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そこを退け戦傀儡  作者: 育深
20越えても天才
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20越えても天才だけど明らかにやってることが天才っぽくない

「おっ、来たか……

トレジャーハント集団黎明の鷹の期待の超新星が……」


そう呟いた斧を担いだ筋肉質で大柄な女性のが廃墟の残骸に腰を預けながらそんなことを呟いた。

目線の先には上裸の変態の姿。

言わずもがなナガラである。


「悪いなぁリーダー、遅くなった。

取り立てが来ちまってて……」


ナガラは頭を掻きながら草むらを掻き分けてセラという女性の方へ向かう。


「おま……日を追う毎に格好がみすぼらしくなってんじゃねえか……」


引き気味にそう言ったのはセラと呼ばれた女性の隣に座っていた出っ歯で小柄な男、エル。

背に抱える弓はその体格に比べて異常とも言えるほど大きいが、彼の三角筋から上腕筋群は歪と取れるほど逞しく鍛えられており、その腕の長さも弓を引くのに申し分ない。


「んじゃ、早く行こうぜェ……

暴れてえんだよ俺はよ……」


不満げに声を漏らすのは、地にべったりを腰を下ろしている細身で長身の男。

腰には沢山の短刀を携えており、他の二人が体を鉄で守っているのに対し、回避に重点を置いたような軽装をしているところが特徴的だ。


「おいおい、クロード目的はそっちじゃないだろうが……

アタシらトレジャーハンター、黎明の鷹の第一目標は魔物共によって破壊された街での略奪行為。

いいな、魔物とまともにやりあって勝てるのなんてそこの上裸バカくらいなもんだよ……」


先頭を歩き出したクロードに続き、全員が目的地に向かって歩を進め始める。

「ちっ、わぁってるって……」


魔物、先の大戦の直後に発生した異形の怪物の総称である。

人族、エルフ族、魔人族、その他、全ての種族に見境なくかかる習性があり、一体の戦闘能力は絶大。

生物最強の称号を背に負うナガラですら、三体以上を相手にすれば勝利は愚か逃げることができるかどうかも分からない。


余談だが、選等兵団の立場がなくなっていったのもこの魔物の影響だ。

人間より圧倒的に性能の高いエルフなどの擬人族相手に無双した選等兵団ですら、魔物には手も足も出ずに敗戦を重ねていった。

段々と議会での立場がなくなっていった時、登場したのが戦傀儡。

魔物に勝るとも劣らない基本性能で破竹の快進撃を続けていった彼女らによってナガラ含む軍人や雇われの傭兵は遂に居場所を無くしたという訳なのだ。


戦争で流れる血が減ると言えば聞こえはいいものの、一部では人間を人工的に作るという行為が非人道的などの批判もあり、元軍人や元傭兵の失業者の数も社会問題となっている。


因みにセラとクロードも元傭兵であり、失業によってトレジャーハンターと言う名の死体漁りを生業にしなくてはならなかった。

エルは野性動物を狩って生計を立ててきた一族だったが、魔物の発生により野性動物が居なくなってしまったせいで職を失った。


そこに軍を追放されたナガラ、と来たものだから彼ら黎明の鷹のメンバー全員が、魔物によって職を失い、魔物によって職を得ているというのだから皮肉な話だ。





「じゃあいいな皆、ここから先は危険区域だ。

一秒足りとも気は緩めるんじゃねえぞ」


「分かってる」


「ったりめェよ!」


「任しとけ」


エルが音頭を取ると、三人がそれぞれに口を開く。


ここからは命を賭けたギャンブルである。

四人の体には無数の冷や汗が滴り落ち、脳内麻薬は過剰な量が分泌される。


「突入っ!!」


彼らの、文字通り決死の宝探しが幕を開けた。

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