盗賊との戦い
おばさんの称号を修正しました。
俺たちはドローンの指し示した地図の方角に向かって出陣したのであった。
「お前らみんな丸太は持ったか!」
とヤンキー代表小島くん。うん。いい人だけどその煽りは相手が人間じゃなくなったりしたらやばいからやめようね。雑魚吸○鬼ならともかく雅な方とか鬼クラス出てくると勝てないと思うし。
丸太じゃなくて鉄パイプを持った俺達は松林の奥を目指す。先導は稲見薬剤長のドローンだ。しかし林の中をゆうゆうと飛ばして稲見さん凄いな。
林のヤブをナタで払いつつ進むと小道が出てきた。確かに真田店長のククリナイフは効果が絶大であった。
「どっか事務室にしまってあるので後で先生の分も出しますよ!」
と気楽に声をかけてきてくれる店長。いや俺メスは持ってもククリナイフの操作には習熟してないから。
そこを進んでいくと…林に隠れるようにして大きな屋敷が出てきた。なにげに周囲には簡単ではあるが堀のようなものまで掘られている。意外と本格的な居館になっていてビビる。元は豪農の館かなにかだったのだろうか。
俺たちは屋敷を取り囲むと、天野先生がメガホンを取り出してスイッチを入れた。
「お前たちは完全に包〜囲されている!観念して出てきなさい(訳)」
を室町時代の関東の言葉で言っているらしい。
突如として響いた大音量の降伏勧告に、盗賊たちは取るものもとりあえず武器をひっつかんで屋敷の門から飛び出てきた。すると、頭目の脇には見覚えのあるぽっちゃりおばちゃんがいる。
なんか一人できれいな桃色の着物を来ていて、髪の毛も櫛づかれて整っていたりする。
「あんた!こいつらがあたしが話した悪い奴らよ!やっておしまい!」
とむしろおばちゃんは盗賊の面々を仕切っている。
「姉御!わかりやした!」「美しい姉御をお守りするため戦いやす!」
っぽいことを言っている様子だ。おい。
…ぽっちゃりおばさん、この時代的には美女だったのね。でもってなんか盗賊を手なづけているんじゃん?
「…おばさん話し合いの精神は?」
思わず俺が聞くとおばさんは頭目にしがみつき
「この人に抱かれてあたしは女の喜びを知ったのよ!お前らやっておしまい!」
…ドロンジョ様のような美女なら似合うけどおばさんにはやめてほしい。
盗賊たちは
「ガッテンだ!」
などといい弓を射ちかけてくる。それに対して
「こんな事もあろうかと」
と真田さんがポテトガンを発射する。
「店長さん!いきなりあれは…」
「大丈夫。」
という声とともにポテトガンから発射されたのは缶だった。飛んでった缶の周りには爆竹が着いていて、着弾したかと思うとボンっ!と大きな音を立てて爆発する。
「なんじゃなんじゃあ!!」
盗賊たちは火薬の爆発に慣れていないのか驚いて逃げ惑う。
「ククク…護身用の催涙ガス缶だよ!まごうかたなく合法のな!」
なぜこの時代で合法を強調する。
「缶のままだと射程が限られるから缶ごと爆破してみたのだ!風上に陣取っておいてよかった。」
風下の包囲していた面々はガスの発生を見て慌てて逃げる。前もって話しておこおうよ。
催涙ガスを食らって逃げ惑う盗賊達にヤンキー軍団がシールドウォールで押しつぶし、オタク軍団がインシュロックで縛り上げる。弓を取り出した奴には
「発射!」
と真田さんの号令下にロケット花火が飛んでいき…今度はガス弾じゃなくて単なる爆竹だった。全然殺傷力はないのだがとにかくこんなものを見たことがない盗賊が炎や煙、爆発音に浮足立ったところを俺たちが特殊警棒とスコップで武装して制圧する。
「お前ら!ちくしょう!」
と盗賊の奮った刀が俺の胸を薙ぎ払い、俺は衝撃でふっとばされた。思わず斬られたか、死んでしまうのか?と思ったが、特に血も出ている様子もなく俺は立ち上がった。さすが防刃ベスト、なんでもないぜ。衝撃で痛かったけど。
ちなみに盗賊の持っていた刀がなまくらだったので助かっただけで、技量の優れた武士が業物使ってたりしたら真っ二つになっていたぞ、と後で俺は怒られたのであった。
しばらくすると、盗賊の屋敷の前にはインシュロックとガムテープで縛り上げられた盗賊の一団が転がっていた。
「こんなに強いとは思わなかった。許してくれ!と言ってます。」
と天野先生が通訳…してくれなくてもなんとなくは分かる。
おばさんは暴れたのでやむを得ずガムテープでぐるぐる巻きにし、頭目の脇に転がした。
すると二人で
「あんたぁ…」「お前ぇ…」
となんだか美しい夫婦愛めいたやり取りをしている。おばさん盗賊に馴染みすぎ。
一通り捕まえたところで、さてどうするか、と思案をしていたらそこに騎馬武者の一隊がやって来た。今度は絢爛豪華、とは行かないが盗賊とは明らかに違って正規の武士に見える。
馬上の騎士は大鎧を着け、それに従う腹巻きに鉢金を着けた徒士3人は槍を持っている。
「これはどうしたことだ。最近この近辺を荒らし回る盗賊を捕まえに来てみれば、縛り上げられて隣には面妖な一団が。お主ら狐か。」
と馬上の侍が話しかけてきたのであった。




