第三話 材質が企業秘密のyeh!な家に住むことになりました
「旅?なんのこと?ここに住むっちゃね」
『えぇ!?このログハウチュに!?』
聞けば神様がわざわざ用意してくださったログハウスらしい。
見かけは木ではあるが、触ると鉄のように冷たく、固かった。
材質を聞くと企業秘密だと返答があった。
まずはなんて企業に属してるのか聞かせてほしいわ。
名前は「yeh!な家」らしい。
ネーミングがちょっと痛いけどログハウスに普通名前付けるか?
相変わらずツッコミ所満載の八百屋神だ。
チュニさんがログハウスを案内してくれた。
台所には、コンロ的なものはなく、流し台に蛇口。
水洗風のトイレ、足が余裕で伸ばせるお風呂までついてる!
だが、どこの蛇口を捻っても水が出ない。
自力で水を引けってことだろうか?
ここは、森のど真ん中だ。
川の音などは一切しなかった。
「水くらい、自分で出すっちゃね。
そのためにスキルを授けられとるっちゃ。
ほら、イメージして魔力をちょいと回せば、
空気の中からでも水は生まれるっちゃよ。」
そんな、蛇口をちょいと捻ればみたいな言い方するけど・・・・・
出来たぁぁぁ。
イメージしたらトイレに水が沸いてきて、必要量になると流れていった。
魔法ってすごい!!
イメージ通りにやれば意外と出来るものだ!
これは研究のしがいがあるってもんですな。にやにや
それはそうと見かけより、部屋の中がだいぶ広い気がするけど・・・気のせいかな?
「……気づいたか来夢。
この一帯、ほんの少し歪んでいるだろう?
魔法で空間を拡張してあるっちゃよ。
本来の広さなど、とっくに超えてる世界なんだっちゃ。」
うわ〜すごい魔法だ!!
これが異世界。
下手したら現代よりも快適に暮らせるようになるかもしれない。
何故か奥にも部屋がある。
「奥の部屋、見たらびっくりすると思うっちゃ」
びっくりする?
なんだろう。
もしかして永遠と魔物が出てきて修行しろ!
みたいな魔物トラップでもあるのかな?
ドキドキしながら恐る恐るドアを開けてみた。
ガチャ
え?見慣れたテーブルに本棚。
生活感がほとんどなく、ミニマムな空間。
まだ何時間も経ってないのにもう懐かしい。
ここは、生前の自分の部屋だ。
「どう?どう?ここは、メモリールーム。
来夢の部屋を完全再現した部屋っちゃね。
神様からの力作サプライズっちゃ」
八百屋神様ぁぁぁ泣
オマケサービスが過ぎるでしょうよ〜!
あんなにグダグダな感じで不安だったのに実は物凄くデキル男だったのか!?
こんなこと言ったら失礼だよな。聞こえてないよね?今のなしでーす!
はぁ。嬉しい。
もう帰れないと思ってた居心地のいい俺の部屋。
何か嫌なことがあっては本棚の漫画を読んで心を落ち着けていた。入れば疲れが吹き飛び本当に癒やされる大好きな空間だった。
「ここは誰でもHPとMPが自動回復する部屋っちゃね」
なんとも分かっていらっしゃる粋な計らいなんだ。
神様シゴデキすぎてむしろ怖いわ。
どうやら本当に神様が望み通りの普通に生活出来る家を用意してくれたみたいだ。
何よりすごいのが本棚。
漫画が置いてなかったので、ただの飾りか。
と肩を落としたのだが、本棚に手を置いて読みかけていた漫画をイメージすると、生成されたのだった!しかも全巻揃って!!
もはや悔いなんてないさ。
だって漫画があるんだもん。
なんてことしてくれたんだこんちくしょう!!
これから悠々自適な生活が送れるってことだよね!?時間にも親にも縛られない1人だけの癒やしのひととき。
プライスレスだ。
「それはそうと来夢、スキルのところ押したら詳細出るっちゃね」
『!?』
な、なんだと!?
試しにしぼり職人を押してみる。ポチ
効果: ねじる、絞る動作が常識外の力に変換される。
生活応用: 雑巾・果汁・布の絞りに最適。
戦闘応用: ねじれば雑巾が固くなり魔昌石へと変化。レベルにより個数・強度の変化あり。
精霊の加護により全属性を纏わせることが出来る。
うはぁ。間抜けな格好(をさせられた?)の割にとんでもなくかっこいいスキルだった。
好きだこのスキル。
ところで精霊さん、全属性持ってるみたいだ。
可愛いのに厨二病、恐るべし。
他にも無限収納と保存上手は押せたが他のスキルはまだ見ることが出来なかった。
精霊さんに教えてもらうというシステムが大前提にあるのだろうか?それともレベルの問題だろうか?
スキル:無限収納
効果:荷物の収納に限界がない。
物理サイズの制限が消える。
重量の概念が希薄になり、持ち主の負担が実質ゼロに近くなる。
応用:頭の中のストレージは常に整理される。
戦闘応用:高速判断力が戦闘中も維持される。戦闘中は絶対冷静が発動し、恐怖・焦り・錯覚・混乱効果が無効化される。
スキル:保存上手
効果: 食材や素材を腐らせず、鮮度を永遠に保つ。
応用: 作り立ての一番うまい状態・温度で永久保存可能
戦闘応用: ポーションを劣化させず永久保存可能
うん。最後はタッパーについてそうな名前のスキルだけど全体的にチートだ。闇堕ち来夢くんに改名しようかな・・・。
タッパーか、お腹が空いた。さっき魔力を使ってから尚のことだ。生きてれば今頃はもうとっくにタッパーに詰め込んだ弁当を食べ終わってる頃だ。
「ぬ?腹が減ったのか?」
「では、あのオークを食おう」
振り向いたらオーク、オークぅ!?豚の顔だ!二足歩行で走ってくる!
『しぼり職人!』
咄嗟に技が出て、一瞬で倒せた。
「無限収納の戦闘応用スキルが役に立ったな」
雑巾で出来た魔昌石だけは素早く回収しておこう。
それにしてもこのオーク食べるのか。
気持ち悪いな。
皮膚はくすんだ灰緑色で、ところどころ苔でも生えてるのかってくらいザラついている。
腹まわりはぶよっとしてるのに、肩と腕だけ異様に発達していて、筋肉がロープみたいに浮き上がっていた。
にしても、解体しないといけないのだけど、、あ、今までのパティーンを思うとこの魔昌石でナイフ作れるかな?
うーん・・・・出来た!
手にとってイメージしただけでナイフが出来てしまった。
『こ、こんなの作れちゃうんだ!』
「うむ。あわせ調味のスキルっちゃ。
来夢、説明なしでやっちゃうなんて見所あるっちゃね。」
どことなく不満な顔してそんなこと言ってるチュニさん。
スキル:あわせ調味
効果: 複数の素材・魔力・属性を、その組み合わせにおける世界最高値のバランス”で錬成する。
素材が持つ魔素の流れを読み取り、
最も美しく、最も壊れにくく、最も強い形で新たな物質を生み出せる。最高のバランスで融合させる。
生活応用: 料理・香水・人間関係などの調和を生む。
戦闘応用:武器強化、属性融合
生活無限、とんでもないな。
また精霊のチュニさんがいうには、触れたり舐めたものを鑑定出来る『味見スキル』も重宝出来るスキルのようだ。
オークを鑑定し、レベルや魔力、スキルなど一目瞭然で把握出来た。
本当は戦闘前にやるものだと思うが、不意打ちだったので仕方がない。
それから俺は石や木を錬金し、鍋、皿、カラトリーを作った。
た、楽しい。
俺のイメージしたものに勝手に仕上がってくれる。
魔昌石の棒に火のイメージを付与すると火が起こせたので焚き火も出来、肉を焼くことができた。
にわかには信じられないが、俺は魔法を使えるようだ。
焼き上がったオークを2人で食べることにした。
『いただきます』
「!?」
来夢のいただきます。にチュニは驚いた。
2人『うっまーー!!!!』
いや、豚なんだけどうま(馬)!なにこれ、豚って、豚って美味しいんだな〜!!
スキル:質量跳躍を獲得しました。
効果:
攻撃の直前だけ、自身の質量が数倍〜数十倍に“跳ね上がる”。
速度はそのまま、質量だけ増えるから威力がエグい。質量は自分で調整可能。
来夢にだけ見える半透明の文字が浮かび上がったのだが、豚に感動しすぎて来夢は気付かない様子だ。
調味料も使ってないし本当にただ焼いただけなのだが、美味しすぎた。ジューシーの意味を初めて理解出来た気がする。
幸せだ。
美味しすぎて泣いたのは初めてだ。
特に前世では精進料理ばかりで肉をほとんど食べてない。
だから余計に美味しくて幸せで、幸せだ。
大事なことだから2回言わせてもらった。
隣でその様子を見ていたチュニが言った。
「来夢、これからも、もっと美味しいものたくさん食べようっちゃね」
『うん!』
すごく喜んでくれてるっちゃ。
普通のオークがこんなに美味しいわけないっちゃね。
合わせ調味とほどよい塩梅スキルで絶妙に美味しい味加減と焼き加減になってて
普通に焼くより遥かに美味しく仕上がってることについては、また追々教えてあげるっちゃね。ぷふふ
人間関係もほどよい塩梅にしてくれるので来夢とチュニとの距離がどんどん縮まっている。
「それよりさっきいただきますって言ってたよね?」
『え、うん。』
え、なんか悪いこと言っちゃったかな。
チュニが、プルプル震え出した。
「なんで知ってると!?誰に聞いたと!?あなたさっきこの世界に来たばっかしよね?なんでいただきますスキルあるの知っちょっと!?」
『へぁ?いただきますっていうのは俺がいた世界では食べる前にいう挨拶だよ。食材の命に感謝を示す言葉なんだ。ありがたくいただきますってこと!』
「そうやっちゃね・・・。」
いただきますスキル説明したいのかな?
さっきも先にやっちゃって不満そうだったからな。
『え、いただきますスキルってどんなの?すごく知りたいなぁ!!!』
チュニはどことなく嬉しそうな顔になった。
「こほん。いただきます。
それは――魂を開き・・・」
安定の厨二節がはじまった。
「喰らった魔物の“因子”を取り込む禁術《食ノ権能》
魔物を取り込めば、その特性は血へと染み込み、
耐性も、スキルすらも継承される。
いただきますはこの世界ではお前のスキルとなるっちゃね。さっき文字が浮かんでたの見えなかったっちゃ?」
がーん。感動しすぎて見落としてしまった。
いただきますは挨拶なんですけど!
スキルじゃないんです!
『ステータスオープン』
確かにスキルのところにNEW 質量跳躍と書いてある。
もう結構色んな意味でお腹いっぱいなんだけど。
でもここが俺の家なら魔物から家を守り切れるくらいの力がないと生きていけないかもしれない。
てか魔物なんて出ることすらびっくりですが!
『ねぇ、チュニ、この森?結構大きな魔物も出没するの?』
「言い忘れていたが来夢」
やめて、なになに改まって?
「ここがどこだか分かるか?」
『・・・・・え、あ、はい。森の中です。』
そこからどことなくいやとてつもなく早口でチュニが驚くべきことを口にした。
この森は魔物が大量多発する危険地域。
その名も『黒紡ぎの森』(くろつむぎのもり)
その中でも今いる場所は、危険度5段階目の区域っちゃ!!
すなわち危険度まーっくす!!
まーっくす!!
まーーーくす!!
まーーー・・・くす!!!!
まるでヤマビコのようにMAX部分が鳴り響いた。
顔の前で腕をクロスさせて、「いかにも」って感じだ。
・・・・改めて確認しよう。
今いるここは、危険度MAXだそうだ。
は?




