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67  妖艶なロリ

今話は区切りの問題で短めです。

「スーッ、スーッ」


 隣からツキの寝息が聞こえてきた。

 見た目は急成長しているけど、実際はまだ子供だもんな。

 苦労ばっかかけてごめんな。


 俺は静かにツキの頭を撫で、誰にも聞こえないくらいの小声で呟いた——つもりだったのだが。


「よっぽど疲れてえいたんじゃな」

「うん……へっ!? あー、うん、そうみたいだね」


 聞かれてました。

 俺は顔を赤くしながら、寝返りを打つように話しかけてきたブティーの方を向く。


「そ、そういえばさ、ブティーって眷属の血ばっかりで味に飽きたりしないの?」

「またその質問か? 大丈夫じゃ、飽きはせん。何百年と生きている妾を信じるのじゃ。……でも、そうじゃな」


 ブティーが何かを言いかけた。

 そう感じた時にはブティーの唇が接近していて。

 そして——




 かぷっ。




「えっ、ちょっ、なに、イタッ!?」


 ブティーは俺の首元に噛みつき、吸血をし始めた。

 俺は顔を更に赤く染めながらながら、ブティーの肩を叩き剥がそうともがくが思うように力が入らない。




        ※




「……っ!?」


 妾はからかい半分でルキに対して吸血行為を始めたが、目の色を変えて食事以上にマジの吸血を続けた。


 温かくて甘美な味わい。

 それでいて感じるエネルギーの源、魔力に精力。

 力が漲るとともに、牙が、体が、何か体の奥底が疼くようじゃ。


「ねぇ……あっ……ちょっと無視は」


 妾がずっと夢中になって吸血をしていたせいか、甘い吐息を漏らしながらルキが小さく叫んだ。

 そんなルキの言葉に、妾はルキの首筋から銀色に輝く糸を垂らしながら唇を離す。


「すまなかったのじゃ、あまりにも美味でつい」

「ハァ、ハァ……まぁ……いいけど……いや、よくはないけど……」


 ルキの顔は紅潮し、呼吸は乱れていた。


 何故じゃろう、何故なんじゃろう。

 妾は死者にしか興奮しないはずなんじゃが、なぜかこうグッとくるものがあるんじゃが。

 知りたい、この気持ちがなんなのか。


「ルキ? たまにでよいから血を飲ませてはくれぬか? 眷属の血に飽きてきたところなのじゃ」

「さっきと言ってること違くない!?」


 妾はルキの手を握り、顔を近づけ懇願した。




        ※




 正直、この申し出に嫌な気はしない。

 年齢不詳のロリババだけど、可憐なファンタジーっ娘の吸血鬼からの吸血行為ならいくらでもいいのだが。


「いきなりはダメ。言ってからなら、まぁ、うん」

「そうか?」


 俺の答えを聞いたブティーの顔は火照っており、桜色の小さな唇をぺろっと舌で舐めがらニコッと微笑んでいた。

 それにいつのまにかブティーの服装は見慣れた派手なゴスロリドレスではなく、ラフな格好に変わっている。

 月明かりに照らされる少し乱れた白髪と真紅に輝く瞳。

 チラチラッと見え隠れする八重歯。


 なんだこれ、ブティーってこんな妖艶な感じだっけ?

 もっと”妾はロリなのじゃ”って感じだった気が。


「感謝するぞ、夜分遅くに悪かったの。おやすみなのじゃ」

「う、うん。おやすみ」


 この後、すぐにブティーの方からも寝息が聞こえてきた。

 俺はと言うと、精神的疲れがどっと押し寄せてきてたが、羞恥のせいで一睡もできなかった。

 右を見ても左を見ても美少女が寝ているのだ。

 そして内一人はさっきドキッとさせられた相手だ。

 こんな状況で、TS(性転換)しちゃったDT(童貞)が寝られるか!






 一方その頃のゴーはというと。


「うぅぅっ……。俺もベッドで寝たかったっす」


 仮病で寝たフリをしたまま放置されていたゴーは、心の中で悔し涙を飲んでいた。


 でも、これも明日への布石っす。

 明日は絶対に楽させてもらうっすよ!


 ゴーの中では、明日は歩かずに済むかもしれないとっておきの秘策だったのだろう。

 それがゴーにとっての悲劇を生むことになるとは知らず。

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