その48 街ブラ
街で遊…ううん!
ご飯も食べたいし!
宿も探さないとだし!
仕方ないね!
まずどこ行こっかなー。
とりあえず翔に着いて来てもらわないと。
お金は翔が持ってる訳だし。
「翔。なにか食べられるところ探さない?」
「お、いいな。ちょうどお腹が減って来てたし。店は優樹が選んでいいぞ。」
「わかったー!」
ギルドの外はたしか大通りだったはず。
そう思って、俺はギルドから出る。
すると…
「うーん?あれが武器屋…?であれが服屋…かな?で、あれが───」
さっきまで気にしていなかったが、店がたくさんあることに気がついた。
なぜわかるかって?
お店はことごとく看板があって絵があるからね。
それに、店から出てくる人とか見てるから。
看板はわかりやすくていいね!
ただ、こんなにいっぱい店あったかな?
・・・興味持ってなくて気づいてなかっただけか。
こんなにわかりやすいのに、ね。
どれから見よっかなぁ…
あ。
そういえば…
翔…まだ俺の上着着ただけじゃん!
ほぼ全裸の変態だよ!
さすがにそろそろ服着てもらわないと…
てことで、服屋にゴー!
「翔ー服買いに行くよー!」
「え?わかった…?」
少し困惑していそうな翔を連れて、俺は服屋らしきところに入った。
「おぉ…?」
店中に入ると、見慣れない服から見たことがあるような服まで、色々な服が目に入った。
興味をそそられる服もたくさんあるけど…
なんか、ザ!ファンタジー!な服、少なくない?
いや、デザインはいいんだろうけど…
もっとこう、さ。
ロマンがあってもいいじゃん…
「優樹?なんで服が欲しいんだ?」
んん?
コイツ…今の格好に違和感ないのか?
街でもちょっと変な目で見られたのに…
「もちろん、翔の服だよ!だって着てるの上着だけじゃん!」
翔が自分の姿を見る。
「・・・あぁ。確かに…」
こんな容姿じゃさすがにダメだと気づいたか。
でも、俺も服の良し悪しわかんないんだよなぁ…
前世も服には無頓着だったし。
翔に自分で選んでもらうか。
「自分で服選んでいいよ!あ、ただなるべく安くね…」
「いいのか?じゃあいい感じの服探してくる。」
翔が服を探しに行き、しばらくして戻ってくる。
「これとかどうだ?」
他の服吟味していた俺は、振り向いて翔を見る。
そこには、風の精霊がいた。
一瞬そう思った。
けど、よく見ると翔だった。
ワンピースのような服を着て、下に短めのズボンを履いている。
上下の服の組み合わせで、精霊のように見えたんだ。
服を変えるだけで、こんなにも印象が変わるのか。
「・・・翔、見違えたな。」
「そうか?だったらこれにするか。着替えてくる。」
そう言って翔はまた離れていく。
試着室にでも行くんだろう。
しかし、服って相当印象を左右するんだな…
俺も服買おうかな?
今の服もボロボロだし。
・・・まだいいか。
そんなにお金もないし。
また今度こよう。
「買ってきた。もう用はないよな?」
翔が現れ、一緒に出口に向かう。
「ああ。飯食おう!」
俺たちは服屋から出て飯屋を探し始めた。
俺は食事処を探す中で香ばしい、いい匂いが漂っていることに気がついた。
この懐かしい匂い…肉!?
どこだ!
どこからだ!
周囲を見回すと一つ、賑わっている店を見つけた。
匂いもそこから出てくる。
今すぐ飛び入りたい気持ちを抑えて、翔に相談する。
「翔!あそこがいい!」
「ん?まあいいけど…じゃ、行こうか。」
翔に許可をもらった俺は、その店へ素早く入る。
「いらっしゃい!」
そこは、居酒屋だった。
前世で言う居酒屋とは少し違う、だけど雰囲気は完全にそうだ。
カウンターとテーブルがあり、どちらにもちらほらと空きが見える。
歓迎の言葉があったため、近くの空いているテーブル席に座る。
「優樹、ここって…」
「酒場じゃない?いい匂いしたからきちゃった。」
翔は少し呆れた顔をしながら、店員を呼ぶ。
やって来た店員はメニューをこちらに渡して聞く。
「ご注文は?」
メニューを開き、翔が注文する。
「えーっと、じゃあこれと…優樹はどうする?」
小声で翔が聞いてくる。
そんなの一択でしょ!
「肉料理をください!一番美味しいやつ!」
店員はそれを聞き、何も言わず厨房に引っ込んでいった。
楽しみだなぁ…!
「おい、優樹…」
翔が何か言いたげにしている。
「なに?」
「店員さん困ってたじゃん…それに、もしお金が足りなかったらどうするんだ。」
「それは…確かに。」
「次から気をつけてくれよ?」
「はーい…」
怒られた。
悲しい。
しばらく経ち、料理が運ばれてくる。
「お待たせしました。バーニングベアのステーキです。」
ステーキ…俺のだな!
見るだけで分かる。
これは美味いと。
転生してから今まで、ゴミみたいなものしか食べてなかった。
だからめっちゃ楽しみ。
「いただきます!」
一口サイズに肉を切り分け、口へ運ぶ。
!?
こ、これは…
美味すぎる…
一回噛めば肉の油が舌を刺激して、さらに噛むたびに口の中に肉汁が広がって幸福感を感じさせる。
最高…
これのために俺は今まで生きてきたんだ!
しばらく夢中で肉を貪り食う。
そして、気づいたら料理は無くなっていた。
ふー。
美味しかった。
こんな美味いもん生まれて初めてだわ。
またここ来ようっと。
翔も…食べ終わってるね。
ならここ出るか。
「会計頼んだー。」
「了解、先出てていいぞ。」
翔の言葉に甘えて外に出る。
外は、すでに暗くなっていた。
少し冷たい風が体に当たり、心地良い感覚を味わう。
「気持ちぃぃ。」
これが至高か!
天国はここにあったんだ!
「優樹。」
翔に声をかけられる。
「あ、終わった?じゃ、泊まるところでも探す?」
「それがいいかもな。」
周りを見回すと、ちょうど目の前に宿らしき場所を見つける。
「翔、あれって…」
「宿、だな。」
普通こんなピンポイントである!?
もしかして冒険者向けに飯屋の前に構えたとか?
それなら納得。
「とりあえず行ってみるか?」
「わかった。行ってみよう。」
翔と一緒に宿に入る。
すると、中にはカウンターがあり、そこには一人の男が座っていた。
受付の人?
「ん?いらっしゃい。泊まりかい?」
「あ、はい。そうです。」
翔が答える。
「今空きは…一部屋だな。」
「それで…いいよな?」
わざわざ俺に聞かなくても…
「いいよ。」
「じゃあ、それで。」
「朝食は付けるかい?」
「お願いします。」
着々と手続きが進んでいく。
手慣れてんなぁ…
「全部で銀貨一枚と銅貨六枚だ。」
「えーと、はい。」
翔がちょうどお金を出して、男に渡す。
銅貨ってそんなあったっけ?
両替とかしたんかな。
「まいど…部屋は二階の階段から一番遠い部屋だよ。」
「ありがとうございます。」
翔が階段を登り始め、慌ててついていく。
廊下を歩き、部屋に着く。
部屋の扉を開けると…
「・・・これだけ?」
思わず口から出ちゃった。
机と椅子が一組と、ベッドが一つあるだけ。
作りはしっかりしてそうだけど…
なんか素朴すぎない?
もっと色々あるもんかと。
・・・まあ、文句言うもんじゃないか。
雨風凌げてベッド寝れるだけありがたいと思おう。
「じゃあ、俺は床で寝るから優樹はベッドでゆっくり寝てくれ。」
「いやいやいや!翔もベッドで…」
あ、そうか。
ベッド一個しかないのか。
でも翔も一緒に寝れば良くない?
「一緒に寝ようよ!」
「いいのか?」
「もちろん!」
翔だけ床なんて俺が許すわけないだろ!
だから一緒に寝よう。
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
翔がベッドに横になる。
それにつられるように、俺もベッドに寝転がる。
こうしてみると、やっぱり翔は小さいな…
こんな小さな体で俺を支えてくれてるんだから、ほんと感謝しかない。
布団を被った後、俺たちは疲れていたのか、すぐに夢の世界へと誘われた。




