表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノアの旅  作者: 衣吹
【あなたをずっと待っていた】
20/35

開いた海路

 船のことを相談したいと思ったが、なかなか切り出せずにいた。海賊狩りと言っても、彼女もまた海賊であるならば、頼み事を聞いてくれるとは思えない。だがセオドアのそんな思惑をよそに、ヨハンネスは聞いてしまった。


「なぁ、俺達アルバディアに行きたいんだけどさ、そっちに行く予定とかない?」


「ん?連れて行ってやらないこともないよ?でも、ダメじゃないか。先に頼みごとをしたら。どんな対価に応えても、頼んだ方はいつまでもその恩を抱え続けるんだよ。」


 アレグリアは勝ち誇ったような顔で、カウンターに肘をついてグラスを揺らす。


「ずっと待ってたのさ。あんた達が私に頼みごとをしてくるのをね。ルカコスに着いた時から、うちの斥候があんた達に目をつけていた。腕が立ちそうな旅人が三人、船を探しているってね。だからわざわざ陸に降りて直接見に来たのさ。」


「つまり……、どういうこと?」


「さぁね。じゃあ、取引をしようじゃないか。この嵐の中、アルバディアに私があんた達を連れて行ってやる。私にはルカコスも手を出せない。私以上に船の扱いがうまい奴もいない。行きたいところならどこにでも連れて行ってやる。その代わり、宝探しを手伝ってくれないか?」


 アレグリアはそう言ってセオドア達にグラスを差し出した。だが彼女の出した条件である宝探しは、本当にそれだけだろうかとむしろ怪しんでしまった。それでも、彼女の他に船を出せる人はおらず、先に進むためにはこの提案を受けるしかなさそうだ。それにヨハンネスとヘレーナは乗り気らしい。すでにグラスを持ち上げていた。


「提案を受けよう。」


 互いのグラスが重なり、高い音が鳴る。グラスを鳴らした者達は皆、残っていた酒を一気に飲み干した。


「さ、これで契約成立だな。明朝に出発だ。遅れるんじゃないよ?」


 そう言ってアレグリアは男たちのテーブルへ戻って行った。嵐のような人だったと思いつつ、酒場の外に目を向けるともう日がすっかり沈んでいた。


「宝さがしにわざわざ余所者勧誘するなんて、よっぽどな場所に連れていかれそうだな……。早めに帰るか。」


 セオドアがそう言うとヘレーナもうんうんと頷き、ヨハンネスはすでに席を立っている。バーマンに代金を支払おうとすると、それは既に済んでいた。アレグリアを見ても、彼女と目線は合わなかった。酒場を出ると、目の前の海に先ほどまでは無かった大きな木の壁がある。見上げてみるとそれは巨大な帆船だった。きっとアレグリアの船なのだろう。近くには見張りが船を止めている岩に腰かけ、酒場から提供された酒を飲んでいる。明日この船に乗るのかと思うと、謎の宝さがしの不安を越えて興奮してしまった。昨夜も泊まった宿に戻り、今夜は武器の手入れをしてから休んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ