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第1章⑥お兄様とデートその2

アメリのブティックを出ると、



くぅぅぅ



お、お腹が鳴ってしまった。



だっ、だってしょうがないじゃんか。




県のお稽古の後、軽く朝ご飯を食べて、

湯浴みしておしゃれして出かけて、

一仕事片付けて

今ようやく正午位でしょう。




お腹くらい減る。

でもちょっと恥ずかしい。



ちらっと見るとアルノルトは

吹き出すと思いきや、ふっと微笑むだけで



「何か食べに行こうか」と提案してきた。



女性が本当に恥ずかしい時は、

スマートに流すのね。



むしろ、こう言う時こそ笑って

つっこんで欲しいのだが

これが本来のスマートな男子なのだろう。




エスコートもそうだけど、

こういうレディファースト的な

扱いされることに慣れてないから

気恥ずかしいな、、、。




しかし、アルノルトは

17歳でこれができるって

大したもんだ。

モテるのがわかる気がする。




「はい、ぜひお願いします」




ふふっと微笑むその笑顔

反則です!




とあるレストランに着き、

席に通される、

おお、なんて豪華な。




出てくる料理は

前菜、お肉、パン、スープ



、、、、。




前々から思ってたけど

正直、この世界の料理は



まあ、普通においしいよ。



おいしいこともあるのだが

しかし、、、




味付けがワンパワーン!(泣)




レストランでも塩が主流

バターソースが主かなぁ。

お酢もあるかな?

お肉は良い部分だけを焼いて塩と胡椒。

スープは野菜スープがほとんど。




お野菜は煮るだけ。

塩かけるだけ。




こないだも茹でて塩かけた

グリンピースみたいな豆が

山盛り出てきたもんなぁ




いかに、前の世界の

料理が充実していたか

美味しいものばかりだったかを思い知る。




ブレンダーとかもないもんなぁ。

あれば、ポタージュとか

他のソースも作れるんだけど。




そもそも、電気がないから無理か。




せめてトマトソース

くらいは欲しい。

トマトソースがあれば

ケチャップも作れるもんね

トマトみたいなのあるかしら?



あと、お酢!

お肉が柔らかく焼けるし

味の幅も広がるわ。



あ、それと小麦が手に入れば

パスタとか白いパンも

作れるかもなぁ。




そうよ!

フランスパンとか

イギリスパン的な

ものもいけるはず!



イースト菌があるか

わからないけど、

酵母を作れば

柔らかいパンができるしね!




ハーブとかも欲しいし、

トマトとかないか

今度探してみようかしら?




これでも、前世では

節約のために

自炊ばっかりりしてきたから

割となんでも作れるのだ!



なんて思ってたら、

アルノルトがニコニコ

わたしを見ている。




「お、お兄様美味しいですね」

「そう?普通だよこのくらい」


やっぱりそうですよね。


「そ、そうですか」


へへへ、と変な笑いで取り繕う。



「それよりも、なんだかいろんな顔して

たけど、何を考えていたの?」




「え?ああ、味がワンパターンだなって思いましてなんとかもう少し味の種類というか、料理が増やせないかなと思ってました。」




「へぇ。うちのお姫様は味の種類なんて考えるんだ?」



「あまり考えませんか?」

「うん、こんなもんだろうと思ってたよ。でも面白いね、それ。」



「え?、、、あ、あはははは」




やっばーい。



なんとか誤魔化したけど

そうか、そういう味への追求とか

概念がこの世界の人にはないのか。




これが常識なんだな。




通りで、似たようなご飯ばっかり

みんな文句一つなく

食べてると思ったよ。




まあ、冷蔵庫もないもんね。

保存とかも限られるのかぁ。



そして、やはり味が多くないのか。

それはちょっと、、、

なんとかしたいなぁ。




死亡フラグのこともあるから

あんまり目立つことは

したくないけど、




ご飯事情はどうにかしたい!!




「お兄様お願いがあります」

「なーに?」

「この国の食べ物のことを知りたいです!どうしたらいいですか?」

「食べ物の何が知りたいの?」

「どんな動物のお肉があって、どんな野菜があるのか、どんなものを私たちが食べているのかを知りたいのです!」

「ふーん。でも、それ知ってどうするの?」

「わたしが料理します」

「ぶふっ」




アルノルトが食後の紅茶を吹きそうになった。

でもさすがお貴族様。

吹かなかったね。




「料理?ミレーユが?」

「はい!」

「どうやって?」

「それは、、、勉強します」




そういえばここにはガス代もレンジもない。

あるのはきっとかまどとオープンだろう。

包丁だってどんなものがあるかわからない。




ある意味、ここの台所事情を知らないため

一から学ぶ必要がある。

屋敷を火事にでもしてしまったら

それこそ首を切られかねない。




だけど、だけども!

ここのご飯の味が進歩のないまま

進むのはあまりに酷だ!




思えば、ここまでよく

我慢してきたと思うくらいだ。



食中毒が心配だから

生モノはさすがに無理としても

燻製モノとかならいけるはず!




腸詰はあったから、

日本で食べてたレベルのポトフくらいは

作れると思うのだ。



だってこっちのスープ

塩の味しかしないんだもん!



茹で汁とか

捨ててる可能性がある。

出汁とか考えないのかもしれない。




すると、アルノルトが何かに気づいたように話し始めた。



「あれ?でもさ」

『はい?」

「ミレーユは今、剣術やって、他の勉強もして、魔術もこれからやるんでしょ?加えて食べ物のことも学んで、料理もやるの?」



指を折りながら数え、何か気になるような素ぶりのアルノルト。



「ええ、まあ。」



まあ、たしかにたくさんあるし大変だろうが、

なにか気になることでもあるのか?




すると、アルノルトの表情が変わり、

ニコニコっとした。



うっ、なんか嫌な予感。



「ねえ、ミレーユ。全部なんだかすごく

楽しそうだけど、なんていうかさ、

これっていずれ家出して

冒険者やる、とか考えてる人みたいだね?」





、、、やっばーい!!





料理に関してはそんなつもり

なかったんだけど、そう言われてみれば

この流れで料理までできちゃったら




完全に外で生きていけるよね。




「あ、あはは。そ、そんなこと考えても見なかったですわ。流石にそれはないです。わたくしはただ、美味しいご飯がもっと食べれたら良いなー、と思っただけでしてよ?」



「ふーん」



なんだか、ふくみある返事ね。

えーと、えーと、



「そうです。だって、わたしがこれから料理が作れたら、大好きなアルノルト兄様にも美味しいものを振る舞えるじゃないですか」

「え?」




あれ?アルノルトの顔が一気に

なんか、キラキラしてるように見える。




お、意外にも嬉しそうなのか?

この話題に食いついたのか?

よ、よーし!

この路線で押し通そう!




「わたしはお兄様に喜んでもらいたくて考えたのに、お兄様がいる家から出るなんて、考えませんわ!」



本当は違うから、アルノルトごめん!

でも、



膨れっ面で妹萌え顔フィニッシュ!!




リンゴーン。

祝福の鐘の音が聞こえるかのように

綺麗に決まった感、、、!



ほおが薔薇色に染まったアルノルト

なんか、可愛いな。



「そ、そうなんだ、、、嬉しいな」



今ならわたしでもさすがにわかる、、、。

アルノルトの顔がいい感じで破綻してるし。



でも、美形って破綻しても美形なのね。



最近まさかとは思ったけど、アルノルトが

ちょっと妹萌えしてる気がしてたのよね。

ラノベ系の漫画読んでなかったら気づけなかったけど、読んでてよかったわ。




100パー思いつきだったけど

この作戦、バッチリだった!




変な疑いも晴れたっぽいし、

よかったぁー。

あたしグッジョーブ!




するとアルノルトが何かを

思いついたように言った。



「あ、じゃああいつに協力してもらうのはどうだろう?」



「え?『あいつ』とは?」

「ジルラークさ」

「あぁ」



そういえば、そんなやついたなぁ。

あのメガネくんだよね。

人に興味なさそうな。



「あいつは本の虫だから、きっとミレーユが今、欲しい情報が書いてある本をいくつも知ってると思うよ。あ、ついでに魔術バカだからそっち方面も、色々聞いてみるといい」





ガッシ!


「え?」


「お兄様、やっぱりお兄様は素晴らしいです!ありがとうございます!」



さすがアルノルドだ!

毎回そうだが、この男はやはり

あたまの回転が早いし機転が素晴らしい!




アルノルトの手を両手で包み込み礼を言うと

アルノルトの顔がまた薔薇色になった。




んふふふふ。よぉーし!

これで料理も魔術もどんどん行くぞ!



一一一一一一一一一一一一一一一一


ガラガラガラ

遠くから場所のような音がする。




「奥様、お嬢様たちの馬車が帰ってきましたよ」




ドルメネールのお屋敷に馬車が到着した。




ミレーユが馬車を降りるとエリーゼと

ミザリーが迎えてくれた。



「ミレーユおかえりなさい」

「お嬢様、おかえりなさいませ」

「お母様、ミザリーただいま帰りました❤︎」




今日はずっと一日中アルノルトといたからか、ミザリーの顔が懐かしく感じて、なんだかホッとした。




「あら、随分ごきげんに帰ってきたわね。そんなに楽しかった?」




「はいお母様、とっても!アルノルト兄様にたくさん楽しいところへ連れて行って頂き、たくさんお話しもしましたわ!」




「アルノルト、、、が?」

「はい!お兄様にアメリのお店でもたくさん助けていただき、お店の方ともドレスのお話しをいっぱいしました」




エリーゼは、一緒に帰ってきたアルノルトを見る。

アルノルトは少し罰が悪そうな顔をしている。




ん?なんだろう。

なんか、いつものアルノルトの

雰囲気じゃないな。




「ミレーユの世話をありがとう、アルノルト。その、、、大変だったでしょう」

「いえ、そんなことは。ではわたしはこれで失礼します」

「あっ、、、」




もう少し話したそうなエリーゼを背に

アルノルトは足早に自分の部屋に帰って行った。




ずいぶんとさっぱりしてるな。

いつもはニコニコしてるのに。

さすがに疲れたのかな?




まぁ、いくらアルノルトが

しっかりしてても

思春期の男の子だもんねぇー。

お母さん相手にはあるある。


まあ、仕方ないよエリーゼ。



わたしも、ご飯食べて

ゆっくり湯浴みでもしよう。




「ミザリー、お腹すいたわ」

「はい、本日はお嬢様の好きなお野菜とキノコたっぷりのスープですよ」

「やったー❤︎」



キノコが入ると他のより出汁がでるから

このスープが一番好きなのよね。




そん私たちの背中を見送る母の顔は

少し憂いていることを、この時のわたしは

気が付かずにいた。





そして、もう1人。一一一




ガチャ、パタン。

「アルノルト様、お帰りなさいませ」



アルノルトは自分の部屋にいた。

ジャケットを脱ぎ、メイドに渡す。



コンコンコン

「はーい」

「失礼いたします」



侍女長のエレンだ。



「アルノルト様、お疲れのところ申し訳ありません。旦那様が今すぐ来るように、と、お呼びでございます」

「あぁ、すぐ行くよ」


いつもの貼り付け笑顔で返す。


エレンはお辞儀をして部屋を出て行った。




はぁ、、、

そんなに急がなくても。

よほど気になるんだな。




まあ、王太子との婚約が決まるまでは

あの人が落ち着くこともないか。




鏡の前で顔を手で洗うように覆うと、

ハッと手放す。




いつもの貼り付けの笑顔を作ると、

「よし」

と言って、アルノルトも部屋を出た。




一一一一一一一一一一一一


次の日の朝。


うーん!よく寝た!




昨日は久しぶりに外に出て

街歩きしたからか、

ぐっすりだったわね!




ミザリーに髪を結ってもらいながら

昨日のおさらいと本日の計画を立てる。




やっぱり、たまには外に出るって

大事だわね。

なんか、いつもより肌艶がいい気がする!




そ・し・て!




今日はアルノルトとジルラークに

会いにいくのだ!




漫画の本編の中では、

ジルラーク自体は全然

重要じゃなかったというか、、、




むしろ、登場してなかった気すらする。



ジルラーク÷ドルメネール 13歳

なんでも、



魔術バカやら

本の虫やら

極度の人嫌い

と、きたもんだ。





ドルメネール家の中で一番の

『変態』と噂されるほど。





前の世界でいう

よくいえば研究者とか、

まあ、ヲタク部類だろうな。




わたしとしては、

魔術の事とか、料理の事とか

本を探すのを手伝ってもらえれば

それでいい。




好きとか嫌いとか

どうでもいい!




わたしは、美味しいご飯が食べたいのだ!!

※あまりの欲の深さで目的がすり替わってることに気がつかないミレーユ。



一一一



アルノルトの部屋一一



ミレーユが手を握って話しかけてくる。

「お兄様、ありがとうございます!」


エリーゼが悲しい顔で笑いかける。

「ミレーユのお世話大変だったでしょう」


勝手なことをいう父。

「ふん。そうか、ご苦労だった。

引き続きアレがどう動くのか

わしに知らせろ。行っていいぞ」




ミレーユのような小さい女の子が

後ろを向いている。

「ミレーユ?」

振り向いたその子は悲しそうな表情をしていた。




「お兄様はわたしを疑っているのですか?」



コンコンコン




誰か、、、来たのか?

一一一一一一一一



コンコンコン

「失礼します」






まだ眠い、、、。

楽しかったけど疲れる夢を見た気がする。



内容は覚えてないけど。




「もう少し寝かせてくれ、、、」




「失礼します、アルノルト様。おはようございます。お休みのところ申し訳ありません。アルノルト様にお会いしたいとおっしゃる方がいらしてまして、えっと、、、その、、、」

「え、、、だれ?」




「おはようございます!お兄様。今日はお寝坊さんですね」




アルノルトの専属メイド、リーシャの後ろから

ミレーユとその後ろにミザリーが居た。




ん?おれはまだ夢の中か?

ミレーユ、今日もかわいいな、、、。




今日は、長い髪を下ろし

編み込みをして横に流している。

本当に落ち着いた装いが増えた。

若草色のドレスワンピースを着て

リボンも同じ色で揃えている。




あれ?ミレーユがなんで俺の部屋に?



「ミレーユ、、、?あれ?なんで?」



「あれ?じゃないですよ。約束したじゃないですか。支度をして早速参りましょう、お兄様」



このかわいい妹は何を言ってるんだ?

約束ってなんだっけ?




「え?どこに?」

「ジルラークお兄様がいる図書室です!」





「、、、あー、、、」




満面の笑みでミレーユはニコッと笑った。



一一一一一一一一一一一一


「お兄様、昨日は夜寝るの遅かったんですか?」

「うん、、まあ、ちょっとやることがあってね」

「そんな時に起こしてしまい申し訳ありません」

「いや、大丈夫だ。約束したからな」




話しながら、図書室へ向かう。




昨日、アルノルトは帰ってきた後、

わたしのことで

カリウスに呼ばれたらしい。




メイドさん達が朝から噂をしていた。



というか、

そういえば、最近なんだか

前よりも耳を澄ませると、

遠くの人が話してる話も聞こえるように

なってきたのだ。




これ、魔力の関係で

耳が良くなったという、

ことなのだろうか。




少し前に、

メイドさん達の噂話で

魔力が高いと耳の聞こえが

更に良くなるらしい

って、話があった気がする。




メイドさん達の話は

ここに転生してきた時から

よく聞こえてはいた。




最初は、主人がいるのに

聞こえる場所で悪口話すなよー

なんて思ってたけど、


見ると、そんなに近くに

いるわけじゃない。

声も大きい訳じゃない。




だとしたら、原因は完全に

わたしの耳だろうな。

という結論になった。(わたしの中で)




そんなわけで、先日

少しだけ離れた位置で

家族の話を聞けるか

実験したところ




ユーズワルトやアルノルト

エリーゼあたりがする廊下などの

他愛もない会話は

聞こえるが、




一番気になっていた

カリウスの書斎での話は

すぐ隣の部屋にいても聞こえない。




もしかしたら、

音や声を遮断するような

結界とか、魔法をかけてる

可能性がある。




まあ、そういうものがあるなら

普通は使うよな。




お貴族様の重要事項が

ダダ漏れって

死活問題になりかねない。




まあ、そこらへんの魔術関係のことも

たくさん知りたいし早く図書室へ行かねば!




「さぁ、ついたよお姫様」

「う、はい。ありがとうございます」




まだまだ慣れない、お姫様呼び。

って、慣れてたまるか!




ドアを開け見上げると、そこは




と、図書館!?




前世での図書館までは及ばないが

思ってたよりも規模がでかい!



この屋敷の中に

こんなすごいところがあったなんて。



しかし、当たり前だけど

本がいっぱいだ、、、




こっちの世界では

本は貴重品。



作るのが大変なこともあって

一つ一つが高額だ。



魔術本なんてほとんどが一点もの。

同じ本はないと言われてるくらいだ。



印刷技術が近年、ようやく

生まれたらしいが、まだまだ

世間に広まるほどではないらしい。




「一つ一つが貴重な本だから丁寧に扱うんだぞ」

「はい、心得ております」

「よし、いい子だ」




「まずは、そうだな。

どうしよう、どんな本がいい?」





「魔術の基礎とか、初心者用の本があれば

嬉しいです。あと、食べ物のほうは、

薬草とか植物がわかる本と、私たちが食してる動物や獣の本をまずは見てみたいです」




「なるほどな。ならばやはりアイツの力を借りるか」


ジルラークのことか?



「アイツは多分、あそこにいるな」

「あそこ?」




アルノルトについていくも、

図書館の中央の方にガラスで囲まれた

庭園のようなものがあった。




マイナスイオン!!



なんだこれ!

これは完全に

癒し空間じゃないか!




こんなところで本を読むことを

考えるって、なんて贅沢。




金持ちが考えることって、、、




っていうか、こんな知恵があるなら

もう少し食べる食事の味とか追求しろよ!




この世界の金持ちの

金遣いのレベルに引きながらも

庭園を歩いていると



いた。



1人の少年がテーブルに向かって

本を読んで何か、書き物をしているいる。




金髪、わたしと同じ青い目

まるメガネ。さらさらなストレートで

ぱっつんマッシュルームヘア!




ショタ好きなお姉さんいたら

たまんないタイプだろうな。

しかし、





勤勉。





この言葉が頭に浮かんだ。

これ、話しかけていいのかな?




でも、この子1人でいるな。

専属のメイドもいない。



アルノルトの方を見ると

わたしの方を見てニコッと笑い

ジルラークの方へ振り向き



「やあ!ジルラーク」




いきなり声かけた!

しかも声でかい!



ジルラークは

見向きもせず

驚きもせず

書き物をしながら




「なんでしょう、アルノルト兄さん、ミレーユ」




え!見えてるの!?

顔あげてないよね!!




「ジルラークは、最近全然ミレーユと話してないだろう?ミレーユが本を読みたいっていうから、連れてきたんだ。挨拶くらいしてやってあげてよ」




「お、お久しぶりですジルラークお兄様」



最近はお母様に褒められるカーテシーを披露しながら挨拶をした。



ジルラークはめがねを抑えながら顔を上げる。

「うん。久しぶり」



あ、思ったよりもちゃんと

挨拶してくれるのね。

ってもう、顔戻してるし!



書き物の手も止めない。

よほど大切なことのようだ。

テーブルに向かい続けながら

ジルラークは続けた。



「で、わざわざお二人で来たってことは、ぼくに何か御用でしょうか?」



「そうなんだ。さ、ミレーユ」



「は、はい。魔術の基礎の、できたら初心者用の本を探しにきました。あと、食べ物のことを調べたいので薬草とか植物がわかる本と、私たちが食してる動物や獣の本をお借りしたいです」




「ラーの383番

フィーの470番

ルーの408番



に、あるよ。」




「え?」



「ラーの383番

フィーの470番

ルーの408番



に、あるよ。」



え、えっと、



「ラーの383番

フィーの470番

ルーの408番



に、あるよ。」


 



急に、RPGゲームの街の人のように

同じ事だけを繰り返すジルラーク。




ジルラークが壊れた?




あ、でも、

もしかしてこれって、




「そ、その本がある場所の番号ですか?」

「そうだよ」

「あ、ありがとうございます!探してみます!」




すごい!

本の場所がすべて

あの頭に入ってるのか?




ラー、フィー、ルー

というのは、この世界でいう文字

「あかさたな」や「アルファベット」

みたいなものだ



早速探すと、

本当にその場所にあった。



すごく正確に覚えてるんだな、

あれ?ってことは




「ジルラークお兄様、ありました!」

「うん、返す時は必ず僕に言ってね」

「え、でも、そのくらいはやりますよ」

「いや、適当な場所に戻されても直すのが

面倒くさいから」




あはは、やっぱ、

そうですよねー。




「ジルラークは父上からもこの場所の管理を一任されてるんだ。父上でさえ、ここから本を持ち出す時にはジルラークに声をかける。そうしないと、あの父上にこいつはあり得ないくらい怒るからね」




まじか。す、すごいな。




「わ、わかりました。ジルラークお兄様はいつもこちらに?」

「うん、だいたいここにいる。ここじゃない時は、ドアにいる場所を必ず張り紙してるから、そこに来て」




まるで、図書館の従業員みたいだ。




でも、「人嫌い」とか「変態」って聞いていた割には

思ったよりも優しい気がする。

色々教えてくれるし、こちらを面倒くさいと言って

邪険にしたり、ガン無視されるとかくらい

覚悟してたのに。




「あ、本を無くしたり、乱暴に壊したりしたら●すからね。」



前言撤回、怖い子❤︎

小さい子に●すとか言っちゃだめよ⭐︎




「そういえば、ジルラークお兄様は先ほどから何を書かれていらっしゃるのですか?」

「ミレーユにはまだわからないものだよ」




即答か。


そりゃ、そう思うか。まだわたし5歳だしな。

中身は28歳だけど。




でも、ちょっと気になる。

角度的にジルラークの手で何が書いて

あるのか見えない。




ちょっと背伸びしたら、、、

「あ!」



転んだ、、、。




本をミザリーに持っててもらってよかった。

きっと、ジルラークの鉄拳が飛んできただろう。




でも、いったたた




「大丈夫か?また頭打つなよ」

アルノルトがお姫様抱っこをしてくれる。

って、またこれかい!



「だ、大丈夫ですわ、おにいさ、、ま」




って、あれ?これって、、、




アルノルトにしがみつきながら

そこから見えたのは

小さい魔法陣だった。



 

しかも、何個もいっぱい書いてある。




「ジルラークお兄様、これって、ま、魔法陣ですか!?」

「え?わかるの?」

「すごーい、綺麗!しかもこんなにたくさん!」




この世界に魔法陣が存在することは

知っていたが、

実際に初めてみた魔法陣は

思っていたよりも芸術的で美しかった。



三男のジルラークが初登場です。

実は、キャラ設定がいちばん楽しかったのが

ジルラークです。

多分、わたしがヲタクの可愛い子が好きな

変態だからでしょう。

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