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俺とあんたであれやこれ  作者: 宮田カヨ
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pipkとくる…ぷにあげたあれを収納したこれ(エイプリルフール)

pipkとくる…ぷにあげたあれを収納したこれ

※荘司と修哉の話

※遅刻だけど許してください

 過度な束縛や嫉妬は無くなった。お互いの言い分を伝え、歩み寄る姿勢も取れた。自分のことを支配種と認めることはできていないが、それでも修哉のことを受け入れ、共にいることを選んだ。

 だが、荘司の溜飲は下がらない。

「修哉さん」

「なした?」

「その……パートナーシップ、解消しませんか?」

 この状況を理解するのに、荘司は時間を要した。

「なあ! なんで? 俺、また何か……」

 肩を押さえつけられているせいで起き上がることができない。涙が顔に落ちてきて、修哉の顔は苦痛と困惑で満ちていた。

「……修哉さん」

 怒鳴られる、あるいは殴られるものだと思っていたのに。

 子供のように泣きじゃくる修哉に、荘司は無理に腕を動かして体を起こす。

「修哉さん、落ち着いて……」

 服を握り締め、離れることを拒否する修哉。一度、束縛に耐えきれず家を飛び出したことがあった。あの時は、荘司も頭に血が上り、もう家なんかいらない、解約して新しい場所に住んでやる、と冷静さを欠いていた。

「……あの、今日は何月何日ですか?」

「んなこと……今関係ねえじゃんか……」

「いいから、何月何日ですか?」

「……四月……一日……」

 口に出して気がついた。猫のぬいぐるみを引っ掴むと、修哉は荘司の体に振りかざす。

「バカじゃねえのか! お前ほんと! マジで!」

「……エイプリルフールです。ごめんなさい、まさか……」

「やっていい嘘と悪い嘘あんだろ! ざけんなバカ! ……ほんとに……また嫌われたって……」

「仕返しってことで……ごめんなさい」

 涙と鼻水に塗れた顔をティッシュで拭いていけば、次第に涙と呼吸は収まりを見せた。

「……権限、やっからさ……謝るのとかもういいし……ちゃんとお前が俺のこと好きって、やってくれよ」

 服従種にとっての最悪の防衛本能に陥ってはいない。簡単になるような、修哉はそうではない。

 見捨て、家に帰って来ない。これが修哉の防衛本能を引き出す条件だ。

「……今日は、座る工程飛ばしてもいいですか?」

「……ん、いい」

 命令を待つ修哉。

「……修哉さん。『Kiss』してください、唇にしてください」

 顔を動かし、こちらへと距離を詰める修哉。受け入れ、荘司は抵抗を示さない。

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