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前世に飽きた魔王の孫、世界に首を突っ込む。  作者: 暇凡人T
二章 冒険者始動編

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その70 常識の外

 魔物の襲撃を考えて、俺たちは配置を変えた。

 俺が馬車の左前方に、カイルが右前方に。

 翔は後方だ。

 これの発案はカイル。

 なんも伝えてないのに、翔が後衛ってわかってるあたり、やるよね。

 そんな陣形を組んで、しばらく進んでいた。

 空間感知に、魔物の反応が出るまでは。

 

 「「ん…!?」」


 ハモった。

 今度は、俺とカイルが同時に気がついたみたい。

 前、いるよね。


 「前方、三匹かな。」

 「わかってるじゃないか。ただ、待機だぞ。後ろにも伝えとけ。」


 わかってらぁ。

 もう突っ込まないよ。

 面白くなかったし。

 そう考えながら、カイルに指示されたまま後ろを向く。


 「翔!魔物だ!結界頼む!」


 その声に応えたんだろう。

 馬車の周囲に、膜のようなものが上から降りてくる。

 翔の結界だ。

 それに呼応するように、馬車が止まる。

 どうせカイルが指示したんだろう。

 深い森の中、静寂が訪れる。

 さ、来るなら来い。

 

 「グルルルル…」


 喉を鳴らす音が聞こえ始める。

 その刹那、俺に大きな影が飛びかかってきた。


 ガギン!


 即座に抜刀し、防御する。

 だが、その影は引き下がることなく、俺の前に降り立った。

 俺の目の前に現れたのは…

 巨大な、虎だった。

 


 で、でけぇ…

 三メートルは余裕であるぞ。

 さっきの魔物の進化種かな…?

 面白い。

 今度こそ、一発で沈むなよ!

 俺は、鞘に入ったままの刀に手をかける。

 さらに足を開き、刀のある方に体をねじる。

 そこで、目を閉じ、深呼吸をした。

 目の前で、虎が俺を仕留めようとしている気配を感じる。

 今すぐ反撃したい気持ちはある。

 でも、まだだ。

 ・・・今!


 ズガガガァン!


 俺に飛びかかろうとした無防備な虎の腹に、刀が食い込んでいく。

 刀に肉を裂く感触などはなく、ただただ硬い、コンクリートのような骨を切っているような手ごたえだった。

 

 「・・・抜刀。」


 これで両断したつもりだったのに、なかなかやるじゃん。

 二つの意味で、ちゃんと骨があるねぇ。

 もっと楽しみたいけどっ…

 俺は、もう二匹の魔物がどこに向かったのかを確認する。

 ・・・やっぱそうだよね。

 仕方ない、さっさと終わらせちゃおう。

 

 「グオオオォ!」


 苦しみながらも、爪を敵へと突き立てようと地面に前脚を叩きつける。

 地面を抉り取るような一撃。

 当てたつもりだろうけど、俺はもうそこにはいないぞ。

 

 「跳転斬。」


 俺はすでに重力磁場を使い、虎の首元へと移動していた。

 さらに、その勢いのまま…


 ズッバァン!


 太い首を落とした。

 ・・・よし。

 こっちは終わり。

 次だ。

 俺は、視線をカイルへと向ける。

 そこには、二匹の魔物を引きつけながら移動しているカイルの姿があった。

 馬車から離れるように動いてるのか…?

 被害出ないようにするためか?

 いいや、とりあえず援護しないと。

 俺はカイルに向けて走り出した。

 


 

 キン!キン!


 武器のぶつかる音が響く。

 カイルは、二匹の攻撃を上手く捌いている。

 だが、防戦一方だ。

 さて、どう援護しよう。

 ・・・まあ、奇襲しますか。

 こっちがいいかな。

 俺は、カイルに飛びかかろうとしている豹の魔物に狙いを定め、跳んだ。

 高速で距離は詰まり、一瞬で目の前に豹が現れる。

 

 「剣戟球!」


 俺は剣を振った。

 虚を突かれた豹は、四方から襲いかかる斬撃に対応できず、バラバラに切り裂かれた。


 ボトトッ…


 豹の死体が地面に落ちる。

 そのまま俺はもう一匹を見る。

 白銀の毛並みに、雷のような印象を残す黒い模様。

 それは、白虎だった。

 さっきの虎より一回りデカい。

 強そー。

 今はカイルと打ち合ってる最中だし、俺は何もできないかな。

 無理に割って入ったら、カイルに攻撃当たっちゃうかもしれないし。

 見学しとこ。


 ガギィ!


 カイルの左手の持っている剣と、白虎の牙が競り合う。

 が、カイルは双剣。

 右手に持っている剣が、白虎の首を捉える。

 だが、即座に弾かれ、逆に白虎の大きな爪が横薙ぎにカイルを切り裂く…

 ・・・と思ったら、カイルはすぐに跳んだ。

 でも、その状態やばくない?

 そう、俺が思った瞬間。

 虎も跳んだ。

 案の定じゃねぇか!

 どうするんだ?

 空中じゃ回避もできないぞ?

 だが、カイルは慌てていなかった。

 足が空中を蹴ったと思ったら、蹴った方向とは反対に動き出した。

 まるで、空中にも足場があるかのように。

 なにそれ…

 俺、知らない…

 空中で縦横無尽に動いたカイルは、白虎を置き去りにして、俺の真横に着地した。

 

 「なにずっと見てんだ!援護してくれよ!」


 カイルは不服そうな顔で、俺に話しかけてきた。

 そんなこと言われてもなぁ…たぶん役に立たなかったと思うし…


 「いやぁ…邪魔になるかと思って…」

 「・・・なら、おまえが前衛をやれ。俺が援護する。」


 お、それなら大歓迎。


 「それなら任せて!」


 俺は勢いよく返事をする。

 そして、白虎と向き合った。

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