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やっつけ転生〜絶景スポット探してたのに、なぜか救世主ポジにされて困ってます〜  作者: アサゴ


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第二十六話 ゴブリン火おこし隊、大革命。

次に早速火おこしに取り掛かるが、ゴブリン達一人一人にあるモノを手渡した。


その名も火打石〜(ネコ型ロボット風に)だ。



『はい。これ、君たちにあげるよ』


そう言って、火おこし隊にひとつずつ手渡していく。


ゴブリンたちは、掌に乗ったはじめて見る謎の石に釘づけになった。


「……な、なんだっぺこれ……?

 ただの石……じゃねぇな……?」


「きゅ、きゅーせーしゅさまの石……!

 きっと聖石せいせきだっぺよ!!」


「待て!これ見ろ!この角、ただ者じゃねぇ!!

 角張りが……神妙だっぺ!!」


興奮しすぎて語彙力が独自ルールになっている。


来夢が説明しようと口を開くより早く、

あるゴブリンが胸に抱えて叫んだ。


「おら、宝物にするっぺぇぇぇ!!」


『いやいや!宝物っていうか、道具だから!

 使うやつよ!』


「つ、使っていいんだっぺかぁ!?

 こ、こんな立派なもん……!!」


火おこし隊全員が、石を抱えてブンブン震えだす。


「きゅーせーしゅさま……おら達……

 この石、一生大事にするっぺ!!」


『お、うん。一応それ、火おこしするやつ

 だからね!?』


「師匠の石で火を起こすっぺ!!

 火を起こすたびに感謝っぺ!!」


『や、それはちょっと……』


しまいには、


「名前づげるっぺ!」

「おらのヒカリ丸!」

「おらのはイシリン!っぺ。可愛いっぺよ〜」

そういうとゴブリンは、ニヘラ〜と笑った。


『石に名前つけんでくれ!』


来夢のツッコミが朝の空気に吸い込まれた。


ゴブリンたちは、火打石を宝物のように掲げ、

朝日を浴びてキラキラと飛び跳ねた。


「ちょっと待つだ。さっぎ、火つけるっで

 言っだっぺ?」


 『うん。この石とみんなが持ってる剣で

 火をつけるんだ』


「そっだこと、出来るだか……」


「きゅーーーせーしゅさまぁぁぁぁ!!!

 ありがてぇぇぇぇぇ!!!!!」



焚き火台の前で、来夢は大将ゴブリンにゆっくり頷いた。


『よし。じゃあ、さっき言った通り──

 この石の角に向かって、剣を下に払う

 ようにしてみて』


大将はゴクリと喉を鳴らし、

まるで儀式でも始めるかのような緊張した手つきで構えた。


「こ、こうだっぺか……?」


剣先を火打石にそっと当てる。

角度はぎこちないが、やろうとする意思だけは全力だ。


そして──


「いくっぺ!!」


カンッ!


するとーー


ボワッと白金色の火花が舞い上がり、

火が一瞬でついた。


え?火花でかくね?


来夢はその場にしゃがんで、ゴブリン達の興奮を聞きながら、

落ちた火花の欠片を指でつまんだ。


『……ん?』


欠片は熱くもなく、冷たくもなく──

じんわりと電気が残ったような感触があった。


(……こんなの見たことないぞ?

 てか、これ……イカちゃんの雷のときに弾けた火 

 と似てるような……?)


一瞬だけ、違和感が胸に残る。


だがゴブリン達の歓声に押され、その違和感をひとまず胸にしまった。


「師匠!!火の粉が踊ってるみたいだっぺ!」

「きゅーせーしゅさま、これは魔法の石だぁ!」


来夢は曖昧に笑った。


来夢の中では既に謎が解けていた。

火打石は、オルドロックの胴体から取った石。

あの時、イカちゃんの雷、思いっきり浴びてたから

その効果が付与されてるっぽい。


そりゃ火花も暴れるわ!!


「きゅーせーしゅさま!こんなに簡単で楽に火がついちまう石、今までみたことないっぺよ!」


『あぁ、これは火打石って言って、

 金属と擦り合わせたら火花を起こして

 火種を作る硬い石なんだ』


「そうだっぺか…でもこんな硬い石今まで

 見たことも触ったこともないっぺよ!」


『あーこれはオルドロックっていう魔獣から…』


「「「オルドロック!?!?」」」


『え、うん。そうだけど…』


「もしかして、きゅーせーしゅさま、

 オルドロック倒したっぺか!?」


『いや、寝てたから倒すって程じゃ…』


「寝てても倒せねえっぺよ…アレは、寝てても

 倒せねぇんだっぺよ!」


「そうだっぺ。寝てる時は、ただの岩だって

 聞いたごどあるっぺ。まずどこにいるか

 分からないっぺよ。やっどこさ探しあてても 

 胴体が硬過ぎて切れねぇっぺ。

 どんなに硬く鋭い武器でも全ぐ歯が立たないっで

 聞いだっぺよ」


「そうしで寝ながら生きて十年に一度

 目を覚ますっぺ…。

 起きたら最後なす術もなくただ食べられるだけ…

 たったの一日、たったの一日だけ起きでるのに

 この森が魔の一日になるだ…。

 それだけ桁違いに強ぐ恐ろしい魔獣だって

 おさが言ってだっぺ」


「次の目覚めは来年っで聞いでだっぺ。

 だから拠点を変える話も出てだっぺよ。

 会わないで済むように…」


そんなにやばいやつだって全然知らなかった!



火おこしゴブリン達は横一列になり土下座した。


「ありがとうございますっぺ…!」


「あなたさまは命の恩人だっぺ!」


「一日大変な思いするとこだったっぺよ!」


良かったぁ寝ててくれて。

起きてたらヤバかった!!


そのあとは、一人ずつ火打石を使って練習してもらった。練習といっても…失敗のしようがない程の火花なので火傷しないように、だ。


「違う!そうじゃねぇ!もっとこう、

 腕をいっぱいに伸ばしてだな…!?」


イカちゃんが必死でゴブリン達に教えてる姿はスマホで撮って他の仲間みんなに送ってあげたいくらい可愛かった。

スマホ欲しいなぁ。


ひと段落つき、来夢はそっと一本の細長い筒を取り出し、大将の前に差し出した。


『これ、大将にあげる。

 火を育てる時に使う “火吹き棒” って道具だよ』


大将ゴブリンは目をぱちくりさせながら両手で受け取った。

筒は灰色の石を削って作られたような質感で、光が当たると微かに青白く反射する。


「な、なんだっぺこれ……?

 えっれぇちっせぇと思っでだら、ごれ、

 長さ変えられるっぺ!こんっなに長ぐなるっぺ」


大将がスルスルと伸ばすと

おぉ!っと歓声が湧き上がった。


『うん、伸縮出来るんだよ〜!

 それにそっと息を入れてみて』


大将は火の前にしゃがみ、恐る恐る棒の先端を焚き付けに向けた。


ふぅ──


次の瞬間。


ぼっ……!!


火が、まるで生き物みたいに跳ね上がった。

オレンジ色の炎が一段明るく膨らみ、周囲のゴブリンの顔が驚きで照らされる。


「ひ、ひいいぃぃ!? い、今の見だか!?」

「火が息吸ったみてぇに起ぎだっぺ!!」

「すげぇ……!おら、こんなの初めて

 見たっぺ……!」


大将ゴブリンは、火吹き棒を見つめたまま震えていた。


「こ、これ……ただの棒じゃねぇっぺ……

 なんか……中が、あったけぇ……!」


これもオルドロックで作ったんです〜!

とかとても言いづらい…!


来夢は笑って肩をすくめた。


『素材がちょっと特別なんだ。

 まぁ……大将なら使いこなせると思ってね』


火が再び柔らかく揺れ、火吹き棒の先で細い炎が踊った。


ゴブリン達は道具を囲み、宝物でも見るような目で覗き込む。


「きゅーせーしゅさま……

 これ、家宝だっぺ……!」


「すげぇ……火が言うこと聞いてるみてぇ

 っぺよ……!」


宴の火はゆらゆらと高く燃え、

その明かりの中で、火吹き棒はキラキラと輝いていた。


これで火おこしの極意は伝授し終わり、

とうとうお別れの時がやってきた。

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