表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Attempt Suicide  作者: 貂寡
11/11

α話 And, it ends with the start.

 あっという間に半年が過ぎ去った。

この3年間、俺たちは過去の柵を取り払い

そして急激な成長を告げた。


夜牙も、暖かく笑うようになり

俺は未来を見るようになった。

「水途!」

DASの部室には山積みの資料がいつの間にか図書室へと返却されていた。

「なんだ?」

「何でも・・・」

そう言おうとした夜牙にシッと手を当てる。

【ガサガサ】

段ボールが置かれた部屋の隅から音がした

段ボールをのけると白と黒の斑点の猫がいた。

頭の隅を記憶が駆け抜けた。

「かわいい」

猫を拾い上げて撫でる夜牙を見ると、俺の忘れかけていた頭痛が蘇った。

「どうしたの?」

「いや、なんでもない」

「ホントに?」

「あぁ。」

「嘘だね」

にっこりと笑った夜牙は俺の額を突っついた

「嘘付いてるの解るよ」


「実は、」


俺は昔あったことをすべて話した。

好きだった黒と白の斑点模様の犬の事・・・

その、死と腐敗

どれもが俺の暗闇となっていったこと


夜牙は相づちを打ちながら

話を聞いてくれた。

「そうだったんだ。

だけど、水途はそれをおそれなくていいんだよ

だって、私を大事にしてくれた。

私を助けてくれた。だから過去のことは断ち切っていいの」

「その猫を貸して」

「うん」

夜牙から受け取った猫を抱いてみると

暖かくいのちを感じた。

「生きているんだね。」

「そう、私たちも、その猫も

みんな生きているの・・・この3年私たちは死を目にしてきた。

だから解るのいのちの尊さ。

だから水途も人を傷つけなくなった。

私も姉をおそれなくなった。

それが私たちの出会いから生まれた

なれの果て・・・

私は良かったと思う。水途と出会えて」

「あぁ。」


暖かな感覚を腕の中に抱いた俺はそれをゆっくりとソファーにおろした。

「もうすぐここにもこれなくなるね」

夜牙が目に焼き付けるように見回した。

「楽しかった、怖かったけど・・・

卯月先生どうしたのかな・・・」

懐かしい言葉に夜牙への愛しみが蘇る。

「ありがとう、何度も助けてくれて。

私、水途を信じてたんだ」

ほほえむ夜牙と別れたくない。

そんな気持ちが沸々と沸いた。

「なぁ、夜牙。」

「なに?」

「始めは興味本位だった。

同類の人間だと思っていたんだ

だけど、少しずつ愛おしくなってきたんだ。

誕生日はうれしかったよ

本当に甘かった。」

「うん」

顔を赤らめた夜牙をぎゅっと抱きしめた。

「自殺を図ったと聞いたときは悲しみで言動がおかしくなった。

山元が憎くなった。

俺は、夜牙に漬かっていったのかもしれない」

腕の中に夜牙の暖かさを感じ、鼓動を感じる。

「もうすぐ、俺たちは卒業する」

「うん」

「俺は夜牙と別れたくない。」

夜牙は瞳から美しい涙を流していた。

「なぁ。気持ちを聞かせてくれ」

「私は…好き。

水途と離れたくない」



暖かな光の中で

未来を見る2人がいた。

そして終わりを告げるチャイムが学校内を包んだ。




ついに終わりを告げてしまいました。

始めはどうなるかと思っていたこの話も、

なぜか暖かなお話に・・・

最終的に黒くないと言われても。

私は文句ありません

最後までお読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ