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第394話 久留米料理子の告白


「私ね、平賀屋君がご飯を食べてるところが好き。特にお腹がぱんぱんに膨らむまで食べ過ぎちゃって、うんうんうなって寝込んでるところとか、なんかこう……ぐっとくる。食べ盛りの男子がいっぱい食べてるところなんて可愛すぎてキュンキュンきちゃう」


「盛りたいだけ盛った料理を全部たいらげてくれるのは、料理人冥利に尽きるというものだよ。けどそれだけじゃない」


「出されたご飯を残すのが嫌で、命がもったいないのが嫌なのが平賀屋君。あなたが無理にでも出されたご飯を平らげようとするのは、命を強く尊重しているから」


「まずそういうところが、なんかいいなぁ、と私みたいなのは思うのです」


「昔、お母さんにこんなことを言われたんだ。一緒に荷車を引いてくれる相手を選びなさい”ってさ。そう考えたらほら、平賀屋君てさ。すごーく一緒に荷車引いてくれそうじゃん?」


「だからかな。こっちの世界に来て色々あったけど、平賀屋君と一緒にいると、なんかいいなぁ、って思うことがじんわり増えていったんだよ」


「山井ちゃんの表情が柔らかくなったり、四谷ちゃんがちょっとずつ積極的になったり。姫宮ちゃんが楽しそうだったり、ハピネスちゃんがはしゃいでたり」


「――ねぇ、知ってる? たぶん私が一番最初に平賀屋君のこと、なんかいいなぁって思ったのは、ずっと前の、この世界に来たばかりの頃のこと。ハピネスちゃんと一緒に、サーターアンダギーを作った時のことだよ」


「私、ああいうの、すっごくいいなって思う。大好き」


「一緒に作って、一緒に食べる。そのどちらもが、笑顔であふれてる」


「何度だって、平賀屋くんとああいうことをしたいなって思った」


「それにあの時、平賀屋君言ってたじゃない。料理をする上で最も重要な工程は、毎回後片付けをちゃんとすることだって。それを聞いた時に思ったんだ。平賀屋君と一緒に料理して、後片付けまで一緒にする、それって、すごくいいなって」


「だから、ね。短い間だったけど、二コラチェカちゃんと一緒に竜車で暮らしてた時は本当に楽しかった。子ども好きで面倒見がいいとこ、食べ物の好き嫌いがないとこ、食い意地が張ってて可愛いとこ。あなたの頼りになるところも、ちょっとダメなところも色々見て、その時思ったの」


「平賀屋君を選ぼうかなって。一緒に作って、一緒に食べて、一緒に笑って、一緒に過ごすような。そういう関係に、あなたとなりたいって」


「――だから、ね。平賀屋君のこと、もっと好きになってもいい?」

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