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やっつけ転生〜絶景スポット探してたのに、なぜか救世主ポジにされて困ってます〜  作者: アサゴ


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第十二話 魔王のおもてなし大作戦

さて胃に優しいと言えば薬草のスープとかだろうか?


この辺の薬草にはヒョドが断然詳しいよな。


最近は、丘の洞窟の奥に自分だけの研究室を作って引きこもってるみたいだし。よし!聞いてみるか!


ヒョドはやっぱり丘の洞窟で精を出していた。


『ヒョド〜〜胃に優しくて元気になる食べ物ない?胃がキリキリしてても治るやつ』


ヒョドはぴこっと跳ねて、胸を張った。


「まっかせてくださいませ主!賢者ヒョド、胃腸学も得意分野でございます!どれほど得意かと申しますと」


ふふ。

自分のことを賢者だなんて、可愛いなぁヒョドは


「生前、千の胃を救い、百の腹痛を鎮め、

“歩く胃腸薬” と異名をとったほどでございます!!」


『歩く胃腸薬!?』


「はい!胃に優しいやつ全部のせみたいな存在だったのです!」


もう完全に盛ってるだろ。


ヒョドは続ける。


「胃が痛む者には、触れるだけで症状が和らぎ、

腹下しの者が寄ってくれば、ワタクシの吐息ひとつで治ったとかなんとか……!」


なんとかって誰の記憶だよ!

でもここは話を合わせておこう。


『すごいなぁヒョドはぁ。な〜んでも治しちゃうんだからぁ』


鼻高々なヒョド。


お前、嘘つく罪悪感とかないのか。

けど頼もしい。


ヒョドは草むらへ走り去り、すぐに両羽いっぱいに芽命草メメイグサを抱えて戻ってきた。


いや、本当は宙に浮かせているのを知っている。

なんだか人間ぽい振る舞いをするのが好きなんだよな。


「これを煮て、これを潰して、これを……こうして……!」


気づけばヒョドは、見事な三品を作り上げていた。

はやい!丁寧!ヒョドの3分クッキングだ。


一品目、芽命草メメイグサポタージュ


草の魔力が柔らかく溶けて、

薄緑の湯気がゆらゆら。


一口味見したら――


『うわ……伊達じゃなかった……!これ、毎日でも飲みたいよヒョド!』


魔力の粒子がのどを撫でて、

胸の重さがすっと軽くなる。


「胃壁の修復に特化した魔力を少しこめたであります!」


まさかの魔力押しのポタージュだった。

胃壁って普通言わないよ?

専門用語詳しすぎるでしょ。


二品目、森の根菜癒やしたっぷりスープ


ヒョドが選んだ異世界野菜と、ヒョドがどこかからかとってきた塩。この世界はじめての調味料だ。


塩があると尚のこと料理が美味しくなった。

ヒョドはこう見えてとてもお利口さんでいい仕事をしてくれる。


こんな可愛らしい見かけで中身は150歳ってのも納得出来る。

塩ひとつまみでもしっかりやさしくて旨いスープだ。


香りだけで癒やされるタイプ。


「俺もくいて〜」


バシッ!


イカちゃんがつまみ食いしようとしてヒョドに無言で怒られてた。鬼の形相で。

あの可愛いヒョドがこんな顔するんだ・・・



三品目、やさしさ入りおかゆ(芽命草入り)


ただのおかゆなのに、これが一番衝撃的だった。


『……あ、これ……やさし……』


スプーンをひと口いれた瞬間、

胃じゃなくて心が先に落ち着いた。


熱すぎず、ぬるすぎず、

ぽわっと口の中で広がる穏やかな温度。


芽命草のほのかな香りがふわぁっと鼻に抜けて、

そのたび背中のこわばりが溶けていく感じがする。


いやマジで。

胃痛なんて治るとかじゃなくて、

胃が喜んでる味だ。


癒やすってこういうことなんだな。


ところで、なんで米があるの?

余りに普通に沸きすぎてて見逃していた。


『ヒョド、これ、お米!?』


「それはミナモ穀ですぞ主。この間レア度4の卵から出た「水辺で育つ栄養穀物の栽培法」て本に載ってましたぞ」


『そうなの!?』


そっか錬金術の本とか魔物退治に役立ちそうな本は全部把握してるけど、農業とか他の研究系はヒョドが嬉しそうに持ってくから、全然目を通していなかった。


普通にお米の味だ。

こんなのまで作っていたのか・・・

ん?収穫早すぎない?


他にもめちゃくちゃ研究してそうだ。


今度覗いてみよう。


ヒョド特製贈り物三点セットが揃ったところで、

俺は包みを見つめながら嬉しくなってニヤけた。


プレゼントって、渡す側がいちばんワクワクする

これ、異世界でも変わらないらしい。


けれど……ふと我に返る。


……これ、足りるのか?


魔王さんって、よく考えたら本気で未知の生き物なんだよな。


ため息で城が揺れるくらいだし、

もしかしたら巨人サイズかもしれないし、


この三品なんて一口で終わったらどうしよう。


当日は……100人前ぐらい作ってもらうべきか?


いや、でも……

草の料理ばっか持っていったら

「草などで我を満たせると思うのか!」

とか怒られて燃やされたらどうしよう。


ご近所トラブル、命がけなんだよね……この区域。


なら、万が一に備えて保険として

日用品も混ぜた方が絶対いい気がする。


気まずさゼロ作戦。


これは大事だ。


来夢は少し考えると、すぐにいい日用品が浮かんだ。


よぉし、プレゼント問題一旦解決だ!

きっと魔王さん、びっくりしちゃうもんね!!



あれから眷属達には絶対に魔物に手を出すなとキツくいいつけた。


ご近所同士仲良くしましょうね〜なんて言いながらこちらから手を出すとか信用駄々崩れだからだ。


だが魔獣は別だ。


魔物は知能があるが、魔獣は本能のままに襲いかかってくる。


こちらからはケンカを売らず、襲ってくる魔獣に関しては手出しOKとした。


見かけで分かりやすくする為、二足歩行は手出しNGと命令した。


特にイカちゃん。

守れなかったら1週間お肉焼いてあげないんだからね!と言うと

「分かってるよ!」とぶっきらぼうに答えた。





そのころ魔王樹城──


魔王によるおもてなし大作戦が企てられていた。


──────────────────

【一】迎賓の宴

──────────────────

「来夢殿に森の恵みすべてを捧げよ。

魔物の肉は最上級の部位を、

果実は完熟のものだけを選べ。

料理長──貴殿に全権を任す。」


料理長は胸に拳を当て、力強く答える。


「御意!生涯最高の宴を整えましょう!」


──────────────────

【二】温泉と宿泊の支度

──────────────────

「城内の魔泉は湯温を確実に調整せよ。

刺激湯、癒やし湯、打たせ湯。

どれをとっても最適に仕上げるのだ。

部屋は最上階、結界付きの客間。

床の魔布は新品に交換し、

灯りは柔光に統一せよ。」


侍従長が深く頭を下げる。


「来夢殿に一夜の不快も与えません!」


──────────────────

【三】歓迎の儀と余興

──────────────────

「魔舞団には静の舞

魔楽団には凪の曲を演奏させよ。

威圧してはならぬ。

しかし、魔族の誇りは見せろ。

力ある者が礼を尽くす姿を示すのだ。」


団長たちは胸を張る。


「主上の想い、確と届けましょう!」


──────────────────

【四】安全保証

──────────────────

「何より──

来夢殿とその眷属達に危険が及ぶことだけは

断じて許さぬ。

来夢殿がいる家から根城までの道を整備し、

魔物達は1キロ以内の侵入を禁ず。

これを守らずば厳罰に処す。

尚、近づく魔獣がおれば容赦なく殺傷

または誘導せよ」


警備隊は膝をつき、叫ぶ。


「命をかけて護ります!」


──────────────────



「……頼むぞ。

このおもてなしが叶えば……人と

争う必要は、もう無いのだ……」


成功を願えば願う程、胃がキリキリする魔王であった。


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