幼女、名前を自分につける
短いのは勘弁な!
所変わって馬車の中。
私はナイスガイと騎士Aに挟まれて縮こまっていた。
ガチムチ×2とかマジビビるわー。
「名乗るのが遅れたな、私はサハラ王国ギルドマスターのスティーブだ。」
おお!やっぱりギルドとかあるのか!
このナイスガイがマスターなら納得出来る気がする。いかにも強そうだしね。
「我はサハラ王国近衛兵5番隊隊長、ゴードンである!」
騎士さんの方は近衛兵か、ゴツいプレートメイルがいかにもって感じだね。
「さて、君は記憶がないらしいが我々は君を何と呼べばいいかな?」
う~ん記憶が綺麗さっぱり消えてる私は当然名前も覚えてない。そんな私が名乗るとすればーーー
「じゃあ、サクラって読んでください!」
サクラという名に特に深い意味があった訳ではない。
本当になんとなく頭の中に浮かんできたのだ。
それでいいのかとも思ったが、特に名にこだわりがあるわけではないのでこの名前でいくことにした。
「ふむ、では、サクラちゃん、これから君は王都の孤児院に入ってもらうことになる。いいかい?」
「うん!別にいいよ!」
「では孤児院についての説明はついてから院長にしてもらうとしよう。少し王都までは距離があるが、昼前にはつくだろう、コーナー、急いでくれ」
「へい、旦那!」
馬車の御者さんが馬を急かし始めた。
「そういえば、スティーブさん達はなんでここに来たの?」
「ああ、実は最近、王都の近辺で飛龍を見たって話があったから、少し様子見に来たんだが、噂は本当だったみたいだな。」
飛龍ってさっきのドラゴンだよね?
わざわざギルドマスターみたいな人が来る要件なのかな?
「飛龍ってどれくらい強いの?」
「飛龍はS−ランクモンスターだから、小国の軍隊くらいなら全滅は確実。我々サハラ王国軍でも半数近く減らされるだろう。」
「そんな危険なやつどうやって倒すの?」
軍隊の半数近くをかけて戦うのはどう考えてもナンセンスだろう。
「だからこその冒険者さ、中には一人で一軍に匹敵する、Sランカーもいるしな、国を守るのはなにも騎士団だけじゃないんだよ」
おおう…Sランクヤバすぎでしょ…
騎士さんガンバ!冒険者に負けるな!
その後も情報収集をつづけながら馬車に揺られていると
街道の向こうに巨大な城壁が見えてきた。
「あれが…王都?」
「その通り、あれがーーーサハラ王国王都、ソニアだ」
ここから私の物語は始まった。