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二光秒その4

 弾の後を追って約六秒後、弾から離れ下のほうに目をやるとなにやら黒い物体が見えてきた。それは全長200メートルにも達する細長い棒状で、ドーミエの方向にその先を向けながら横に動いている。 これこそ先ほどらい、ドーミエに対して2光秒の距離を隔てて攻撃を仕掛けている狙撃専用の宇宙戦闘艇、D・スパイダー号のレーザー砲なのだ。D・スパイダー号の本体はまだ遥か1000メートル先に存在する。6基のレーザー砲が、1000メートルのワイヤーで繋がれ展開している。その形が蜘蛛の巣を連想させるため、本来の無味乾燥な形式名称よりもD・スパイダー号という愛称で呼ばれていた。

 D・スパイダー号の本体はあまり大きくない、全長100メートル足らずで先端に電光掲示板のような六角形の板がついている。本体はその陰に隠れ敵の目をくらますのだ。電光掲示板といってもちゃちい作りでこれで戦艦の光学探査機器を誤魔化せるものだろうかと言う人もいる。しかし一光秒以上離れると戦艦の光学探査機器のディスプレイ内では、D・スパイダー号の本体は2,3個のピクセルを占めるだけなのだ。実際もっと性能の良い光学探査機器もあるのだが、戦艦に載せるには耐久性という観点から問題ありとして現在の性能に落ち着いているのだった。

 レーザー砲が本体の2倍の長さがあるのは、本来そんなに長く必要ないのだが、敵が何隻かかたまっている場合、漏れた光が敵に見つかると反撃されるのでなるべく長い砲身を使いレーザーを収束させて光が漏れないようにしているのだ。移動時には六基のレーザー砲がぴたっと張り付いて鉛筆を束ねたようにしか見えないD・スパイダー号だが、戦闘時にはレーザー砲の支持部分が回転し遠心力でレーザー砲を展開する。攻撃する部分とコントロールする部分を離すことで生存性を高めているのだ。しかも、回転しているうえ六基の砲をランダムに撃つため何処から撃っているのかが判りにくいという利点もある。その上、各レーザー砲にはドーミエのそれより性能が落ちるが、光学探査機器が付いていて直径2000メートル並みの解像度を持つ光学探査機器としての性能を持つのだ。

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