付与魔法師は選抜戦に出場する
「パンパカパーン!今年もこの時期がやってきました!!最強の騎士を決定する【騎士祭】!それに向けた【学内選抜戦】が本日から始まります!!」
金髪……グラードとの《決闘》から一週間が経った。
皆の目の前で実力を見せつけたことが効果的だったのか、周りから馬鹿にされるような事はなく、むしろどうやって勝ったのかと質問攻めにあった。
クラスメイトは全員ライバルであり、手の内を晒したくなかった俺は適当にあしらったが、それを周りがどう受け止めたのか、「グレイという男は付与魔法師のくせに常人なら到底耐えられないアホみたいな鍛錬を積み、その結果馬鹿みたいな怪力を身につけた」って事になった。……何故だ。
そんなこんなで日が経ち、気づけば【学内選抜戦】の朝を迎えていた。
ここから【騎士祭】は向けた闘いが幕を開ける。
「一次予選は、十人でのバトルロワイヤルになります!敗北条件は《戦闘衣》の無効化か場外に落ちてしまう、もしくは降参となり、最後まで残った一名が二次予選に出場できます!!」
本日は【学内選抜戦】の開会式という事で、【戦闘科】に所属する全生徒が一堂に会していた。
前では、マイクを握りしめた女子生徒が【学内選抜戦】の説明している。
【学内選抜戦】中も実況席に座り観客向けに実況をするそうだ。
「ただ今より【学内選抜戦】を開始いたします!!出場選手はお集まりください!!」
【学内選抜戦】は金髪との《決闘》でも使用した【決闘場】にて行われる。
学園の敷地内に【決闘場】は全部で十あり、一次予選は一日十試合、それが二週間にかけて開催される。
千人近くいる参加者が、一次予選で百人まで絞られるのだ。
「さて」
俺は呼ばれたため、列を抜け出して前へ歩き出す。
俺の一次予選は、第一決闘場の第一試合だ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
一次予選の最終日に日程が決まったブルーは、いつかの日と同じく観客席からグレイの背中を眺めていた。
単純に考えて、一次予選を突破するのさえ奇跡的だろう。
ブルーは時折そう考える。
三年生だけで三百人以上いる。
その中で一年生が百人の中に残るというのはどれほどのことだろうか。
本人は決して認めないだろうが、幼馴染みの少年を見つめるその双眸は、拭えない不安に揺らいでいた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ふーっと深呼吸をして周囲を見渡す。
金髪との《決闘》の時はあれだけ広く感じたのに、十人もいると少し圧迫感を覚える。
いや、違うな。
この圧迫感は人数が原因ではない。
柄にもなく緊張しているのだろうか。
いやに喉の渇き、汗の不快さが気になる。
それも当然だろう。
ここで負ければ終わりなのだから。
「全員が配置についたようです!それでは、早速いってみましょう!!!」
実況の声を合図に、各自戦闘態勢に入る。
「バトル………始め────」
「属性付与」
俺は実況が開始の合図を出した瞬間、何かを抱きかかえるように腕を構え、魔法を発動する。
「どっせぇぇぇいッッ!!!」
もしも木のような太い何かを振り回そうとしたら、同じような格好になるだろう。
だがグレイの腕の中には何もない。
少なくとも他の九人からはそう見えた。
しかし、グレイの腕の振りに合わせて直線上にいた一人の身体が吹き飛ばされた。
一次予選の敗北条件は、《戦闘衣》の無効化と降参……そして場外に出てしまうことだ。
吹き飛ばされて場外に落下したその生徒は敗北となる。
その様子を見ていた他の選手は、自身に危機が迫っていると知り、その場にしゃがんだり逃げまわったりと回避行動をとる。
しかしその甲斐なく次々にバトルフィールドから叩き落とされていった。
落下者が八を数え、遂に残り一名となる。
運良く最後まで被害を受けなかった生徒だ。
最後の一人も叩き落とさんと、俺は抱えたモノを最後まで振り切ろうとした。
「ちょっと調子に乗りすぎだね」
他の選手を脱落に追いやったそれを、最後の一人となったそいつは一言呟くと同時に剣で吹き飛ばした。
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