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無理矢理でも授業料は高くつくのかよ!?



 初めて神力を沢山使ったからか全身に疲労感が重くのし掛かっている。


 ヘイルサンダも平気そうだけど苦々しい顔をしている。



 理性が戻ってきて最初に気付いたのはこの場の惨状。


 二人して本気で暴れたから山は崩れ地面には大穴や掻き傷、一部は水没していたり爆散したりと地形破壊全開、あまり宜しく無い状態だね。


 一番の問題……、あの怖いおじさんは下半身が直立したまま残り、バラバラになって地面に散乱していた。


 過ぎてみるとやり過ぎたかなって思う気持ちも出てきたのに、あろう事か人体の破片がバシャンっと水になり『水爆槍』の水溜まり水も巻き込んで再生を始めた!! おじさんはみる間に元通りになって初めて見たときより艶々してすら居る、がマジで怖い!


 離れてブルってると、「先程は失礼しました我が神。 訳有って挨拶が出来なくて申し訳無い、私は水の精霊の男性体でウンディオラのヒノンと言います。 以後、よしなに。」


「……。」


「「……はぁ!?」」思わず二人の息が揃う。


 えー、水精霊ってあのー? 半透明で女性的で美しく優しい精霊デスヨネー。


 しかし、再生って見てる方はかなり不気味なんだなー、気を付けよう。



「女性体しか居ない訳無いでしょう? 気持ち悪いとかも嫌ですからね?」にこやかな糸目が怖いからっ!


 てか……おじさん、もといヒノンの拾い上げた双剣の赤い方からも人型が飛び出す。



 こちらはかなり小さく、炎の様な羽のある小人。


 察するに火の精霊かな? 具現化するなり、「神様怖い、神様怖い、あんなに硬い水どっから出したのよー。 カノンのガードが、ビクって上がった時は身代わりかと思った。 ほんと、消滅するかと思ったっちゅーの! ヒノンなんかそのまま死ね!」


 アハ!濃ゆい子だな、この子。


「我は苦手かも知れぬ」


 俺達の生温い視線にも気付く余裕が無い様だ。


 暫く罵ってるのを見ていたら唐突にこちらの温度差に気付いたらしく、凄い早口で「私は火の下位精霊のベイシェットって言います。 優しくして下さい。 ほんとお願いします。 すみません!!」最後の方は絶叫と大差無い感じになってしまっていた。


 それを「まぁまぁ」と言いながら双剣の青い方から同じ様な姿の青いのが出て慰める。


「私は水の下位精霊でアステルパスと言います、宜しくお願いします。」今度は落ち着いた感じでの紹介だったけど、あまり興奮を隠せていない。


 大人しいのはキャラなんだろうか?


「と、こんな感じの3体になってます。 今回の目的は大水神様の意識に貴方がひっかかり、水神族なのに神聖水神魔法が使えない事にお気付きになった水神様の命で貴方に帰属するようにと、もう一つは神聖魔法を(力ずくでも)早急に教えて差し上げろ、との事でした。」


 部下の神力も加算されるし、メンツと言う事でもあるらしいですよ? と言うタレコミになんて迷惑な……、お陰で確実に目立ってしまったと、うな垂れる。


 後、壊したものは直しておいて、信者減るから……だそうです。



 うわー、殺意の波動に目覚めそうですが、どうしましょう?


 まぁ、これ以上暴れても仕方無いので渋々ながら錬金術『岩石操作ロクラシー』で手早くこの場を修復。


 壊した街並みは後で『復元アポカタスト』かな。



「「「では、今日から宜しくお願いします。」」」



 三人共声を合わせてきたのでしばし黙考、次いで絶叫。


 なんで一緒に来るのさ!? 


 俺の疑問に「帰属したからですよ?」って当たり前の様にして着いて来る。


 帰属ってそういうもんなの?



 ちなみに、話に入れなかったヘイルは密かにむくれている。


 拗ねるなよ息子……まぁ、少し気分が浮上したけど。



「あっ、私、この姿の時は軽戦士ですから」カノンが唐突に言う。


「私も後天的な変異なので人族籍も持ってますし」って事らしい。


 して、精霊2体は普段は剣に宿って表には出ないそうだ。


 なんて知っておくべき事を聞きながら……先程、全力で逃げた道を今度は復元しながら戻り、その足で元々の行き先である冒険者ギルドへ。


 正直、帰って現実逃避したいが無駄な抵抗なんで却下。


 初遭遇時もそうだけど、どうしてかヒノンに口では勝てないのだ。



 さらっと「話術スキル有りますから」って心読まれたかと思ったよ、この野郎?






--冒険者ギルド・ハウルベル本所--






 素材を売り、ギルドで新たにパーティー人員追加登録して帰ろうとしたら「お待ち下さい、奥でギルドマスターがお待ちです」って、受付の声。


 今日はヒューイは居ないらしい。


 逆らっても良い事が無さそうだったからお連れされましたとも、ええ。


 

 出された茶をすすりながら、相変わらずギルドマスターの部屋って殺風景だなと思ってたら。


 案の定、挨拶の後に「あなた方の素性の説明をお願いしたい。破損を直したからって全てチャラにはなりませんよ?」って釘刺された。


 ハウルベルのギルドマスターは坊主サングラスの地底人族男性らしい。


 名はゼクスと言うそうだ。



 どう誤魔化そうかと思ってたら、影から人が滲み出てきてマスターに耳打ちして消えてしまったけど見事な気配消しだね?


 今、全然分からなかった。


 ゼクスから仲介して聞くと「城に出向くように要請が来てる、今すぐに向かえ」とのお達しらしい。



 うん、どんどん話が大きくなるんですけど、どうしたら良いと思う?



 無視は先程と同様に良くない結果しか予想出来無いので、仕方無く影の人について王城へと向かう。


 間近で見る城はでかく重厚な圧迫感を持って俺達を迎えた。


 城壁には広い跳ね橋が架けられ、深くてそれなりに広い堀がぐるりとしている。


 住んでる頃にはここに来るなんて事は一生無いと思い込んでたのに数奇なもんだね?


 お腹一杯な気分で影の人に連れられ、俺達は謁見の間に歩を進めた。




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