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その34 ((こいつ強くね…?))


 「あのー、優樹さん。」

 

 翔が俺を呼ぶ。


 「ん?なに?」

 「この崖、どうやって登る気ですか?」


 そう、俺たちは今、俺が飛び込んで来た大穴にいる。

 翔を見つけたあの大穴だ。

 第一層に戻るには俺の来た道を戻るのがいいってことになったからね。

 

 「ああ、それは心配ない。『これ』で登る。」


 俺は、重力磁場を使い翔を宙に浮かべて見せる。


 「おお!これはすごいな!無重力にするスキルか?」

 「いんや。重力を操作できるスキル。なかなか汎用性高いぞ。」

 「それは、かなり優秀なスキルだな…じゃあ、このまま無重力の維持をお願い。」

 「オッケー、よいしょっと。」


 俺自身も無重力になって、と。

 でもこれだと動けないから、推進力得るために上に重力をかける。

 これで上に行けるだろう。


 「よし、これで待ってれば上に着くはずだよ。」

 「ありがとう。・・・しばらく暇だな。この間にできることと言えば…戦闘のときの動きとか考えとくか?」


 たしかに。

 それしないと次の戦闘で負けかねない。


 「それいいね。ちょっと聞きたいんだけど、翔って普段どうやって戦ってるの?」

 「うーん。どんな敵かによるかな?でもテンプレは、距離を取って魔法で相手を削りつつ、隙があるなら魔法を応用した近接戦もする感じかな。」


 うわかけるつよそう。

 ステータス見てわかってたけど、魔法型か…

 俺と逆だな。


 「結構、というかかなり隙がないな…オールラウンダーって感じ。」

 「そうか?じゃあ優樹はどんな感じで戦ってるんだ?」


 どんな感じ…まあ、火力の押し付けだよな。


 「俺は…一つしかできない。単純なステータスの暴力と、攻撃力を上げるスキルで相手を無理矢理ねじ伏せることがほとんどだな。」

 「・・・それ、勝てるのか?」

 「勝てるぞ?実質攻撃力がすごいから。あと重力磁場の汎用性のおかげでなんとかなってるのはある。」

 「なるほど…じゃあ優樹には近接戦闘を頼んでいいか?俺は後ろから援護する。」

 

 まあ、今の話ならそうなるか。


 「いいぞ。じゃあそれで。」


 話が終わり、それと同時に大穴の終わりにたどり着く。

 地面に降り立ち、重力磁場を解除する。

 ふぅ、重力磁場の細かい操作は疲れるな。

 まあ仕方ないか。

 てか他人を細かく操作するの初めてでは?

 それのせいで疲れたのかもな。

 ま、さっさと行くか。


 「さ、進もうか。翔。」

 「おう。・・・ほんとにこっちで合ってるんだよな…?」


 コイツ俺のことなんだと思ってんだ?

 マップあるから大丈夫なのに…


 「大丈夫大丈夫!ちゃんとマップ見てるから!」

 「ああ、なら大丈夫、ってマップなんてもんがあるのか?なんかのスキルか?」

 

 ん?あっそうか。

 翔は鑑定持ってないからマップ埋めできないのか。

 

 「えーっと、鑑定って言うスキルがあって、それの効果でマッピングできるんだ。」

 「へぇ。地形を記憶しなくてもいいのはいいな。」


 ん?ということは…


 「まさか、翔って地形全部覚えて探索してたの?」

 「そうだね。それが普通じゃないか?」

 「絶対違うと思う…」


 ・・・なんか、すごいな…

 

 「まあ、道が合ってるならこのまま進もう。」

 「そうだな。」

 



 ん?

 魔物の気配。

 あれは…土龍、かな?

 脅威は感じない。

 一応、鑑定を発動する。

 

 種族:魔物 大地龍

 進化ツリー

 名前:なし

 神名:中位龍

 年齢:47歳

 レベル:35

 経験値:846/2320

 満腹度:47/100

 ステータス

 HP:7486/7486 MP:3721/3721 SP:6015/6015

 攻撃能力:7214 防御能力:7683

 魔法能力:3394 速度能力:4023

 スキル

 {HP回復高速化Lv1}{MP回復高速化Lv3}{SP回復速度高速化Lv5}{空腹緩和Lv2}{満腹持続Lv1}{神の声Lv10}{分析Lv1}{魔力知覚Lv2}{物体感知Lv1}{打撃攻撃Lv4}{斬撃攻撃Lv7}{大地攻撃Lv8}{磁力攻撃Lv5}{土大強化Lv5}{磁力強化Lv2}{生命変換Lv7}{回避Lv3}{鋼鱗Lv8}{視力増強Lv9}{聴力増強Lv8}{嗅覚強化Lv5}{触覚強化Lv2}{打撃大耐性Lv3}{斬撃大耐性Lv2}{貫通耐性Lv9}{電気耐性Lv1}{土無効}{磁力耐性Lv4}{睡眠耐性Lv5}{生命力大増強Lv2}{魔力増強Lv6}{技力増強Lv8}{攻撃能力大増強Lv1}{防御能力大増強Lv2}{魔法能力増強Lv4}{速度能力増強Lv6}

 魔法

 {土魔法Lv3}

 闘法

 {命闘神法Lv1}{魔闘法Lv3}{技闘神法Lv1}

 修練結晶:56

 スキル一覧表

 魔法一覧表

 闘法一覧表

 得意属性・苦手属性


 大地龍。

 余裕だな。

 一応翔に声かけるか。


 「翔、敵…」

 「わかってる。注意しろ、あの種類の龍はかなり強いぞ。」

 「…?わかった…?じゃあ、俺は前衛するから。」

 「了解。」

 

 翔が険しい顔をしている…気がする。

 それにしても、強い?あれが?

 まあいい。

 さっさと終わらせてしまおう。

 魔人化!

 俺の全ステータスが跳ね上がる。

 剣を構えつつ走る。

 ・・・ここで、剣に重力磁場!

 剣の速度がぐんと上がる。

 一閃!

 

 ズッッッッッッガン!

 

 俺たちのはるか前方にいた龍は、一切動くことなく、上下に真っ二つにされた。

 

 べシャン


 真っ二つにされた龍の「上半分」が、地面に落ちた。


 「・・・え?」


 後方から、翔の困惑した声が聞こえる。


 「今、何を…?」

 

 後ろを振り向き、俺は答える。

 

 「ん?横なぎに斬っただk ──」

 「優樹!危ない!」

 

 翔が俺の言葉を遮り、叫ぶ。

 その声を聞いて、俺は瞬時に後ろに跳んだ。


 ドドドドドドドォン!

 

 直後、俺のいた場所に魔法が降り注ぐ。

 あぶなっ!?

 魔法が飛んで来た方向を見る。

 そこには、大量の土龍がいた。

 落ち着け…一旦数を数えよう。

 一…五…十…二十…三十…!?

 これは…一旦撤退だ!

 突っ込んでもどうにもならない気がする。

 翔のところまで戻ろう。




 「翔!奥に土龍が大量!」

 「そいつらか…魔法撃ってきたのは。」

 「どうする?」

 「うーん、目視できる範囲まで近づこう。」

 「そこに行ってからは?」

 「俺がなんとかする。」

 

 なんとかするって…

 あの量だぞ?

 時間かかるだろうな…


 「大丈夫なのか?」

 「行ける、と思う。優樹は距離を詰められたときに対応お願い。」

 「・・・わかった。」


 俺たちは歩き出す。

 ・・・ホントにいけるのか?

 別に疑ってるわけじゃないが…

 あの量の龍はキツいぞ…?

 数十体、もしかしたら百体以上いるんじゃないか?

 

 「見えた…!」

 

 そう、翔が呟く。

 

 「ここで俺は待機でいいんだよな?」

 「うん。それでお願い。」

 

 よし、じゃあここで翔がどうするのか。

 それを見せてもらいますか。

 ・・・俺もちょっとやりたかったのは内緒。

 土龍こっち来ないかなぁ…

 んん!?

 魔法めっちゃ飛んで来てる!?

 翔に伝えてないと!

 そう思い、俺は後ろを振り返る。

 

 「・・・は?」

 

 そこには、とんでもない量の魔法が浮かんでいた。

 

 「優樹!魔法発動するから上に気をつけて!」

 「お、おう…?」


 浮かんでいた全ての魔法が意識を持つかの様に動き出す。

 俺を狙っていたであろう土龍の魔法を相殺する。

 それでもまだまだ残っている魔法が、奥にいる土龍たちに命中する。

 

 ズドドドドドドドドオォォン!!!


 魔法の命中する音が止んだときには、もう、一つも土龍の気配は残っていなかった。


 「「・・・」」


 俺と翔、どちらも全く喋らない。

 それも仕方ないか。

 だって翔、強すぎるもん。

 なんで大蛇に負けたのかもわからん。

 

 ぐぅぅぅぅ

 

 俺の腹が鳴る。

 そういえば、最近なにも食べてない。

 なんか食べないと。


 「・・・優樹、腹減ってるのか?」

 「・・・おう。あの龍食べない?」

 「そうしようか。」

 

 翔は、自分が蹂躙した土龍のところへ向かう。

 それを見て、俺は両断した龍を食べるために小さめに切る。

 では、いただきます。

 ・・・うん。

 まずい。

 臭くて土の味がする生肉。

 ・・・うん?

 翔がこっちに来てる?

 急いで口の中の肉を飲み込む。

 

 「んぐっ。どうした?翔。」

 「いや…生で食べてるから、焼かないのかな?って思って。」


 え?焼けるの!?


 「焼けるのか!?どうやって!?」

 「いや、普通に火魔法で?」

 

 あ、そっか。

 翔は火魔法あるのか…


 「じゃあ焼こうすぐ焼こう。」

 「わかった。じゃあちょっと離れて。」


 肉塊に火球を打ち込む翔。

 

 ジュウゥゥゥゥ


 肉が焼けるいい音が聞こえる。

 

 「もういいかな?」


 翔が風の魔法で火を消す。


 「おおー。生より美味しそう。」

 

 そらそうか。

 生肉なんて食いもんじゃないから…

 ではもう一度。

 いただきます。

 ・・・うーん。

 まずい、とは言わないけど、美味しくはない。

 生肉特有の嫌悪感は無くなった。

 血もほぼないし。

 でも土の味と臭みがなぁ…

 結論。

 焼いてもこの肉は美味しくない!

 ひもじいよぉ…

 やっぱり早く外に出て美味しいもん腹一杯食べたい!


 「翔。」

 「うん?なに?」

 「早く外、出ような。」

 「・・・そうだね。」


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