世界、それは懐かしいものなのか
「陰さん陰さん大丈夫ですか?」
「う、うぅ」
本当に大丈夫なのか?この人は
全く、宿屋を探すといいながら、何分僕を歩かせるかなのだろうか。
わざとなのか?
わざと迷っているのか?
人混みのないところへ、連れて行ってかつあげでも、するつもりなのだろうか?
でも、この人はそんな事をする人では、ないと思う。
まあ、信用していいだろう、にしてもかわいい、こけた姿もまたかわいい。
「は!」
僕は、今起こっている事を全く忘れていつものように考えていた。
とりあえずこけている陰さんに、手をさしのべる。
「大丈夫?」
「あ、ありがとう」
少し赤くなりながら、僕の手を握って立ち上がる。
にしても、軽いな、女の子はみんなこんなに軽いのだろうか、軽すぎだろ、でも、一人例外を僕は知っている、お母さんだ、腕がちぎれそうになった。
まあ、太ってるからな。
「ふふ」
「何がおかしいのよ、私がこけたから?そうでしょそうなんでしょ」
少し怒った顔をして言った。
また、かわいい、ずっとずっと冷凍して保存しておきたいくらいだ。
まあ、そんな事を言ったら、失礼か、むこうは、真剣に起こっているのだから。
「失礼失礼、全然そんなつもりでは、なかったのですよ、なんだか楽しかったから」
そうだ、僕は久々にこんな楽しい、なんだか本当に青春をおくっているようだ、僕は、あんまりそういうのは、したことがないから分からないのだけれど。
「そ、そうなの」
うんうん、分かってくれればそれでいい。
でも、全然宿屋がみつからないなー
本当にこの道であっているのだろうか。
凄い暗い道だけれど。
「なんだか怖くないすか?陰さん」
「ちょっと怖いよね、暗くて狭くて」
うんうん、そのとうりだ、暗くて狭くて、おっと、これは、襲うのにちょうどいい、なんてことも考えてしまう自分が、情けない。
「はぁ」
いつまで歩くのだろうか。
もう足がクタクタだ。
持久走で走った並に疲れてしまった。永眠とかできそうな勢いだ。
「まだ歩くのですかー?」
「当たり前でしょ、宿屋がないとどこで寝るの」
「はぁ、そうですねー」
まあ、陰さんも疲れているという事は、重々承知なのだが、どうしても文句を言いたい。
こんなに探してないのなら、もう宿屋は、ないのだろう、もう、野宿をしようと、言いたい、しかし女の子に野宿ってなかなか言いにくいよなー。
一人だと野宿でもなんでもいいのだけれど。
虫さえいなければ。
「陰さん陰さん休もうやー」
「男の子なんだからそんな弱気を言わなーい」
「はぁ、はぁ」
次は本当に休ませてもらおう。
もう少し歩いてからもう一度言おう、そしたらかげさんもわかってくれるはずだ。
「はぁ、はぁ」
陰さんの息が聞こえる。
多分僕よりかは、きついはずだ。
こんなに無理しないで、休めばいいのに。
そして僕達はまだまだ歩いた。
そして迷った。