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事件全容

【事件全容】


循環バスが長く暗いトンネルからようやく抜け出した。その事にバスに乗っている少年は微笑みを浮かべた。

「もうすくだ・・・・・」

まだまだ風景は山と点々と建っている家だけだが、少年は目的地までかなり迫っている事を知っていた。実際、段々大きな建物が目立ってきた。

「そろそろだな。降りる準備をするか」

財布を取り出し、小銭を揃え、ポケットに入れた。リュックは背中に負う。

少年は運転手の声を一語一句聞き逃さない。

やがて、待ち望んだ言葉を聞いた瞬間、直ぐに『降りる』ボタンを押した。

流れるような動作で小銭を払い、バスから降りる。

「さてと、行きますか!」

少年がそう意気込み、一歩を踏み出した瞬間。足元に現れた青色の魔方陣の光に包まれた。





少女は置き部屋で荷物を運んで置き、ため息を吐いた。

「どうして私こうなったんだろう」

埃が溜まった荷物に一滴の涙が落ちた。

「私,叔父の夢を叶えたくて。国を魔王から護りたくて。召喚魔術師を目指して勉強したのに」

溢れ出る感情を抑えられず、泣き崩れる。


「師匠のバカァァアアアアーーーーーーーーッッッ!!!! どうして、私に借金を押し付けたのよおぉぉぉぉぉおおおお!!!!」


そして、叫んだ。


「いくら、ギャンブルで負けたからって、こんな借金あり得ないでしょぉおおおおおおおーーーーーーーッッッ!!!」


大量の涙を流しながら叫びまくる。


「うぐっ・・・・・誰か・・・・・助けてよ・・・・・」


両腕に顔を埋め、純粋に救いを求めた。


ーーー刹那。


置き部屋の中央にて、青色の線が浮かぶ。幾つもの線が形を成し、やがて大きな魔方陣になっていく。



「誰か私を救ってよーーーーーーーーーーーォォォ!!!」



少女の叫びと共に、部屋中に青色の魔方陣の光が満たした。




「・・・・・。ここ、どこ?」

少年ーーー高丸飛燕ーーは困惑していた。

何故なら、バスを降りたと思ったら、周辺がいきなり置き部屋に変わっていたからだ。しかも、見覚えがない。

「あの、貴方は誰ですか?」

静かな声が聞こえた。

高丸は、その時初めて目の前に少女が座り込み、泣いている事に気づいた。

「貴方が私の勇者ですか?」

声も震えていた。

「俺? 高丸飛燕だけど。君は?」

「私は・・・・ミリス・・・・。ミリス・グランアです・・・・」

「そうか、ミリスって言うんだ。で、ここはどこ?」

「うぅ・・・・。置き部屋ですが・・・・」

「いや、そこじゃなくて」

「え・・・・。あ・・・・。ガラウ・バウン様の家内です」

「・・・・・。他人様の家?」

「そうです・・・・」

「何で俺が他人様の家に・・・・。はっ、無意識に泥棒をやってしまったのか・・・・?」

「あの・・・・」


少女はーーミリスーーが弱々しい声を出す。


「多分、私が召喚したと思います。どうやってやったのかは分かりませんが」

「は?」

「その・・・・・勝手に召喚してしまい、申し有りません」

「いや、いいよ。すぐに帰るだけだし」

「無理です」

「え?」

「暗号コードが無いと向こうの世界に接続できません。異世界はいっぱいありますから」

「・・・・。嘘だろ」

「本当です」

「嘘だろぉぉおおおおおお!!!! じゃあ、俺の買い物は!? あの『お兄ちゃんお兄ちゃん』と読んでくれるPCゲームは!? うぅ・・・・・そんなぁ・・・・・」

「あの、すいません・・・・」


ミリスは高丸に駆け寄り、そっと肩を触ろうとした。


「・・・・・。すいませんで済ませたら困るんだよ」

「あの・・・・?」

「すいませんで済んだら、困るんだよぉおぉおおおおお!!!」

「ひゃっ!?」


ミリスは突然叫んだ高丸に驚き、姿勢が崩れ、尻が地面に激突する。



「じゃあ、何をしたら、許してくれますか!?」

「あ”!?」

「何でもやります! 土下座でもやります!」

「なら、胸を揉めてくれよ!」

「え?」

「おりゃあ!」


高丸は高ぶる怒りのあまり、ミリスの胸を揉んだ。服を着ても外見からはハッキリと形が分かる。そして、揉んだら、柔らさがしっかりと味わう事が出来た。


「なっ・・・・・!?」

「うははははは!!」

「・・・・っ。変態ぃぃぃいいいいいーーーーー!!」


ミリスはパニック状態に陥りながら、高丸の頬にドストレートの拳をめり込めた。


「くばぁ1?」


高丸は数メートルほど吹っ飛ばされる。

同時に部屋の扉から複数の足音と声が聞こえた。


「何だ!?」

「ここから音が聞こえたぞ!」

「開けろ!」


そして、騎士と思わしき人達が置き部屋に突入した。



「これじゃ、気が済まねぇ・・・・。うぉおおお、俺とペットインしようぜぇぇええええええーーーーーーッッッ!!!!」


「ぎゃああああああ!!!」


「おい、少女はが襲われているぞ!」

「何か知らんが、取り押さえろ!!」

「確保ぉぉーーーーーッッ!!」


こうして、高丸飛燕は性犯罪者として騎士団に逮捕された。

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