5話 Purpura b&g
またまたDASに、嵐のような事件が舞い込んできました・・・・
ダダダダ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
廊下をものすごい速さで走る
「早く早く急がなきゃ」
【ガラガラガラ】
「すみません海神くんいますか???」
俺は、のんびりと夜牙が入れてくれた紅茶をすすっていた
いきなり開いたドアに夜牙が猫を脅かしたように目を丸くしている
それが、けっこう笑いのツボだった
「ふっふっ・ふふふ・あはは」
「何笑ってるのよ!!!!」
夜牙が顔を赤くして恥ずかしそうに言う
「だってその顔・・・見物だよ」
静かさが漂う
「すまんすまんで奈賀さんどうしたんですか」
「あのここ探偵ですよね」
「ええ、一応は」
「だったら、私の幼なじみを助けてください」
「どうしてですか??」
「だって今頃行動がおかしいんです・・・・
学校には来ないし・・・・家に行ってもあってくれないし」
私は、彼女を知っていた
この学校で知らない人は、恋愛に興味のない男子だけだろうと言うほどのお
そう・・・
その名もずばり奈賀努那
恋愛の話で、この方のお名前が出たらピカイチと言うほどの人だ
だけど、今見ているとなんだか様子がおかしい
「奈賀さん何で幼なじみのことを気にするんですか??」
「だって、彼は私の彼氏なんだもん」
私は、入れてきた紅茶をこぼしそうになった
奈賀さんに、彼氏がいるとは噂で聞いていたんだけど
その彼が引きこもりだったなんて初耳だ
だけどなぜ、彼氏は、引きこもりになってしまったのだろうか
「奈賀さん、彼とはいつから会えなくなったんですか??」
「えっと、夏休みあけてから」
「理由は、もちろん知りませんね」
「はい・・・」
「そうですか、引き受けてみましょう
調査料は、あなたと彼が仲良くなったあとでいただきます」
調査料をとることを、私は知らなかったって、ボランティアじゃなかったの?????
彼女が出て行ってから水途に聞く
「DASって、ボランティアじゃなかったの?もしかして事件の時だけ??」
「そうさあっそうそう、この前の事件でおまえを助けたけど・・・
その時の見返りをまだもらってないんだけどな
もう一回あの顔をするのと、俺にキスするのどっちが良い???」
そういうと俺は、夜牙の方を向いた・・・・
「何言ってんの!!!!!どっちもいやキスとか以ての外!!!!」
夜牙は、顔を真っ赤にしてすごく恥ずかしそうだった
俺は、それを見てまた笑う
水途の笑うところ久しぶりに見たな
キスしちゃっても良いんだけどしたらお別れみたいに思えるからやなんだよな
まあいいや
「キスして欲しい???」
「えっ、そんなこと言われてもなー、ノリだからノリ」
ちょっと落ち込んだ
キスして欲しいって言うんだったらしても良かったのに・・・・
まあ、良いけど
俺は、びっくりした夜牙が俺なんかにキスしてくれないだろう
その油断が甘かった、して欲しい??って聞かれると
俺の理性が理性が・・・・
「また今度な」
その言葉の意味は、私に伝わってきた
また今度それは、いつなんだろう・・・・
「で、事件に戻るが。奈賀の幼なじみけん彼氏の尤杵戒に、何かがあったかもしれない
そこで、山鹿、彼の身辺調査を頼む」
「わかった!身辺調査」
「くれぐれも前の事件のように自分の身の安全を怠らないように」
「うん。じゃあ、何かわかったらメールを入れるから」
そういうと夜牙は、教室を出て行った
俺は、心配だった
また彼女がさらわれることがあったら
犯人を殺しかねない・・・・・
まず、クラスのみんなに聞いてみよう
薄暗い部屋
僕は、今引きこもりを続行中
彼女には、悪いことをしたと想っている
だけど、こんな顔の僕を見て良い想いのする人はいないだろう
紫色に変色した僕の頬は、鏡で見るとおぞましい
月に2回ほど病院に行って薬をもらう
何もする気が起きなくて
学校に行ったら笑いものだ
私は、彼の身辺調査に行った
近所の人によると彼は、月に2回顔を隠すような服装でどこかに行っているらしい
決まって15日と30日時間は、午後2時・・・
今日は、14日明日の午後に彼が出てくるというのだった
メールが来た、えっと
明日の午後2時に彼が家から出るらしい(ご近所の人によると)
月に2回15日と30日にだそうだ
だから明日、私は、彼の追跡をしたいんだが、良いでしょうか
返信、
いいよ。そこは、任せる・・・・・
自分の身は、ちゃんと守るんだぞ
翌日の1時、
彼が部屋から出てくるのに少し時間がある
俺は、心配だった。彼女が危ない目に遭っていたらどうしようとか
どんどん不安になる
【ガチャ】
ドアの開く音と同時に彼が出てきた
黒い服で身を包みマフラーで顔を隠している
そのまま駅の方へと歩き出した
私も跡をつける・・・
電車に乗って、降りたところは18分ぐらいのところにある馬路田駅だった
けっこう人通りが激しく見失わないようにする
そして着いたところは、駅から5分歩いたところにある病院だった
彼は、その中の内科に歩いていく
何かの病気なのだろうか
遠くから見ていると肩を誰かがたたいた
「ウワッ!!!」
振り返って確認する
「おまえ何かの病気なのか???」
そこには、ものすごい勢いで笑っている水途がいた
「何でここにいるのよ!!!!」
「何でかってそりゃー決まっているだろ
跡をつけてきたのさ」
「誰の??」
「おまえの・・ふっ」
また笑い出した
そうこうしているうちにターゲットは
診察室の中に入っていった
「何で、あと着いてきてるんですか」
彼女の顔がどんどん赤くなっていく
「探偵だからさ!!」
「意味わからんし」
「で、どうなんだ、尤杵の様子は」
「そんなに不審なことはないです
何かの病気なのでしょうか?」
「そうだろうね
たぶん血液の病気だろう
それか皮膚・・・」
「何でそんなことわかるんですか」
「まあ本人に聞いてみた方が早いよ」
そういうと診察室から出てきた尤杵に声をかける
「よう
尤杵元気だったか??
ずいぶんと学校に来てないけど何か病気にでもかかったのかい??
それとも恋の病かな??そうそう、ガールフレンドが心配していたよ」
「よお、海神じゃねーか!久しぶりだな、ちょっと訳ありで病院がよいさ・・・」
「そのわけは、顔にあるのかい??」
「ほお!そこまで見切っていたのか!!
やっぱすごいなDASを作るほどあるじゃんか」
そういうと尤杵は、顔に巻いていたマフラーをはずした
「どうしたんだその顔は!!!」
大げさにそういったのは、水途だった
「ちょっとな、血管性紫斑病にかかってしまってね
そのおかげで病院通いで・・・・学校には、恥ずかしくていけないし」
「そうだったのか、病院で薬をもらっているんだな」
「そう、抗アレルギー剤をね。だけど、なかなか直らないし腹痛も起こるしで、
学校に行けないし…と言っても恥ずかしくってな、この頬が」
そうだったのだ・
彼は、紫斑病を患い、彼女に見せたくないあまりに学校も行かず
部屋に引きこもっていたのだった・・・
どうしたら彼女に会わせることができるだろうか
彼女が、この顔を受け入れてくれると早いのだが
「尤杵、彼女に会いたくないか」
そう言ったのは、水途だった
「そりゃー会いたいけど、こんな顔じゃなー」
「俺から、彼女に言っても良いか?事実を」
「そりゃー探偵さんの報告だもの文句はいわねーが、僕にも考えがある・・・
もし彼女が僕の頬を気にしないって、言ってくれるんだったら、それなりの見返りをおまえに渡すよ」
「良し解った、それジャーまた学校で会おうな」
そういうと水途は私の手を引っ張って病院から出て行った
いきなり引っ張られた私は、こけそうになった、危ない危ない・・・
それから2日後
水途が、何かを一生懸命になって調べていた
そこには、家庭の医学全集、薬の飲み方、薬の種類、病気の予防
等々、様々な医学にかんする本が積み上げられていた
そこまでして見返りが欲しいものなのだろうか
「私、奈賀さんと話してくる。ここは、女の子同士の絆に頼るしかないから」
「おう。じゃあ期待して待ってるよ」
今は、昼休み。
私は、奈賀さんを一生懸命に探した
中庭の藤の木のしたにいた
「奈賀さんこんにちは」
「こんにちは、山鹿さん」
「今時間良いですか?調査の報告に来ました」
「はあ。あの、だいたいは、水途さんに聞きましたけど」
「そうですか。その、一つお聞きしたいんですが
彼とつきあい始めたときに、顔で判断しましたか、それとも性格で?」
私は、意味不明なことを聞いてしまった
人間誰しも顔で人を選ぶことはないのに
「うふ。面白い方ですね、そうですね。顔で選んだのではありません、
ましてや性格が悪かったらつきあいませんよ。だからあの戒の優しさに心打たれたんです・・・」
「だったら、彼と会ってもらえませんか?もう一度、好きになってあげてくれませんか?」
「元々大好きですよ。彼がどんな顔になろうとも・・・
だから、是非彼と逢わせて下さい」
「はい。では、また連絡します」
そういうと私は、猛ダッシュでDASの部室に向かった
【ガラガラガラ】
俺が本に目を落としているときに誰かが行きよいよくドアを開けた
そのおかげで、積み重なった本が一気に崩れた
「どうしたんだい?そんなにいそいで、山鹿」
振り返ると息が上がって今にも倒れそうな山鹿がいた
「・・・奈賀さん・・・尤杵くんに・・・逢いたいそうです」
とぎれとぎれに言う彼女を見て笑った
「そうかいそおかい・・・じゃあ、尤杵には俺が連絡しとくよ
明日の放課後にここで待ち合わせって事で」
私は、奈賀さんにそのことを言った
彼女は、とてもうれしそうに笑っていた
俺は、尤杵に報告をした
明日は、久しぶりに学校に来るらしい
そして放課後
DASの部室には、私と水途がいた
まだ二人とも来ていない
10分後・・・廊下に2つの足音が響く
【ガラガラガラ】
ドアが開いたそこには、
仲が戻った
1組のカップルがいた
「海神くん、山鹿さん。そしてDASみんなありがとう」
仲が戻ったことは、私にとってうれしかった
だけど・・・いつの間に仲が戻ったのか??
水途が言うには、それは尤杵と奈賀だけの秘密らしい
調査料はというと、たいしたものではなく
また、あのカップルがDASに遊びに来ることらしい
そうして、私と水途の仲も深まってきたように見える2回目の春が来た
**深まっているかは、不確かです・・・・**
紫斑病とは、皮膚に赤紫色の出血斑が出る病気です・・・・
5話目を読んでくださりありがとうございます。
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