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プロローグ2 『罰』と『チャンス』

《ノエグナード》


 それは、既に滅びを迎えたこの世界を表す言葉。


 訪れた滅びは、されど世界を終焉と下ろすことは無かった。


 この世界にはモンスターが一切発生しない。大気中の魔力濃度が薄くなり、神秘の力は衰えた。


 この世界では人類種が頂点に立っている。何故なら人類種以外の動植物など既に存在しないのだから。


 それでも我々人類は未だ歴史を紡ぎ続けている。


 ダンジョンが全てをもたらしてくれている。


 ダンジョンは滅びを迎えた世界への神からの贈り物である。


 全てが終わりかけた時、神が救済を与え給うたのだ。


 ダンジョンの核であるダンジョンコアがあれば人が生活できる結界を張ることが出来る。


 ダンジョンでモンスターを狩れば肉や野菜を食べることが出来る。


 ダンジョンで木を伐採し鉱石を採掘すれば生活を豊かにできる。


 ダンジョンは人類にとって無くてはならないモノになった。


 それでもダンジョンは危険なものにほかならない。


 ダンジョンは5年に一度約100に渡って発生する。


 だがその時発生したダンジョンは5年後には半分も残らない。


 我々人類にとって益の無いダンジョンは総て発生して2年以内には間引かれるから。


 残ったダンジョンもそこから20年も持たないだろう。


 ダンジョンはどこまでも成長し、しまいには人類には攻略できなくなってしまう。


 それは人類にとって死活問題である。ダンジョンは世界に最大500までしか存在できないのだから。


 攻略できないダンジョンはそれだけで人類の希望(いきるすべ)を1つ潰してしまう。


 そうならないためにどれだけ有益なダンジョンでも25年以内に狩るのだ。


 今現在30年以上存在しているダンジョンは世界に5つも存在しない。


 これ以上攻略不可ダンジョンを増やさないため、後世の人類のためこれを記す。


       『ダンジョンについて』はじめにより抜粋

────────────────────────────────────



 なんだこりゃ。詰んでるじゃないか。どうしようもない。

 ダンジョンを防衛しようと思っている奴らはどう頑張ったって2年で潰される。人を殺さない共存したいと思っていても、約25年でどれだけ人類と仲良くしても潰される。言われた通りこの転生は『罰』でしかない。これは余命宣告だ。お前の命は残り25年だという。

 だが、生き残るチャンスもある。戦力を隠しながら人類に媚びを売るのだ。20年雌伏し続け狩られる段階になった時からは、その後はずっと防衛し続ける。つまり今のヘルプの最後にあった『例外』になるしか無い。やはりヘルプの存在に気づくのは『最低限』だったのだ。25年以上生きるための資格として。


 この使い方(ねんじる)でとりあえずタブなどのヘルプを見てみることにする。


 『ステータス』

 人類は自由に自分のステータスを閲覧することが出来る。

 人類種は様々な職業から好きなものを選ぶことが出来、レベルアップ毎のステータスポイントを好きな能力値に割り振ることが出来る。

 ダンジョンマスターに『レベル』は存在しない。ダンジョンマスターの能力はステータス作成の段階で決定されている。


 『スキル』

 種族としての特性や個人の技術をわかりやすく表示したもの。

 人類種は先天的にスキルを持って生まれないが、自由に好きなスキルを得られる。

 魔物は先天的にスキルを持って生まれるが、後天的にスキルを得ることはない。


 『ダンジョンの出現場所』

 その土地が人類になんと呼ばれているかで名称が変わる。

 ダンジョンの発生する場所は決まっており、以前ダンジョンがあった場所に発生する。

 全て人類によって管理されている。

 

 ヘルプの情報からダンジョンを作る上での方向性は決まった。後はそれにあった取捨選択だ。


 『ステータス』タブを開いて一番最初に目につくのは自分の体の3Dモデルだ。パーツやパラメーターを弄って好きなように設定できる。とりあえず弄って腹のたるみをスッキリさせてみようかと思ったが種族選択を先にしなければいけないらしい。なので、最初に決めるのは種族になった。とりあえず選べる種族のヘルプを片っ端から見ていく。そこで《ノエグナード》の人類種というのは、人種・エルフ種・ドワーフ種の3種族しかいないことがわかった。『ステータス』タブで他に選べる種族はモンスターとしてしか存在しないか、既に滅びた種族だった。そして種族によってダンジョン内に召喚できるモンスターに影響が出ることも判明する、スキル以外にも影響があるみたいだ。


 俺は種族を『獣人』にすることに決めた。獣人系・獣系のモンスターの召喚や成長に補正がかかるからだ。ヘルプによると《ノエグナード》では食肉はモンスターしか食べられていないらしい。ならばと、ハズレの少ない(食肉として)であろう獣のモンスターを運用することにした。


 『獣人』を選択すると更に選択画面が増えた。どうやら、どの動物の獣人にするかを決められるらしい。全く考えてなかったが、たしかに小説などでは色んなタイプの獣人が出てきてた気がする。ある程度取るスキルはもう決めていたため相性が良さげな狸の獣人にすることにした。獣人は魔術が苦手な種族なのだが狸や狐の獣人は身体能力が他の獣人に劣る代わりに、ある程度魔術にも適正があるらしい。といっても、そこまで魔術が得意ではない人種にすら劣るくらいの能力らしいが。なぜ狐ではなく狸を選んだかというと、狐は火魔術・狸は土魔術にそれぞれ適性があるからだ。火魔術を取る気は無かったので消去法で狸にしたのだ。


 さて急なんだがここで自分語りを挟ませてもらう。俺はMMOで人一倍キャラクターメイキングに凝る(たち)だ。自分が満足できるレベルのものが出来るまで何時間、何日でも費やして作成するのもザラだった。


 なぜいきなりこんな話をしたかというと、デフォルトの獣人の見た目が自分の趣味と合わなかったからだ。オッサン(おれ)がコスプレのような獣耳としっぽを付けたような見た目になったのだった。正直目も当てられないような酷い見た目だ。獣度のパラメーターもあったのだがどれだけ弄っても顔を獣にすることは出来なかった。この世界の獣人はケモナーには受け入れられないタイプらしく、獣度を最大にした時でも鼻と手足が獣のモノになる程度だった。もちろんイケメンにすることだって出来た。だが、年の離れた妹が持っていた薄い本をちらっと見てしまった時いらい、ケモミミのイケメンはトラウマなんだ。

 そこで先程紹介させてもらったキャラメイクに妥協できない性格の話が関係してくる。


 理想のケモミミ娘を作り始めたのだ。


 その時はどうせコスプレになるなら可愛くするべきだと思っていたと思う。種族を獣人以外にすれば済む話なのだが、そんな発想はこの時無かった。ある程度プランを練っていたのが悪い方に働いて、計画変更すればいいことを無意識に頭から除外していたんだと思う。


 後で冷静になった時、慎重に行動しなければならない事態に陥っているのに自分の趣味に走り暴走してしまったことに反省した。が、正直後悔はしていない。今までやってきたMMO(ゲーム)とは比べようもないほど自由度の高いキャラメイキングだったのだ(ケモ度は除く) そりゃあもう満足できるまでメイキングし続けた。実に5時間もメイキングに時間をかけてしまった。


 見た目は、高校に入りたてくらいの体格に垂れ目気味の瞳、茶色と灰色の中間くらいの色の髪をショートヘアにしていて、狸特有の少し丸みを帯びたケモミミとふさふさな尻尾がその存在を主張している。うむ、実に俺好みの可愛らしい見た目に仕上がった。服などを設定できないのだけが残念だった。


 制限時間は無いらしいがもう一度メイキングするのもどうかと思ったのでこのまま行くことにした。というか、[確定]を押したら再度の変更ができなかったのだ。ちなみにMMOでは女性キャラプレイをよくしていた。だが断じてネカマでは無いとだけ断っておく。性別で性能が変わるのもあるが折角装備による着せ替えが出来るなら可愛い女の子を着せ替えたいのは誰だって同じだろ?


 といっても性別は男のまま変えていないので、所謂男の娘というヤツなのだが。


 いつものようにメイキングしてしまったので名前も決めようと思ったのだがそこで初めて気づく、名前を入力する欄がなかったのだ。緩みかけていた警戒感、緊張感をが再度高まる。これはゲーム感覚でやっていいことじゃない、他人事じゃなくて自分自身のことなのだから。

 ステータスタブには職業の項目もあった。けど職業の欄は『ダンジョンマスター』から変更できないみたいなので、ヘルプだけでも見てみることにした。


『ダンジョンマスター』

  ダンジョンコアの化身が就いているジョブ。

  DPと呼ばれる専用のポイントを使ってダンジョンを拡張させることが出来る。

  このジョブに就いているモノの肉体は不老に、精神的にも不変の存在になる。

  この特性が原因となり、ダンジョンマスターに就くと後天的にスキルを得ることが不可能になる。

  既に所持しているスキルの熟練度の上昇は発生する。


 精神が不変の存在というのはよくある発狂防止の措置だろうか。普通の人間に永遠は長すぎるとかのよくあるやつ。まあこれから行く世界で長い時を生きられるかどうかもわからないんだが。

 後天的にスキルを入手できないのはかなり大きな問題だ。ここで取得したもの以外使えないということは、ダンジョンの方向性を途中で変えられないことに他ならない。再三言うがユニークスキル取らない選択をしてよかったな、ユニークスキルだけ取って他の汎用っぽいスキルを後から取るようなことはできなかったのだから。

 それにしても不老なのだとしたらやっぱり可愛く作成して正解だったな、『永遠のオッサン』よりは『永遠の美少女?』の方がいいに決まってる。

   

 次に決めたのはスキルだ。ダンジョンを作る上で人類に需要がありそうな森林などを確保したかったから『木魔術』のようなものがあれば良かったんだが、そんな都合のいいものは無かった。妥協して『水魔術』と『土魔術』を取得することにした。植物の育成には『水』と『土』の両方とも不可欠な要素だ。これでスキルを取れるのは残り80Pだ。それぞれのヘルプにはこう載っていた。


『水魔術』…………10P    『ヘルプ』

  魔力を使い水を操ることができるようになる。

  このスキルを所持しているとダンジョン内の環境選択・設置物・モンスターに影響を与える。


『土魔術』…………10P    『ヘルプ』

  魔力を使い土を操ることができるようになる。

  このスキルを所持しているとダンジョン内の環境選択・設置物・モンスターに影響を与える。


 ここで初めて気づいたのだが、取得したスキルを取り消すことができなかったのだ。ユニークスキルで早い者勝ちのような現象が発生したのはこの取消不可が原因なんだろう。とりあえず取得してみるようなことは不可能らしい。ユニークスキルを取得してしまった人たちはご愁傷さまである。実に性格(たち)の悪いシステムだこと。

 取り返しがつかないことが判明したので、更によく考えてから『精霊魔術』を取った。要求ポイントは30Pと高かったが後悔はしないであろう。ヘルプを確認したらこのように表記されていたからだ。


『精霊魔術』…………30P   『ヘルプ』

  精霊を自然に宿らせたり、自然物に宿る精霊に力を貸してもらうための魔術。

  環境が良い程精霊は保有する力が増す性質を持つ。

  また、精霊は若干ではあるが土地の浄化能力も持っている。

  このスキルを所持しているとダンジョン内の環境選択・設置物に影響を与える。


 木材を取れるだけで需要はあるはずだが、質が良いに越したことはない、はず。それに精霊がどんなものかは分からないが戦力になる可能性があるので取っといてもいいだろう。


 さてここまで魔術系のスキルばかり取ってきたが、先程説明したとおり獣人という種族は他の種族と比べて魔術の適正は低いらしい。個人の魔術の適正がダンジョンにどのような影響を与えるかわからないが、後述するスキルのヘルプを見る限り少なからず意味があることが発覚。そこで『魔力制御』というスキルを取得することにした。


『魔力制御』…………20P   『ヘルプ』

  魔術はイメージと魔力の扱いによって効果が変わる。

  このスキルはそのうちの魔力の扱いに補正をかけるスキル。

  このスキルを所持しているとモンスターに影響を与える。


 なにしろ魔力と呼ばれるものに初めて触れるのだ、最初からうまく扱えるのかもわからないのでその補助になりそうなこのスキルを取っておいても悪くなさそうに思えた。だが、一番このスキルをとろうと決心した理由はそこではない。ヘルプでは補助スキルのような説明がされているが、取得に必要なポイントが20Pと普通の魔術系の10Pより高いことが気になった。意地の悪いシステムから見てそういう罠が仕組まれていてもおかしくない。


 この時点で残りPは30Pになった。必要になりそうなスキルは全部取ったので、この残りのポイントをどのように使うか決めあぐねていた。


 当初の予定では残りのポイントで近接系のスキルを取るつもりだったのだが、いっそのこと魔術系に偏らせるのもありかもしれないと思い直す。モンスターは獣人型より動物型を多めにする予定なので、むしろ近接スキルがモンスターに与える影響の恩恵を十分に得られない可能性がある。

 そこで、折角狸の獣人なのだからそれっぽく『妖術』を取ることにした。


『妖術』…………30P   『ヘルプ』

  大凡妖怪と云われる魔物が使用する魔術。

  妖怪に関する種族のみ取得可能。

  このスキルを所持しているとダンジョン内の環境選択・設置物・モンスターに影響を与える。


 この『妖術』は種族選択後に初めてスキル欄に表示されていた。種族固有のスキルがある可能性を一切考えていなかったため、結構動揺したがまあ仕方ないと割り切ることにした。


 さてやるべきことも全て済んだので、最後の『ダンジョンの出現場所』を選ぼう。と思ったのだが、残っている番号は一つだけだった。そりゃメイキングに合計10時間も費やしたのは俺だけか。しかも最後に残った番号は『444番』だった。こんな不吉な番号はだれも選ばなかったのだろう。残り物には福があるってのは嘘なのかもしれない。


 だがないものはしかたない。俺は『444番』を選択し、[決定]の表示に、指をのせた。










『全てのユーザー設定が確認されました。これより初期ダンジョン作成フェーズに移行します』



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