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第1章⑧ 美味しい時間

とある貴族邸。


薄暗い部屋で魔道士のようなマントにフードを深めに被った男が居る。

見た目はまだ若そうだ。



男はご機嫌なようで

高級そうな椅子に深く座り、机に足を放り出し、

鼻歌を歌いながら絵柄の描いてある本を

パラパラとめくっている。



「入るぞ」

ガチャ。



1人の貴族らしい男が入ってきた。



「おや、おかえりなさい。婚約パーティは楽しめましたか?」


フードの男よりも明らかに貴族の男の方が地位は高そうだが、そんなことは一切気にしてなさそうに、フードの男はたずねる。


「ふん、お前が言っていたような面白いことにはならなかったぞ。」


貴族の男は、少々面白くなさそうに答える。


「と、言いますと?」

「パーティは滞りなくスムーズに行われた」

「なんですって?」

「ドルメネールの姫は慎ましく上品な装いで現れ、大人しく完璧な態度でこなしていたよ。王子に下品に抱きつくことも、パーティで騒ぐことも、癇癪を起こすことも恥をかくこともなく、むしろ全て好印象のまま終わった」



フードの男は細く切れ長の目を見開いた。

瞳の色はグレーだ。

「、、、、へぇ」

ニヤリと嬉しそうに笑う。

「それではあのお嬢さん、ただのポンコツじゃなかった、というわけですか。人の噂なんてアテになりませんね」



「ふんっ。これでドルメネール家の印象は良くなっていくだろうな。これまで、良い噂がなかった姫も、悪い噂が多かったからこそ一目置かれることになるかもしれん。」



「あははっ。それは面白いことになりましたねぇ」

「面白いものか!貴様、そんな余裕がある態度ならばさぞや次の手を用意しているんだろうな」

「まあ、そうですね。あらゆる想定のプランは用意しておりますが、、、」

「ならば、さっさと取り掛かれ!!必ずやドルメネール家を潰すのだ!カリウスめを必ず地獄に突き落としてくれる!」

「まぁまぁ、閣下。そう滾らず。焦ると元も子も失いますよ」


フードの男は飄々としていて、

貴族の男が憤っても何でもないようだ。


「ふん、お前が役に立たないようならいつでも切ってやったって良いのだからな」

「それは困りますね。頑張りますよ」


そんなことを言うが、フードの男が

困ったようには見えない。

聖母のように優しく微笑みながら答える。


貴族の男が自分を切ることはないとでも

言ってるような態度だ。

貴族の男はさも面白くないというふうな態度のまま、

「それで、次の策を聞こうか」

「そうですねぇ、、、。それでも

一番手軽にかき回せそうなのはやはりまだ

あの幼い姫と、その周りの人間だと思います。一度地に落ちている人間の評判なんて脆いものですから、少しだけ時間をかけ徹底的に崩しましょう。閣下も、確実に仕留めたいのでしょう?ならば、焦らずこの流れにいたしましょう」



フードの男がトントンと指を刺す本のページ

には剣が刺されている人の絵のようなものが描かれている。



男は目を細め、不気味に微笑んだ。


一一一一一一一一一一一一一一一一一一



「ミレーユ・ドルメネール。

そなたとは今日限りで婚約破棄させていただく。」


「なぜですか?!殿下!

私はずっとあなただけをお慕いしておりました!それなのに!」


「わかっている。しかし私はこのマリアベルを愛してしまったのだ。この気持ちには、嘘をつくことができない。許せ。」



「いくら殿下のお頼みでも、こればかりは許せるわけがありませんわ。これまで私がどんな思いであなたさまを思って尽くしてきたか。どうか、お考え直しを!そんな田舎くさい庶民の女のどこが良いのです!」



「マリアベルはそのままの私を愛してくれる。それは、どこも誰でもできることではない。王子としてのわたしでなく、私と言う人間そのものを愛してくれるのだ。私はこのマリアベルの愛に心底安心することができたのだ。」



「殿下は騙されていらっしゃいます!

その女は、その女こそが、ルーデウス様の名誉と財産を狙い、そうしているのが、お分かりにならないのですか!目をお覚まし下さいませ。」



「だまれ!ミレーユ。これ以上、彼女に無礼なことを言うならば、そなたでも許さんぞ。そなたが、これまでにマリアベルに身の危険を感じるほど、嫌がらせをしていたのも、私は全て承知している。しかし、全てわたしが未然にふせいだのだ。それを踏まえて許してやると言っている。」



「な、なんことでしょう。わたくしはその女が不敬を働くから少々言葉で指摘をしただけでございます。身の危険を感じることなどは致しておりません。仮に、その女がそう感じることがあったとするならば、きっと他の者にも、この女を疎ましく思うものがいたのでしょう!

身の程をわきまえぬ世間知らずのその女の存在そのものがよろしくないと、、、」



「もうよい。話にならぬ。金輪際、私とマリアベルに近づくな。そなたとはこれで終わりだ。下がれ」




う、うそでしょう?こんなことって、、、




ぁぁ、行ってしまう。

あの憎らしいマリアベルとわたくしの愛しのルーデウス様が、あぁ!




許せない、、、





許せぬよなぁ。。。ミレーユよ。





許せないわ。許せるわけがない、、、

ルーデウスさまだけはわたしのものよ、、、




そうだ。。、

家族の父や兄たちからは疎まれていた

お前が唯一愛せるのが

ルーデウスだ。。。




そうよ、、、

父上も、兄様たちもいつも

わたしをバカにして、、、

唯一、私が誇れるのが

ルーデウス様の婚約者という

立場が、全てわたしを

支えていた、、、




そうだ。。。

そのルーデウスをあんな

汚らしい庶民の女に取られて

良いのか。。。?

お前はそんなことを

許せるのか。。。?




許せるわけがないわ。

ルーデウス様はわたしのものよ、、、




そうだ、許す必要などない。。。

ほら、足に隠している短剣で

あの憎らしいマリアベルを殺るのだ。。。





たん、、、けん、、、?




そうだ、お前のために

用意してやったぞ。




太ももを探ると、ベルトに繋がれたドレスに隠れていた短剣があった。




これであの女を殺してしまえ。。。

そうすれば、あの王子は正気を取り戻し

お前の元に帰ってくる。。。




あの女を殺せば、、、

わたしの元に、、、

ルーデウス様が帰ってくる、、、




ミレーユの目から光が無くなっていく。




そうだ、あの女が全ての

元凶なのだ。。。

あの女が目の前に来てから

お前の人生が狂い始めたのだ。。。

ルーデウスを目覚めさせられるのは

お前だけだ。。。

ミレーユよ。。。




あの女が全ての元凶、、、

わたしだけが、ルーデウス様を

正気に目覚めされられる、、、




そうだ。。。

お前がルーデウスを救うのだ。。。

お前はルーデウスの

救いの女神なのだから。。。




わたしが、、、

ルーデウス様の

救いの女神、、、




ドレスをたく仕上げ、短剣を手に取る。




短剣の真ん中にある紫の石が

怪しく光る




その瞬間わたしは短剣を振りかざし

マリアベルへ突進する




「うわぁぁぁぁぁ!」

わたしは叫びながらマリアベルに真っ直ぐに襲いかかる。



キィン!



王子の剣が短剣をすぐに跳ね返す。


短剣はわたしのこめかみスレスレに回りながら飛んでいく。


ズバッ!!



跳ね返された短剣が地面に落ちるのと同時に

血飛沫が散る。




わたしの身体は肩から

真っ二つに裂かれ

その瞬間わたしは絶命した。




飛び散る鮮血の中、

わたしを睨みつけるルーデウスの顔を

最後に、わたしの視界は閉じていった。



一一一一一一一一一一一一



ガバッ!!



ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、、、、




な、な、な、

なんて怖い夢を見てるのよ!わたしはっっ!!




こ、怖すぎる、、、




でもあれって、

マンガで見たこれからの未来よね?




なんか、わたしが読んでいたものより

怖かったんですけど!



あんなに身体、真っ二つになんて

なってなかったわよ!




あれ、絶対痛いって!!




マンガでは

ブスッと刺されて終わりだったし

あの短剣も

あんな禍々しいものじゃなかったはず、、、




まさか、予知夢?

そして、未来が少し

変わってる、、、とか?




いやいやいや!

良い方向になってるならまだしも

ちょっと悪くなってない!?




あと、あの嫌な感じの声って

なんだったのかしら?



まるで、ミレーユが

何かに取り憑かれていたみたいな、、、




コンコンコン(ノックの音)

ビックッウ!!




「ひやぃ!」

へ、変な声出てしまった、、、。



「お嬢様、起きていらっしゃいますか?」


ミザリーの声だ。


「お、起きてるわ」

「失礼します」


ガチャっとドアが開く。



ミザリーと母のエリーゼだ。

エリーゼが微笑みななら話しかける。


「ミレーユおはよう」



さっきの夢とのギャップがあり

まだ心臓がバクバクしていたが、

2人の顔を見てだんだんと落ち着いてきた。


「お、おはようございます。お母様」


「うふふ、ミレーユ改めてルーデウス王子とのご婚約おめでとう。昨日のパーティは楽しめましたか?ずいぶんと疲れて帰ってきたみたいですけど」



そう言えば、いつのまにか帰ってきたことすら

気が付かなかったな。



たしか、最後の方とお話をしてフラッとしたら

誰かに受け止められて、、、。



「なんか、いろんな方といろんな話をしたので、頭ぐるぐるでいっぱいいっぱいでしたー。あはは!」



「ふふふ。それは大変だったわね。あなた、昨日は眠ったまま帰ってきたのよ」



「そうでしたか。最後の方なんて、誰と何を喋ったのか、そこからどうやって帰ってきたのか全然覚えてないですし」



すると、2人ともキョトンとした顔すると

「ミレーユあなた、帰りのこと何も覚えてないの?」

「ええ、なにも」



「「ぶっ」」

2人はいきなりクスクス笑い出した。



ん?わたし変なこと言ったかしら?



「え?何で2人とも笑うの?」



「いいえ、何でもないわ。覚えてないならいいのよ」

「そうですね」

「いずれわかる時がくるわ」

「そうですね」



なんか、2人ともわたしを

生暖かい目で見てるのは気のせいだろうか?




「さあ、お腹空いたでしょう?朝ごはんを用意していますよ」

そう言われた途端、お腹が「くぅー」と鳴った。




「えへへ。そう言えばお腹ぺこぺこです。」

2人に音を聞かれてちょっと恥ずかしい。



「ふふふ。シェフのトーマスが腕によりをかけて作りましたからね。行きましょう、お嬢様」




昨日の覚えてる限りのことを色々と話しながら

廊下を歩くと、使用人たちが頭を下げて通りすぎる。



最近では、ようやくわたしの普段の振る舞いが以前とは違う、と使用人たちに判断されたようで、屋敷の皆が挨拶を普通にしてくれるようになった。



もう、わたしにビクッとする人はいない。



それにしても、、、



なんだか、昨日まであった屋敷全体の

これまでのピリピリした雰囲気から

和らいだような感じがする。



わたしが婚約を無事にしたことで

この家自体が何かの山を越えたのか?




それはあるかもなぁ、、、。

わたしは未来の王妃候補になったのだから。



そして、死亡するという

ルートの回避もまだできていない、、、。



食堂の部屋に着くと、ユーズワルトとアルノルト、そしてジルラークが長テーブルで食事をしていた。



「おはよう、ミレーユ。昨日は楽しかった?」

アルノルトがニコニコしながら声をかけてきた。



「あ、あは、は。お、おはようございます。ユーズワルト兄様、アルノルト兄様、ジルラーク兄様。」


「あぁ、おはよう」

ユーズワルトが表情を変えず答える。


ジルラークはうつらうつらしながら

「、、、おはよう、、、」



個性あるなぁ、、、。

全員が全く反応が違う。



アルノルトは人懐っこい犬っぽいし、

ユーズワルトは寡黙で危険な檻の中の虎っぽい。


ジルラークはいつも食べながら寝てるパンダのようだ。パンをちぎりながらもそもそ食べている。

と、ジルラークの目の前にはロールバンが山盛りになっている。パンがよほど好きなようだ。

やはり、パンダっぽい。




じゃあ、父親は、、、

一番危険なゴリラかな。




ここはあれだ、ドルメネール動物、、、



「ミレーユ今なんか、俺たちに対してすごく失礼なこと考えてないか?」

アルノルトがツッコミを入れてきた。

「いいえ?そんなことないです」

「ふーん」




しれっとポーカーフェイスで返すも、それをアルノルトもまるで相手にしてないような返しだ。

なんともシュールな空気に包まれた。




変なところ鋭いなぁ。

きをつけないと。




(わたしこそ、朝からなんてアホなことを考えるんだ。まだ疲れてるんだな。)

とか思ってたら食事が運ばれてきた。



あれ?今日はわたしの好物ばかりが並んでいる気がする。



焼きたてのロールパンと添えられたバター

ふっくらとしたオムレット

燻製したハムにキャロッテの甘煮

コナッツという種を燻したドレッシングのサラダ

キノコのスープ



バターの甘い香りがミレーユを包み込む。



トーマスが料理を並べながらニコニコ声をかける。トーマスはこの屋敷の料理長で二代目だ。

代々、この屋敷の厨房を任されている。

気さくで明るく優しい男である。

縦にもでかいが、横にもでかい。




腹の出方が少し心配ではあるが、

この体型は、食いしんぼうな料理人なら異世界を超えた共通事項だ。



「ありがとうトーマス。今日のご飯もとっても美味しそうね」



「ありがとうございます。本日は、ミレーユ様がお好きなメニューを揃えさせていただきました❤︎

最近は、美味しいお食事のレシピも一緒に考えてくださって助かっております。私の料理の知識だけでは限界がございました。ミレーユ様の発案されるレシピは、斬新だけど理にかなっていて、皆様からご好評いただいておりますよー。」




(え?そうなの?)

「え?そうなの?」



あれ?今わたし声出てた?

いや、これはわたしの心の声と同時に出た

ジルラークの声だ。



兄たちに顔を向けると、アルノルトがニッコリ笑顔で返す。

ジルラークは意外そうにわたしを見つめてる。



ユーズワルトにも目をやると、急に立ち上がり

「昨日はご苦労だったな」

と、一言言って行ってしまった。

ユーズワルトの食事していた場所に目をやると全ての皿が空になっている。



ミレーユが知っている以前のユーズワルトは、無言で好き嫌いが激しい少食なポーカーフェイス。いつもなら微妙に料理を残して席を立つのだが、今日の彼の皿は全て空になっている。




うわぁお。



(何となくだが、これは、ユーズワルトも少し最近のわたしの所業を見直しているのかも?だったらいいなぁ。あ、食事の挨拶っと。)



胸の前に手を組む。



「天におわします女神よ。あなたはわたしに食事をお与えくださいました。全ての命に感謝しいただきます」



この国では、一定の宗教がある。

この世界を作った創造主ルラージュ女神を

崇拝する国家宗教だ。




この国の全ての頂点は国王だが

国王ですら女神の加護があることで、

力を持っていられる。だから

国王は英雄だが、全てをひっくるめて

助けてくれたのは女神様。

とする考えだ。




まあ、要するに

異世界版の神話みたいな感じだ。




まあ、前の世界の日本でも

「いただきます」て、言ってたからね。

それを丁寧に言う感じだ。




まあ、でも、こういうのって大事だよね。

確かに命をいただくんだもんなぁ。




皆でする食事の際にはこれがこの国の

マナーとなっている。



言い終わって、オムレツを口にする。



うん……まぁーい!




このトロッファッとしたオムレツ

やっぱり美味しいわぁ〜。


ロールパンもほんのり甘くて柔らかい。


やっぱりパンはこうでなくちゃね。



それまでのこちらでのパンは

少し硬めが当たり前だった。



フランスパンのようで美味しいのだが、

こればっかりだと飽きてしまう。



そこで、いくつ食べても飽きのこない、ロールパンのレシピを提案した。



ドルメネール領では牧畜がさかんで

良質な肉、ミルクやバターがよく摂れる。

美味しいパンには必須の、その産物を生かせることなくパンが作られていたので、それは勿体無いと、提案したのだった。




これは、前の世界でもよく作っていたのだ。

普段、塞ぎ込んで少食だった前世の母がこれだけは食べてくれていた自慢の一品だ。




パンと卵のハーモニーにうっとりしてると、ジルラークが話しかけてきた。




「ミレーユがこのパン作ったの?」

「あ、いえ、わたしはレシピを提案しただけで、作ったのはトーマスですよ」

「すごく美味しい…」

パンをちぎり食べながらジルラークはいった。



「それはよかった!よかったわねトーマス」

「はい、お嬢様のおかげでございます」

「それに、わたしが考えた、というわけではございませんわ。ジルラーク兄様のおかげですよ」



「え?ボクなんかした?」



「お兄様の図書室にあったお料理の本がすごく役に立ちましたわ!」


「え、このパンの作り方の本なんてあった?」



「いいえ。このパンの作り方は書いていませんが、酵母の作り方のレシピがあったんです」


「それは知ってる。でもあの本はこんなに柔らかいパンを作る作り方はなかったはず。酵母を使うのは発酵食品ばかりだと思ってた。パンに関係あるなんて書いてなかったよ」


「はい!パンは酵母があるからふっくらとしたパンになるのですよ」


「そんな使い方があるなんて…でも、よくわかったね」

「えっと、ま、前にいた何とかっていうメイドが酵母のことを話してたことがありまして、そそれを思い出しましてパンに使えないかなーって。試してみたらたまたま作れた、というわけです」



うう、ジルラークよ。

あんまりこれ以上、質問しないでくださいな。

辻褄合わせるのが難しくなってきた、、、。



「…すごいな、ミレーユ」

そういうと、ジルラークは少しうつむいた。


「いえ、あのパンができたのは兄様のおかげです!すごいのは兄様ですわ!」


「え?ボクは特に何もしてないよ」


ミレーユの発言が意外だったのか少し驚いた様子でジルラークは顔をあげる。


「兄様、なにをおっしゃってるの?兄様がどこにどんな本があるか、を徹底的にわかっていたから私もすぐに本を見つけられましたし、すぐに行動できてパンの作り方の閃きがおきたんです!兄様が居なかったらまだこのパンは成立していませんわ!」



ふんっと鼻息を荒くして応える。

そうよ!このスマホがない世界なのに、検索スピードが素早くできたのは完全にジルラークのおかげだわ!



「あの膨大な量の本なんて、どこに何があるのかなんてわかりませんことよ。それを全て把握されてる兄様は天才です!」



この言葉にジルラークはハッとした。



いつ…だろう。

これと同じことを以前誰かに言われたような、、、。



『すごい!よくこんなに把握していたわね。あなたは天才よジルラーク』

(母様…)



ジルラークは何かを思い出したかのように、またうつむいてパンをちぎりながら食べる。



その顔には、少し赤みが刺し

少し微笑んでいた。



隣でその様子を見ていたアルノルトは

ふっと微笑んだ。



その様子を見守るように、エリーゼがうつむき黙っていたことに、その時わたしは気が付かなかった。



そして、またさらに

予想もしない出来事が近づいてきていた。



一一一一一一一一一一一一一一一一


「うーん❤︎美味しかったぁー。昨日の疲れも吹っ飛んだわ!」

「ようございましたね、お嬢様。

お嬢様のおかげで私どもの賄いも、美味しいものが並んでおります。」

「そうなの?よかったー!」

「今日はこれからお嬢様の考案されたレシピスコーンを作ると料理長が」

「やったー!楽しみだわ!」



あのスコーンは、紅茶によく合うのよねー。

んふふふー。



廊下を伸びをしながらミザリーと歩く。

なんか、幸せだなぁ。

ずっとこんな時間が続けばいいのに。




するとそこへ、メイドが1人駆け寄ってきた。




「ミレーユお嬢様!大変でございます」

「ん?どうしたの?」




「きゅ、急にルーデウス殿下がこちらへお見えになることが決まりまして…」


「はぁ?いつ?」


「今日の、、、その、、、」


「今日?!」


「はい、で、あの、、、」



カツン、カツン、カツン。



「こんにちは、ご機嫌麗しゅう、ミレーユ嬢」



この声、聞き覚えがある。



振り返るとそこには

わたしの未来の天敵

ルーデウス第二王子がいたのだった。







なんでいるのーーーーー?!


今回は美味しいお話でした。

食いしん坊の作者が書いているので

ご了承ください。

次回は、急に現れた王子との接近戦です。

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