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61  禁断症状で震えるツキ

お久しぶりです。新年、あけましておめでとうございます。

一ヶ月もの間、投稿をサボってましたアユムです。

少しでも楽しみにしてくださってくれていた方々、申し訳ございませんでした。

投稿頻度は以前の頃に戻す所存です。


〜簡単な前回までのあらすじ 〜

 奈落の底に一人残り、古龍と対峙することになったルキ。

 そのルキに助けられたツキ達。

 ルキの帰りを信じて待つ三人に——…

 待ち始めてから数時間が経過した。


「……遅い」

「ん? どうしたのじゃツ――…ツキ!?」

「遅い遅い遅い遅い遅い遅い、遅過ぎますっ!? もう、我慢できません。一人でもルキ様の元にっ!」


 ずっと静かに座っていたツキの目は焦点がブレブレで呼吸は荒くなっていき、軽く禁断症状のような雰囲気を醸し出している。


「も、もう少し待つのじゃ! まだ古龍の姿が見えないってことは、ルキは多分無事じゃ!」

「そうっすよ姉御、堪えてください」


 しかし、そんな二人の言葉は平常心を失い始めているツキには届かない。

 呼吸は乱れ、逆立つ耳や尻尾や髪毛。

 そんなツキを二人がかりで体を張って止めるも、あまり意味を成していない。

 ツキの耳も目も大穴の方から動かずに、一歩また一歩進み始めている。

 ぶっちゃけ、もうただの獣である。


「完全に禁断症状出ちゃってるじゃないっすか! ルキさん助けてくださいっすーっ!」

「ここに居ないルキに頼ってどうするのじゃ! というかツキよ、ルキを信じて待つんじゃなかたのか?」


 二人の言葉にツキは案の定反応を示さない。

 こんなどうしようもない状況で、ゴーは足元にいるカメ吉を見た。


「カ、カメ吉。どうにかしてくれないっすか?」


 ゴーはカメ吉に助けを求めた。

 猫の手も借りたいというこの状況で、亀の手を借りるのは宇宙広しとゴーが初めてだろう。


 カメ吉はすぐさま甲羅と首の間からツタを伸ばし、ツキをグルグル巻きにして拘束した。

 ジタバタともがき暴れるツキの精力を巻きつくツタが吸収し、今すぐにでも()()しそうだったツキを物理的に黙らせた。

 そんな光景を口を開けて見ていたゴーとブティーは。


「お、おぉ。なんか全ての性能において、俺はこの亀(カメ吉)に勝てる気がしないんすけど」

「……妾も吸血鬼(ヴァンパイア)じゃし、力にも自信があったつもりなんじゃがな。少し、自信を無くしてしもうたわ」


 何はともあれカメ吉のおかげで、ゴー達一行はツキの禁断症状を一時的に抑止することに成功した。


「ところでゴーよ。ずっと気にはしておったのじゃが、この”カメ吉”と呼ばれておる者は何なのじゃ? 魔物、とは少し気配が違う気がするのじゃが」


 ブティーはカメ吉の甲羅を撫でながら、ふと思い出したかのように尋ねた。

 それに対してゴーは首を左右に振りながら。


「俺もよく分かんないっす。先日、湖付近で野営準備中にルキさんが拾ってきたんっすよ。獣魔……じゃなくて、ペット? というみたいっすけど」


 少し落ち着いた空気。

 ツキとの一悶着がひと段落して、少し会話が出来るくらいには余裕が生まれている。

 心配がないとは言えない。

 けどその時だった。ほんの少しだけゴー達の心が落ち着いたその時、再び大地が()()()揺れ始めた。


 そして——




 ドオオオオォォォォォォォォン!




 しばらくの間、物音一つ聞こえなかった奈落へと続く大穴から爆音が鳴り響き、同時に大地が()()()揺れ始めた。

 そんな激しい揺れにツキはパチっと目を開き目覚める。


「フーッ……フーッ……」


 鼻息荒く体を震わせ、揺れる瞳孔は大穴から離れない。


「ル、ルキ様、ルキ様ーっ!? カメ吉、ツタを解きなさい!」


 今まで誰に対しても敬語を崩したことのないツキの口調が初めて変化を見せる。

 しかし、それどころではないゴーとブティーは。


「なんっすか、何が起こったんっすか!?」

「眷属達よ、穴の様子を見てくるのじゃ!」


 ブティーは指を鳴らし、自身の影を千切ってコウモリを形容した眷属を複数体召喚する。

 しかし、召喚直後に眷属達は召喚者(ブティー)の影へと帰還した。

 そんな眷属達の行動に、ブティーは息を飲み呟いた。


「……古龍じゃ」


 眷属は召喚者の命には従う。

 それはどんな事情であっても、眷属自身が消滅しようとも召喚者(マスター)を守るもの。


 そんな理すらも捻じ曲げてしまうほどの威圧。

 考えられるのは一つ。

 ルキの身に何かしらの事情が起こり、古龍が再び動き始めた以外考えられなかった。


「ブティーもゴーも臨戦態勢を! 力を、力を貸して! ルキ様をお助けします!」


 正気に戻ってはいるが、明らかに表情からは焦りを放つツキは大穴を見据えながら叫んだ。

 ブティーもゴーもツキには言われるまでもなく、戦う準備は整っている。

 しかし、焦りを浮かべているのはツキだけではない。

 その原因は古龍と対峙する恐怖ではなく、ルキの身に()()()が起こってしまったことを危惧してだ。

 ゴーも、そして付き合いが最も浅いブティーも腰を低くし、いつでも動けるようかかとを浮かし、大穴を見据えた。


 そして——




 バアアアアァァァァァッッッッッッン!




 見覚えのある巨大な手が穴を壊しながら突き破った。


「ル、ルキ、様——…?」

本当に投稿が遅れてごめんなさい。

本日より毎日投稿を再開するので、よろしければ明日も読みにきてください!

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― 新着の感想 ―
[一言] ホントに何者なんだこの亀は…
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