その1 プロローグ
加筆、修正しました
だいぶ変わってます
この世界は、残酷なほど退屈だ。
・・・ふふっ。
青春真っ只中で、こんなこと思ってるなんて。
俺、終わりかもな…
「・・・はぁ。」
今日、何回目のため息なんだろう。
登校して五分もしないのに、俺はもうなにもできない。
この人生に、飽きてしまった。
俺の名前は矢島優樹。
無気力、陰キャ、コミュ症。
三拍子そろった凡人…
・・・いや、むしろハズレだな。
ゲームで例えるならね。
え?
十代で人生に飽きるな、って?
そう言われても、飽きたもんは飽きたんだもん。
事実だから仕方ないよ。
だってさ…
俺には何もない。
と、言いたいところだけど。
一人だけ「親友」と呼べる奴がいる。
その親友とは…
「優樹、おはよう。疲れてそうだな。」
「ああ…おはよう、翔。」
こいつだ。
岩田翔。
こいつは天才…いや、神だ。
生徒会所属、スポーツ万能、テストではいつも学年上位。
おかしいよな。
文武両道をナチュラルにやってやがる。
「岩田、今のうちに授業の用意を頼む。」
「あ、はい。・・・すぐ終わらせてくる、待っててくれ。」
「・・・うん。」
「いいんちょー!こっちもなんとかしてくれー!」
「はいはい、すぐ行くよ。」
これは、しばらく戻ってこないパターンだな…
俺は、机に顔を突っ伏した。
・・・こんな風に、翔はみんなから頼られて、一目置かれてる。
それでも、翔は俺と一番仲良くしてくれてる。
こいつがいなきゃ俺の学校生活は完全に詰んでた。
ありがたやー。
翔様様だよ、こっちは。
とはいえ、なんで俺なんかと仲良くしてくれるんだろうな。
思い返せば、初対面から馴れ馴れしく話しかけてきたし。
本気で謎。
・・・まあそのうち、翔も俺に飽きて離れて行くんだろう。
午前の休み時間。
翔は生徒会の呼び出しでいない。
ただ、「分かりました。」とだけ言っていなくなった。
真面目なんだから。
そのせいで、俺は暇だけどな!
いつもは翔と話しているから、今は完全に暇を持て余している。
当然、他にやることがない。
そこで俺は、視線を右前にやる。
そこには幼馴染である、松山愛香がいた。
女子グループの真ん中で、楽しそうに笑っていた。
こうしていると、昔のことを思い出してしまう。
昔は、あの笑顔が隣にあった。
毎日のように一緒に帰って。
二人で笑っていた。
・・・たぶん俺は、昔彼女が好きだった。
別に、フラれたわけじゃない。
自然と会話しなくなって、ただ離れていった。
俺はもう一度愛香の顔を見る。
笑ってる。
あの笑顔が、まだ俺に向けられていたなら…
人生に飽きたなんて、思わなかったのかもな。
・・・あえてもう一度言おう、フラれたわけじゃない。
信じてないな?
まあそれはいい。
今の俺には、話しかける勇気すらない。
なぜか彼女の笑い声が、すごく遠い。
耳には届いてるのに、心まで届かない。
どうしてこうなったんだろうな…
そう、思わずつぶやきそうになって、やめた。
無駄な自虐はやめよう。
俺が苦しくなるだけだ。
「はぁ…」
再びため息を吐き、机に突っ伏す。
「寝るか…」
俺は目を覚ます。
どれぐらい時間が経ったんだ?
突っ伏したまま前を見ると、既に授業が始まっていた。
だけど、振る舞いは変えない。
バレないよう寝るだけだ。
「優樹…!」
眠気と退屈の狭間でぼんやりとしていた俺は、不意に名前を呼ばれた。
翔だ。
「もうすぐ、当てられそうだぞ…!」
「わかった、ありがと…」
翔は俺がそろそろ当てられることに気づいて、わざわざ俺に伝えてくれたみたいだ。
なんて優しいんだ!
ありがたすぎる。
ほんと、おまえは俺にはもったいないくらいの気遣いのできる親友だよ。
俺は起き上がって前を見る。
「矢島。」
その後すぐ、魂影先生に呼ばれた。
魂影零矢。
このクラスの担任で、社会科担当の、どこか影の薄い教師。
いつも何か考えているような顔をしていて、なんか腹立つやつだ。
たぶん、女子にモテるからだね。
「・・・はい。」
ゆっくり返事をして、黒板の方を見る。
それから質問は特になく、先生はすぐに授業を続けた。
それだけのこと。
ただ一度、名前を呼ばれただけ。
・・・なのに、妙に耳に残る。
こういうのって、なんか脳に刻まれちゃうよね。
ふとした瞬間に思い出して、懐かしくなるやつ。
でも、きっとすぐ忘れる。
俺は再びバレないよう下を向き、変わらない日常を寝てやり過ごす。
そう決めた。
・・・その瞬間、俺は異変に気づいた。
「…え?」
前方の景色が、ぐにゃりと歪んでいた。
え?
んえ?
もしかして、俺の目がおかしいのか?
俺はすぐ、翔に相談しようとする。
が、その言葉を吐き出す暇もなく、全身に叩きつけられるような激痛が走った。
!?!?
息が…できない…!
腕が、弾け飛んだような感覚。
景色は滲み、音も遠ざかっていく。
───俺は、あっさりと意識を失った。
これで転生するなんて、夢にも思わなかった。




