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Attempt Suicide  作者: 貂寡
8/11

8話 Blood&Hair&God

「なあ、去年はしなくて今年はしたいって言うことが有るか?」

水途は唐突に聞く。

「う?」私は、考える。

今年、高校生として最後の年。何かしたい事したい事・・・。

1、お正月の新年会!!(家族とだけど。)

2、先出し年賀状。(もう遅いけど。)

3、じゃあ、後出し年賀状。(確実に叶いそう。)

どれも、一般的な家族構成って感じのやり残しだな〜。


「ない。水途は何がしたい?」

私も聞き返す。

「俺もないって言えば無いんだけどな・・。

 気になっている事が一つある。正月になる前にやりたい事・・・」

「それはなに?」

私は水途のやりたい事の興味がわいた。

「ん?この前の涼風の事件があっただろ。それがどうも引っかかっていてな。

 その再調査がしたいんだ。」

「うん、良いよ。別にお正月までは暇だし。」

そして、私たちはあの事件の再調査に出かける事にした。

私は首筋が寒いので少し風邪気味だが、

私たちの学校が季節はずれの

ショートカットブームになっているのはあの事件のせいだった。


私が、中学生の時初めて私の髪を触った男子がいた。

その涼風という男子がまた私の髪を狙って起こした事件だった。

彼は、7日間私たちDASに封筒に入った髪を送ってきた。

消印は、別々のところで押していた。

しかし、狩りをしたのはここの近くだけだったという事だった。

私たちの学校からも被害者が出た。

どの人も髪が長く整っている人だった。

しかし、今警察で取り調べを受けている涼風はそのことを否定していた。

共犯もいる訳ではなく、ただの単独犯だったのだが・・・

私たちは、心の隅をつつかれた感じになった。

涼風が捕まったあとも私たちの学校のショートカット率は、増えていった。

ここまで来るとどうもおかしいという事で警察も動いているようだが、

私たちも調査をしようと思ったのであった。


しかし、その調査と来るとなかなか進まないたちの悪い物だった。

聞き込みは私たちのクラスの女子全員に聞いた。

しかし、結果は私たちの負け。

ほぼ、全員の人が班員の顔や背丈を知らずに髪を切られたと言っていた。

そして、そんなことを繰り返しているうちに町で見かける人もショートカットが多くなっていった。

私たちは、せっぱ詰まっていた。

そして私はある提案をした。

「ねえ、おとり捜査をしてみようよ。」

と、自分でも訳のわからないドラマかぶれの一言をはく。

「う〜んどうした物だ。手詰まりという物は俺たちにとって最悪だからな。」

水途は、別の手を頑張って考えているらしく一向に顔を上げないでいた。

「おとり捜査はなるべく避けたい。よし、親父に電話してみるか。」

そう言って水途は携帯電話を取り出した。



「もしもし、俺だけど。」

「おぉ水途か・・・どうした。」

「今、。手詰まりなんだが・・・そのあの例の事件にな。」

「こっちもさ。おまえ、また事件に顔つっこんで抜けなくなってもしらねーぞ。」

そう言って親父は、電話を切った。

今回は、俺の気迫負けと言うことか・・・。

しかし、ややこしい物になってしまった。

犯人が見つからない異常に苦しいことはない。

背丈は解っている。

しかし人相が掴めない。

覆面を被り、黒の服を着ているという情報しか掴めていない。

あぁ、こんな時どうすれば・・・。



水途は悩んでいる様子だった。

「ねえ、水途。年越しは、どうするの?」

「うん?いつもは、一人で年越しそばを食っている。」

「じゃあ、今年はうちに来ない?」

私は、年越しを水途と一緒に過ごしたいと前から思っていた。

「良いのか?俺なんかを家に連れ込んで?」

そして私たちは、年末を過ごすことになった。



家族の反応わというとなんでもないようにのほほんとしている。

ホントにもう。

姉は、まだ傷が痛むように手首を押さえる。

けれど、それは私への嫌がらせとして熟知していた。

ホントに姉は脳天気で良いよね、今私は解けない氷を前にしているんだから。

どういう訳か、今回の事件は水途の元気を奪っていった。

そして、それを見ている私も落ち込んでくる。




あの謎が解けないまま除夜の鐘を聞いている今・・・・

どこかから花火の音も聞こえている。

『ドン!!』

花火や、除夜の鐘に負けないまがまがしい音がどこからともなく響いてきた。

その音は私たちの事件に発展を持たせる音だった。



深夜、13時を少し過ぎた頃どこからか警察の乗るパトカーの音が聞こえてくる。

僕は、すぐさまもっていた拳銃をしまい、

車に乗り込んだ。

少し返り血を浴びていたが何とか服にはかからなかったのでほっとする。

目の前にあった遺体の中から抜いた髪の束を少し持って行く。

こいつがこんな物を作らなかったらと怒りがわいてきた。

ふと靴の裏に何かがついていたのでそれを触る。

それは血と毛の塊だった。

車がゆっくりと出発する。

僕は心を落ち着かせるためにそっとその場を立ち去った。



私たちはあの音を突き止めるために警察の集まっている場所に行った。

まだ、高校生の私たちは中に入れてもらえないけれど現場は少しのぞけた。

少し薄暗い森の近くの住宅街のはずれが事件現場だった。

被害者は射殺され無惨な姿になっているということだった。

辺りには髪の毛を束にした物が散らばっており最近起こっていた連続かみ切り事件の犯人が殺害されたと言うことに為った。

凶器は、拳銃でかなり至近距離で撃たれているため、犯人が返り血を浴びているという可能性で調査をしているようだった。

私は、水途に聞いた。

「この事件どう思う?」

すると彼はこう答えた。

「まだ全体は見えないが、

被害者はあのかみ切り魔にして間違いはないだろう。」

「どうしてそう思うの?」

「それは、よく見てみな。まず、被害者は拳銃で何回も打たれている。

 しかし被害者のポケットにつまっている髪には血が付いているがリュックの中の髪にはついていない。

 これがどういう事か解るか?」

「う〜ん??」

「解らないか。答えは簡単さ。この被害者がかみ切り魔で髪が好きでリュックやポケットに入れて持ち歩いていた。

 そのことを知った犯人は被害者を殺した後ポケットにあった新しい髪の束を手にして立ち去った。」

私は、そこまで聞いてもよくわからなかった。

「しかし、犯人は自分もしくは恋人の髪を捜していた。そこでポケットの中を探り髪を探し出した。

 返り血を浴びた手でポケットを探したためポケットの中にあった髪は血まみれになった。

 ということだ。」

「解った。で、犯人は女?男?」

私は、変な質問をしてしまった。

「うん・・・それが問題だ。女かもしれないし、男かもしれない。

 しかし拳銃を至近距離から撃てるのはどちらかといえば魅力のある女かもしれないな。

 拳銃は、重いと思うんだが・・・そこはどうなるのだろう。」

また彼が考え始めた。

私は、見守ることしかできないでいた。

「よし、これはよい展開だぞ・・・解った。」

水途は独り言を言っていた。

「何々!!」

「この犯行の犯人は二人組だ。男女ペアのグループ。

 女の方が犯人を撃った。そして近づいて行ったのが男だ。なぜか解るか?」

「わかんない・・・」

「ここが重要だ。犯人と男は友人だった。しかも犯人が毛を刈っていると知っていた友人。

 しかし友人はそれを知っていたが黙っていた。

 しかし、友人の彼女のポニーテールがいつの間にかショートカットになっていた。

 さあ、ここまで言ったら解るだろう。」

私は考えてみた。

もしこの事件の犯人水途の説明では友人だがその彼女の髪がショートカットになっていたら・・・

「解った、それに腹を立てた友人が彼女と共謀して犯人を殺した。」

「そう、それだとこの事件のつじつまが合う・・・。

 俺は、そのことで少し警察と話してくるが夜牙も来るか?」

「ううん、いい・・・行かないもう少し犯人の心情を考えてたい。」

そう言うと水途はすたすたと歩いていった。私は、少し考えてみる。

なぜ、犯人は彼女の髪を切られただけでかみ切り魔を殺そうとしたのだろう。

どうしてそうしたのだろう。

そして私は一つ思いつく。

水途が帰ってきたのでわたしは考えたことを話す。

「ねえ、水途私思ったんだけど・・

 犯人の動機って彼女の髪を切られただけじゃないんだと思うな。

 たぶん犯人は、かみ切り魔の行動を規制したかったんだろうな。 私なら犯人と知っている友人がいたら止めさせるけど・・・」

そこまで言った私は口をつぐんだ。

そして水途の見解を聞く。

「そうかもしれないな。しかし、俺ならそこまでしないぞ。

 警察に話すとか他に手はあるだろう。

 だから俺は悩んでるんだ。」

水途もこんな事件は初めてだったようでものすごく悩んでいた。

そして私たちは家に帰った。

なんだか普通の年末が普通じゃなくなってしまった。



僕は靴の裏に付いた血をぬぐった。

だいぶ乾いていたので俺はそれをこさぎ落とす。

やっぱり血は汚い。

髪の毛が混ざった靴の裏はもの凄いことになっていた。

明日は、学校なので少し自分の格好を確認する。

まだ、手の血をぬぐってはいなかった。

しかしそれを彼女に言うことも出来ずに血の臭いにむっとしながら車に揺られていた。




翌日の朝刊に大きな見出しで連続髪切り事件容疑者死亡で書類送検。とでていた。

私は結局の所犯人の心理が掴めずに夜を明かしてしまった。死亡した犯人は中年の男性だ。

そう言えば、私達の学校にも同じ位の年の先生が居たような。まあ、関係ないか。




俺は死亡した犯人の職業や出身を調べたが、これといった証拠めいた物がなく落ち込んだ。

どうして今まですんなりと事件が解決していったのか不思議に思うくらいだ。




朝刊に昨夜の事件が載っていたが、まだ、誰も俺には気付いていないらしい。俺は罪いや善良な事をした。

そう思っている。




アレほどまでに騒がれていた髪切り魔の影が日が経つにつれて薄くなっていく。俺はその事に不安を感じていた。

学校へ行くともう、髪切り魔の事を気にしなくなった女子がワイワイと騒いだりしている。

何とも情けない事である。夜牙にも、笑顔が戻ったが、事件の未解決が不安なのか、時々空を見上げて考え込んでいた。




私は髪切り魔を殺した犯人の心理が気になっていた。どうして、殺したのか。

なぜ、射殺したのか。気になる事が沢山ある。

水途は私の考えを見透しているような目で見詰めてくるからこっちが恥ずかしくなる。犯人は誰でなぜ髪切り魔を・・・



俺はあいつを殺した事を後悔していない。神経が狂っていると言われてもかまわない。

ただ、後悔だけはしていない。彼女は自分の切られた髪をゴミ箱へ投げた。

俺はそれが許せなくて、気付いたら彼女の首を閉めていた。

ぐったりした彼女は白眼を向き、今にも事切れそうな青白い顔をしていた。

息を吹き返した彼女は俺はをみるなり顔をひきつらせて不気味に笑っていた。

俺はゴミ箱に入った髪の束を引き出しに入れておく。まるで宝物だなと自分でも思う。



あっと言う間に、髪切り魔の存在は姿を消していった。俺は戸惑っていた。

どうすれば髪切り魔を殺した犯人を捕まえられるのだろうか。今日の放課後、夜牙と話し合うことにした。




私は、犯人の心理が掴めないでいた。どうすれば髪切り魔の心理と犯人の心理を捕まえる事ができるのだろうか。




今朝、学校へ行くと、騒ぎが薄くなっていた。俺は、間違っていなかったのだと思った。

平和になった町が辺りには広がり職員室の雰囲気も和やかな物になっていた。

俺が殺した鉄は実にいい奴だった。

しかし、奴はある時から狂いだした。あの連続髪切り魔のニュースを見てからだった。

部屋には白、黒様々な種類の毛や羽根が散らばっていた。

その中には人の毛まであった。鉄はあらゆる毛に対して執着心をいだいていたのだとお俺は思う。

そして鉄は髪切り魔を模倣して行動し始めた。

俺はそれを見ていたがいつの間にか俺まで狂いだした。

髪に対しての執着が鉄の影響によってか強くなっていた。

そして綺麗な髪の女性と付き合いだしたのだがその髪は鉄によって奪われた。

俺は鉄を憎んだそして殺した。

しかし、その事実を他人に知られてはいけない。

俺は公務員としての業務を果たしていれば問題のない職員だ。

誰にも覚られないようにそっと書類をまとめる。



私は有る可能性をはじき出した。

もし犯人や髪切り魔が髪に執着心をいだいていたら。

そしてもし精神状態が狂っていたら。

そう思うと可能性が出てきたように思えた。

私はDASの部室がある棟に歩いていく。



俺は犯人が使った拳銃について考えていた。

日本で使われている拳銃で主に警察が使っているようだったが、

特に紛失届などは出ていない。

それでは犯人はどうやって拳銃を手に入れたのだろうか。

日本では売買されているはずがないと親父は言っていた。



DASの部室のドアを会えると水途が何かを考えながら夕日に染まったテーブルをじっと眺めていた。

私は入るなりソファーに腰掛けそうそうに話し始めた。

「水途、私の推測を聞いてくれる?」

「別にかまわない。」

「じゃあ、始めるね。まず、犯人の心理についてなんだけど。犯人は今後悔をしていない。」

「どうしてかはまたあとで聞こう。それで?」

「犯人は水途の言ったとおり男女ペアで共犯と思った方が辻褄が合うの。」

「う〜ん」

「で、髪切り魔を殺したのが男の方。」

「じゃあ、女の方は、何をしたんだ?」

「それは、殺しを犯した男の足となって車を運転した。かみ切り魔との接触はなかったと言うことなの。」

「ふむ。」

「そして凶器の話しなんだけど。拳銃は警察しか使われていない。」

「そうだ。まあ、密輸でもすれば別だが・・・」

水途は適度に合図地を打ってくれる。

「で、髪切り魔と犯人は友人関係にあった。」

「そう考えられる。」

「そう。ここまで考えて、私思ったの。犯人は男性、しかも一般の人。

 そして髪切り魔を殺したのもこの人。けどその凶器となった拳銃は女性が持っていたの。」

「なるほど、女性は警察官か。」

「そう、それだと一致するの。」

「ところで気になったんだが、なぜ彼女はかみ切り魔や自分の彼氏を警察に引き渡さなかった?」

「それは彼女の立場に問題があったんじゃあないかしら。」

「たとえば?」

「う〜んっと、彼氏のことも好きだったけど実は髪切り魔のことも好きだった。」

「要するに二股か・・・」

「たぶん。」

「そうか。ありがとな夜牙、推理しやすくなったよ。」






しかし、水途は結局推理しなくて良い状況に陥ってしまった。

なぜかはもう解った人もいるかも知れないが、警察の調査の結果。

検察官 佐藤 優那が捕まったからである。

なぜ捕まったのかというと、彼女が所有していた拳銃から弾丸が一つなくなっていたことと、血痕が見つかったからである。

彼女は自白し始めている。

そして捕まったのは私達の学校の先生である優眞 英であった。

この事件は急展開によって幕を閉じた。

私の推理ははずれていたのかも知れないがまた、この学校から犯人が出てしまったのには悲しくなる。



俺は、悔しかった。

この事件は、俺を呼んでいたのに解決に結びつけられなかったこと。

後悔が波に乗ってきたように俺をおぼれさせている。

もう少し早く気付けばと沸々とわいてくる後悔が俺を落ち込ませている。

「みーずーと!」

明るく話しかけてくる夜牙の声でさえ、重みを感じさせた。

「今度頑張ればいいんだよ!」

肩をたたかれた俺は少し顔を上げた。

そっと唇が何かに触れた。

彼女が顔を真っ赤にしていた。

「頑張ろうね。」

一瞬だけ赤く見えた顔がにっこりと笑った。

俺も頑張らないといけないなとつくづく痛感した。


遅くなってすみませんでした。いよいよ8話もできあがりました。さて落ち込んだ水途に降りかかる不幸。

夜牙に襲いかかる最大の敵とは!(次回予告です。)

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