VS魔力切れの魔法使い
マヤ回
ーー私は魔力が少ないです。
それはもう、お姉様と比べたら神様と虫けらくらいの差があると思います。
一般的な9歳の平均からしてもかなり少ない魔力でしょう。
だから純粋な魔力だけで発動する魔力壁はごく薄いものしか貼れないし、初級魔法に該当する『風刃』だって十数発撃ったら魔力切れを起こしてしまいます。
お姉様から教わった魔法もあるのですがそっちは『強すぎて修行にならない』という理由で師匠から禁止されています。
だからこその『竜胆』と『牡丹』。
牡丹には『風の魔剣』のエンチャントが付いています。
魔剣のエンチャントが付いた武器はとても貴重で高価なもの。
この牡丹と竜胆だって師匠と友人のゴルドさんだから安く作ってくれたけど、このエンチャントの内容なら実際は黒曜貨10枚はすると思います。
それだけの能力がある武器。
使いこなさなければゴルドさんに失礼でしょう。
「はっ!」
「やあっ!」
お互いの剣がぶつかり合い、火花が散る。
まだまだ私も修行不足ですね。
雷神流は『相手と打ち合う前に切る』事が重要。
私も速さには自信があるのだが、剣の腕が足りていないようです。
今私と戦っている男。武装や動きからして魔法使い寄りの剣士と言った所か。恐らく先程のお姉様の魔法を防いだのはこの男の魔力壁が殆どだったのでしょう、魔力切れの様で魔法を撃って来ません。
「ふんっ!」
男がナイフを数本投擲する。
確かに速い。素人では気づく暇もなく頭をやられていたでしょう。
けれど、お姉様と師匠に鍛えられた私には遅すぎる。
余裕で躱して男の懐に飛び込む。
「『風凪』」
私が呟くと魔剣が起動して風の刃を形成し、男の足を浅く切る。
「ぐうっ!」
男が崩れ落ちた。
倒れ込んだ男の首筋を竜胆で軽く傷つけ、竜胆の能力、各種毒を発動。選択したのは体には特に害はないけれど、凄まじい痛みを引き起こす『苦痛毒』。
男は先程のお姉様の魔法でボロボロだったのもあってか、気絶した様です。
恐らくこの男が万全で、魔力があったならば、私は負けていたでしょう。ステータスでも上を行かれている様ですし。
高火力の範囲魔法に対抗する術はまだ持っていないのです。
鍛錬あるのみですね。
…それにしても毒は便利ですね。他の手段も考えておきましょう。
お姉様の相手はかなりの手練のようで、まだ決着がついていません。
…若干お姉様が遊んでるような気がしますけど。
ステータスの差は戦力の決定的差ではありません。
弱くても勝てます。




