閑話 少年、恋をする 後編
あの子が、来た。
僕は改めて彼女に見惚れてしまう。
漆黒の腰まで届く長い髪に、燃えるような紅い目、
雪のように白い肌。
彼女が笑っているのを見ると、鼓動が激しくなる。
「私も、混ぜてくれませんか?」
そう言って彼女は自然と、輪に入ってくる。
「ああ、一緒に遊ぼう」
「サクラちゃんは何がやりたい?」
レーナとリントが彼女に話しかける。
…そんなに強く話しかけられたら彼女が怖がっちゃうじゃないか!
「まあ待て、お前ら。 サクラちゃん、君の特技はなんだい?それに合った遊びをしようじゃないか」
「特技…勉強?」
そこで勉強って言葉が出てくる時点でおかしいよね!?
足が速い、とかこんな遊びが得意、とか!
彼女のステータスはどれだけ知力に偏ってるんだろう…
聞いてみるか。
「サクラちゃん、サクラちゃんのステータス、見せてくれない?僕のステータスも見せるからさ」
さっきヘラが《鑑識の魔眼》でステータスを見たみたいだけど、ヘラの場合、表情があんまり変わらないから
驚いたかどうか、わからないんだよね。国立研究所ってことは100位はあるのかな?だったら他のステータスは
1桁だったとしてもおかしくない。
「うーん、…良いけど孤児院街の人には、絶対秘密でお願いしますね」
…そんなに低いの?
「ああ、約束する。」
「じゃあ、どうぞ」
「うん、俺のも」
今の僕のステータスは、孤児院内で一番高いし、Levelも一番だ。
知力以外は負けないはずだ。
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名前 レイン
Level 17
種族 人族
ステータス
腕力 27
耐久力 36
知力 58
俊敏 53
属性 水・風
スキル 剣技Level1 毒耐性Level1 幸運Level2
称号 毒食
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彼女のステータスを見た。
……無茶苦茶だ。全ステータスがLevel1で100!?
知力に至っては1000って…この娘、一体何者?
皆も、唖然としている。
彼女は、見たことも無いスキルや、称号を持っていたが、僕はその中の一つ、魔道術について聞いた。
「サクラちゃん、この魔道術って、なに?」
「魔道術は、魔力の直接操作による、魔力循環法です」
なんか難しそうなことを言っているが、凄いことだって事は、良く分かった。
しかも、彼女は魔道術持ちしか出来ないと言う孤児院長の、剣技を教えてもらうらしい。
僕達も、孤児院長に剣技を教えてもらっているが、
あれは一般的な剣技だ。ソードマスターと呼ばれていたらしい孤児院長の使う剣技ではない。
あのステータスに、孤児院長の剣技、未知なるスキル。
…僕の初恋の相手は、遠くなるばかりであった。
ちなみに、孤児院の子達のステータスは同年代の子供に比べたら
かなり高い方です。
特にレインは。
次は、孤児院長とお買い物です