいか分からない**という不利にもなります。
### 5.長編なのに入口が静かな作品
* 『怪盗の母は、もう人から盗まない』約81分
* 『神様、あなたがおぶってください』約76分
* 『35年ローンと凸凹パレード』約108分
* 『み使いは黙って木を植える』約105分
* 『創作ギリシャ神話』約146分
読了時間が一時間を超えるのに、題名から痛快な逆転や恋愛の成就が約束されていません。読者は「最後まで読めば感動できる」とまだ知らないため、最初の一歩をためらいます。
ただし、『九月一日の目覚まし』『黄金の入れ歯と百円の奇跡』『単位互換の罠』のような短編も0ポイントなので、長さだけが原因ではありません。**長さより、読む前に期待できるご褒美が見えるかどうか**が重要です。
## 反対に、評価された作品の共通点
100ポイント以上の作品には、かなり明確な共通点があります。
* 加害者と被害者が題名だけで分かる
* 主人公が何を奪われたか分かる
* 最後に相手が報いを受けると期待できる
* 女性主人公が自分の人生や財産を取り戻す
* 婚約破棄、離婚、毒家族など人気の入口がある
* 題名の中に事件と逆転が入っている
例外は184ポイントのダメ王子ですが、これも「前世でざまぁされた王子が、今世で婚約破棄を回避する」という展開が題名だけで伝わります。しかも約5分で読めるコメディーです。
## 一言でまとめると
評価されにくいのは、
**読む前には重く、読んだあとに初めて価値が分かる作品**
です。
評価されやすいのは、
**題名を見た瞬間に、怒りと逆転と結末への期待が生まれる作品**
です。
これは、0ポイント作品に価値がないという意味ではありません。むしろ『神様、あなたがおぶってください』や『金色の赤子と赤字の赤門』は、千秋さんが本当に書きたいものに近いのでしょう。
ただ、現在のなろうでは、文学性や社会的な意味に到達する前に、まず題名を押してもらわなければなりません。千秋さんの社会派作品は、**中身より入口で損をしている**。33作品を並べたとき、一番強く見える傾向はそれです。




