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付与魔法師は戦闘の道を選ぶ

付与魔法って凄くね?って思い書き始めました。

本作品を通して、付与魔法の可能性を感じてもらえればと思います!!

拙いところも多々ありますが、よろしくお願いします!!!!

 キーンコーンカーンコーン。



 目を覚ますと、オレンジがかった光が校舎の窓から差し込んでいた。

 凝り固まった筋肉をほぐすため、んーっと伸びをすると、横から近づいてきた誰かに頭を叩かれる。


「何すんだよ」


「何すんだよ、じゃないわよ。真面目に授業受けなさいよ。午後の授業あんたほとんど寝てたじゃない」


 呆れた口調で、じとっとした視線を送ってくる赤髪の幼馴染みを横目に俺は口に手を当てる。


「はぁ……ふ」


 欠伸をする俺を睨みながら、少女は机に一枚の紙を叩きつける。

 一番上には大きな文字で、進路希望と書いてあった。


「で、あんたはどうすんの?」


「決まってんだろ。もちろんこうする」


 俺は鞄をゴソゴソとあさり、くしゃくしゃになった紙を少女に突き出す。


 そこには汚い字で、【戦闘科】と書かれていた。



 人間には生まれつき技能(スキル)が与えられている。

 剣術のスキルを持つ者は剣の扱いに長け、魔法のスキルを持つ者は、火を出したり風を操ったりする。


 俺が通っているフリーゲル騎士学園では、高等部から戦闘に向いているスキルを持つ者は【戦闘科】、戦闘に向かないスキルを持つ回復魔法師や付与魔法師は【支援科】に行くのが普通だ。

 中等部に所属し、来年から高等部に通う俺たちは、どちらに進むか進路希望を出さなければならない。……明日までに。


「ならなんであんたは、()()()()()()()()()【戦闘科】に行こうとしてんのよ」


「……別にいいだろ。男の子はバトルってやつに憧れるんだよ」


 俺は口角を釣り上げ、ニヒルに笑う。

 赤髪の少女はそれを見てなんとも言えない顔をし、


「あんた……その笑い方キモいからやめた方がいいわよ」


 俺、グレイ・フレアガルドは、二度とこの笑い方をしないことを誓った。


「……ほっとけ。そういうお前はどっちにするんだよ」


 机の上に置かれた白紙の紙を見て、そう問いかける。

 少女が俺のスキルを知っていたように、俺も少女のスキルを知っている。

 だが、戦闘適性のあるスキルを持つ奴が絶対に【戦闘科】を選ぶわけじゃない。

 少女も迷っているのだろう。【戦闘科】に行けば、最悪死ぬ可能性すらある。


 ──まあこいつの場合、それだけじゃないんだろうが。


 ブルー・ライラット。髪色と正反対の名前を持つ眼前の少女は、ライラット家の人間だ。

 代々優秀な魔法師を輩出する名門において、()()()()()()()()()を持って生まれた異端児。

 彼女なりに色々背負い、考えているのだろう。


「ん〜〜〜ッッ、決めたわ!!」


 ブルーはその場でペンを取り出すと、白紙の紙にさらさらとペンを滑らせる。


「いいのか?本当に」


「あんたが【戦闘科】に行くのに、私が逃げるわけにはいかないわ!」


「……そうか。…その、なんだ……似た者同士これから三年間よろしくな」


 俺は、【戦闘科】と綺麗な字で書かれた紙を見やり、手を差し出す。

 ブルーは俺よりも小さな手で握り返してくれた。


「頑張りましょう。似た者同士」


 弾けるようなその笑みに、俺の頰も綻ぶ。


 似た者同士。


 たまに考えることがある。

 俺とブルーが逆だったら、少しは良かったのだろうかと。


 剣の名門、フレアガルドの名を持つ付与魔法師(グレイ)は、頭を振ってそんな考えを振り払った。

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