初めての冒険依頼 2
依頼を出した後、夕食に良い時間になってしまったけど思ったより懐が寒くなってしまったので、奥に併設されている酒場で食べて帰る事にする。
こちらはメイン出入り口が更に奥、歓楽街に向けて開いているのだけどギルドから突っ切って入店出来る造りになっている。 その日暮らしになりがちな専業冒険者の為にかなりリーズナブルな値段設定でありがたい。 もちろん、ギルド関係者じゃなくても利用できるのも良い所だ。
店の一番人気だと言う辛目に味付けられた唐揚げに、たっぷりのサラダとライ麦パンセットを一心不乱にがっついていると美人のお姉さんに声をかけられた。
「お食事中にすみません、依頼を出されているエバン=ニードさんでしょうか?」
座っている俺に目線を合わせながら流れてくる髪をかきあげて言う。
とても瞳が大きく愛らしい印象があるのに、ブラックレザーに白いファーのついたパンクスーツに高めのヒールブーツを履きワイルドな雰囲気で防具は最低限のパーツのみ、身長程に長い杖を持っているから術士だろう。
女性にしては高身長で、珍しい滝の様に流れるフォルムのボブの髪型が似合っている。
ひょっとしなくてもかなりの美人でドキドキしていると。
もう一人。
「依頼を受けたいが、聞いておきたい事が二、三ある。 ……良いだろうか?」
彼女に集中し過ぎて同行者に気付かなく、どもってしまったが何とか答える。
これは恥ずかしい。
同行者は涼やかなハスキーボイス、漆黒の半鎧で背に大剣を背負っている、飾り気は全く無いがゴツく見えない。
髪型は肩口あたりの長さのソバージュ、毛先は不揃いで顔は整っているのに暗い雰囲気があり迫力がある。
先の女性より更に高身長。
身長の高いのばかりでコンプレックスを刺激されるが気にしない!
最初に声をかけて来たのがサーナイアさんで輪廻神官、後からがウァラさんと言って神聖戦士。
なんと、出身は地上都市で二人とも人間族だそうだ。
お互いの自己紹介を終え本題。 どうも登録試験の様子を見ていて気にしてくれたみたいなんだけど、潜る場所の情報を載せ忘れて居た為に危険度が計れなくて迷っていたとの事。
教えて貰えて良かったと思いつつ、今回は卒業試験の課題で師匠から指定された石柱遺跡に潜り何かしらのレア素材を得たい事。
場所はハウルベルから徒歩で二日程南に向かった石柱の乱立する森の中にあり、生態系・魔法生物系・虫系の魔物の出現が予想される事。
得られた一般素材や発掘品は譲る事を伝えた所、少し魔物傾向に難色を示されたが晴れて契約成立。
装備を整えた後、明日早くに正面門に集合との約束をして別れた。
決まってから実感してるけど、妙にわくわくして気持ちが落ち着かないや。
安くても良いから二人に合う道具か消耗品でも作ろうか? それとも必要そうな装備品を練成しようかな?
何にせよまずは買い物だな!