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フリージア
私にも、かつて旅路を共にした人はいます。長い人生ですから、それなりには
とは言っても、もし彼女と出会わなければ誰かと旅をするなんて、絶対に無かったでしょう
その旅人と出会ったのは山へと続く畔道です
彼女が木陰で休んでいた時、通りかかった私を呼び止めました
「どこまで?話し相手になってよ」
了承した覚えはありませんが、いつの間にか彼女は隣を歩いています
気ままな彼女は、宛のない旅だからと私と共に山を越え、海すら渡りました
やがてその音が消え、フリージアが咲いた時、何とも言えぬ虚が私を襲ったのです
もうこんな思いはしたくないと、考えたこともあります
でも、孤独というのはそれ以上に寂しいものでした




