表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やっつけ転生〜絶景スポット探してたのに、なぜか救世主ポジにされて困ってます〜  作者: アサゴ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/31

第十話 そうだ!魔王に手紙を渡そう!

時は遡り三年前。


その年、ルミナスト王都は、理由の分からない奇妙なざわつきに覆われていた。


最初に異変が起きたのは、王都の外れの街道だった。


「ま、魔物が出たぞ!!」


旅人の叫びに兵士が駆けつけると、そこには確かに魔物がいた。

どうやら黒紡ぎの森から出てきてしまったようだ。


本来ならあり得ないことだ。

魔物は森からほぼ出ない──それが王国の常識だった。


だが、その日を境に、魔物の目撃情報が連日相次いだ。


一体どうして森を出てくるのか、誰にも分からない。


魔物の様子も妙に落ち着きがなく、森へ帰る気配を見せなかった。


そのころ王国は隣国との戦に備え、兵力を割いていたため、魔物対処にあてる余裕がなかった。


そこで王は決断した。


「非正規の討伐機関を作れ。

人々の中から有志を募り、魔物の対処に当たらせよ」


こうして急ごしらえされたのが

王都初代・冒険者ギルドである。


だがその制度は

・ランクなし

・検査なし

・魔物の遺体に応じた報酬を払うだけ

という極めて未成熟な仕組みだった。


王都には魔物の知識がほとんど無く、

報酬はどんぶり勘定。

冒険者は金欲しさに次々と森へ突っ込み、

危険度1を周回し、日銭を稼いだ。


王都の経済は日に日に圧迫されていった。


「黒紡ぎの森で、何が起きているのか?」


しかし、誰もその答えを知らなかった。


誰一人、魔族側で起きている苦悩にも、

その「本当の理由」にも気づいていない──。




そして時は戻り現在。


次の日の夜、俺は毎晩恒例の

みんなと焚き火を囲む会をしていた。


恒例行事化していたので役割は決まっていた。


俺が火を起こし(魔法で簡単)肉を焼く。

ヒョドが副菜を作る。


イカちゃんは丸太の椅子の準備を渋々ながらにやってくれる。


エコーはというと──

あれから俺の左肩が気に入ったようで、いつもちょこんと腰掛けている。

小さい身体なのに座り方だけは妙に堂々としている。


もはや定位置。


晩御飯の時間になると、エコーの気配に呼応するように

シモベの蟻たちがどこからともなく整然と現れ、

一列になって皿を運ぶ。

火が弱まれば枝を補充し、肉が焦げそうなら絶妙な角度で裏返してくれる。


これぞハタラキアント。

働き者というより、もう夜の精霊部隊である。


例えるならば都市伝説のちっさいおっさんだ。

By イタズラしないバージョン


がしかし、エコーの配下なのにこんな世話役をさせてしまうなんて申し訳ないね。



それはそうと、ドラゴはどこか行ってしまうし、チュニは集まるより漫画を読んでいたいタイプなので来てはくれなかった。


現状報告をした上で今後のことを話し合うつもりだけど、ま、いっか。


後4ヶ月もすれば結界が消滅し、厄災級の魔物が次々と襲って来る可能性があること。


この危険度5区域には魔王の根城があり、魔王と強い魔物が住んでいるということ。


危険度3区域の湖へ引っ越しをするつもりだということ。


ちっさいおっさんズ含め、その場にいる全員に話をした。


「魔王か〜痺れるぜぃ!そんなの倒すっきゃないよな!?」

イカちゃんがビリビリと言った。


来夢の心の声

魔王って魔物の王様だよね?王様ということは権力持ってるはずだもんね。


倒すというか出来れば話し合いで、手出ししないようにお願いしたいのだけど。


近隣に住む者同士仲良くしておきたいんだよね。

いがみあってたら騒音おば・・魔物とか交戦的な魔物とか出てきて絶対住みにくいじゃん!


なるべく穏便にことを運びたいんだよね。


お隣さんとは、『これお口に合うか分かりませんがどうぞ〜』っておかずのやり取りなんて出来るような仲の方が絶対いい!


俺の田舎ではそれが風習ってもんだ!


よし、魔王の根城に行って美味しいもの差し入れしてみよう!


ここは、異世界、今までのことを考えると俺が知ってる常識とは違うはずだ。



エコーを使って引っ越しのご挨拶がてらお伺いしますって手紙だして・・・


完璧じゃん!!


ニヤリと笑う来夢。

少し考えた後、自己完結してしまった。


『とにかく――この手でケリがつくよな』

ボソッと独り言を呟いた。


その一言には何とも言えない空気が漂っていた。

まるで異議を唱えることも発することも制限されるような空気。

誰しもが静かに聞いていた。


イカちゃんの心の声

(やる気じゃねぇか!いいぞいいぞ!ワクワクしてきたぜ!俺が全てを焼き尽くしてやるぜ)


エコーの心の声

(・・・・・)


ヒョドの心の声

(主!かっこいい!一生ついていく!)


そうと決まれば根城に着くまでに死なないようにしないとなんだけど・・・


『エコー、魔王の根城までどの位の距離ある?』


「3km圏内にて」


意外と近かった。


そんなに近いのであれば魔物に遭遇せずに行けちゃうのでは?


なんせこちらには優秀なスパイがいるから魔物がいない道を案内してもらえばいいんじゃないの?


『あの〜エコーさん、魔物に遭遇しないように魔王の根城に行く道って分かったりする?』


「調査すれば可能かと」


シゴデキ!!!一番優秀なんじゃないか?

この働きアリさん。

ちょっと端的とし過ぎててツンとした感じも女王らしくて好きなんだよな。

エコーが教えてくれる道、その名もエコーズ黄金ルートを通れば死なずにすむってことだ!


『魔王に手紙書くからそれの調査と同時に明日にでも届けてくれる?』


「御意」


眷属一同

(果たし状だ!!!!)


しかも魔王との闘いに備えて少しでも体力温存させておこうという作戦。

我が主ながら素晴らしい。

誰しもがそう感じていたのであった。


次の日、早速手紙を書くことにした。

さて、ヒョドが産んだ紙にハズレで出てきたこの白紙のページしかない本。


使える!


そのページを几帳面に破り、丘で採れた鉱石で作ったお手製の鉛筆で手紙を綴り始めた。


すると、日本語で書いた文字が来夢の知らない文字へと変わっていく。


おぉ!これは異世界マジック!!

そうだ俺日本語しか書けないはずなのに、よく手紙書こうなんて思ったよな笑


するすると手紙を書くことが出来た。

よし。これでこちらに害がないことも分かるだろう。


『じゃエコーよろしく』


「必ずや」

どこからともなくエコーが現れ、ビッチリと魔力で封のされた封筒を手に取った。


魔王の根城──それは、


黒紡ぎの森の最深にして最静。

森が息をひそめ、空気が重く沈む場所。


そこにそびえるのは、

まるで世界の底からせり上がったかのような 一本の巨木。


幹は黒曜石のように光を吸い、

ねじれながら上へ上へと伸び、

無数の根が地中の魔力を吸い上げて脈動していた。


──そして、その巨木の上に、城が建っている。



魔王樹城まおうじゅじょう


巨木の上部、枝と枝の間を大地のように編み込み、

その上にそのまま城が根づいていた。


石造りではない。

木造でもない。

巨木の骨格を利用し、そこへ闇の魔力が凝固して作られた城。


塔は三本。

どれも巨木の太い枝を芯にしており、

上へ行くほど細まり、まるで夜空に向かって祈る指のよう。


城全体が「木の上に建っている」ではなく、

「木と城が融合している」


階段は根が階層をつくり、

廊下は樹皮がひとりでに硬化して通路となり、

窓は節穴が自然に開いて、黒紡ぎの森を見下ろせるようになっていた。


魔王樹城最上部玉座の間


巨木の幹が広がり、自然が形成した大広間。


中央には、黒曜石の玉座。


近づけば、闇の魔力がひやりと頬を撫でる。

なのに、どこか寂しげ。

王というより、孤独な監督者が座るような椅子だった。


そして、王の気配。

それと同時に重責を背負った者特有の、

深すぎる疲労の気配。


玉座の間は、巨木の上に広がるはずなのに、

どこか湿った空気がよどんでいる。


光源はひとつ。

天井の節穴から差し込む、細い月光の筋。


だがそれすら、

玉座に座る王の影の前では弱々しい。


その影は――魔王。


すさまじい魔力を持つ存在であるはずなのに、

その姿は王というより疲れ果てた労働者のようだった。


片肘を膝に置き、

もう片方の手で お腹をぎゅっと押さえている。


黒いマントは床に流れ落ち、

その肩は重圧に押し潰されるように沈んでいた。


「……うぐっ……また……来た……」


低い声が玉座の間を震わせる。

怒号ではない。

魔力でもない。


ただの胃痛の呻きだ。


額にはじっとりと汗。

こめかみの血管がぴくりと脈打ち、

鋭い爪の指先が腹部にめり込みそうなほど強く押さえていた。


魔王の瞳は黄金色。

本来なら闇を貫く王の眼光のはずだが、

今日のそれは――


あきらめとストレスと寝不足で濁っている。


誰もいない玉座の間に、魔王のため息だけが落ちた。


──ふぅぅぅううう…………


その瞬間、

巨木そのものが ミシ…ミシ… と重く軋み、

城全体が小さく震えた。


森の魔物たちは遠くで身を縮める。

「魔王さまのストレス=天災」の図式が、

すでに出来上がっていた。


「そなたは変わらんな」


人(魔物)と喋るのはいつぶりのことか!

と喜び勇んで顔を上げた。


すると目の前にはエコーが飛んでいた。


「お主か。久しぶりじゃのう。

何百年ぶりじゃったろかい」


「321年と5ヶ月ぶりだ。魔王よ」


「そうか。お互い年を取ったがお主はいつまでも若いのう」


「まぁ、色々あってな」


「あの頃は楽しかった。わしがまだ王と呼ばれる前だったからな。お前には助けてもらいっぱなしだった。改めて礼を言おう」


「・・・・」


「して、お主が来るとは珍しいではないか?

何用か?」


「うむ。我が主より書状を預かった。受け取るがよい」


「なに!?お主に主がおるとは!?世の中変わってしまったようだ。ワシはもはや籠の中の鳥じゃて。世の中のことが全然分からなくなってしもたわい」


ブツブツ言いながら手紙を開ける。

頑丈に魔力で封がしてあったが

流石魔王と言うべきか。

いとも簡単に開けてしまった。


その紙から漂うのは魔力のみにあらず。

匂いもついていた。


まさか・・・そんな・・・


魔王は懐かしい匂いを感じていた。

ここまで読んでくださり、まことにありがとうございます!

初めての小説投稿、ついに十話目…!


多くの方に読んでいただき、魔王とは真逆の「幸せのため息」が漏れました。

ふぁ〜!↑↑


もし「続き読んでやってもいいぞ…まあ暇つぶし程度にな」と思っていただけましたら、

ブクマを ポチっ としていただけると、とても励みになります。


目指せ百話!

これからも世界は勝手に転がっていくので、どうか気楽に見届けてください。


P.S. 前方には気をつけてくださいね……

(歩きスマホしてて電柱に平謝りした経験あり〼)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ