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戦国ホームセンター  作者: 白苺
VS上杉輝虎編
18/68

結城襲来

 動員が命ぜられた際にどういう編成と装備で出すか、という相談がまとまり、俺は手子生城に戻った。小田氏治様の命令で、普段は手子生城に在住するように命じられたのだ。


「そのホムセン砦…めんどくさいからほむら城にしろ、とお館様は仰せだが。」


 と城代は辞めてもお目付け役として手子生に来てくれた赤松様。


「炎城では炎上して燃えてしまいそうです。穂羣ほむらではいかがですか?」


 と天羽源鉄さんが言上して認められた。うん燃え上がるのはガンダムの主題歌だけでいい。


「ところでなぜむら、の字をわざわざ羣、に。」

「私三国志のファンなのです!」


 うん。孔明っぽい格好見ればわかります。


「その三国志に登場する陳羣をいたく尊敬してましてな。」


 うん。陳羣は三国魏の名政治家だね。うんうん。さすが先生。


 俺は一通りの仕事を終えると手子生城下の俺の家に戻った…が前の所から変わって


「こちらにどうぞ」


 と通されたところは前よりは一回り広い俺から見たらお屋敷のような家だった。


「センセぇ!」


 と簡素とは言え冠木門があるのをくぐるとさくらさんが飛びついてきた。


「センセ、遅かったからもう戻らないかと思った!」


 なんだそのセンセ、というのは。後人を勝手に殉職させないでくれ。


「いや家を移る時に炎衆の皆さんがホムセンとやらにつれてってくれて…見たことないものばかりで目を回しました。」

「で、それがどうセンセ、に。」

「そこで偉い先生が絵草紙見せてくれまして…仁徳天皇みたいな名前の。」


 うん。『仁』だな。でも俺歴史の修正力にやられたくないし、ドラマの大沢たかおみたいにかっこよくもない。でもとりあえず呼び方はそのままになった。


 さくらさんに夕餉を作ってもらい、ドラム缶風呂に入り…一仕事終わった高揚感に俺はまたさくらさんと…たくさんしてしまったのであった。

 今回は始まる前に天井を厳重に確認したので多分飛加藤はいなかった。多分。



 小田洞中と認められ(配下に加わり)、小田城からの動員令には備えたが、できることなら出兵しないほうがいいと思いたいのは人の心。


しかし忘れてはいけない。ここは戦国時代で、波風立たない地…そもそもこの時代にあるのか?そんな場所、な訳で、やっぱりその要請は小田城から来たのだ。


「天羽源鉄殿に小田城から伝令!先の多賀谷政経の敗戦を受け今度は多賀谷の主、結城晴朝自ら兵を集めて進軍しております!炎衆も兵を出すようにと。」

「して場所は…?」

「海老ヶ島城へ向かって進軍中。晴朝の馬廻りと多賀谷政経に真壁久幹他も加わっております!」


 …その『他』が気になるのだが。まあ時代的には小田家の敵としては上杉謙信の次に怖い太田資正・梶原政景親子はまだ武蔵岩槻城にいるはずなのだけど。


 といっても結城晴朝本人も、何度も小田氏治が押し返して逆に結城城に攻めて行っても敗北しないだけの力はあるし、真壁久幹の存在も不気味だ。


 真壁久幹、常陸真壁城主である。真壁と言えば佐竹義重に仕え、鋲を打った大金砕棒を振るい『鬼真壁』と恐れられた息子の真壁氏幹が有名なのだが、実はこの父久幹、後にあらため道無こそが『鬼真壁』伝説の主体と言われる程の遣い手なのだ。というか今の時点では氏幹はうちにいる剣聖塚原卜伝様の弟子斎藤金平くんと同じぐらいの歳の少年だな。


 手子生城から水守城を経由して筑波山の北西にあたる海老ヶ島城に入る。この城は小田と結城、後には佐竹の間で度々奪い合いになった城で勢力のちょうど端境ぐらいにあるのだ。沼に突き出していくつもの郭が並ぶ比較的大きな城だが、平坦なこともあって籠城に耐えるとは行かず周囲で行われる合戦で大体趨勢が決まってしまうのである。


「おお、来たか。炎衆。」


 海老ヶ島城の本丸で氏治様が出迎えてくれた。


「天羽源鉄、手子生城、穂羣城から手勢300を率いて参りました!」

「うむ。心強いことよ。存分に手柄を挙げられい!」

「はっ!」


 と字面だけを書くと堂々たる武将のやり取りのように聞こえるが…天羽源鉄先生は膝がガクガク顎もカチカチ鳴るほど緊張していた。


「お館様!情勢はいかがですか?」


 と天羽源鉄先生の脇に控えていた俺が尋ねると


「おう。結城の奴、かき集められるだけ集めてきたな。そなえが8もある。」


 ひと備だいたい800−1000人だから…8000!


「当方は5備だな。炎衆は右翼に加わってくれ。」


 ざっと5000ですか。…結構厳しくない?


海老ヶ島城から出陣した小田勢はほどなく結城勢と会敵した。

こちらの本陣備には小田氏治公、

前面に重臣筆頭の土浦城主で小田氏治に尽くした名臣(と言うかいつも小田城を落とされる小田氏治を迎いいれていた)菅谷政貞、右翼は菅谷と並ぶ重臣の、木田余城主(土浦の北方)信太範宗、左翼には海老ヶ島城衆が主体で陣取っていた。


 結城勢は旗印から見るに正面に結城晴朝とその近臣が陣取り、気になる真壁隊はどうやら後方で予備戦力になっている様子だ。


そして俺たち炎衆の前には先の戦で戦った多賀谷政経の備がいた。


「ここであったもなにかの因縁!先の戦のようにはまんまとやらせないぞ!」


 と大将自ら全面に出てきてこちらに言い放つ。多賀谷政経はやる気なようです。


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― 新着の感想 ―
[一言] イザとなれば比較的簡単に作れるテルミット爆薬の手榴弾を実用化はどうでしょう?アルミ粉と酸化鉄懐炉を混ぜて花火で着火YouTube動画で爆破実験してる馬鹿も居て結構ポピュラーな爆薬です!水道鉄…
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