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戦国ホームセンター  作者: 白苺
VS上杉輝虎編
23/68

北条康成(氏繁)小田城に来る

 天羽源鉄先生が小田氏治公に府中の大掾貞国を攻めないように言ったのか?


 そもそも府中の大掾貞国、小田、佐竹と並び関東八屋形に選ばれるほどの家柄…平氏の嫡流中の嫡流なのだ。元はあの平将門と争った国香の流れという名門。それもあって小田や佐竹とは一線を画して独立勢力として勢力を誇っていたのである。

 その本拠こそが常陸府中(現在の石岡市)…つまり元々の国府なのである。半独立ながら元々佐竹の家臣であった江戸氏が支配する水戸とは比較的近いのもあって長いこと争っており、それもあって佐竹とも仲が良くなかったのである。氏治様に負けるまでは。


 氏治様にボロ負けして…幸か不幸か滅亡はしなかった大掾氏はなりふり構わず江戸氏と和睦し(この後も江戸氏と揉めることは揉めるのだけど)佐竹氏の洞中(傘下)に収まってしまったのだ。


 これにより常陸南部への佐竹氏の影響力が飛躍的に大きくなり、今後小田家を征服していく、という流れを知っていただけに天羽源鉄先生は


「大掾を攻めるよりもまずは内政と防衛体制の確立を。」


 と繰り返し進言していたのだが…まぁ歴史通りに大掾は攻められ、佐竹の支配が一気に広がった、と。


「して、お館様。大掾が佐竹の手下となった今、我らは形勢が苦しいように思われますが。」


 と天羽源鉄先生。


「うむ。そのためにわしが手を打ってこちらの方々に来ていただいたのだ。」


 と言って指し示された武将が頭を軽く下げて挨拶する。


「北条康成と申します。この度の小田家と北条家の同盟成立、両家のために多大なる成果となりましょう。」

「か、関東管領上杉輝虎はどうするので?」

「あんな遠く越後からこの常陸までほいほい輝虎は来るまいて。」


 と氏治様。いや、それフラグだから。俺も思い出した。上杉来ちゃう。


 と言っても目の前にいる北条康成、後で改名して北条氏繁となる武将なのだが、『ここで叩き斬ってその話なし!』なんてできる人ではないのだ。


 小田原北条氏の名将と言えば『地黄八幡』と呼ばれる北条綱成が有名だが、この康成こそ綱成の嫡男なのである。しかも単なるお坊ちゃまどころか父以上の軍才を持ち、これまでも下総や武蔵で数々の勝利を上げ、それのみならず外交でも大活躍で主に下総方面の軍権を北条氏康みずから任されているという名将なのである。そんな人ホイホイ暗殺できるのは…うん。脇を見ると飛加藤でも絶対ムリだな。まだ震えているもの。


 ここでもみ消すわけにももうどうにも行かないので、


「北条家との同盟、祝着至極にございます。微力ながら我ら炎衆も両家のために力を尽くします。」


 と平伏して挨拶をする。なんかこういう時に無難に頭を下げるのが俺の係になりつつある気がする。無事に氏治様は相好を崩し、後は両家で酒盛りとなった。

上杉輝虎(謙信)対策は真剣に考えないとなぁ。


 和やかな雰囲気で宴が進む中、俺はちょいちょい、という感じで康成様のお付きの仮称ラオウに手招きされ、別室に入った。飛加藤も付いてきている。


「あの中で貴殿だけが我らに集中して目を配っていた。貴殿はなにものだ?」


 と聞かれる。いやまじ怖い。


「炎衆の相馬氏胤と申します。貴殿は?」

「おお、名乗らずに申し訳ない。我が名は風間かざま小太郎、こちらは私の従者です。」


 と脇の未だにニコニコとしている柔和な人を指し示す。風間、かざま=ふうまやん!


「風魔小太郎!」

「なぜその名を。知られたらその生命は…と言いたいところだがお味方ですからな!ハッハッハ。」

 

 と豪快に笑う小太郎氏をおいておいて俺は続けて


「背は六尺を超え、歯はまるで牙のよう…」

「お詳しいですな。さすがは結城勢を退けた炎衆だけのことは…」

「となると風魔小太郎はそちらの方ですね。」


 とニコニコしている方に声をかけた。


「だ、旦那!それ言っちゃう?」


 と飛加藤が慌てる。


「…なぜ私が風魔小太郎だと?」


 とスッと笑うのを止めてじっとこちらを見る本物の小太郎。いやマジ怖い。飛加藤もこっちの方が怖いと気づいていたのね。さすがは伝説の忍者の一人。


「い、いや先の風説を流すということは本物はその真逆の存在かと…」


 と丸々前田慶次郎の受け売りである。


「後、魏の曹操孟徳も同じような故事がありましたので…」

「先の一件だけなら処しようとも思いましたが。」


 と凄い怖い声でいう。するとパッと笑って


「魏の曹操になぞらえていたことを気づいてもらえるとは!この小太郎喜びの至りです。

どうかこれからもよろしく。そして先の話は内密に。

 こ ち ら の 方 が 風間かざま の頭領 の こ た ろ う です。」


 俺は汗を吹き出しながらも


「はぃぃ。これからもどうかお手柔らかによろしくですぅ。」


 と声が裏返りながら挨拶をし…無事に戻ることが出来た。


 いや本当に死ぬと思ったのはこれまでで最もこの瞬間がきつかったす。


「おう、相馬殿!どこ行っていたのだ!汗びっしょりではないか。女でも連れてきていたのか?」


 と気軽に声をかけてくる氏治様。いえ、まさか女連れではありません。


「北条との同盟のめでたさに武者震いしていたのであろう。ハッハッハ。」


 と御館様の近くで笑っているのはこの同盟の仲立ちをした谷田部・牛久両城の城主岡見治久殿だ。岡見領は北条の勢力範囲と近接しているために両家の同盟に尽力されたのだ。


 翌日城を辞して手子生への帰途に着く。気持ち的に燃え尽きたのでバイクはこの際後で取りに来ることにして皆で馬で戻ることになった。


「いやあ旦那、命拾いしましたね。」

「まさか風魔小太郎本人が出てくるとは。北条氏繁…じゃなかった今は康成か。も大物だし北条は我らをガッチリと抱え込むつもりだなぁ。」

「なら安心なのでは?」

「それがねぇ!」


 と口を挟んできたのは天羽源鉄先生。


「これで上杉輝虎の襲来が確定だよ!今2月だっけ?4月に来るから後二月よ!」


 さあどうなる上杉襲来。俺たちは生き残れるか。


また明日お願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] この時期、関東で反北条はヤバいし 軍神、上杉謙信は来襲されるともっとヤバい どっちもどっちですね この辺、小領主ですらないホムセンメンバーは 歴史知識活かして外交の自由ないのが辛タン…
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