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プロローグ

誰も辿り着くことを許されない虚空の城。

その最上階の一室に彼女は佇んでいた。

ただ一人だけ。


装飾もない殺風景な部屋の中央に、ふわりふわりと浮かんでいる光に目を向ける。

「もう、限界かな.......」

先ほどまで部屋の隅々までを照らしていた光は、見る見るうちにその幅を縮めていく。完全に消滅する直前、光を求めるように伸ばされた白い腕に生き物のように絡みついた。


アルストロメリアは、腕に手を当てる。

そこには、細かい細工が施された銀の腕輪があった。人差し指で中央に輝く緋色の宝珠をなぞる。それに呼応するように緋色の宝珠は光を帯びたがすぐに消えてしまった。


いつも何があってもずっと一緒にいてくれた、あのお節介な幼なじみは平気なのだろうか?

全く異なる世界にたった独りで心細くはないだろうか。

幼なじみの姿を思い浮かべて胸が痛くなる。


琥珀色のゆるいウェーブのかかった髪に同色の大きな瞳を持つ妹みたいな存在。

なのに、いつも困らせていたように思える。

よく大きな瞳を白黒させていたっけ。

いつからか困ったような笑顔をするようになったし。

また、苦労を掛けちゃうだろうな...。



片膝をついていた体勢から状態を起こそうとしたが思うように身体が動かない。

残されている時間はあと僅からしい。

期待か失望かその両方とも思える光を緋色の瞳に携えてアルストロメリアは一世紀近くを過ごした虚空の城を後にしたー。


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