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その1 プロローグ

加筆、修正しました

だいぶ変わってます

 

 「・・・はぁ。」


 今日、何回目のため息だろう。

 登校して五分もしないのに、俺はもうエネルギーが尽きてなにもできない。

 このつまらない人生に、飽きてしまった。



 俺の名前は矢島優樹。

 中学生。

 男。

 無気力。

 三拍子そろった凡人…

 ・・・いや、むしろガチャで言うところのハズレだな。

 ゲームで例えるなら、リセマラで延々と星1ばっか引いてる感じだ。

 「十代で人生に飽きるな」って?

 そう言われても、事実だから仕方ない。

 勉強は平均以下。

 運動は体育で死にはしない程度。

 友達はゼロ……と言いたいところだが、一人だけ「親友」と呼べる奴がいる。

 岩田翔。

 こいつは…全能に見える。

 生徒会所属、スポーツ万能、テストではいつも学年上位。

 教師からの信頼も厚くて、陽キャ連中にも普通に混ざれる。

 しかも面倒見が良くて、俺みたいなのにも分け隔てなく接してくれる。

 人を見る目がないんじゃないか?

 ・・・って思ったこともあったけど、こいつがいなきゃ俺の学校生活は完全に詰んでた。

 とはいえ、なんで俺なんかと仲良くしてるんだろうな。

 本気で謎。


 

 午前の休み時間。

 翔は生徒会の雑務で呼び出されていない。

 いつもは翔と暇を潰しているから、今は完全に暇を持て余している。

 俺は、視線を右前にやる。

 そこには、幼馴染である、松山愛香がいた。

 女子グループの真ん中で、楽しそうに笑っていた。

 俺と愛香は、小学生の頃、毎日一緒に登下校してた。

 俺はあの頃、正直言うと彼女のことが好きだった。

 ・・・でも中学に入ってから急に距離ができて、今じゃ半年以上まともに話してない。

 別にフラれたわけじゃない。

 自然と会話しなくなって、ただ離れていった。

 だから今の彼女の笑い声が、すごく遠い。

 耳には届いてるのに、心まで届かない。

 どうしてこうなったんだろうな……

 そう、思わずつぶやきそうになって、やめた。

 無駄な自虐はやめよう。

 俺が苦しくなるだけだ。


 「はぁ…」


 再びため息を吐き、机に突っ伏す。

 もうやることもないし、翔も戻ってこない。

 仕方ない、このまま寝るか。



 そして、次に起きると、授業が始まっていた。

 だが、振る舞いは変えない。

 バレないよう寝るだけだ。


 「優樹…!」


 眠気と退屈の狭間でぼんやりしていた俺は、不意に名前を呼ばれる。

 翔だ。

 

 「もうすぐ、当てられそうだぞ…!」

 「わかった、ありがとう…」


 小声で翔と会話し、少し大勢を整える。

 

 「矢島。」


 魂影先生に呼ばれた。

 このクラスの担任で、社会科担当の、どこか影の薄い教師。


 「・・・はい。」


 ゆっくり返事をして、黒板の方を見る。

 それから質問は特になく、先生はすぐに授業を続けた。

 それだけのこと。

 ただ一度、名前を呼ばれただけ。

 ・・・なのに、妙に耳に残る。

 こういうのって、テスト前に無駄に覚えてるどうでもいい雑学みたいなもんだろうな。

 きっとすぐ忘れる。

 俺は再びバレないよう下を向き、変わらない日常をやり過ごす。

 そう思った。

 ・・・その瞬間だった。


 視界が、ぐにゃりと歪む。

 「……え?」

 言葉を吐き出す暇もなく、全身に叩きつけられるような激痛が走った。

 息ができない。

 腕が、弾け飛んだような感覚。

 景色は滲み、音も遠ざかっていく。

 ───俺は、あっさりと意識を失った。



 これで転生するなんて、夢にも思わなかった。

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― 新着の感想 ―
無気力な日常を送る主人公が親友との会話中に突然の激痛で意識を失い転生するという急すぎるやろという展開に驚きました
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