表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リライフ  作者: おじぃ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/12

ツチウラサクラ7

私はモンテローザさんに、ホテルから少し離れた大きな病院へ連れられた。病院は同じ市街にあり、タクシーやバスを利用しなくても無理なく歩いて行ける距離だった。


途中、街の様子を観察しながら歩いていた。街そのものは地球とあまり変わらないけど、歩いているのが人ではなくフンガというだけでとても違和感があった。


まるで、小屋から逃げ出した家畜たちが人類を滅ぼして世界を乗っ取ったかのような風景。


なんて失礼な感想だろう。


フンガさんの身体は小さいのに、ビルも道路も地球とほぼ変わらない規格というのには疑問を抱かざるを得ない。さっき道路の反対側を走っていったバスは地球のものそっくりそのままだった。


「モンテローザさん、この星の施設って、私たち人間でも使えるというより、人間の方が使い易そうに見えるのですが、それは何故ですか?」


「あぁ、それはね、何年か前にフンガ星に来た最初の人間が地球の技術者で、その技術をフンガに伝授してこうなったのが始まりだよ~ん。人間が来る前は建物は草とか木を組み上げた簡素なものだったんだよね~。


例えばちょっと前まで電車は『電車フンガ』っていうのが走ってて、フンガの顔した電車自身に魂が込められてたんだよ~ん。運転士は乗ってなくて魂が車両を制御してるから電車フンガの気分次第で暴走なんか日常茶飯事。それを危惧した国鉄が人間から電車の造り方を教わって、それが走り始めたのは四十年くらい前。


自家用車とかタクシーは今でもフンガの顔して魂が制御してる奴があるよ~ん。


当時は殆どの物がフンガサイズで、今より遥かに小さくて使えない物ばかりだったよ~ん」


なるほど、四十年以上も前にフンガ星に人が来て、フンガさんたちに技術を伝授したんだ。


それと、フンガ星の方々の語尾は「よ~ん」なのかな? 確かフガオさんもそうだったわよね。


◇◇◇


病院に到着し、中に入ると受付フロントで王冠を被ったフンガさんが手続きしているのが見えた。


手続きを済ませると、ピンクのフンガさんばかりの中で目立つ七色のモンテローザさんと人間の私を早速見付け、歩み寄ってきた。


「あっ、どうもどうも~お二方とも~」


「こんにちは!」


「ほほ~い♪♪」


「え~っと、土浦 桜さんだね。フンガ星へようこそ~!! 


早速だけど、これからこの星に住むための手続きをするからあちこち行く事になるよ~ん。まぁ本人がやらなくてもいい面倒な手続きはフガオがやってるからそんなに時間かからないよ~ん♪♪」


「はい、よろしくお願いします!」


「じゃあモンテローザ、ありがとね~♪♪」


「ありがとうございました!」


「ほほ~い♪♪」


モンテローザさんとお別れして、私たちはオープンカーのタクシーで五分ほど移動し、新時原(しんときはら)という無人駅、じゃなくて無フンガ駅(?)に連れられた。


周囲は工業地帯で、駅前にぽつりとある五階建てくらいのショッピングセンターがミスマッチ。人はもちろん、フンガさんの姿すらあまり見かけず、何故か二羽のフラミンゴさんがショッピングの従業員を務めていた。


トノサマフンガさんによると、フンガ星では人間のみでなく、様々な生物が地球から移住しているという。それにしても賢いフラミンゴさんだと思った。


「ここは駅係員無配置駅だから、ここから電車に乗って、これからやるDNA情報登録とか切符を買える窓口がある間抜協会(まぬけきょうかい)っていう所まで行くよ~ん」


そう、私がこれから行うのは、フンガ星でお金を支払う時に便利なDNA情報登録というもので、国の機関や銀行でも登録が可能だけれど、私はこれからお世話になるトノサマフンガさんが筆頭株主の鉄道会社で登録する事にした。


これに登録すれば、身体のどこかを端末に触れさせるだけで決済が可能になり、現金を持ち歩く必要が殆どなくなる。フンガ星は地球より少し文明が発達しているようだ。


トノサマフンガさんから株主優待乗車証を一枚貰い、乗り場が一つしかない小さな駅のホームに立つ。


線路を見ると二本のレールがなく、代わりに艶やかな木の板がずっと先まで伸びている。


「これはモノレールなのでしょうか」


「う~ん、モノレールっていえばモノレールだけど、これはワックスを塗った木の板で出来たレールの上を電車が滑って走るんだよ~ん。


進路は予め電車にプログラミングされてるから衝突みたいに無理な力が加わらない限り脱線はほぼない安全性抜群のシステムだよ~ん。


電力は駅とか車庫みたいな所で充電するからパンタグラフとか架線は要らないんだよ~ん。


これらの鉄道システムはフンガ星、地球とも共通の西暦2000年に開発された、この小さい会社独自のシステムなのさ~」


「なるほど、フンガ星の技術って凄いですね!」


「でしょでしょ~、もっと褒めてくれていいよ~ん♪♪」


死にかけた私の命を救ってくれた医療技術に五十億光年をたった五十日で移動するスペースシャトル、自動運転で会話が出来るタクシーや進路がプログラミングされてる電車。地球と比較して先進性を感じさせられる事の連続だ。


少し待ってると、接近放送もなく、たった1両の凄く小さな電車が入ってきた。ステンレスの車体にオレンジと黄緑の蛍光塗料が塗られた帯が張り付けられたモダンな車両。車両は普通室と、乗客は一名しか入れない特別個室で仕切られている。


チャイムが鳴ってドアが開き、車内に入ると、なんと狭いことでしょう。二人掛けの座席が部屋の隅 にあり、車内の大半を占める立席客のためのデッキを挟んで向かい側に人一人がようやく入れる程度の乗務員室がある。


この車両は同じ線区を走る中でも小さいタイプで、定員は普通室、特別室合わせて十名。最高速度は在来線にも関わらず時速300km。


この路線、水木坂本線(みなこざかほんせん)の電車はこの先、私たちの居る時原町(ときはらまち)を出て、水木坂市街の入り組んだ狭い土地を走るため、規格としてはちょうど良いらしい。


シートに腰掛け発車を待つ。


私とトノサマフンガさん以外に乗客はの姿はない。


その間、フンガさんたちのハスキーボイスとは明らかに違う人間の女性の声で、地球の電車にもよくある日本語と英語での自動案内放送が何度か流れた。その後、肉声で案内をした車掌さんも人間の男性の声だった。


この星に来て、初めて人の声を聞けた。話は聞いていたけれど、この星にも人が居ると、自分の耳ではっきり認識できただけで、気持ちがとても軽くなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ