第6話 物見遊山?
新生シード王国 国軍の4軍たる未成年隊。
彼らに戦闘は人道的見地からやってくる事は無い。
だが、それ以外の軍の任務は全てやってくる。
そしてその為に必要な訓練と言うものがあった。
「おはよう諸君!寝ぼけていないでキッチリ起きているかな!?
本日の教導内容は空艇降下訓練だ!
流石に5歳児の君達に魔導飛空艇から降下をさせるなど
ただの自殺行為だ!
そこでこれを見たまえ!飛び込み台を設置させてもらった!
高さは3メートル!5メートル!10メートルの3段階!
さらに安全の為に、下はプールになっている上に
教導官が姿勢が崩れた際には即時救助する事になっているから
皆、安心して飛び込むが良い!」
「いや、安心は出来ねぇだろ…。」
「大丈夫だ!我が軍にはこれがある!
ディメンタール王国でも使われていたスクトゥム型の
降下用の盾魔導具だ!
と言うかこれは国軍科でも使っているものだ。
どうせ6年もすれば嫌でもやる事になるのだぞ?
しかも小型魔導飛空艇からだからな?
前もって出来るだけ有り難いと思え。
これだけの規模と設備で出来るのは4軍だけだからな?
さぁやれ、すぐやれ、さっとやれ!」
この教導の意味をキチンと理解出来ている者ほど
高い所から始めると言う非常に意地悪な教導だった。
降下用の盾魔導具は実際は昔から存在する。
しかしその盾の魔導具にキッチリと魔力を流さないと
減速処か盾の重さに負けて水の中に落ちてしまう。
この教導は素早く対象に魔力を流す事が最優先であり
高さが低くなる程、難易度が高くなる。
つまり高さと言う恐怖が一番大きい10メートルの
高さから始めた方が、魔力を流し切るまでの時間も多く取れる為に
実は安全性が一番高いというオチがつく。
しかし多くは怖さから3メートルの高さから始めてしまう。
しかもバランスをキチンと取れば実はきっちり浮くのだが
バランスを崩して着水する為に、次々と沈んでいき
教導官が助けるという状況が暫く続いた。
「減速出来てない連中は頭を使え!
水に落ちている連中は身体を使え!
実際の空艇降下訓練は両方出来ていないと
参加出来ない上、大半の任務で行なう基礎中の基礎だ!
ああ、言い忘れていたが10回に1回は
砲撃に見立てた球が飛んでくるからな?」
「え?」
10メートルの高さから上手く降下している子供に
バレーボールくらいのサイズのゴムボールのようなものが飛んできた。
それに驚き、避けようとしてバランスを崩して落水していく。
「当然だろうが!戦場に降下するのだぞ!?
敵が着地するまで待っていてくれる訳が無い!
しっかり頭と身体を使え!
なんの為に降下用の魔導具が盾型なのかを考えろ!」
皆、そんな無茶なと思いながらも3ヶ月。
セッカの教導についていくだけついていった時には
自分達の身体が変化している事に気が付いた。
筋肉が多く付き、適度に搾られた身体。
また魔法の行使も楽になってきていて精神面が
鍛えられた事を感じられていた。
「諸君!3ヶ月間良く耐えた!これからはより実践的な教導へと変わる!
ここからは各自についている教導官からの教導となる!
私も忙しい身である以上、ずっと4軍ばかりについている訳には
いかないのでな!!」
その言葉に子供達は僅かながらに安堵した。
それが間違いだと気が付くのは、すぐだった。
そして朝6時。
大部屋に行進曲「軍艦」が流れ出しいつものイベントが発生する。
と、思ったがセッカの歌が流れない事に、全員が安堵した。
「そういや今日から居ないって言ってたよな…。」
「その前に今日は土曜だから休みよ?」
「おはよう諸君!良い朝だな!!」
「ハイネ教導官に…マリアンヌ教導官?」
「すぐに着替えて朝食後に教導だ!」
「「「「「はぁ!?」」」」」
「今日土曜日ですよ!?」
「だからどうした?」
「休みの日じゃねぇか……じゃないですか!」
「それはセッカ教導官の教導の話だ。
君達を担当する私に365日休みなどない。
いや、あるにはあるがいずれにせよ自主練習をしなければ
他の子供達と差が開くぞ?周りを見てみろ。」
「おはよう!今日から休み無く教導だぞ!」
「おはよう!食事をしたら教導を始めますよ?」
そこら中で子供達が同じ様に教導官に
これから教導だと言われていて、それに驚いたり
あからさまに嫌な顔をしている子供も多かった。
「当然君達には週2日の休みを取る権利はある。
だから参加するもしないも自由、と言う事にはなっている。
選びなさい、休み無く教導を受けるか
それとも他の子達との差を広げてまで
休みを謳歌するのか。」
ハイネの声すらも、周囲の子供達に聞こえ
中には休む選択をする者。
教導を受けると選択する者と様々だった。
「どうする?毎週毎に選択するのもありだ。
なにもここで毎週休み無く教導を受ける事を
決めなければならない訳では無い。
それと今日の教導内容だが午前中は3軍と同じ日課の肉体系教導。
午後は座学となる。好きな方を選ぶと良い。」
日課の肉体系教導。
それは4軍にもあり、肉体の維持の為の教導。
3ヶ月経過した今では、さほどきついものでもなかった事から
アーガス、リーヴァ、リルネット、スバル、マリーネの5人は
休日の教導を受け入れた。
そしてセッカとは違う地獄が始まった…。
「ぬぉおおおおおおおお!!」
「なにこれ…っていうか動けないわよ!?」
「はっはっは、何を驚いているんだ!
3軍と同じ日課だと言っただろう?3軍は両手足に
それぞれ50キロの重りをつけてやるんだぞ?
つまり200キロをつけてやるんだ!
当然、日課なのだからこれが出来なくなったら軍を辞める事になる!
冗談では無く軍務の全員がこれを出来るのだぞ?」
「マジかよ…。」
「何かセッカ総合教導官の口癖が移ったかな?
当然マジだ。3軍ですらこれを求められる。
ちなみに2軍は全部で400キロ、1軍は全部で600キロが最低ラインだ。
私も当然出来るぞ?今つけているのが全部で1000キロ。
これが最大だ。さぁ、ランニングをするぞ!ついてきなさい!!」
ハイネ教導官はそのまま笑いながら走っていったが
ついていける子供は1人足りともいなかった。
走れない訳では無いが、あきらかに遅かった。
「これまでの3ヶ月の間、君達が作った肉体などは
負荷など殆ど掛けずに行なったものだ!
それが次の段階に進むにはこれは必須となる!
少なくとももう1枚の赤紙を受けたいなら
今の2倍までは出来る様にならなければ
決して配られる事は無い!欲しければキチンと私についてくる事だな!」
そう言って先頭を走るハイネ教導官とは対照的に
マリアンヌ教導官は静かに最後尾についていた。
全身、滝のような汗を流しながら。
手も足も、良く見ればハイネ教導官やアーガス達と違い
重りとなる輪の形をした魔導具が2つもついている。
それを見ただけで、恐らく相当な重さを掛けているのだろうと、皆が察した。
それは一瞬でも気を抜けば、肩等簡単に外れるくらいの重さが掛かっていて
最後尾に付く事を前提に、普段より重めにしているだけだった。
しかし教導官達は教導をするだけなのに、何故重りをつけてまで
するのかには理解が及ばなかった者も居れば、至った者も居た。
これまでの3ヶ月、セッカが教導官として全体の教導をしてきたが
少なくともセッカが手本などを見せなかった事はなかった。
必ず自分達より、より強い負荷を掛けて見せ付けるようにやっていた。
教導官は、口で言うだけでなく実践する。
だからこそ、口先だけでは無く
「私はこれだけ出来る、お前はどこまで出来る?」
と問われている気がしている。
同じ苦を知っているから、こうして教導が出来るのだと
5歳にして、理解する者も出始めてきた。
「ぬぐぉぉぉぉぉ!!きつい!重い!」
当然、そうでない子供も居る、アーガスとか、アーガスとか。
その他にアーガスとか…。
さらに座学はセッカの非では無い位の詰め込みだった。
「じゃあ次は木属性だな。板書してないのは後で誰かに見せてもらいなさい。」
と、教えてはサッと消して次の項目とどんどん進んでいく。
セッカは大きめの黒板を使い、必ず全員の板書を待っていたが
ハイネはそれをしない。
そして次から次へと座学が進んでいく。
むしろ新生シード王国軍の座学は実はハイネくらいの速度が一般的だ。
むしろセッカの方が丁寧で、時間も多く使う上に
ポイントとなる部分や、覚え方までレクチャーするのに対して
ハイネは最低限だけを次々と教えていく。
座学自体にはキチンと教科書もある。
但しハイネは飽きないように、所々で違う座学に切り替えていく。
魔法の次には歴史、そこからアーマネントについてなど
飽きない工夫はしている。
この教導官の違いをどう捉えるか、や
教導官と生徒たる子供達の相性もやはりあると言えばある。
半ば運でもあるが、基本的に同じ孤児院の子供達は
1つにまとめているので、そこでカバーはし合える。
ハイネとしては、一番早く覚えられる者のペースに合わせて
座学を行い、5人が1チームである事。
得手不得手をカバーし合える事を優先して
このような方法を取っていた。
それがプラスになるか、マイナスになるかは解らない。
教導官も、それぞれ育つ必要がある。
その答えは各々が決める以外ない。
それからも土日を含め、休み無く教導は続いていった。
「おかしい…なんで魔物の討伐なんてあるんだ?」
「アーガス、間違えてはいけない。これはただの物見遊山だ。
我々はその際に偶然、魔物と遭遇したに過ぎない。だろう?」
「ああ、もう良いよ…。そういう体でって事だろう?」
「いや!間違いなく物見遊山だ!
これはあくまで食料確保だ!軍人足るもの食事は現地調達だ!」
「いやいやいや!ちゃんとお弁当持ってきてるよ!
収納袋に入れてるから!」
「そうですよ!?どこに4メートル級のフォレストボアを
食料として捉えるんですか!?」
「解体しても良いし、【素材解析】や
【素材解体】と言った
解体魔法の練習にもなるだろう?」
「解体魔法って覚えたてですからレベル1ですよ!?
10回に1回は消滅するじゃないですか!!」
「消えたら消えたで仕方無い。」
「仕方無いって……。」
「10匹狩れば1回は成功するよな!」
「「「「「!?」」」」」
「あとなんで魔法じゃなくて剣なんですか!?」
「これは魔導剣と言って、魔力を籠めると
切れ味があがるんだ。昔は魔導銃が主体だったが
今は魔導武器と言うのがあるんだ。
お前達の剣を良く見てみろ。刃が付いてないだろう?」
「それ切れないじゃないですか!?」
「違う、刃があったらお前達に持たせられないだろうが。
未成年が持ってよいのは精々包丁や、鎌や短剣くらいまでだ。
ショートソードの刃渡りの剣を持たせたら
俺が逮捕されるだろうが……。だから魔力で刃を作り出せ!!」
5人は思った。
この人、セッカより相当な無茶振りをする人だと…。
「無茶だの無理だのやる前から言う事では無いぞ?
マリアンヌ、少し見せてやれ。」
「ハイネ教導官が為さればよろしいのでは?」
「君の方が向いているだろう?」
「………。」
マリアンヌが取り出したは鎖だった。
それを振り回したかと思ったら
フォレストボアの首がスッパリと切れ落ちた。
「うんうん、やはり近づかないで戦えるのは大きいな。
マリアンヌ教導官が持っているのは魔導鎖だ。
魔力で刃を作り出せば、こうやって切れるんだぞ?」
「ハイネ教導官は、何で戦うんですか?」
「俺か?俺はこれだ。」
そういって見せたのは、パチンコ玉ほどの球体だった。
「ほっ!」
掛け声と共に、親指で弾き出すと
近くにあった木の真ん中辺りが粉々に丸く吹き飛び
そのまま木が倒れていった。
「な?向いてないだろ?」
「ハイネ教導官、どうみても剣とかではなく
銃器の類に思えるのですが…。」
「確かに旧式の魔導銃に似ているが、魔法で無ければ良いんだ。
物理的な攻撃手段を持て、と言う話であって
お前達も剣が苦手なら、色々と扱ってみて
使い易い物へと変えれば良いだけの話だ。
今日は1回目の物見遊山だから
皆には刃の無い剣にしただけだ。
それも結構便利なんだぞ?魔力を通さなければ
模擬戦にも使える上に、刃零れもないからな。」
「魔物と戦うのは良いんだ…。
確か冒険者ギルドでも禁止されている気がしますけど…。」
「マリーネ!間違えてはいけない。これはただの物見遊山だ。
偶然、魔物と遭遇しただけだ!!」
「ずっとその体で行くんですね…。」
「いや、それだけではない。
これは物見遊山だと言っただろう?
これからこの山の頂上まで登るのだよ?」
皆が見上げる先にあるのは最早、山と呼んでよいのかすら
迷うものだった。
「ハイネ教導官!これは山と言わずに断崖絶壁、と呼ぶのでは無いでしょうか?」
「いや、これは山で間違っていない。だろう?マリアンヌ教導官。」
「この山は雪華山と言う山です。このような形になったのは
かのお方が半分吹き飛ばしてしまった事によるものであって
反対側は緩やかな山ですよ?」
「かのお方?」
「セッカ総合教導官です。」
「「「「「…………………………。」」」」」
「まぁ仕方なかったんだ、色々あってな」
何が色々なのかは解らなかったが、1つだけ理解出来る事がある。
この断崖絶壁を登る、と言う事だ。
「何をしているんだい?行くよ?」
そう言うと、ハイネはそのまま断崖絶壁を歩き出した。
ほぼ垂直と言って良い、岩肌をそのまま歩いていく。
「どうした?皆いくよ?」
「「「「「そんな所歩けるかぁ!!」」」」」
しかしマリアンヌもそのままスタスタと歩いていく。
その光景に5人は色々と悩み始めた。
まず出来ない事は決して言わない。
つまり、この時点で5人ともこの断崖絶壁を歩く方法を
身につけている可能性が非常に高いと考えた。
「そうだ、今回はそれぞれで悩みなさい。
この山を登る方法はいくつかある、1つだけではない。
幾つか方法があるんだぞ?」
そして真っ先に出来たのは、5人の中でも
魔法に魔力操作が上手なリルネットだった。
「ほぅ、面白い方法で登るな。これは隠密魔法の
【施錠】と【解錠】を使った
登り方だが、リルネット以外にはお勧めできないな。
他の4人は違う方法を考えなさい。
この方法は足を上げる時は【解錠】して、
片脚は【施錠】する。しかもこれは
体幹を必要以上に求める身体を使う方法であり
同時に精緻な魔力操作が求められる。
今ならリルネットにしか出来ないやり方だ。」
次に出来たのはスバルだった。
「まぁ、今日はそれでも良いだろう。」
【地形操作】を使って
足型に地形を変え、風属性魔法の【風】で
身体を頭側から押し付けるという、粗めの方法ではあったが
ハイネはそれをありとした。
但し後で言われるのだが、これは軍人としては駄目な方法だった。
【地形操作】と言う魔法は
地形を操作するが、その痕跡がまだまだ残る
魔力操作の粗さ故に、これが軍事行動であった場合
行動痕跡を残す事になる上、【地形操作】は
比較的魔力が長い時間残る為、魔力の残渣が残り
追跡される可能性が非常に高くなる。
これはただの物見遊山だからこそ
ハイネはそこまで言わないだけであり
通常教導なら、失敗として扱われる。
だからこそ「今日はそれでも良いだろう」と言う
言い方になった。
そして正解を導き出したのは3番目に出来たマリーネだった。
「マリーネ、正解だ。」
それは【重量減少】で
自らの体重を少しだけ軽くして、風属性魔法の【風】で
自分を持ち上げているだけだった。
登っていると言うよりは、飛んでいるに近い。
しかし岩壁があると、真下から【風】で持ち上げるよりは
岩壁側に少し傾けて【風】で押し付ける事が出来る為
登ると言う事であれば、精緻な魔力操作も無く
最短速度で登る事が出来る。
しかも岩壁側に【風】で押し付ける分
落下の危険性が少なくなる。
頭側から押すのと違い、身体を上に押し上げるのも正解とした要因だった。
一番危険なのは、岩壁から離れてしまう事だ。
軍事行動と言う点では素早く登れる事から
正解だとハイネは採点した。
「さて、あとはリーヴェとアーガスだ。」
「なぁ、これを登りきれば良いんだよな?」
「勿論」
「ならグダグダ変な事考えるより、俺にはこっちの方が早い!!
【双手詠唱】!
【重量減少】!
【身体強化Ⅴ】!!
おおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」
「マリアンヌ教導官、アーガスを頼んだ。」
「はい。」
アーガスは体重を軽くして、身体強化をして
勢いそのままに岩壁を走るようにあっという間に登っていった。
流石に危険性が高いので、マリアンヌがその補助についていった。
「いいか?あれが一番駄目な方法だからな?
危険なんてもんじゃない。お前らまだリルネットを除けば
2つまでしか同時に使えないんだ。
あれで岩壁から落ちたらどうするつもりなんだ…?」
「ハイネ教導官…、アーガスがそこまで考えて
登ると思っていますか……?」
「…………………………そこまで考えなしか…。」
流石にハイネも頭を抱えて悩んだ。
「で、リーヴァはどうする?」
「1つ考えがあります!」
「ほぅ。」
「【風】!」
なんと、リーヴァも力技だった。
本来【風】だけで飛ぶのは非常に精密な魔力操作が
求められるものだ。
そこを一気に【風】そのものに流す魔力量を増やして
ロケットの如く、周りの風などに負けないだけの【風】を
足元から噴き出して、そのまま頂上へと飛び去っていった。
そしてハイネが頭を抱えて悩んだ。
「リーヴァも力技かよ……。
失敗して落下して【重量減少】を
使っても、落下する速度は遅くならないんだぞ…?
いや、空気抵抗は同じだから…重量が重い方が……。」
「それセッカ総合教導官の座学でやりましたよね?
空気抵抗が無ければ、落ちる速度は同じだけど
空気抵抗がある場合は、重い方が重力による下向きの力が
大きくなるので、その分加速するから速く落ちるって…。」
「万有引力の法則はどこにいった?」
「重力は質量に加速度を与える力全般の話であって
万有引力ではありませんよ?
空気抵抗を考えれば、重いものほど速く落ちやすいという
感覚で合っているとセッカ総合教導官が言っていましたよ?」
などとマリーネとハイネが下で言い合っている間。
頂上ではマリアンヌに、無理矢理登りきったアーガスと
ロケットのように飛び上がってきたリーヴァの2人は
正座させられ怒られていた。
「どっちもどっちです!
安全策も確認せずに力技で登るなど言語道断です!
特にアーガス!途中の岩壁が崩れたらどうするのですか!!
そもそも今日は降下用魔導具は持ってきていないのですよ!!」
下で論議し始めたマリーネとハイネが登ってくるまでの間
延々と2人は怒られ続けた事は、多分良い想い出となったであろう。
「ならねぇよ!」