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最狂最悪の魔王の孫に転生しました。  作者: 暇凡人T
一章 迷宮編

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K-その3 死闘

 

 「ああああああああ!!!」


 渾身の一撃を、大蛇へと放つ。

 もしかしたら、この一撃で、、、

 そんな、淡い期待を抱いてしまう。

 

 キィン!

 

 そんな期待も虚しく、出来る限りの魔力を込めた魔法が反射される。


 「ゴフッ!」


 自身で撃った魔法が直撃する。

 地面へ倒れ込む。

 もう体を動かす体力も気力も残ってない状態で、大蛇の牙が眼前に迫り来る。

 ああ、もういいかな。

 俺は十分やったさ。

 そもそも、どうしてこんなことに、、、



 あの巨大な龍から半狂乱で逃げた後、俺はどこにいるかもわからない状態で、また探索を始めた。

 一刻も早く逃げ出すために。

 でも、頭によぎるのは、あの龍の後ろにあった扉だ。

 もし、あそこからしか出られないんだとしたら?

 俺は震えた。

 あの怪物と戦わなければいけない事実に。

 あの、人を一瞬で、、、


 「うっ、、、」

 

 嫌なことを思い出した。

 忘れよう。

 そうだ、言語理解がLv10まで上がって会話もできるようになったんだ。

 ・・・今となっては、意味もないけど。

 探索していく中で、明らかに今までと違う点に気がついた。

 魔物の強さだ。

 俺が生まれ、探索してきた地域はここまで魔物は強くなかった。

 ただ、それは好都合でもある。

 あの龍を倒さなければいけないなら、強くならないといけないから。

 強力な魔物を倒すほど、沢山の経験値が貰えることに俺は気がついていた。

 それから俺は、ひたすらに探索をして、次々と魔物を倒していった。

 もちろん、どんどんと強くなっていった。

 今までと比べ物にならないぐらい。

 でも、あの龍に勝つ、どころか勝負になる情景すら浮かばなくて、焦ってさらに探索をしていた。

 そんなことを続けていた時、強大な魔物に出会った。

 今まさに俺を捕食せんとする大蛇だ。

 戦闘の開始時、いつも通り俺は瞬嵐魔法Lv1の瞬嵐球を発動、発射させた。

 大蛇に直撃する──その瞬間──


 キィン!

 

 甲高い音と共に魔法が反射された。

 

 「なっ!?」

 

 いつものように、攻撃が通用する前提で用意していた俺のプランは簡単に崩れ去った。

 硬直している俺の体に魔法が突き刺さる。

 

 「ぐあっ!」

 

 まだ、俺は崩れたプランの立て直しをしている。

 そんなことを待ってくれる魔物がいるはずもなく。

 

 ドガァン!

 

 俺は、尾による追撃に直撃した。

 ゴミの様に吹き飛ぶ自身の体。

 だが、戦闘プランの再構築がやっと終了した。

 魔法がダメなら物理攻撃をすればいい。

 誰でも思いつくことだ。

 だが、今世の龍の体では武器を持つことは叶わない。

 なら。

 瞬嵐剣を五つ生成する。

 さらに、風属性操作による操作で、標的へ剣による重い一撃を繰り出す。

 これがプランだ。

 即座に実行に移した。

 瞬嵐剣を大蛇を囲むように配置。

 振り下ろそうとした瞬間。

 周囲の「重力」が数倍になった。

 たまらず剣の操作を手放す。


 ドガガン!


 剣が大蛇へ命中する。

 が、効いている様子がない上に、剣が弾き飛ばされてしまった。



 こんなことがあったんだ。

 もう諦めてもおかしくないよな。

 優樹。 

 俺はおまえと会えなさそうだ。

 せめてもう一度、、、


 「はっ。」

 

 笑いが漏れる。

 こんなこと考えてるやつに、優樹は会いたくないだろうな。

 優樹なら、きっと最後まで足掻くだろう。

 それなら。

 俺もそれに倣うべきじゃないのか。

 憧れているなら、模倣するのも重要ではないのか。

 そうだろう。

 俺が憧れたのはそういう優樹だ。

 最後まで足掻こう。



 大蛇を、ギリギリまで引きつける。

 瞬嵐槍に魔力を注ぎ込みつつ待つ。

 我慢だ、完全にやつの口に入るまで、、、

 ここだ!

 瞬嵐槍を発射!

 

 ズッガァン!


 風の槍が大蛇の上顎を貫く。

 当然だ。

 体内に鱗はないのだから。

 

 「ギシュゥゥゥゥ!!」 


 大蛇が唸り、尾で俺を吹き飛そうとする。

 が、それは読んでいた。

 

 「ふっ!」

 

 全力で跳躍し、上から俺の使える中で最も破壊力に優れた魔法、瞬嵐槌を出来るだけ生成する。

 それを思い切り操作して、落下させる。

 

 ドガガガガガガガガガガ!!!

 

 降り注ぐ風の槌。

 その頃俺は、上手く着地しようとしていた。

 そして着地の瞬間。


 ドッゴォン!


 大蛇がまた尾を振り、今度こそ吹き飛ばす。


 「ゴッハッ!」


 壁に打ち付けられ、思い切り血を吐く。

 え、HPは?

 ギリギリであることを分析で確認する。

 少し安堵する。

 でも、もうMPもない。

 よく生きてる、と感心するような状態だ。

 あの大蛇はもう油断しないで、俺が息絶えるまで攻撃してくるだろう。

 これは、もう出来ることがないな。

 もう、足掻いた。

 足掻いて足掻いて、それで一矢報いたんだから。

 死に際ぐらい、穏やかでありたい───

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