表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/59

幕間 ハンドベルパニックヒステリナ




「あ……うん、あー…ぁ? ……ふんぅ。」




 酷く眠い。硬く冷たい地面の感触に記憶が混濁しているのを意識する。



 無意識に上に向けて伸ばした手を震わせる程に伸びを一つ。



 けど、意外に寒かったので素早く腕を戻し身動ぎして小さくなる。



 浮き沈み、まどろみ少しづつ覚醒。最初、なんでこんなとこで寝てるのか良く分からなかったけど腕の痺れと一緒に思い出した。




「ん? もう起きたのサーナ?」



 気配と呻きに気付いた姉が焚き火に燃料板を割り入れながら聞いて来た。横には同じ様に毛布にくるまったアステリナとベクセルがごろ寝の最中。



 私達が魔力切れで気を失ってからまだ3時間位、2回目の見張りの途中で今の所なんの異常は無いそうだ。



 まだ寝ていても良いと言われたけど、小腹も空いたのでカルタの残量などをチェックしつつ、バックから干し肉を出して銜え……ついでに中身も整理。その後、数の把握を済ます。



 やっぱりと言うか、残念な事に確実に残量が心許ない。



 何せ、あんなに激戦になるとは思って無かったから残カルタなんて回復系が2枚だけ、秘蔵のが1枚……、こちらはあまり使いたく無いので実質2枚と自前の魔力3分の1と厳しい。



 やはり姉も、寝る前に持ち物を調べたベクセルもポーション類の消費が激しいらしく回復は私頼りになりそう。



 この分だと魔術師型のアステリナは在庫切れかな?赤字までいかないけど、一旦、付近の村まで補給に戻った方が利口かもしれない。結局、犠牲者に生存出来たものは居ないし、この先どの位で最奥まで到達出来るかも不明、敵の配置も不明。



 厳しいクエストなのは予想済みだし、思いきって引くのも勇気だと姉と話し合い、皆を起こして意見を交換した。



 結果。消耗具合とかを考えるとそうするしか無いんじゃ無いかと言う事で落ち着いた。



 そうと決まれば長居は無用。



 洞窟を後にして引き帰し一路、人里へ。



 資材の補充を済ませ、宿でぐっすりと寝て魔力を回復。万全では無いけど支障は無い所までで2日。



 気分も新に野営した広場まで戻って来た。





 帰ってる間に内部に入り込んだ魔物は皆無なのか、いくらか動物を見かけたので内部の安全度も上がっているんでしょうね。




 以前塞いだ通路は既に周囲と同化して判別し辛くなっていて今後の憂いは少なさそうで良かった。




 問題の鍵のかかった扉の表面には、掠れた古代文字で文章が書かれているらしい。



 角突起の動きは2パターンあり、どれか1つを倒して滑らすと動くけど元の位置に勝手に戻る。



 もう一つは、何もせずに引くと途中まで3本同時に動くけどがっちり止まってしまい、離すと全部戻る。




 これは文字の解読待ちだね。


 鍵穴も見当たらないからピッキングも出来ない。



 そんな感じで警戒しながら待つ事30分程で辞書を片手にブツブツ言ってたアステリナの解読が完了。



 3ヶ所に書き込みがあったのだけど、どうやら書いてあるのは同じ文章の様で総合すると<ベルを鳴らしてください>となるらしい。




 はて、ベル? 何処にベル?



 もう一度、全体を見定めてみたけど鳴らす所なんて見当たらない。




 扉を叩いてみても、突起を殴っても何も起きない。




 暫く考え込む四人。




「………………。」







「「「「!」」」」





 そう言えば、前回の探索時に右の部屋で拾ったハンドベルがあったのを思い出した私達。




 早速、アステリナがバックから取り出し、その場で振ってみる。




 暫く待機していても反応が無いので何回も振ってみたり・揺すってみたり・岩壁に当ててみたりしたけれど変化無し。




 焦れったいなー、もう!




 水筒の水で洗ってみても無反応、と言うか鳴りすらしない。



 イライラし出した頃にベルの持ち手に凹む部分があるのに気が付いて、振ってみると微かな音がした。




 今度は、鳴ったのは良いんだけど音が小さ過ぎる。



 またもや突っかかった私達。



 音に誘われたのか、虫が集まって来ていてとても気持ち悪い。



 百足にコオロギ、正体不明のうにょうにょやら、トッピロキーやら……挙げ句にゴキブリらしきものまで湧いて来た。




 視覚的に結構、辛かったけど我慢して、一生懸命ベルを振ってたら道を埋める程に虫が群れていた。




 私より先にアステリナが切れて止める間も無く『火球』のカルタを発動。




 哀れにも何もしてない虫達は炎の奔流に焼かれあっという間な燃え上がった……、なんて香ばしいのだろう。と同時に手に持ったベルがリンと鳴り、扉の突起が急に動き終点で勝手に倒れ、がしゃりと回転。



 角が三角形を描く角度で結合すると鍵があっさりと外れ、ゆっくりとこちら側に開いた。




 嫌な予感。




 先には、さっきより丸々と大きく生っ白い虫達がわんさと湧いて居た訳で、盛大な悲鳴と無駄に火球のカルタが何枚も消費されたのは言うまでも無いと思う。




 グズグズと泣くアステリナを慰めながら奥を伺うと虫の灰と炭の山の少し後ろに、同じく焼け焦げた人形らしき残骸が倒れていたのを発見した。



 こう言う所の定番のサーバントドールだったのかもしれないけれど完全に動きを停めてしまっているみたいね。



 流石に3枚複合のカルタ『白く輝く灼熱の息吹』を放つのはやり過ぎじゃない?と思うわけよ。



 まあ、以前に似た様な事した事のある私には何も言えないわ。



 密かにベクセルが涙目で怯えていたけど見なかった事にする……。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ