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第5話 プレ・ゴールデンエイジ


 国立王都セッカイル下級学校

 平民から貴族まで、全ての子供達が学び()とする場所である。


 そしてここでは正しい魔法の使い方から、読み書き計算。

 様々な事を学ぶ事が出来る。


 特に新生シード王国の識字率は100パーセントと

 その徹底が為されている。





「マイクさんがリンゴ1個を銅貨1枚で売っているお店を見つけました。

 5人分として全部でリンゴを10個購入しました。

 持っていたのは銀貨1枚。さて、お釣りはいくらでしょう。アーガスさん!」


「銅貨50枚です!」


「違います…。銀貨1枚は銅貨100枚分です。

 良いですか?この世界の通貨は

 鉄貨(1円)銅貨(100円)銀貨(1万円)金貨(100万円)白金貨(1億円)の5種類。

 銅貨1枚は鉄貨100枚分、銀貨は銅貨100枚分、金貨は銀貨100枚分。

 白金貨は金貨100枚分です。それを踏まえてお釣りはいくらでしょう。マリーネさん!」


「銅貨90枚です。」

「はい、良く出来ました。」

「あんた本当に馬鹿ね…。」

「ぐぅっ……。5人分なら50個だろう…。」

「全部で、って言ってるじゃない。

 なんで1人10個も食べるのよ……。」

「アーガス、落ち込むものでは無い。間違えても構わない。

 問題は、次に生かす事だ。恥ずかしい事でも何でもないぞ?

 それとマリーネ、出来たからと言って馬鹿にするんじゃない。

 むしろ最初から出来るなら、下級学校なんて要らないだろ。

 出来ない奴を出来る様にする為の学校なんだからな?」


「はーい、ライアーせんせい。」

 入学式の夜、こっぴどく怒られた生徒も居れば

 当日暴行をし、傷害を負わせた生徒はそのまま停学処分が下り

 その生徒達は少し学業が遅れることから特別クラスが編成され

 クラス編成が少し変わった。


 アーガスの居たクラスにはマリーネが移動してきていた。

 この1年17組には4軍からはアーガス、マリーネ。

 そしてハーマンとヤッチの4人であった事から、すぐに仲は良くなった。

 しかしこれまでの風潮が残っている為か

 4軍の周りに人が集まる事はなかった。



「まぁいいさ。ここは勉強する所だろう?」

「ふふ、間違えてた癖に…。

 そもそも3歳くらいから孤児院でお金の計算は

 既にやってたじゃないの」

「うるさい!苦手な事だってあるんだよ!」

「お前達も孤児か……。」

「ああ、ここのフーカ・ジーロ孤児院だ。」

「そうか…、俺はドルー孤児院だ。」

「俺もベーガヨン孤児院だ。」


「まぁ大体孤児だって言うよね。

 稀に街の子供からも選ばれるらしいけど…。」


「そもそも赤紙ってそんなに凄いのか?」

「「「やっぱ馬鹿だ」」」

「ちょっと待て!3人揃って馬鹿って言う事はねぇだろ!?」

「アーガス。赤紙って言うのは誰が出すか知ってる?」

「軍じゃねぇの?」

「違う、あれはセッカ総合教導官が発行する物で

 それ以外の人が発行する事は無いそうだ。

 つまり蔦大隊(アイビー・バタリオン)の総隊長が自ら

 探して配られるのが赤紙なんだ。」


「へぇ、あの銀髪のチビがねぇ…。」

「アーガス、あの人偉い人なのよ?」

「王妃だか総隊長だか知らないが、俺は魔導凱(モビルアーマー)だか

 魔導機(モビルウェポン)に乗れれば良いよ。」


「ほぅ…、あれに乗りたいのか?」

「そりゃそうだろ!あれに乗って空を飛びたい奴なんて

 いっぱいいるだろ!夢だよ夢!」


「100ひく10が出来ないのにか?」

「それを思い出させるな!ってなんであんたがここに!?」

「セッカ総合教導官!?敬礼!」

「あー、そういう面倒なのは今は良い。

 なんでと言ったな?日常の決まりきったルーティンの途中に

 お前らを見かけただけだ。

 4軍はどうせ今から戻って昼飯だろう?

 下級学校では4軍に昼飯を出さないからな。

 ついてこい。昼飯を奢ってやる。」


「奢る??」


 セッカがアーガス、マリーネ、ハーマン、ヤッチを引き連れ

 やってきたのは王都でも有名な高級料理店だった。


 しかも入ると一斉に店員が一列に並んで待っていた。

「「「「「「「「「「いらっしゃいませ!」」」」」」」」」」

「お待ちしておりました。いつものお席で宜しいでしょうか。」

「ああ、これは連れだ。いつものを5人分で頼む。」

「畏まりました。」


 5人は上の階へと案内されるが、店構えはとても立派なのに

 1階に居る客が普通のお客さんにしか見えなかった。

 しかし上の階に上がるに連れて、どんどん服装が

 キッチリした物へと変わっていく事に畏怖していた。


 そして4階まで上がると、その異質さに驚いた。

 1階、2階、3階と上がるにつれて

 皆着ている服も豪華になり、階には絵や壷などが飾られていたのに

 4階に上がった途端、1階のようなシンプルなものに戻った。


 しかし4階自体が色々とおかしかった。机や椅子が非常に少ないからだ。

「こら、お前ら。そっちは王族用だ。こっちだこっち」

「「「「王族!?」」」」


 そしてセッカについていくと、建物の隅に

 シンプルな机とソファーがある少し狭い部屋に辿り着いた。


「ここが私専用の席だ。好きなところに掛けろ」

「「「「専用!?」」」」

「そりゃそうだ、ここは私の店だからな。」


「総合教導官の……店?」

「私は雑貨屋もやっていれば風呂屋に飯屋に宿屋に色々な店をやっている。

 夏のプールや銭湯など、未成年は全員無料でお前らも利用してただろうが。

 王都だけでなく、全ての街にある筈だぞ?まぁ村には銭湯だけだがな。」


「まぁ私自身は見に行くだけだ。

 全て運営そのものは任せっぱなしだ。

 教導に軍と、大変忙しいからな。」


 すぐに飲み物がピッチャーで運び込まれ

 セッカの前にだけアイスカフェオレが置かれた。


「好きなものを好きなように飲め。

 食事は、ここではお任せだから何が来るかは解らん。

 だがここは軍と違って、素材が高い物が多いからな。

 多少の違いはあるかもしれないが、引けは取らない筈だ。」

「いえ、食堂の食事はとても美味しいです…。」


「ははは、そういって貰えるとレシピを考えた甲斐があると言うものだ。

 あそこもここも、私のレシピで作られているからな。」



 そして運ばれてきたのは、なんともシンプルなステーキで

 そして野菜サラダにスープにライスと言うセットだった。



「ふむ……。店長、このセットはいかほどだ?」

7掛け(原価7割)の銅貨10枚で御座います。

 1階用に料理長が考案しました。」

「これはオークの背肉だな?」

「はい、脂の少ない場所であり多く動かしますので

 その分、肉らしい味と弾力が楽しめる部位で御座います。」


「このソースは緑だな…、刻んだパセリ、オリーブ油に

 塩コショウ、おろしたニンニクにレモン汁だな。

 それとこれは白ワイン(ビネガー)だ。

 ここまでは私が出した「チミチュリ」のレシピだな。

 そこに生の唐辛子か……胎座が取ってあるから

 思ったほど辛くなく、香りが良く出ている。

 それと清涼感があるな……ミントと言うよりオレガノか?」


「はい、あと僅かにタイムを使っております。」

「なるほど…、赤身肉も生野菜に油を使って

 軟らかくなるように寝かせてあるな。

 良いだろう、合格だ。」


「ありがとうございます。ではごゆっくりどうぞ。」

 店長はセッカからポチ袋を貰って、頭を下げ戻っていった。



「ん?何をしている。早く食べないと冷めるぞ?」

「いえ、何か重要な事をしてたのでは無いかと…。」

「新メニューの味見だ、だからお任せなのだよ。

 食べてみろ、これが明日から1階で銅貨10枚で出る

 ステーキセットだ。」


「ステーキ?」

「む?まぁ焼いた肉をソースで食べる料理だ。

 孤児院だとステーキと言うより焼肉のが多いだろう。

 あれを少々金持ちっぽく盛り付けたものだ。」


「んっ!?少し舌がピリピリすっけど旨い!」

「まぁそうだな。食堂ではあまりニンニクなど

 香りの強い物はあまり出さないし

 辛いものも風土にあまり合わないから、使わないからな。」


「香りが強いと駄目なんですか?」

「それはそうだろう。あの騎士や衛兵などの中には

 暗部も混ざっているんだ。

 隠密がニンニクの匂いをさせているとかありえないからな。」


「暗部……、本当にあるんですね。」

「当然だ。お前らは多分魔導凱(モビルアーマー)だの

 魔導機(モビルウェポン)に乗りたいとか

 軍に憧れていたりして、最終的に入隊を決めたのだろう?」


「そうだ」

「アーガス!」

「よい、マリーネ。口の利き方に何か言う事はない。

 但し公式の場では許さぬぞ?それだけ覚えておけ、アーガス」

「お…おう…。」


「でだ。暗部はアーマネント(魔導鎧)魔導凱(モビルアーマー)まで乗れる。

 2軍もだ。但し一軍イコール魔導機(モビルウェポン)だとは思わない事だ。

 魔導凱(モビルアーマー)は鎧の延長線にあるが

 魔導機(モビルウェポン)は全くの別物だ。

 実際1000年前の時点で魔導機(モビルウェポン)と呼ばれる物に

 乗れた者は10人と居ない。」


「10人……。」

「今はもう少し乗れるが、魔力だけでも体力だけでも無理だ。

 しかも乗れても十式が限度だろう。

 百式魔導機(モビルウェポン)に乗れる者は私しかいないのだからな。」


「総合教導官しか乗れない……。」

「但し、十式魔導機(モビルウェポン)に汎用機は無い。」

「はんようき?」

「良く聞け。蔦大隊(アイビー・バタリオン)には

 4種類の魔導系装備がある。

 1つ目が3軍以上が着る、お前らも衛兵などが装備しているのを

 見ているアーマネント(魔導鎧)だ。

 2つ目が2軍以上が着る、五式魔導凱(モビルアーマー)だ。

 3つ目が1軍以上でかつ、乗れると判断した者にだけ与えられる

 十式魔導機(モビルウェポン)だ。

 最後は私専用の百式魔導機(モビルウェポン)だな。」


「ん?乗れると判断した者だけ?」

「そうだ。乗れると判断されなければ一生涯

 十式魔導機(モビルウェポン)に乗る事は無い。

 しかし乗れると判断された場合、そいつの専用機が作られる。」


「せんようき?」

「その人しか乗らないって事よ」

「そうだ、そしてその専用機を作るのは

 新生シード王国に居る職人と研究員、そして私だ。

 私が赤紙を配った奴は全員が十式に乗れるだけの

 隠れた【能力】を持つ。だからそれを咲かせる事が重要だ。」


「能力って…スキルや魔法ですよね?」


「それもあるが、赤紙でやってくる4軍は全員が

 希少能力かユニークスキルを持っている。

 魔力量などはただの動作させる為の最低基準でしかない。

 だが【能力】と言うのはどう使える様になるかは

 未だ解明されていないのだ。

 正直私が現状知る事が出来るのは、お前達が

 希少な能力、もしくは世界でたった1人の

 ユニークスキルを持っている、と言う事だけだ。

 それがどんな【能力】なのかはお前達しか解らん。」


「そんなものがあるんですか?」


「さぁな。私には何か【能力】がある、と言う

 非常にザックリと雑な部分までしか解らない。

 種は持っているが、それが芽吹くか、花を咲かすかは

 これからのお前ら次第だ。

 まぁ食え。私はこれからルーティンをせねばならん。」


「ルーティンとは一体……。」

「読書だ。」


 そういうと、セッカは比較的早いペースで

 次々と本を読んでいった。


 4人は食事を食べながらも、その読書のペースの速さに

 少々驚いていたが、読んでいる本の内容にも驚いていた。



「愛しい8LサイズTシャツ…?」

「俺様の暴君竜を飼いならせるか…?」

「両親はパパと父…?」

「俺の彼氏はガテン系…?」

「貴様ら、タイトルを棒読みするな!?

 さっさと飯を食って、教導にいかんか!」





 そして午後からはまた教導が始まる。

 この世界では魔法がある、だから魔法を

 いかに使いこなして身体の動きを補助するか、と言う点と

 身体自体の強化の両方が求められる。


  『追い込め追い込め!自分を虐め抜け!

   人様を虐める暇なんて軍には一切無いんだ!

   自分を虐めに虐め抜いて、そんな糞みたいな根性すら吹き飛ばせ!

   だから我が軍はそのような奴は誰一人居ないんだ!

   言い方が良くない?そんな事は無いぞ?

   人間とは差別する生き物だ!我々も差別をしている!

   肌の色が白いの黒いのだ、目の色が違うだの

   そういう差別では無い!友軍は味方は助ける!

   敵には容赦はしない!それが真の人間たる差別だ!

   戦いのない世界?そんなものは戦いを全て排除してから

   考慮すべきものだ!まずは守れ!自分の周囲の味方を

   誰一人失う事無く、守れる自分になれ!

   なったらどうするか?なってから考えろ!』



「てんめぇ…俺の上に乗ってベラベラ喋るな!」


「五月蝿いアーガス。47人なんだから1人余るだろう?

 今日の教導は、人1人を乗せての腕立てだ。

 私が軽くてよかったな?それともハイネにするか?

 恐らく3倍は重いぞ?」


「うるせぇ!」

「しかしアーガスよ、お前だけとんでもなく遅れてるぞ?

 日暮れまでに間に合うのか??

 まぁここは灯りもあるから夜までみっちり出来るがな。」


「お前が重いだけだろうが!!」

「そうか?マリーネ、ちょっと変われ。」



 マリーネが乗っていたリルネットの上にセッカが乗ると

 同じ速度で腕立てを始めた。



「ま……マリーネが重いんだ!」

「失礼ね!」

「始める前に言っただろうが。空間系か重量系か

 風属性魔法を使えと。」

「【身体強化(エンハンスドボディ)】と同時に使えねぇだろうが!」

「馬鹿ね」

「馬鹿だな、重さを軽くすれば【身体強化(エンハンスドボディ)】無で

 普通の腕立て伏せが出来るだろうが。

 リルネットがそれでもこう易々と腕立てをしているのは

 ※【双手(ツーハンデッド)詠唱(キャスティング)】を使って

 【身体強化(エンハンスドボディ)】と【重量(ウェイティング)減少(ディクリース)】を

 同時展開しているからに過ぎない。

 だが肉体は楽になるが、その分魔力配分など

 精神的な負担が増える。自分の向いている方でやるんだな。

 マリーネ、交代だ。」


※【双手詠唱】;左手と右手それぞれで別々の魔法を行使する技術。

 スキルや魔法と違い、純粋な技術、技能。




「ぬごぉぉぉぉぉぉ!やっぱり重い!あんた重いよ!?」

「気のせいだ、お前は精神的な負担は似合わない。

 だから肉体の方を極めろ。その為に【重量(ウェイティング )増加(インクリーズ)】を

 使ってやってるんだから喜べ。」

「喜ばねぇよ!?」


「いいから休むなー、筋肉の成長というのは本来なら

 しっかりと休みを挟んでやるものだが、この世界においては

 癒しの魔法によってストレスから回復するまでの時間すら短縮される。

 毎日やれば、毎日成長し続けると言う素晴らしい環境なのだぞ?

 ここで鍛えずして、いつ鍛えると言うのだ。

 特に今のお前達は『プレ(前段階)ゴールデンエイジ(黄金の年代)』という位

 運動に係わる神経を発達させる重要時期だが、筋力トレーニングの効果が低い。

 そこを癒しの魔法を使う事で、成長速度を上げているのだ。

 しかし集中力が散漫になりやすい時期なのだ。

 そこを集中してやれるようになれば、他の者との差は

 さらに広げられるんだ。だから休まずキリキリやれ。」


「いいから重さを減らせ!?

 重すぎて身体があがらねぇんだよ!!」


「ならレベルを上げろ」

「はぁ?」

「【身体強化(エンハンスドボディ)】とは仮称であり

 正式には【身体強化Ⅰ(エンハンスドボディ1)】から

 【身体強化(エンハンスドボディ)(10)】まである。

 お前がやってるのは【身体強化Ⅰ(エンハンスドボディ1)】だから

 辛いんだよ。だから【身体強化Ⅱ(エンハンスドボディ2)】なり

 【身体強化Ⅲ(エンハンスドボディ3)】なりと、魔法の威力を上げろ。」


「どうやってあげるんだよ!?」

「コツは教えないと前から言っているだろうが。

 足掻いてもがいて自分で見つけろ。」


「どうやって………こうか?」

「なんだ、あっさり出来たではないか。」

「はっ!俺に掛かればこんなもぐぶぅ!?」

「ああ、言い忘れていたが【身体強化(エンハンスドボディ)】は

 1レベル上げる毎に、消費魔力が2倍になる。

 【身体強化(エンハンスドボディ)(10)】ともなれば

 512倍もの魔力を消費する。ちなみに2軍以上は

 24時間、【身体強化(エンハンスドボディ)(10)】を維持出来なければ

 なれないからな?」


「24時間!?」

「だからこそ子供の頃からこうして教導をしているのだ。

 私もオンジ様と言う方に5歳から鍛えられてこうなったのだ。

 今の時点では何も特別な能力は使っていないからな?

 比較的誰でも知っていれば出来る様なものが大半だ。

 昔と違い、今では本なども比較的流通するようになったから

 意外と魔法を使える者は多いのだぞ?」


「そんなのどうでもいい!?きつい!!」

「馬鹿者、鍛えているのだからきつくなければ意味がない。

 リルネットもああ簡単にやっているように見えるが

 精神面ではかなりガリガリと削られているんだぞ?

 額の辺りを見てみろ。スイスイとやっているようで

 汗びっしょりだからな?

 お前だけがきついなどと思ったら大間違いだ。

 だから黙ってやれ。

 そうしないと文句を言う毎に重さを10倍にするぞ?」





 日暮れ前には疲れ果てた子を、乗っていた子が背負い

 入れ替わって精神(こころ)肉体(からだ)を虐め抜いた結果…。


「うむ、まぁこんなところだろう。」

 セッカの目の前には、疲れ果てた子供達が

 倒れている光景だけが残っていた。



「【範囲身体再生(レンジ・リカバリー)

 【範囲身体内癒(レンジ・キュア)

 【範囲身体外癒(レンジ・ヒーリング)

 おい、もう日暮れだぞ。

 さっさと風呂に入って飯食って、自由時間に入れ。」


 セッカがそう言って去っていく頃には

 倒れ込んでいた子供達が、次々と起き上がり

 今まで動く事も出来ないと思っていた身体も動けば

 頭痛がするくらいだった頭もはっきりしてきた。



「これが魔法という物だ、努力次第で『多分』出来る様になる。

 皆、励むがよい。」


 なんだかんだと言いながら

 最後に全員を一斉に癒しの魔法で癒していくセッカは

 それなりに子供達には格好良く見えた。

 かもしれないし、そうでもないかもしれない。


「ナレーション五月蝿い!」


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