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後始末と王家の事情




 言われるがまま連れられて踏み入れた謁見室は全体的に白く、吹き流し部分が2つの三角に割れた国旗が壁に等間隔で掛けられ毛足の長い真っ赤なフカフカ絨毯が真っ直ぐ道となって入り口の扉に向かって敷かれている。


 窓は無く魔導の灯りが多数浮かび、煌々と照る光が闇を恐れるかのように部屋を清める。王の両隣には凄腕そうな神官と騎士が控え五段ほど階段を降ると死角を埋め合うように兵が配置されていた。


 そうなんだ、配置されていたのに何・故・か! 俺達は王家の食堂で王様達と食卓を囲んでいた……。




 どうしてこうなった?



 現実逃避に国旗を眺めて見る。



 全体背景は黒、中心に属性色をあしらった六芒星が描かれ星と月の意匠の杖が交差した図案になっている。魔術的な意味があるのかもしれないけど畑違いでさっぱり解んない。



 長方形の、一目で高級と判る樫材の食卓の上座に魔導王その人が座し、両サイドには見ため同年代で線の細そうな男性とピシッとした姿勢の女性が席についている。

 

 俺の隣にはヒノンが底の読めない表情で座っていて、目の前には豪勢なだけでなく工夫の凝らされた料理が並ぶ。

 見た目が馬鹿に豪奢にならないよう配慮までされているのか下品には映らなかった。



「お初にお目にかかる、私はこの国を預かる魔導王リルディノス・ハウルベルだ。向かって右が第2王子のシャスティア、左が王女のアニルヒネと言う」意外にも丁寧な紹介を受け失礼にならない挨拶を交わした……、主にヒノンが。


 情けない事に礼儀作法に疎い為、丸投げである。


 俺は連れられてる間に教えられた作法に反しない程度に畏まるので精一杯だった。


 ヒノン曰く既に神族スジであるのは知られている筈だから誤魔化さないでも良いと言う事なので、立場は明かしてしまう。



 案の定だった様で微かに驚いていたが直ぐに動揺は収まる。


 うあー、ホントに前情報ありっぽい。



 気を張り直して今回の事情を話し、害意が無かった事を主張、ヒノンも上位神の意向ですと発言してくれたので丸く収まった。


 しかし、今度からは結界を張りたいので一言欲しいとお願いされ、防衛長官直通の通話アーティファクトを受け取った。ギルドの方にも同じ通達をギルドマスター留めで出して貰えるそうだ。


 して……今回の問題を納める代わりに、この第2王子シャスティアを隊に加入させてくれないかと来た!!


 成人祭も済ませ今年で20になるそうで若いうちに旅して世界を見るのが王家の通例だそうだけど、どうせなら神と旅するのも良かろうなんて言っている。


 実際は生存率も良いだろうと言う目論見かな? クラスは魔戦士だから戦力としては申し分無い。

 

 得意系統は土、武器は槍を使うそうだ。


 詫びと言う枷の割には易い願いだったので引き受け食事を始める。



 けど本当の枷はそこじゃ無かった、工房の権利を受け取った村が悪くない立地に有りながら何故か立ち行かなく、閑散としているとか? 水神殿も造らせるので原因を調べてくれないかと言うのだ……。どうやらこちらが本命の様で断れる要素が無い。


 どうしよう、図らずも布教になってしまった。











「私、とても不安です」今まで頼ってばかりだったけど、声に出さないと伝わらないんだって気付いたから。


 エバンさんの巻き込まれ体質は異常だけど、最近は流され過ぎてる気がするんです。



 どうしたら散歩のついでに家来が出来て、精霊付きで、更に貴重な魔戦士の王子様が着いてくるのか皆目、見当もつきません。


 私が怒ってるとすまなそうな顔してくれますが、それとこれとは別なんです!


 こんなんじゃ、少しだけ記憶が戻ったなんて言えない……。



 目尻にじわっと涙が浮かぶ、いけないこの頃なんか涙もろい。


 サーナ大丈夫かな? 沢山お説教したけど結局私は着いて行く事にしました。



 決まってしまった事でも選びとったのはエバンさん自身ですもんね? 新しい仲間になった王子様はかなり金銭感覚に疎い様で、ポンと馬車を買ってしまいました! しかも振動軽減のスプリング付きです。



 その額、なんと54万札!! 私、ゴールドカードなんて初めて見ました!


 装備は総ミスリル銀製の武具であまりに目立つので、エバンさんの持っていた幻覚の指輪で偽装して貰ってます。



 私達も慣れたもんで、最初こそ驚いて喧々諤々でアワアワしてましたけど馬車買っちゃった時点で駄目出し、余裕でしたw





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